恩株とは|利益を守りながら投資を続ける賢い株式戦略
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恩株とは|利益を守りながら投資を続ける賢い株式戦略

著者: 高橋健司

公開日: 2025-12-20

株式投資では、相場の急落や予想外の値下がりによって損失を被るリスクが常につきまといます。こうした株価変動への不安が高まる中、一度利益を確定して元本を回収し、その後は安心して保有できる「恩株」という考え方が個人投資家の間で注目されています。恩株とは、損失への心理的プレッシャーを抑えながら投資を続けられるため、精神的に楽な投資手法として支持を集めています。


恩株とは?意味をわかりやすく解説

恩株とは

恩株(おんかぶ)とは、株価の上昇によって投資した元本をすでに回収した後に、手元に残っている株式のことを指します。たとえば、保有株の一部を売却して購入時の資金をすべて取り戻し、残りの株を保有し続けている状態が「恩株」です。


このような状態では、仮にその後株価が下落しても、すでに元本は回収済みのため、実質的に自分のお金を失うリスクがないと考えられます。そのため恩株は、投資家の間で「タダ株」「無料株」と呼ばれることがあります。実際には株式自体に価値があるものの、心理的には「利益だけで保有している株」という感覚になる点が特徴です。


なお、恩株は金融庁や証券取引所が定義している正式な金融用語ではありません。主に個人投資家の間で使われる俗称・投資用語であり、SNSや投資ブログ、個人投資家向けの解説記事などで広く浸透しています。そのため、証券会社の公式資料や決算書などに「恩株」という表現が登場することはない点には注意が必要です。


恩株が生まれる仕組み

恩株は、株価の上昇局面で保有株の一部を売却し、投資した元本を回収することで生まれます。基本的な流れは、


「株価上昇 → 一部売却 → 元本回収 → 残りを保有」というシンプルな仕組みです。


たとえば、1株1.000円の株を100株購入し、投資額が10万円だったとします。その後、株価が2.000円まで上昇したタイミングで50株を売却すると、売却代金は10万円となり、最初に投じた元本をすべて回収できます。この時点で手元には現金10万円と、残りの50株が残ります。この50株が「恩株」です。


なぜ利益だけが残る状態になるかというと、売却によって投資資金を先に回収しているためです。残った株式は、元本とは切り離された存在となり、その後の株価上昇による利益はすべてプラスになります。一方で、仮に株価が下落しても、すでに元本は回収済みのため、金銭的な損失リスクは大幅に抑えられるという特徴があります。


この仕組みにより、恩株は長期保有や成長株投資と相性が良い戦略とされ、値動きに一喜一憂せずに投資を続けやすくなる点が、多くの個人投資家に支持されています。


恩株のメリット・デメリットと注意点

恩株は、投資のリスクを抑えつつ利益を伸ばすことを目指す戦略として、多くの個人投資家に支持されています。ただし、万能な手法ではなく、メリットと同時にデメリットや注意点も理解しておくことが重要です。


まず、恩株の最大のメリットは、元本割れリスクが実質的にゼロになる点です。すでに投資資金を回収しているため、株価が下落しても「損をした」という金銭的ダメージは発生しません。この安心感により、短期的な値動きに振り回されにくくなり、腰を据えて長期保有しやすくなるという利点があります。


また、元本を気にせず保有できることで、恐怖や欲といった感情に左右されにくくなり、冷静な投資判断がしやすくなる点も大きな魅力です。結果として、成長株やテーマ株を長く持ち続けやすくなり、テンバガーのような大化け銘柄を狙える可能性も高まります。


一方で、恩株には注意すべきデメリットも存在します。そもそも株価が上昇しなければ恩株は作れないため、銘柄選びを誤ると戦略そのものが成立しません。また、元本回収を急ぐあまり、早い段階で売却しすぎてしまうと、その後の大きな上昇分を取り逃がす機会損失につながる可能性があります。


さらに、株を一部売却することで譲渡益課税が発生し、手取り額が想定より少なくなる場合があります。加えて、保有株数が減ることで、配当金や株主優待が減少する可能性も見逃せません。特に配当目的や優待目的の投資では、恩株戦略が必ずしも最適とは限らないケースもあります。


このように、恩株はリスク管理と心理面に強みを持つ一方で、タイミングや投資目的によっては不利になる面もある戦略です。自分の投資スタイルや目標に合っているかを見極めたうえで、無理のない形で活用することが重要だと言えるでしょう。


恩株の作り方|実践ステップ

恩株を作るには、やみくもに株を売買するのではなく、事前に計画を立てた段階的な行動が重要です。以下は、初心者でも実践しやすい基本ステップです。


  1. 成長性のある銘柄を選ぶ

    恩株は株価の上昇が前提となるため、将来の成長が期待できる銘柄選びが欠かせません。売上や利益が中長期的に伸びている企業や、AI・半導体・脱炭素などの成長テーマに関連する企業は注目されやすい傾向があります。また、ビジネスモデルが分かりやすく、業界内で競争力を持つ企業を選ぶことで、長期保有もしやすくなります。


  2. 目標株価・売却ラインを決める

    購入時点で、「どの水準まで上がったら一部売却するか」をあらかじめ決めておくことが重要です。たとえば「株価が2倍になったら半分売る」「投資額を回収できる株数を売却する」など、元本回収を基準にした明確なルールを設定します。事前に決めておくことで、値上がり時の欲や迷いを抑えやすくなります。


  3.  一部売却で元本回収を行う

    株価が目標水準に達したら、計画どおりに保有株の一部を売却し、投資した元本を回収します。この段階では、「もっと上がるかもしれない」という感情よりも、戦略の実行を優先することが大切です。元本を回収できれば、以降の値動きに対する心理的な負担は大きく軽減されます。


  4. 残りを恩株として保有する

    元本回収後に残った株が「恩株」です。これらは損失リスクを抑えた状態で保有できるため、短期的な値動きを気にしすぎず、企業の成長やテーマの進展を見守る姿勢が重要になります。株価がさらに上昇すれば利益はそのまま上積みされ、万が一下落しても精神的ダメージは限定的です。


恩株が向いている投資家

恩株の考え方は、すべての投資家に万能というわけではありませんが、特定の投資スタイルを持つ人にとっては非常に相性の良い戦略です。以下のような投資家には、特に恩株が向いています。


  1. 長期投資志向の人

    恩株とは、短期的な値動きで利益を狙う手法ではなく、企業の中長期的な成長をじっくり享受する投資スタイルと相性が良い考え方です。元本を回収した後は、株価の上下に過度に反応する必要がなくなるため、数年単位で企業の成長を見守りたい長期投資家に向いています。


  2. 成長株・テーマ株に投資する人

    AI、半導体、再生可能エネルギー、EVなどの成長株やテーマ株は、値動きが大きくなる一方で、将来的に大きなリターンを生む可能性があります。恩株を作ることで、値動きの大きさによる心理的負担を軽減しつつ、大きな上昇余地を狙えるため、ボラティリティの高い銘柄に投資する人に適しています。


  3. 精神的なストレスを減らしたい人

    株式投資では、「含み損への不安」や「急落時の恐怖」が大きなストレス要因になります。恩株はすでに元本を回収しているため、損失への恐怖が大きく和らぎ、冷静な判断を保ちやすくなるのが特徴です。仕事や生活に支障をきたさず、無理のないペースで投資を続けたい人にとって、恩株は有効な選択肢となります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 恩株はいつ作るのが理想ですか?

恩株を作る理想的なタイミングは、株価が大きく上昇し、元本を回収できる水準に達したときです。一般的には「株価が2倍前後になったタイミングで一部売却する」ケースが多く見られます。ただし、明確な正解はなく、購入時に設定した目標株価や投資期間に基づいて判断することが重要です。上昇途中で欲張りすぎると、結局売れずに下落する可能性もあるため、事前に決めたルールを優先する姿勢が理想とされています。


Q2. 配当株でも恩株は有効ですか?

配当株でも恩株の考え方は有効ですが、成長株ほどの効果は期待しにくいのが実情です。配当株は株価の値上がり幅が比較的限定的なため、元本回収までに時間がかかる場合があります。一方で、一部売却によって元本を回収し、残った恩株から配当を受け取れれば、「配当が実質的に無料になる」状態を作ることも可能です。ただし、売却によって配当額が減る点には注意が必要です。


Q3. 恩株になった後は売らない方がいいですか?

恩株になった後も、必ず保有し続ける必要はありません。企業の成長性が失われた場合や、投資テーマが終了したと判断した場合には、利益確定として売却するのも合理的な判断です。一方で、業績や将来性に自信がある場合は、長期保有することでさらなる株価上昇の恩恵を受けられる可能性があります。重要なのは、「恩株だから放置する」のではなく、通常の保有株と同じように定期的に見直すことです。


まとめ|恩株を活用して賢く投資を続ける

恩株とは、株価上昇によって元本を回収し、リスクを抑えながら投資を続けるための考え方の一つです。すべての状況で有効な万能手法ではありませんが、長期的な成長を期待する投資では、精神的な負担を軽くしてくれます。自分の投資目的や性格に合っているかを見極めたうえで活用することが、賢く投資を続けるポイントと言えるでしょう。


免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。