公開日: 2026-02-12
米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延により、2026年1月分の統計は2026年2月13日金曜日、東部標準時(ET)午前8時30分に公表される運びとなった。
今回米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延は、同じく延期されていた1月の雇用統計の2日後というタイミングに重なるため、市場関係者の間で特に注目が集まっている。雇用統計では非農業部門雇用者数が13.0万人増、失業率も約4.3%と、景気減速は示唆しつつも急激な悪化には至っていない現状が改めて確認された。

遅れて公表される1月CPIを読み解くには、シンプルな前提が役立つ。1月は例年、季節調整要因や年度替わりの価格改定、年末調整の反動などが重なり、変動の大きい月だ。
今年はこれに季節要因そのもののアップデートや過去データの改定が加わるため、米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延がもたらす不確実性は一層高まっている。
注目すべきは、市場心理を映すヘッドラインCPIと、政策判断の軸となるコアCPIの2本柱だ。今月の特徴は、市場コンセンサスとモデルベースのナウキャスト(現在値予測)の間に、無視できない乖離が生じている点にある。
| 指標(1月) | 前回(12月) | コンセンサス予想 | モデルベースのナウキャスト(最新) | 重要性 |
|---|---|---|---|---|
| ヘッドラインCPI(前月比、季節調整済) | +0.3% | ~+0.3% | +0.13% | 利回りやリスク志向に影響を与える |
| コアCPI(前月比、季節調整済) | +0.2% | ~+0.3% | +0.22% | FRBの「物価の粘り強さ」を検証する手掛かり |
| ヘッドラインCPI(前年比、非季節調整) | +2.7% | +2.5% | +2.36% | 総合的なナラティブやベース効果を形成する |
| コアCPI(前年比、非季節調整) | +2.6% | +2.5% | +2.45% | 金融政策の忍耐(patience)か緊急性(urgency)かを示す |
コンセンサスが約0.3%、ナウキャストが約0.2%以下の場合、期待値との差が0.1ポイント程度の「小幅サプライズ」でも市場は過敏に反応する傾向がある。米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延によって情報の空白期間が長引いた分、その反応はさらに増幅される可能性がある。

昨年1月のCPI-Uは前年比+3.0%、非季節調整ベースでも顕著な上昇を記録した。この高いベースが12か月の比較対象から外れることで、たとえ1月の数字が「まずまず」の水準でも、前年比は機械的に低下する。
したがって、12月の2.7%から1月の2.5%への低下が見込まれるが、これは完全なディスインフレではなく、統計上の要因が少なからず影響している。
1月のCPI公表では、季節調整係数が再計算され、過去5年分の季節調整済み指数が遡及改定されるのが通例だ。
米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延によりこの作業スケジュールも圧縮されているが、改定の影響は決して軽視できない。市場は単なる「数値」ではなく、「インフレは再加速しているのか」というストーリーを取引するからだ。改定内容次第では、新規数値が予想レンジに収まっていても、その解釈は大きく変わり得る。
エネルギーはコアCPIの構成比こそ小さいものの、ヘッドラインCPIを大きく動かし、市場の初動を形成する要因となる。
12月はエネルギー指数が前月比0.3%上昇。内訳はガソリンが同0.5%下落した一方、天然ガスが4.4%急騰した。
1月のエネルギー価格がトレーダーの想定と乖離すれば、コアCPIが安定していてもヘッドラインはサプライズし得る。
米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延は、連邦政府の資金調達を巡る混乱がBLSの発表スケジュールに影響した結果だ。
市場に余分な「待機時間」が生まれると、往々にしてポジションは一方向に傾き、発表後の初動は大きくなる。
1月のCPIは単に「インフレ」という一つの事象ではなく、どの項目が主導しているかが重要になる。
12月は住居費が前月比0.4%上昇し、月次CPI上昇の最大の寄与項目となりました。家賃と帰属家賃はいずれも0.3%の上昇だ。
住居は動きの鈍い大型項目であり、財価格が冷え込む局面でもコアの粘着性を支え続ける傾向がある。住居の減速が確認できなければ、前年比の数値が良好でもFRBは慎重姿勢を崩しない。
12月の食品インフレは堅調だった。食品は前月比+0.7%上昇し、家庭用食品と外食の双方が上昇した。通年では食品価格は3.1%上昇した。
食品は政策にとってコアほど重要ではないが、消費者の信頼感や心理には影響する。食品価格がさらに上昇すると、コアが落ち着いていてもインフレ期待の粘着性が続く可能性がある。
エネルギーは12月に前月比+0.3%上昇したが、内訳は混合的だった:ガソリンは月間で下落した一方で天然ガスが急騰し、電力はほとんど動かなかった。
エネルギーは典型的なヘッドラインの変動要因だ。エネルギーが弱ければヘッドラインCPIを押し下げ、コアのサービスが依然として高止まりしていても報告は「冷えた」ように見えることがある。
12月の報告は、住居を除く分野で前年比の顕著な上昇が既に見られた:医療(+3.2%)、家庭用家具(+4.0%)、娯楽(+3.0%)、パーソナルケア(+3.7%)。
1月は多くの企業が価格やサービスを更新する時期だ。だから市場は前年比だけでなく、コアの前月比をこれほど重要視する。

FRBは1月28日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を3.50~3.75%に据え置き、引き続き「データとリスクバランス」を注視する方針を改めて示した。次回の有力な政策変更機会は3月17~18日の会合だ。
市場では少なくとも年央までは現行水準が維持されるとの見方が優勢だが、米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延によってタイムラグが生じた今回のデータは、そのシナリオを2つの方向で修正し得る:
もしコアの前月比が明らかに落ち着いていれば、利下げ期待は早まる可能性があり、利回りカーブの短期ゾーンは通常買われ(利回り低下)、短期金利が下がる。
もしコアの前月比が再び加速すれば、FRBはリスク資産を打撃するために利上げする必要はない。市場の予想より長く金利を現状水準に維持するだけで足りる。
以下は金曜日に想定される実務的な反応マップだ。数値はあくまで現時点の期待値やナウキャストを基にした想定レンジであり、結果を確約するものではない。
| シナリオ | データ結果(典型的な閾値) | 金利の想定反応 | ドルの想定反応 | 株式の想定反応 | 金の想定反応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 冷えたインフレ | コアCPIが前月比0.1%〜0.2%で、前年比が2.5%未満に低下する。 | 利下げ時期が前倒しになるため、短期金利は通常低下する。 | 利回りの支えが弱まるため、ドルはしばしば軟化する。 | 低金利期待を受けて株式はしばしば上昇する。 | 実質利回りが低下すれば金はしばしば強含む。 |
| 想定通り(ベースケース) | コアCPIが前月比おおむね0.3%で、前年比がおおむね2.5%付近に位置する。 | 結果がポジショニングと一致するため、利回りは乱高下し得る。 | ドルは一時的な急騰の後に軟化することが多い。 | 株式はガイダンスやその他のデータに注目することが多い。 | 金は方向感に乏しく、利回りに反応することが多い。 |
| インフレ加熱 | コアCPIが前月比0.4%以上で、前年比が下がらない。 | 利回りは通常上昇し、2年物が先導する。 | 「高金利が長期化する」としてドルはしばしば強含む。 | 割引率の上昇を受けて株式はしばしば下落する。 | 実質利回りが上昇すれば金はしばしば弱含む。 |
| ヘッドライン高、コア冷静ミックス | エネルギーがヘッドラインCPIを押し上げるが、コアは落ち着いている。 | 市場がコアインフレをより重視すれば、その動きはしぼむ可能性がある。 | トレーダーがシグナルとノイズを議論する中でドルは乱高下する可能性がある。 | 株式は最初のショックの後に回復することがある。 | 市場が急騰を軽視すれば金は強くなることがある。 |
米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延は、金曜日の公表をもって終了するわけではない。トレーダーはその後も2つの「追随リスク」に対処する必要がある。
第一に、季節要因のアップデートだ。発表と同時に改定される過去の季節調整済みデータ次第では、短期的なインフレトレンドの評価が大きく変わる可能性がある。
第二に、3月FOMCまでの政策期待の再調整だ。今回のCPIは、3月会合およびそれ以降の利下げ織り込み度合いを再設定する材料となる。
遅延した1月のCPI公表は何時だか?
BLS(米国労働統計局)は2026年1月分のCPIを、2026年2月13日金曜日、東部標準時午前8時30分(ロンドン時間午後1時30分)に公表する。
なぜ1月のCPI報告は遅れたのだか?
短期間の連邦政府資金調達を巡る混乱がBLSの発表スケジュールに影響を及ぼし、米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延が生じた。
なぜ1月のCPIは他の月よりも市場を動かしやすいのだか?
1月は例年、企業の価格改定や季節的な特殊要因が重なりやすいことに加え、BLSがこのタイミングで季節調整係数を更新するためだ。これにより、過去の季節調整済みCPIが遡及改定されることも珍しくあらない。
ヘッドラインCPIとコアCPIの違いは何だか?
ヘッドラインCPIは食料やエネルギーを含むすべての品目を対象とするのに対し、コアCPIはこれらの変動の大きい項目を除外する。このため、コアCPIは基調的なインフレトレンドを把握するうえで有用視され、FRBの政策判断においても重視される。
金曜日のデータからFedは何を判断するだろうか?
現在FRBは政策金利を3.50~3.75%で維持し、「データ次第」の姿勢を明確にしている。コアCPIが予想以上に高止まりすれば、市場が織り込む利下げ開始時期は後退する。逆にコアCPIの減速が確認されれば、早期緩和への期待が高まるだろう。
結論
結論として、市場は一貫してインフレの鎮静化を希求してきた。しかしFRBが真に確証を求めるのは、住居費やコアサービスといった粘着性の高い分野からの明確な減速だ。12月CPIは前年比こそ落ち着いたものの、その内訳は住居費と食料品価格が主たる上昇要因だった。
米国消費者物価指数(CPI)発表の遅延によってタイムラグが生じた今回の1月統計は、その粘着性の行方を占う試金石となる。もしコアインフレが予想レンジに収まれば、利下げ期待は一気に前倒しされる可能性がある。一方、コアが再加速を示せば、追加利上げの有無にかかわらず「高水準・長期化」シナリオが自動的に優勢となるだろう。いずれにせよ、今回の遅延がこの公表イベントの不確実性を通常以上に高めていることは間違いあらない。
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