公開日: 2026-01-02
IHIの株価は近年、大きな値動きを見せており、個人投資家・機関投資家の双方から注目を集めています。背景には、防衛関連需要の拡大や航空エンジン事業の回復期待など、事業環境の変化があります。
特に、防衛予算の増加や航空機市場の正常化は、IHIの中長期的な業績成長につながる可能性があり、「IHI株価の今後」を見極めたいと考える投資家が増えています。一方で、大型案件の採算や市況変動といったリスク要因も無視できません。
本記事では、IHIの業績動向や成長ドライバー、株価に影響を与えるリスクを整理し、 IHI株価の今後をわかりやすく解説していきます。

IHIとはどんな企業か
IHIは、日本を代表する重工メーカーの一つで、航空・防衛、エネルギー、社会インフラなど幅広い分野で事業を展開しています。高度な技術力と長年の実績を強みとし、国や大手企業向けの大型プロジェクトを数多く手がけてきました。
主力事業の一つが、航空・宇宙・防衛分野です。航空機エンジンの製造や防衛関連装備の開発に携わっており、国防需要の影響を受けやすい事業構造となっています。近年は防衛予算の増加を背景に、注目度が高まっています。
また、エネルギー・プラント分野では、発電設備や産業向けプラントの建設・保守を行っています。加えて、橋梁やトンネル、都市インフラなどの社会インフラ分野にも強みがあり、安定した需要が見込まれる点が特徴です。
このようにIHIは、日本の産業や国の基盤を支える重工メーカーとしての立ち位置を持ち、景気や政策の影響を受けながらも中長期的な成長が期待される企業といえます。
IHIの業績動向と株価の関係(最新情報ベース)
1.直近決算のポイント
IHIは2025年度第2四半期(※2025年4~9月)の連結決算で、受注高が過去最高を記録しました。中間期の売上収益自体は前年同期比でやや減少したものの、営業利益・最終利益は増加し、利益面では好印象の結果となっています。通期業績予想は売上高を下方修正したものの、営業利益と純利益は上方修正され、財務体質の改善が期待されています。株価はこの決算を受けて大幅上昇した場面もあります。
2.売上・利益のトレンド
直近の業績では、売上収益が前年同期比で減少傾向が見られる一方、利益は改善傾向にあります。特に民間向け航空エンジン事業の好調や防衛関連の採算改善が寄与し、税引前利益や純利益が前年を上回っています。利益率の改善は株価にとってポジティブな材料です。
また、過去通期ベースでは売上・利益とも増収増益の傾向が続いており、増収率は前年に23%程度、営業利益は大幅な伸びを見せています。ROE(自己資本利益率)が上昇している点も業績評価材料となります。
3.受注残高の状況と今後の業績への影響
受注高は継続的に堅調で、特に原子力や防衛関連、環境・エネルギー分野での需要拡大が寄与し、2025年度は受注高を増額修正する見通しも出ています。これは今後の売上・利益の下支えにつながる可能性が高いポイントです。
また、第1四半期でも受注高が前年同期比で増加しており、受注ベースの強さが業績改善の期待につながっています。
4.株価が反応しやすい業績指標
株価が特に反応しやすいのは以下のような指標です:
受注高・受注残高の増減
→ 受注が増加傾向にあると、中長期の売上成長につながる期待で株価上昇につながる傾向。
利益面(営業利益・純利益)
→ 利益が予想以上に改善すると株価が大きく動くことがあり、直近決算でも株価が大きく上昇したケースがありました。
業績予想の修正
→ 通期予想の上方修正(特に利益面)や下方修正のニュースは、株価に敏感に反映される傾向があります。
IHI株価の今後を左右する成長要因

1. 防衛関連需要の拡大
日本政府は防衛費を継続的に増額しており、防衛装備品や航空機関連の受注が重工メーカー全体の業績を押し上げています。その恩恵はIHIにも及んでおり、防衛向け航空エンジン・装備品の売上・受注が拡大しています。受注残高が積み上がることで、中長期的な収益基盤の強化につながる見通しです。
さらに、国際共同による次世代戦闘機「GCAP」エンジン開発の拡大など、防衛プロジェクトへの関与が進んでおり、これが株価の成長期待の一因となっています。
2. 航空エンジン事業の回復・成長性
コロナ後の航空需要回復に伴い、民間航空機の稼働が増加。IHIの航空エンジン関連事業も恩恵を受けており、エンジン部品の生産や整備・修理(MRO)事業が今後の収益ドライバーとして期待されています。スペアパーツ市場が拡大しており、これが利益率向上につながる可能性があります。
またIHIの航空宇宙部門は今後売上のさらなる拡大を目指しているとの見方もあり、2030年に向けた成長余地が大きいと評価されています。
3. 脱炭素・次世代エネルギー分野への取り組み
IHIは環境・エネルギー分野でも技術開発を進めています。例えば、アンモニア燃焼設備や電力・カーボンニュートラル関連の技術実証に成功したというニュースがあり、これを契機に新しい事業機会の創出が期待されています。
また航空機の電動化・ハイブリッド推進システム開発についても研究が進められており、将来的な脱炭素対応エンジン技術の実装が企業価値向上につながる可能性があります。
4. 為替(円安・円高)の影響
IHIは海外売上や輸出関連収益もあるため、為替影響を受けやすい企業です。過去の株価上昇時には円安が追い風となり、海外収益の円換算額が増えた事例があり、株価にもプラスに働いた局面があります。
ただし短期的な株価には急な円高・円安の変動が影響するリスクもあり、為替動向のチェックが投資判断の際に重要です。
IHI株価の今後におけるリスク要因
1.原材料価格・コスト上昇リスク
IHIの事業は航空機部品、プラント、社会インフラなど多岐にわたるため、鋼材や特殊合金など原材料価格の変動が利益率に影響を与えます。世界的な貿易環境の不確実性や供給網の変動は、原材料コストの上昇圧力として株価にマイナス要因となる可能性があります(※一般的な重工業のリスクとして知られる)。※財務報告でも「市場価格の変動リスク」が明記されています。
2.大型プロジェクトの採算悪化リスク
IHIは大規模プラントやインフラ建設、防衛プロジェクトなど長期・高コストの案件を扱うため、採算性が重要な要素です。受注後に原価が想定以上に膨らんだり、工期遅延が発生すると利益率が悪化し、決算への悪影響として株価下落のリスク要因となります。この種のプロジェクト・リスクは業界全体で共通する課題です。
3.為替変動リスク
IHIは海外取引(輸出・海外子会社売上など)があり、為替変動の影響を受けやすい企業です。報告書では「為替リスク」を主要な財務リスクとして挙げており、急激な円高は海外売上高の円換算額を減らし利益を圧迫する可能性があります。逆に円安は収益面でプラスに働くケースもありますが、短期的な為替変動は株価の変動要因になるとされています。
4.市場全体の調整局面の影響
IHI株は重工・機械業界セクターの代表銘柄であるため、景気後退や世界的な株式市場の調整局面では、業績が堅調でも株価が売られやすい傾向があります。特に金利上昇や世界経済の先行き不透明感が高まる局面では、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株価が下押しされる可能性があります(これは企業固有のリスクではなく市場全体の影響です)。
テクニカル面から見たIHI株価の今後
1.中長期トレンドの考え方
IHIの株価は、直近1年で大きく値上がりした一方、テクニカル指標では方向感がやや分かれています。長期(200日移動平均線)や中期移動平均線(50日/100日)は株価を下から支える形(買いシグナル)で推移しているとの分析もありますが、一方で短期移動平均線が株価を上回る「弱気シグナル」となる局面も見られます。移動平均線の並び(短期 < 中期 < 長期)はトレンド継続の方向性を示すことがありますが、一時的な調整の可能性もある状況です。
2.支持線・抵抗線の見方
株価が反発しやすい水準(支持線)としては
約¥2.650〜¥2.750付近(これまで何度も反発が見られたゾーン)
を意識する見方があります。一方で株価が上昇する際の主要な
上値抵抗線は約¥2.950〜¥3.050付近
がポイントとして挙げられています。これらの水準をどちらに抜けるかで短期トレンドの方向性が変わる可能性があります。
2.出来高と株価の関係
出来高は株価の勢いを見る上で重要です。株価が上昇している時に出来高が伴えば上値追いの信頼性が高まり、逆に下落局面で出来高が増えると売り圧力が強いと判断されます。IHI株は株価がレンジ圏で推移する期間に出来高が減少し、ブレイク時に出来高が増えるパターンが見られるため、次のトレンド発生局面では出来高の増加が目安になります。
3.短期・中期・長期での見通しの違い
短期(数日〜数週間)
RSIやMACDなどでは、中立〜やや弱気のシグナルが出ている分析もあります。短期では株価の上下動が激しいため、トレンドの反転を慎重に見極める必要があります。
中期(数週間〜数ヶ月)
移動平均線の中期線が株価を支える形になっており、戻り売り・押し目買いどちらの示唆もありえます。中期では株価のレンジブレイク(上値方向または下値方向)が見られるかが焦点になります。
長期(数ヶ月〜1年以上)
200日線などから見ると、株価は依然として長期トレンドの上昇局面に位置する可能性があり、大型テーマ(防衛・航空などの成長期待)を背景に上昇余地が評価されています。ただし、長期トレンドの維持には業績やマクロ環境の影響も重要です。
投資家タイプ別の見方(IHI株価の今後)
1.短期投資家:値動きのポイント
短期投資家は、日々〜数週間単位で株価の値動きを取引するスタイルです。IHIの場合、株価はテクニカル的にレンジ内の動きが続いており、短期移動平均線・MACDなどの指標で売りシグナルが出ている局面もあります。そのため、短期ではサポート・レジスタンスのラインや出来高変化に注目し、動きが出た方向についていく戦略が有効です。テクニカルでは売り・買いの分岐点を見極める必要があります。
また、直近の値幅では日々の変動が2%前後と比較的大きいため、短期売買ではボラティリティ(値幅)を利用した利益獲得戦略が有効となりえます。
2.中長期投資家:成長ストーリーの評価
中長期投資家は数カ月〜数年の視点で業績や成長テーマを評価します。IHIは防衛関連・航空エンジンなどの高付加価値事業が成長期待材料であり、業績改善や受注増に期待されています。また、アナリスト予想では12カ月先の目標株価も一定の上昇余地があるとされています。
さらに、株価は過去1年間で大きく上昇しており、長期リターンが高い傾向にあります。これらのテーマを重視する投資家は、業績推移や設備投資計画、防衛案件の受注動向を中長期の成長ストーリーとして評価するとよいでしょう。
3.配当・安定重視投資家:位置づけ
配当重視の投資家は、配当利回りや配当方針を重視します。IHIは安定的な配当を基本方針としており、配当性向を一定水準で維持しながら、企業成長に応じて増配を目指すとしています。
Yahoo!ファイナンスの情報では、今期の予想配当利回りはおよそ0.7%前後という水準であり、特別な高配当株という位置付けではないものの、株主還元の一環としての定期的な配当が期待できます。
このため、配当・安定重視投資家は、配当利回りだけでなく 長期的な業績成長と配当の継続性 をセットで評価することが重要です。配当単体の利回りは高くありませんが、企業価値の向上が進めば将来的な増配余地がある点は注目できます。
よくある質問(FAQ)
Q1.IHI株は長期保有に向いている?
IHI株が長期保有に向いているかどうかは、主に事業の構造や成長テーマをどう評価するかで変わります。
成長テーマがある長期投資向きの面
IHIは防衛・航空・宇宙関連事業を持ち、スペアパーツや航空エンジン関連の売上増が長期売上成長のドライバーになるとの見方があります。また、防衛費増加やグローバル航空需要の回復が続く限り、安定収益につながる可能性も指摘されています。こうしたテーマを評価する中長期投資家には成長ポテンシャルがあると言えるでしょう。
注意点としての株価評価
一方で、直近のテクニカル分析では買いシグナルが弱いとの指摘もあり、短期的に上値が重い局面もあります。短期的な株価のトレンドだけを見ると慎重な姿勢が必要とされます。
Q2.IHIの防衛関連株としての位置づけは?
IHIは防衛関連事業を主要な収益部門の一つとしており、国内の防衛予算増加や国際的な再武装の潮流の中で防衛関連株としての注目度が高まっています。
防衛関連の需要拡大背景
国内外で防衛予算が増えていることから、日本の防衛関連株全体が注目されています。IHIも防衛装備品や航空機エンジン関連の受注機会が増えている点が評価されています。防衛関連株は世界的にも株価パフォーマンスが堅調な事例もあります。
航空・宇宙・防衛セグメントの重要性
直近では航空・宇宙・防衛分野が利益を牽引しているとの見方もあり、この分野が株価の成長テーマとして投資家にとって分かりやすいプレミアム材料となっています。
Q3.株価が大きく動くタイミングは?
株価が大きく動きやすいタイミングにはいくつかの典型的な要因があります。
決算発表時
決算発表は株価が大きく動きやすいタイミングです。業績が市場予想を上回ると買い材料になりますし、予想未達だと売り材料になります。
政策・受注ニュース
防衛関連予算の増額や大型受注・国際契約のニュースは、テーマ株として人気が高いIHIの株価を大きく動かすことがあります。例えば防衛関連物色によって株価が上昇した例もあります。
マクロ経済・市場センチメントの変化
市場全体のリスクオフ/リスクオンの動きにより、景気敏感株である重工株全体が値を動かす局面があります。為替や金利・世界経済指標の発表も短期的な値動き要因となります。
テクニカル・重要抵抗線のタッチ
テクニカル面では、株価が重要な支持線・抵抗線を突破した際に大きな値動きが発生しやすいです。これはトレーダーのポジション変化の影響を受けます。
IHI株価の今後まとめ
IHI株価の今後を見るうえでは、成長要因とリスク要因の両面を整理して捉えることが重要です。
上昇要因としては、防衛関連需要の拡大や航空エンジン事業の回復、受注残高の積み上がりなどが挙げられます。これらは中長期的に業績を押し上げ、株価の下支えや上昇につながる可能性があります。
一方で、原材料価格の上昇や大型プロジェクトの採算悪化、為替変動、市場全体の調整局面といった下落リスクも存在します。特に短期的には、業績とは直接関係のない市場要因で株価が動く点には注意が必要です。
今後注目すべきポイントとしては、決算発表の内容、受注・防衛関連ニュース、航空需要の回復状況、為替動向などが挙げられます。これらの材料は株価が大きく動くきっかけになりやすいため、継続的なチェックが重要です。
投資判断を行う際は、短期の値動きだけで判断せず、中長期の成長ストーリーとリスクを理解したうえで、自身の投資スタイルに合った判断をすることが求められます。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。