公開日: 2026-07-31
更新日: 2026-07-31
エクソンモービルは7月31日(金曜日)、米国市場の取引開始前に2026年第2四半期決算を発表する。市場の一部では、調整後利益が157億ドル近辺になるとの見方が出ているが、これが第1四半期の「2倍」に当たるかどうかは、どの第1四半期の数値を基準にするかによって変わる。この曖昧さこそが、今回のエクソンモービルの決算プレビューの焦点だ。

今回の押し上げ要因は、実現価格の上昇、製品供給の逼迫、クラックスプレッドの拡大に加え、デリバティブに絡むタイミング効果の反転と運転資本の解放である。第1四半期のフリーキャッシュフローは27億ドルで、株主還元額92億ドルを下回っていた。
したがって、現金創出力は利益の数字以上に多くの情報を持っている。決算説明会では、エクソンモービルが引き起こしたわけでも制御しているわけでもない供給ショックと、同社が持続可能な生産量の拡大やコスト削減とを切り分ける必要がある。
主なポイント
エクソンモービルの決算発表は7月31日、米東部時間午前6時30分。決算説明会は米東部時間午前9時30分から。
市場予想は異例なほどばらついており、各社のコンセンサスは3.56ドルから3.87ドル、個別予想では3.14ドルから4.46ドルの幅がある。
第1四半期のフリーキャッシュフローは株主還元額の約29%しか賄えておらず、まずはキャッシュフロー計算書を確認すべきだ。
OPECプラスの供給再開と湾岸地域の輸出回復により、今四半期の数値を単純に年換算するのは困難である。
エクソンモービル2026年第2四半期の市場予想一覧
| 指標 | 2026年第2四半期予想 | 2025年第2四半期実績 |
|---|---|---|
| 調整後EPS | アナリスト19人の平均予想は約3.68ドル、予想レンジは3.14ドルから4.46ドル | 1.64ドル |
| 売上高 | 情報源により958億ドルから1100億ドル | 約795億ドルから815億ドル |
| フリーキャッシュフロー | 大幅な増加が見込まれるが、コンセンサス予想はなし | - |
| 生産量 | 第1四半期の日量460万バレル(石油換算、boe/d)から増加が見込まれる | - |
| 2026年の自社株買い | 最大200億ドルを計画 | - |
これらはあくまでアナリストの予想であり、会社側のガイダンスではない。7月に法的な本店所在地をテキサス州に移転したことに伴い、報告主体はエクソンモービル・ホールディングスに変更されたが、上場先および事業内容に変更はない。
第1四半期との比較が見た目より難しい理由
エクソンモービルは第1四半期の利益について3つの数値を公表している。GAAPベースの利益は42億ドルで、2021年初め以来の低水準だった。特定項目を除くと49億ドル、1株当たり1.16ドル。特定項目およびタイミング効果の推定分を除くと88億ドルになる。
157億ドルの四半期利益は、88億ドルという数値と比べると約78%多く、49億ドルという数値と比べると3倍を超える。これを「2倍」と表現する見出しは、最も都合の良い基準値から計算したものであり、これらの数値の差こそが、今まさに反転しつつあるタイミング効果そのものだ。
エクソンモービルが実際に開示した内容
7月7日の開示資料によると、エクソンモービルが示したレンジの中央値をもとにすると、利益は前四半期比で約58億ドル改善する見通しだ。その内訳は示唆に富む。実現価格の上昇だけで、上流部門の利益を35億ドルから39億ドル押し上げると見られ、この間のブレント原油の平均価格は1バレル96.68ドルと、第1四半期を23%上回った。
ところが、会社側が示した上流部門全体の改善見通しは中央値で16億ドル程度にとどまり、差額は生産の混乱やターンアラウンド、その他コストによって吸収されている。これは「棚ぼた利益」という見方を検証するうえで有用な材料だ。
部門別では、エナジープロダクツ部門が20億ドルから24億ドル、ケミカルプロダクツ部門が10億ドルから12億ドル、スペシャルティプロダクツ部門が3億ドルから5億ドルをそれぞれ押し上げる。エナジープロダクツ部門の変動の多くは利益率ではなくタイミングによるもので、エクソンモービルは22億ドルから30億ドルのプラスのタイミング効果を見込んでおり、これは第1四半期のGAAP利益を39億ドル押し下げた要因の反転に当たる。
これは繰り延べられていた利益の回収であり、収益力そのものの向上ではない。逆に中東情勢の混乱はこの逆に作用し、上流部門で推定6億ドルから8億ドル、エナジープロダクツ部門で推定2億ドルから4億ドルの押し下げ要因になるとみられている。
第1四半期の営業キャッシュフローは、発表値では87億ドルだったが、デリバティブ・ポジションに対する証拠金差し入れの影響を除くと138億ドルだった。こうしたポジションが決済されれば、担保は返還される。したがって、今後の改善の多くは営業キャッシュフローの純増ではなく、解放された運転資本によるものとなる見込みだ。実際に使える資金ではあるものの、繰り返し発生するものではない。
棚ぼた利益をもたらした3つの供給制約
いずれもエクソンモービル自身が引き起こしたものではない。OPECプラスが供給の基準水準を定めた。輸送が第二の要因だ。ホルムズ海峡は通常、日量約2000万バレルの原油が通過するが、通航が滞ると、制約要因は地下の埋蔵量から「買い手に届く原油の量」へと移った。
ブレント原油は4月に109ドルを突破し、期近物のベンチマークは一時140ドルを超えた。精製能力が第三の要因で、国際エネルギー機関(IEA)によると、中東の輸出向け精製施設が稼働を停止し、ロシアの処理量が絞られたことで、6月の精製処理量は前年同月を日量約600万バレル下回った。
エクソンモービルは供給不足を作り出したわけでも、価格を決定したわけでもない。同社の強みは、上流部門と精製部門の両方で収益化できるだけの規模を備えていた点にある。この点こそ、エクソンモービルの決算プレビューにおいて見極めるべき構造的優位性だ。
価格下落後もエクソンモービルが再現できるもの
生産量と単位コストは、エクソンモービル自身がコントロールできる部分だ。同社は第1四半期に日量460万バレル(石油換算)を生産し、ガイアナでは過去最高となる総生産量日量90万バレル超を記録したほか、パーミアン地区での権益拡大や、ゴールデンパスからの初のLNG出荷も実現した。

5月に開催された投資家向けカンファレンスで、ニール・チャップマン上級副社長は、エクソンモービルが生産量だけを追い求めることはないと述べた。同社は2018年ごろ以降、供給コストが1バレル35ドルを超える上流プロジェクトを承認しておらず、パーミアンの供給コストは現在1バレル30ドル以下だという。
景気循環に連動した一時的なキャッシュ急増については、まず現金を創出し、債務を返済したうえで、その配分は取締役会に委ねる方針を示した。会社の計画自体は棚ぼた利益をまったく前提としておらず、ブレント原油を1バレル65ドルと想定したうえで、2030年までの累計余剰キャッシュ1450億ドルを目標に掲げている。
一つの見出しの裏には、二種類のキャッシュ創出源がある。一つは実現価格やクラックスプレッドによる価格主導のキャッシュ、もう一つは生産量、単位コスト、プロジェクトの実行力による数量主導のキャッシュだ。原油価格が下落しても持続するのは後者だけであり、中期的な標準的な株価倍率に値するのも後者だけだ。
棚ぼた利益はすでに縮小し始めているのか
棚ぼた利益は一部ですでに縮小している。停戦によって6月にかけてホルムズ海峡の通航が回復し、北海デーテッドは7月上旬までに1バレル31ドル下落して68ドルとなり、一時的に開戦前の水準を下回った。その後、戦闘の再燃を受けてブレント原油は再び100ドル近辺まで上昇した。WTIは木曜日に84ドル近辺で取引され、Kplerの集計によると、水曜日のホルムズ海峡の通航件数は14件と、1週間前の一桁台から回復している。
OPECプラスは8月分としてさらに日量18万8000バレルの増産を承認した。これで5カ月連続の増産となり、次回会合は8月2日に予定されている。
増産枠の拡大は必ずしも価格の軟化を意味せず、需要や在庫、各国の生産割当順守の状況が影響する。精製部門の正常化はより時間がかかりそうで、IEAは今年の世界の精製処理量が日量240万バレル減少すると予測している。
キャッシュフローがEPSの市場予想超えより重要な理由
エクソンモービルが発表する利益は、実際に受け取る現金に変化がなくても、タイミング効果や減損、棚卸資産の会計処理によって変動する。配当や自社株買い、再投資の原資となるのは、あくまでフリーキャッシュフローだ。
この算数は容赦がない。四半期配当1.03ドルに加えて年間200億ドルの自社株買いを行うと、株主還元額は年間約372億ドルとなり、四半期ごとに約93億ドルのフリーキャッシュフローが必要になる。
第1四半期の実績は27億ドル、2025年第4四半期は56億ドルで、株主還元額95億ドルに対して不足していた。エクソンモービルが貸借対照表を取り崩して株主還元を賄い続けることはできない。問われるのはカバー率であり、エクソンモービルの決算プレビューの核心はまさにここにある。
株価はすでに織り込み済みか
XOM株は木曜日に156.97ドルで取引を終え、2026年に入ってから約30.4%上昇、直近1カ月では15%上昇しているが、52週高値の176.41ドルは下回っている。アナリストの平均目標株価は167ドル近辺で、実績ベースのEV/EBITDA倍率は約10倍と、セクター平均の7倍程度を上回る水準で取引されている。
決算発表を前に、市場のポジションは慎重姿勢に傾いている。バンク・オブ・アメリカは数日前に投資判断を「ニュートラル」に引き下げる一方、目標株価は158ドルに引き上げた。またZacksのモデルは、平均約6%の市場予想超えを4四半期連続で記録してきたにもかかわらず、今回はそれを示唆していない。株価の反応を左右するのは、現金創出力、生産量見通し、自社株買いのペース、そして経営陣が今四半期をピークと位置付けるかどうかだ。
まとめ
エクソンモービルの決算は、原油と石油製品の供給が同時に逼迫した際に、統合型の事業モデルがどう機能するかを示している。この結果を再現できるかどうかは、生産量の拡大、単位コストの低下、そして実行力にかかっており、供給不足がもたらした特需は、いずれ事業自体が生み出すキャッシュフローに置き換わっていくことになる。
よくある質問
エクソンモービルはいつ2026年第2四半期決算を発表するか。
7月31日(金曜日)、米国市場の取引開始前の米東部時間午前6時30分に発表する。決算説明会は米東部時間午前9時30分から開催される。
エクソンモービルはフリーキャッシュフローのガイダンスを示しているか。
いいえ。7月7日にセグメント別の市場要因とタイミング効果は開示したが、キャッシュフローや利益の予想値は公表していない。現在出回っている数値はいずれもアナリストによる推計だ。
アナリストの予想レンジがこれほど広いのはなぜか。
予想は1株当たり3.14ドルから4.46ドル、売上高は780億ドルから1150億ドルまで幅があり、実現価格や生産の混乱による影響、そしてタイミング効果の反転がどの程度今四半期に計上されるかについて、アナリスト間で見解が大きく分かれているためだ。
エクソンモービルが今回の結果を再現するのが難しい理由は何か。
供給は回復しつつあり、OPECプラスも増産を進めている。さらに、今回の利益改善の一部は事業自体の収益力向上ではなく、タイミング効果の反転や運転資本の解放を反映したものだからだ。