公開日: 2026-02-13
ロケット関連株とは、ロケット本体の製造企業だけでなく、打ち上げサービス会社、エンジンや電子部品などの部品メーカー、人工衛星関連企業など、宇宙輸送や宇宙インフラに関わる企業の株式を指します。
近年注目されている理由は、世界的に宇宙ビジネス市場が急拡大していることに加え、各国で安全保障目的の宇宙開発投資が増えているためです。さらに、政府主導だけでなく民間企業の参入が急増し、打ち上げコストの低下や商業宇宙サービスの拡大が期待されており、成長テーマ株として投資家の関心が高まっています。
ロケット産業の市場規模と成長性

■世界宇宙市場の予測
世界の宇宙産業市場は長期的な拡大が見込まれており、衛星通信・地球観測・宇宙輸送サービスの需要増加を背景に、今後10~20年で数倍規模に成長すると予測されています。特に低軌道衛星コンステレーションや宇宙データビジネスの拡大が、ロケット打ち上げ需要を直接押し上げる要因となっています。
■政府予算の増加(宇宙軍・月面計画など)
各国政府は安全保障・科学開発・技術覇権の観点から宇宙予算を拡大しています。たとえば
NASA:月面探査計画など大型プロジェクトを推進
アメリカ宇宙軍:軍事衛星打ち上げ需要増
JAXA:次世代ロケット開発投資
欧州宇宙機関:独自打上能力強化
政府案件は契約額が大きく長期化しやすいため、関連企業の収益安定化につながる点が投資上の魅力です。
■民間宇宙ビジネスの拡大
近年は政府主導から民間主導へと構造が変化しています。代表例として
SpaceX:再利用ロケットで打上コストを大幅削減
Blue Origin:商業宇宙輸送と宇宙旅行事業
Rocket Lab:小型衛星向け打上サービス
民間参入により競争が激化し、打上頻度の増加・価格低下・新サービス創出が進み、市場全体の成長速度を加速させています。
主なロケット関連株(具体銘柄とポイント)
A.日本株–宇宙・ロケット関連

1.三菱重工業
日本の重工業大手で、宇宙ロケット(H3ロケットなど)の主要な打ち上げ機体・構造部分を担う。
宇宙関連売上はその他産業と比べると割合は大きくないが、政府案件やJAXA(宇宙航空研究開発機構)向け事業が安定した収益源。
2.IHI
エンジン・推進系部品の製造で宇宙プロジェクトに関与。
ロケット用エンジンや燃焼制御装置など先端部品の提供会社として位置付けられる。
3.川崎重工業
航空宇宙部門で宇宙機・関連部品を手がける。
エンジニアリング力を生かし国内外の宇宙プロジェクトに関与。
4.セック(証券コード:3741)
高度なリアルタイム制御技術で、固体燃料ロケットの燃焼試験システムや宇宙機搭載制御システムを提供。
売上に宇宙関連が一定比率を占めるなど、テーマとして注目度がある日本企業の例。
B.米国株–打ち上げ・宇宙インフラ中心
1.Lockheed Martin
米軍・NASA向け大型宇宙・ロケット関連事業を展開。
多数の衛星・宇宙探査ミッション、宇宙船・推進系プロジェクトに関わる。比較的安定感のある大手株。
2.Boeing
ロケット部門は主に政府・NASA向けの宇宙機体・宇宙機システムを担当。
United Launch Alliance(ULA)などの打ち上げジョイントベンチャーにも関与し、宇宙インフラ領域で長期的な収益基盤を持つ。
3.Rocket Lab
小型衛星打ち上げサービスで世界的に打上回数No.1級のロケット会社。
中型ロケット「Neutron」など次世代機の開発にも注目が集まっており、株価もテーマ投資の中心銘柄として取引されている。
4.Firefly Aerospace(Nasdaq上場株FLY)
テキサス拠点の宇宙ロケット企業で、民間・政府向け打ち上げサービスを展開。
近年IPOを果たし、月着陸機開発など高リスク・高リターンテーマ株として投資家関心が高まっている。
ロケット関連株が上昇する要因
1.宇宙ビジネス市場拡大
宇宙産業は近年、政府主導から民間主導へと構造転換が進み、商業市場として急速に拡大しています。特に小型衛星の大量打ち上げ、宇宙観測データ販売、宇宙物流など新しいビジネス領域が次々に誕生しています。
代表例として、SpaceXは再利用ロケットによって打ち上げコストを大幅に下げ、打ち上げ回数を増やすことで市場拡大を牽引しています。打ち上げ回数の増加はそのまま関連企業の受注増加につながるため、ロケット関連株の評価上昇要因になります。
2.国家安全保障強化
宇宙は通信・監視・測位など軍事インフラの中核を担う分野となっており、各国政府は宇宙防衛予算を増額しています。たとえばアメリカ宇宙軍の設立は象徴的な動きで、軍事衛星や偵察システムの打ち上げ需要が継続的に発生します。
政府契約は規模が大きく期間も長いため、宇宙関連企業にとって安定収益源となり、株価の下支え要因になります。
3.衛星通信需要の増加
高速通信・IoT・リモートセンシングの普及により、衛星ネットワークの需要が急増しています。特に低軌道通信網は次世代通信インフラとして期待されており、Starlinkのような衛星群プロジェクトが拡大しています。
衛星数が増えるほど打ち上げ需要も増えるため、ロケット企業の売上と稼働率が同時に伸びる構造になっています。
4.AI・データ通信との融合
宇宙産業はAIとの統合によって新たな価値を生み出しています。人工衛星から得られる膨大な地球観測データは、AI解析によって
災害予測
農業分析
都市開発評価
など多分野で利用され始めています。
AI活用が進むほど衛星数とデータ量が増え、それに伴い打ち上げロケット需要も増加するため、宇宙関連企業の長期成長ストーリーが強化されます。
リスク要因
ロケット関連株は成長期待の高いテーマ株ですが、同時に特有のリスクも多く存在します。投資判断では、以下の要因を理解しておくことが重要です。
■打上失敗リスク
ロケット産業最大のリスクは打ち上げ失敗です。ロケットは極めて高度な精密機械であり、わずかな不具合でもミッション失敗につながります。
過去にはRocket LabやSpaceXなどでも試験段階での事故や失敗があり、そのたびに株価や企業評価が大きく変動しました。
打ち上げ失敗は
損害賠償
信頼低下
受注減少
につながるため、短期株価の急落要因になります。
■政府予算依存
宇宙産業は依然として政府案件の比率が高い分野です。特に大型ロケット開発・深宇宙探査・軍事衛星は国家予算がなければ成立しません。
たとえばNASAやJAXAの予算削減や政策変更が起きた場合、関連企業の受注が急減する可能性があります。
つまり政治・財政状況の影響を受けやすいセクターです。
■技術開発コストの重さ
ロケット開発には長期研究と巨額投資が必要です。
新型ロケットの開発では数千億円規模の資金が必要になることもあり、開発が遅延すると資金負担が企業業績を圧迫します。
特に中小宇宙企業は資金調達環境が悪化すると
開発停止
増資による株式希薄化
などが起きやすく、株価リスクが高まります。
■民間競争激化
近年は宇宙産業の参入障壁が低下し、新興企業が急増しています。再利用ロケットの普及や小型ロケット技術の進歩により、競争は急速に激化しています。
代表例として、Blue Originなどの新規勢力が市場シェア争いに参入しており、打ち上げ価格の低下圧力が強まっています。
価格競争が激しくなると
利益率低下
受注単価下落
といった問題が起こり、企業の収益性に影響します。
投資戦略別の注目銘柄
投資スタイルによって、注目すべきロケット関連株は大きく異なります。ここでは短期・中期・長期の3タイプに分け、それぞれの特徴と代表銘柄を解説します。
1.短期向き:イベント連動型
特徴
打ち上げ成功・失敗ニュースで株価が急変
材料が出た直後に資金流入しやすい
ボラティリティが非常に高い
代表銘柄
Rocket Lab
→打ち上げ成功ニュースで短期急騰しやすい典型的テーマ株
Virgin Galactic
→宇宙飛行イベント・試験成功が株価材料になりやすい
向いている投資家
短期トレード・イベント投資・ニュース分析が得意な人
2.中期向き:契約受注型(業績成長重視)
特徴
政府・軍・宇宙機関からの受注が株価材料
数ヶ月〜数年単位で上昇トレンド形成
決算と契約ニュースが重要
代表銘柄
ロッキード・マーティン
→宇宙・防衛契約の増減が株価に直結
ノースロップ・グラマン
→推進システム・宇宙防衛分野の大型契約が多い
三菱重工業
→日本政府案件・宇宙開発計画の影響を受けやすい
向いている投資家
テーマ株の成長を取りに行く中期投資家
3.長期向き:宇宙インフラ型(構造成長重視)
特徴
宇宙通信・衛星データ・インフラ企業
ロケット企業より業績安定性が高い
宇宙産業全体の拡大恩恵を受ける
代表銘柄
Iridium Communications
→衛星通信ネットワーク運用
Maxar Technologies
→地球観測衛星・宇宙インフラ提供
ボーイング
→宇宙機・ロケット・衛星すべてに関与
向いている投資家
長期保有・分散投資・安定成長重視の投資家
よくある質問
Q1.ロケット関連株は今からでも遅くない?
ロケット関連株への投資は長期目線で考えれば決して遅くはなく、宇宙産業はまだ成長初期段階にあるため、衛星需要や宇宙通信拡大とともに今後も市場拡大の恩恵を受け続ける可能性があります。
Q2.宇宙ビジネス市場はどれくらい伸びる?
宇宙ビジネス市場は今後10~20年で大幅拡大が予想されており、特に打ち上げサービスを担う企業であるRocket Labのような企業は、衛星数増加に比例して需要が伸びやすい構造にあります。
Q3.日本株と米国株どちらが有望?
安定性を重視するなら政府案件比率の高い三菱重工業のような日本株が適し、成長性を重視するなら宇宙防衛案件や民間宇宙事業を多く持つロッキード・マーティンなどの米国株が有望とされ、目的に応じた使い分けが重要です。
結論
ロケット産業は政府主導の大型宇宙計画による安定需要と、民間企業の参入拡大による成長需要の両方を持つため、他の産業と比べても持続的な拡大が期待される分野です。こうした構造から、ロケット関連株は短期的な値動きは大きいものの、長期投資テーマとして世界的に注目度が高い成長セクターといえます。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。