金相場見通し2026年|価格を左右する要因と中長期予測
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金相場見通し2026年|価格を左右する要因と中長期予測

著者: 高橋健司

公開日: 2026-01-02

金相場は近年、高値圏で推移しており、投資家の関心が一段と高まっています。インフレ懸念や米金利動向、地政学リスクの高まりを背景に、「安全資産」としての金の価値が改めて注目されています。


こうした環境の中で、「今後、金価格は上昇を続けるのか」「調整局面に入るのか」といった金相場見通しを知りたい投資家が増えています。金は株式や為替と異なる値動きをするため、ポートフォリオ戦略の観点からも重要な資産です。


本記事では、金相場の現状を整理したうえで、価格を左右する要因を解説し、短期・中期・長期の視点から今後の金相場見通しをわかりやすく解説します。金投資を検討している方や、今後の方向性を知りたい方に役立つ内容をお届けします。


金相場の現状分析

金の鉱物

1.直近の金価格動向(高値・安値の推移)

2025年は金相場が異例の強さを示し、史上最高値圏での推移となりました。12月末にはスポット金価格が1オンスあたり約4.500ドル台の高値を記録し、2025年全体では約60%を超える大幅上昇となっています。これは1979年以来の大きな上昇率です。


年末から年始にかけても価格は高水準を維持しており、2026年1月初頭のスポット価格は約4.350ドル近辺で推移しているとのデータもあります。


日本国内の地金価格でも、1gあたり約25.000円前後と高水準で推移しています。


2.過去数年のトレンド整理

金相場は、長期的には緩やかな上昇トレンドを描いてきました。過去数年では特に2020年代半ばから価格が上昇基調となり、2025年には世界的なマクロ環境の変化を受けてこのトレンドが加速しました。


要因としては、米国の金融政策の転換観測(利下げ予想)やドル安傾向、地政学的リスクの高まり、中央銀行による金購入の継続などが挙げられ、これらが投資家の安全資産志向を強めています。


Trading Economicsによれば、2025年12月末時点の金価格は前年同時期比で60%以上の上昇となっており、短期的な上昇基調が継続しているのが現状です。


3.株式・為替との比較(リスク資産との関係)

金は一般にリスクオフ時の安全資産として位置づけられますが、2025年は株式・その他資産との動きも特徴的でした。


  • 株式市場:米国株など主要株価指数はAI関連や景気回復期待を背景に上昇し、比較的堅調な展開となりました。


  • 為替市場:ドルは利下げ観測を背景に弱含みとなる局面があり、金価格を押し上げる一因となりました。


こうしたなか、金は株式とは独立した上昇基調を描き、伝統的なリスク資産と異なる動きを示しています。特に地政学的リスクが高まる局面では、投資家が株式等から金へ資金をシフトする動きも観察されています。

今日の金先物価格

金相場を動かす主な要因

1. 米金利・金融政策(FRBの利下げ/利上げ観測)

2025年は米連邦準備制度理事会(FRB)が数回にわたって利下げを実施し、金利の低下が進んだことが金相場を押し上げた最大の要因の一つです。利下げによって実質金利が低下すると、利子のつかない金の魅力が相対的に高まり、投資家が資金を金に振り向ける傾向が強まります。2026年前半も利下げ観測が継続しており、これが金価格のサポート要因として意識されています。


一方で、地域によってはインフレ抑制を目的に利上げ観測が残る場面もあり(例:オーストラリアなど)、金利動向が単純に一方向とは限らないリスクにも注意が必要です。


2. インフレ率と実質金利

インフレ率が高止まりする環境では、実質金利(名目金利-インフレ率)が低下しやすくなり、金の投資魅力が増します。2025年の金価格急騰はインフレ懸念と実質金利の低さが背景にありました。実際、2025年の上昇局面ではインフレ圧力とリスク回避の動きが重なり、実質金利が投資家の重視ポイントとなっています。


2026年も、各国でインフレが目標水準を下回るか否かが市場の関心点であり、実質金利の方向性は金価格見通しの重要な鍵となっています。


3. ドル指数と為替動向

金価格は通常米ドルとの逆相関関係があり、ドル安は金価格の上昇要因となります。2025年はドルが相対的に弱含みとなり、金価格を押し上げる一因となりました。


2026年前半もFRBの金融緩和観測や米経済の不透明感からドルが軟調になるシナリオが意識されており、これが引き続き金の上昇圧力として働く可能性があります。ただし、為替市場には日米金利差や円の動向(円安・円高圧力)などの複合要因が絡み合っているため、単純なドル安予想で終わるとは限りません。


4. 地政学リスク・世界情勢

地政学的リスクの高まりは歴史的に金の安全資産需要を刺激してきました。2025年末から2026年初頭にかけても、中東・欧州・アジアでの政治的緊張や経済不確実性が強まっており、投資家心理に影響を与えています。こうしたリスクはリスクオフ局面で金への需要を高める代表的な要素となります。


専門家の多くは、これらの地政学リスクが2026年も安全資産としての金買いを支える背景要因になると指摘しています。


5. 中央銀行の金保有動向

世界的に中央銀行の金購入は近年増加傾向にあり、強気材料として注目されています。2025年、複数の中央銀行が保有量を積極的に増やし、これが金価格の下支えとなったと分析されており、2026年もこの流れが継続すると予測されています。


さらに、ゴールドマン・サックスなど主要機関は、中央銀行による金購入が今後も堅調に推移すると予想し、これが金価格を長期的に支える構造的な要因になるとしています。


今後の金相場見通し【シナリオ別】

A.上昇シナリオ(強気)|金価格が上昇する条件

強気シナリオでは、金価格がさらに上昇する可能性が想定されます。


  • 中央銀行の買い支えが継続

    世界中の中央銀行が外貨準備としての金購入を続けることで、需給面での支えが強まる可能性。


  • 米ドル安・金利低下による魅力増

    FRBの利下げ観測やドル安が続くと、実質金利低下の恩恵で金への投資が拡大する可能性があります。


  • 地政学的リスクや経済不安の高まり

    地政学的緊張や金融市場の不安定化は、安全資産としての金需要を押し上げる要因となり得ます。


こうした条件が揃うと、金価格がさらに上昇し、1オンス4.500〜5.000ドルまたはそれ以上に達するシナリオも指摘されています。特に金融機関の強気予想では4900ドル台まで上昇する展望も示されています。


B.横ばいシナリオ(レンジ想定)|大きな動きが出にくい場合

強気ほど上昇せず、大きな調整も起きにくい中間シナリオです。


  • 価格の値固めや調整が進行

    2025年の大幅上昇後、投資家の利食い売りや慎重な資金配分で、4.000〜4.500ドルレンジで推移するとみられます。


  • 金融政策や経済指標が想定内で推移

    インフレや利下げ期待が既に織り込まれている場合は、極端な動きに乏しくなる可能性があります。


  • ETFや現物需要が安定的に推移

    投資家が積極的に売買を仕掛けない状況では、価格変動は限定的になります。


このシナリオは、「緩やかな堅調維持」や「方向感乏しい時間帯」を想定したもので、主要予測では最もあり得る展開として位置付けられています。


C.下落シナリオ(調整局面)|リスク・逆張り要因

市場センチメントが悪化する場合、金価格が調整局面に入る可能性もあります。


  • 経済成長が加速

    成長が急回復し、株式などリスク資産へのシフトが進むと、金の魅力が相対的に低下することがあります。


  • ドル高・利上げ観測の再燃

    為替や金利環境が変わり、ドルが強含むと金価格への圧力が強まる可能性があります。


  • 需給面の一時的な変化

    高値警戒感や投資ポジションの巻き戻しによる調整が起きることもあり得ます。


下落シナリオでは3.500〜4.000ドル程度に一時的に押し戻される可能性が指摘され、一部専門家は慎重な見方も示しています。


期間別の金相場見通し(最新予測)

A.短期(数週間〜数か月)見通し

  • 直近は高値圏で推移

    2026年初頭の金価格は、2025年の大幅上昇を背景に4.300ドル台前後で推移しています。強気のモメンタム継続が示唆されており、投機的な買いが入る短期トレンドになっています。


  • ファンダメンタルズの影響

    FRBの政策金利の方向性や米ドルの動き、地政学リスクが強まる展開では短期的に価格が一段と上昇する可能性があります。特に利下げ期待やドル弱含みが続く場合、短期でも上値追い圧力が強まると予想されています。


  • リスク点

    投機的な調整やポジション調整により、短期的に反落・レンジ形成する可能性もあり、ボラティリティが高くなるリスクが残されています(特に重要経済指標発表時など)。


B.中期(半年〜1年)見通し

  • 主要金融機関の予測レンジ

    2026年末に向けて、Goldman Sachsは約4.900ドルまで上昇と予想しており、長期債券や金利低下の期待が中期見通しを強気にしています。


    Deutsche Bankも3.950〜4.950ドルのレンジで推移する可能性を示しています。


  • 強気継続理由

    中央銀行の金購入やETFへの資金流入などの構造的な需要強化要因が続く一方、リスクオフ材料が中期で重視される見込みです。これが金の需要を下支えすると多くのアナリストが予想しています。


  • 変動要因

    中期ではFRBの金融政策、米ドルの方向性、世界経済の不透明感が見通しに大きく影響するため、レンジ相場となる可能性も残されています。


C.長期(数年単位)見通し

  • 更に強気の長期展望

    JPモルガンは、2026年を越えて金価格が5.000ドル台に達する可能性を示し、長期で6.000ドル台の視野もあるという予測を出しています。


  • 構造的な需要要因

    中央銀行の金準備への関心が高まる動きや、リスクヘッジとしての資産配分の拡大が、長期的な価格上昇のファンダメンタルズとして指摘されています。


  • 潜在的リスク

    世界経済の回復や高金利維持が長期的に続く場合、金の魅力が毀損される可能性もあるため、上下どちらのシナリオも想定して備えることが重要です。


金投資の戦略と注意点

1.現物金・金ETF・金CFDの違い

金投資には主に現物金・金ETF・金CFDの3つの手段があり、それぞれ特徴と向いている投資スタイルが異なります。


現物金は、金地金や金貨を実際に保有する投資方法です。インフレや金融不安への耐性が高く、「資産の最終的な保険」としての役割が強い一方、保管コストや売買の手間がかかる点には注意が必要です。長期保有を前提とした安定志向の投資家に向いています。


金ETFは、金価格に連動する上場投資信託で、株式と同じように売買できます。現物金より流動性が高く、少額から投資できるのがメリットです。一方で、信託報酬などのコストがかかる点や、現物そのものを保有しているわけではない点を理解しておく必要があります。


金CFDは、差金決済取引で金価格の値動きを取引する方法です。レバレッジを使えるため、短期売買や下落局面での売り取引も可能ですが、その分価格変動リスクが高くなります。経験者向けの手法と言えるでしょう。


2.分散投資における金の役割

金は株式や債券、為替と異なる値動きをしやすく、分散投資において重要な役割を果たします。


特に、株式市場が不安定な局面や地政学リスクが高まった際には、金が上昇する傾向があり、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる効果が期待できます。そのため、多くの専門家は「資産の5〜15%程度を金に配分する」戦略を推奨しています。


また、インフレ局面では現金の実質価値が下がりやすい一方、金は価値保存手段として評価されやすく、インフレ対策資産としても活用されます。


3.ボラティリティとリスク管理の考え方

金は安全資産とされる一方で、短期的にはボラティリティ(価格変動)が大きくなる局面もあります。特に、金融政策の転換点や米雇用統計・FOMC前後では、急激な値動きが発生することがあります。


そのため、金投資では以下のリスク管理が重要です。

  • 一度に大きな金額を投入せず、分割購入(時間分散)を行う

  • レバレッジ取引では損切りラインを明確に設定する

  • 短期取引と長期保有を明確に分けて考える

特に金CFDや短期売買では、相場観が外れた場合の損失拡大を防ぐため、損切り注文の徹底が不可欠です。


他資産との比較で見る金の魅力

1.株式・債券・暗号資産との比較

金の特徴を理解するためには、他の代表的な投資対象と比較することが有効です。


株式は企業の成長によるリターンが期待できる一方、景気後退や金融危機時には大きく下落するリスクがあります。特に金利上昇局面では株価が調整しやすく、ボラティリティも高まりがちです。これに対し、金は企業業績に左右されず、株式市場が不安定な局面で価値を維持・上昇しやすいという特性があります。


債券は安定収益が期待できる資産ですが、インフレ局面では実質的な価値が目減りしやすいという弱点があります。金利が上昇すると債券価格は下落するため、インフレと金利上昇が同時に進む局面では不利になりがちです。一方、金はインフレによる通貨価値の低下に対するヘッジ手段として機能しやすい点が評価されています。


暗号資産(仮想通貨)は高い成長性が期待される一方、価格変動が非常に大きく、規制や市場心理の影響を受けやすい資産です。短期間で大きな利益を狙える反面、急落リスクも高く、安定資産とは言えません。その点、金は数千年にわたり価値が認められてきた実績があり、信頼性と安定性という点で暗号資産とは性格が大きく異なります。


2.不確実性の高い局面での金の強み

金の最大の魅力は、先行き不透明な局面で真価を発揮する点にあります。


金融危機、地政学リスク、インフレ加速、通貨価値の下落など、不確実性が高まる場面では、投資家はリスク資産から資金を引き揚げ、価値保存性の高い資産へと資金を移す傾向があります。その際、金は「最後の安全資産」として選ばれやすく、市場全体が動揺する中でも相対的に堅調な値動きを示すことが多いとされています。


また、金はどの国の通貨にも依存しない資産であり、金融システムそのものへの信認が揺らぐ局面でも価値を保ちやすい点が特徴です。中央銀行が外貨準備として金を保有し続けていることも、こうした信頼性を裏付けています。


3.他資産比較から見た金の位置づけ

  • 株式:成長を狙う「攻めの資産」

  • 債券:安定収益を狙う「守りの資産」

  • 暗号資産:高リスク・高リターンの「投機的資産」

  • 金:不確実性に備える「保険的資産」

金は高い利回りを狙う資産ではありませんが、ポートフォリオ全体のリスクを抑える役割として非常に重要な位置づけにあります。


よくある質問(FAQ)

Q1.金相場は今後も上がり続ける?

金相場が今後も上がり続けるかどうかは、米金利の動向やインフレ率、地政学リスクなど複数の要因に左右されます。中長期的には、中央銀行による金購入や不透明な世界情勢を背景に、金価格を下支えする構造は続くと見られています。一方で、短期的には利食い売りや金融政策の変化によって調整局面に入る可能性もあるため、「一直線に上昇し続ける」とは限らず、上昇と調整を繰り返しながら推移する展開が想定されます。


Q2.金はインフレ対策として有効?

金はインフレ対策として有効な資産の一つとされています。インフレが進行すると通貨の購買力が低下しますが、金は実物資産であり、長期的に価値を維持しやすい特性があります。特に実質金利が低下する局面では、利息を生まない金の相対的な魅力が高まりやすく、インフレヘッジとして選ばれる傾向があります。ただし、短期的には金価格がインフレ率と必ずしも一致して動くわけではない点には注意が必要です。


Q3.今は金を買うタイミング?

現在の金価格は高値圏にあるため、「今すぐ全額を投資する」よりも、慎重な姿勢が求められます。中長期で金を保有する目的であれば、価格水準にかかわらず時間分散による段階的な購入が有効な戦略と考えられます。一方、短期売買を目的とする場合は、金融政策や経済指標、為替動向を見極めながらタイミングを判断する必要があります。投資目的と保有期間を明確にしたうえで判断することが重要です。


結論

金相場見通しは、米金利動向やインフレ、地政学リスクなどを背景に、引き続き高い注目を集めています。短期的には価格調整の可能性があるものの、中長期では中央銀行の金購入や不透明な世界情勢が下支え要因となり、底堅い推移が期待されます。


投資判断においては、金を短期の値幅取りで考えるのか、長期的な資産防衛として保有するのかを明確にすることが重要です。株式や債券と組み合わせた分散投資の一部として活用することで、ポートフォリオ全体の安定性向上が期待できます。


今後は、FRBの金融政策、米インフレ指標、為替(ドル円)の動き、地政学リスクに関するニュースなどが金相場見通しを左右する重要なポイントとなります。これらの指標やイベントを定期的に確認しながら、冷静な判断を心がけることが大切です。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。