日銀利上げ観測が強まる理由とは?政策金利1.25%への引き上げと円相場の行方
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日銀利上げ観測が強まる理由とは?政策金利1.25%への引き上げと円相場の行方

著者: 高橋健司

公開日: 2026-08-24   
更新日: 2026-08-24

日銀の追加利上げ観測が、8月24日時点で一段と強まっています。日銀は7月会合で政策金利を1.0%程度に据え置きましたが、8月10日に公表された「主な意見」では、複数の政策委員から利上げペースを速めるべきだとの意見が示されました。これを受け、市場では9月会合での追加利上げを意識する動きが強まっています。


特に注目されるのが、9月17~18日の金融政策決定会合です。日銀の公式日程でもこの日程が予定されており、関係者の話として、早ければ9月に政策金利を1.25%へ0.25%引き上げる可能性が報じられています。さらに、今回の利上げだけでなく、その後の利上げペースを従来の「半年に1回程度」から速める可能性も意識されています。

日銀利上げ観測が強まる理由とは?政策金利1.25%への引き上げと円相場の行方

市場の織り込みも急速に変化しています。金利スワップ市場では、9月までに利上げが実施される確率が8月21日時点で約82%まで上昇し、7月会合直前の約23%から大きく上昇しました。つまり、現在の市場では「9月に利上げするか」よりも、利上げ後に日銀がどの程度のペースで追加利上げを進めるのかが重要な焦点になりつつあります。


背景には、7月のコアCPIが前年比1.8%、生鮮食品・エネルギーを除く基調的な物価上昇率が1.9%となったこともあります。物価上昇圧力が再び強まるなか、円安による輸入物価への波及も続いており、日銀が追加利上げを検討しやすい環境となっています。


今後は、植田総裁や日銀関係者の発言、国内物価指標、ドル円の160円水準、長期金利の動向を確認しながら、9月利上げの確度とその後の利上げペースを見極める必要があります。


なぜ日銀利上げ観測が強まっているのか

① インフレ圧力が再び強まっている

7月の全国コアCPIは前年同月比1.8%上昇となり、6月の1.6%から加速しました。生鮮食品とエネルギーを除いたCPIも1.9%上昇しており、基調的な物価上昇圧力が弱まりきっていないことを示しています。食品価格の上昇に加え、エネルギー価格も持ち直しており、日銀の2%物価目標を意識した金融政策が続きそうです。


さらに、7月の企業物価も前年同月比7.2%上昇と高い伸びを示しており、企業のコスト増加が今後の消費者価格へ転嫁される可能性もあります。こうした物価動向は、日銀が追加利上げを検討する材料になりやすいでしょう。


② 円安による輸入インフレへの警戒

ドル円は8月24日午前の東京市場で158円71銭~159円00銭程度で推移しており、依然として円安水準にあります。


円安が長期化すると、エネルギーや原材料など輸入品の価格上昇を通じて国内物価を押し上げる可能性があります。7月のコアCPIが上昇した背景にもエネルギー価格などの影響があり、円安→輸入コスト上昇→物価上昇という経路への警戒が続いています。


そのため、日銀にとっては物価安定だけでなく、過度な円安を抑制する観点からも金融政策の正常化が意識されやすい局面です。


③ 日銀内でも追加利上げを意識した動き

市場では、日銀が9月17~18日の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切る可能性が強く意識されています。7月会合では政策金利を据え置きましたが、その後のインフレ指標や円安を受け、早期の追加利上げ観測が高まっています。日銀の公表日程でも9月17~18日に次回会合が予定されています。


また、今週は8月27日に氷見野副総裁の発言が予定されており、追加利上げに対する日銀の姿勢を見極める重要な材料となります。市場では9月利上げそのものだけでなく、利上げ後も追加的な金融引き締めを続けるのかという点に関心が移りつつあります。


10年国債利回り「3%」が視野に

日本の長期金利は、日銀の追加利上げ観測やインフレへの警戒を背景に、歴史的な高水準まで上昇しています。8月18日には新発10年国債利回りが一時2.945%まで上昇し、1996年以来およそ30年ぶりの水準を更新しました。市場では「3%」が次の重要な節目として意識されています。


その後はやや低下し、8月24日の10年国債利回りは2.879%で推移しています。ただし、1年前と比べると約1.26ポイント高く、金利上昇基調そのものは依然として強い状態です。


① 日銀の利上げ観測が長期金利を押し上げ

市場では、9月の金融政策決定会合で日銀が追加利上げに踏み切るとの見方が強まっています。政策金利が引き上げられれば、短期金利だけでなく、将来の金融政策を織り込む長期国債利回りにも上昇圧力がかかります。


また、日銀が利上げを急がなければ、逆に物価上昇が長期化する「ビハインド・ザ・カーブ」への懸念が強まり、長期金利が上昇する可能性もあります。つまり現在のJGB市場では、「早期利上げ」と「利上げが遅れるリスク」の双方が金利上昇要因になっています。


② 財政負担の拡大も金利上昇要因

長期金利上昇を支えているのは金融政策だけではありません。日本の財政負担に対する市場の警戒も強まっています。財務省は2027年度予算で国債費の計算に使う想定金利を3.8%へ引き上げる方向で検討しており、現在の3.0%から大きく上昇する見込みです。


金利が上昇すれば、政府の利払い負担が増え、財政への懸念がさらに国債利回りを押し上げるという循環につながる可能性があります。


③ 「3%突破」で何が変わるのか

10年国債利回りが3%を明確に上回れば、日本の金利水準が新たな局面に入ったとの見方が強まりそうです。特に注目されるのは、住宅ローン、企業の資金調達、日本株、政府の利払い負担への影響です。


すでに8月の住宅ローン市場では、変動金利はおおむね据え置かれる一方、10年固定や35年固定の金利が引き上げられています。


したがって、今後は単純に「10年金利が3%に届くか」だけでなく、3%を超えた後も高金利が定着するのかが重要です。日銀の9月利上げ観測、国内インフレ、財政政策、国債需給を合わせて確認する必要があります。


日銀が9月に利上げした場合、円相場はどうなる?

9月17~18日の金融政策決定会合では、政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げるシナリオが市場で強く意識されています。7月のコアCPIが前年比1.8%、基調的な物価上昇率も1.9%となり、追加利上げを後押しする材料が増えています。


ただし、利上げ=すぐに円高とは限りません。8月24日午後3時時点のドル円は158円後半で推移しており、9月利上げ観測が強まっているにもかかわらず、円は依然として弱い状態です。市場では利上げそのものがある程度織り込まれているため、実際の決定時には材料出尽くしとなる可能性もあります。


今後の焦点は、植田総裁が追加利上げをどの程度示唆するかです。9月に0.25%利上げしても、その後のペースが緩やかなら円高効果は限定的になる可能性があります。一方、「今後も利上げを継続する」とのメッセージが強ければ、日米金利差の縮小期待から円買いが強まる余地があります。


一方、米国側では長期金利やFRBの金融政策もドル円を左右します。8月24日時点ではドルが主要通貨に対して弱含む一方、米国の長期金利は高止まりしており、日銀の利上げ観測による円高圧力と米金利によるドル高圧力が綱引きする展開が想定されます。


つまり、9月利上げのポイントは「利上げするか」だけではなく、「その後も利上げを続けるのか」です。 市場が追加利上げを強く織り込めば、発表後に円高が進まないケースもあるため、ドル円では158~160円台の攻防と日銀・FRB双方の政策スタンスをセットで見る必要があります。


日銀利上げ観測は日本株にどう影響する?

日銀の追加利上げ観測が強まるなか、日本株では金融株への追い風と、金利・円高に弱い銘柄への逆風が同時に意識されています。8月中旬には、長期金利の上昇を背景に銀行株にも買いが波及しました。


① 銀行株:利ざや改善への期待が追い風

政策金利が上昇すれば、銀行の貸出金利などにも上昇圧力がかかり、預貸金利ざやの改善が期待されます。実際、足元では日銀の早期利上げ観測と長期金利の上昇を背景に、銀行株への資金流入が目立っています。


ただし、利上げが急速に進めば景気や企業の借入需要を冷やす可能性もあるため、銀行株にとって必ずしも全面的なプラスとは限りません。


② 輸出株:円高になれば利益の重し

日銀が利上げし、日米金利差の縮小を通じて円高が進めば、自動車や電機など輸出企業には逆風となります。海外売上高が大きい企業ほど、ドルなど外貨建て収益を円換算した際の利益が目減りしやすいためです。


一方、8月24日時点では円安基調が完全に転換したとはいえず、輸出企業の業績への影響は為替動向次第です。野村證券も、円高トレンドへ転換した場合には、これまで優位だった輸出株から内需株へ物色が変化する可能性を指摘しています。


③ 不動産株:金利上昇による資金調達コストに注意

金利上昇は、不動産会社にとって借入コストの増加につながるため、基本的には株価の重しとなります。特に借入金が大きい企業では、金利上昇によって支払利息が増え、利益が圧迫される可能性があります。


また、住宅ローン金利の上昇によって住宅需要が弱まれば、不動産市場全体にも影響する可能性があります。そのため、日銀の利上げ観測が強まる局面では、不動産株は銀行株とは対照的に慎重に見る必要があります。


④ 高PER・グロース株:金利上昇による割高感に注意

金利が上昇すると、将来の利益を現在価値に換算する際の割引率も上昇するため、PERの高いグロース株にはバリュエーション面で逆風となりやすいです。


特にAI・半導体など成長期待を株価に大きく織り込んだ銘柄では、金利上昇をきっかけに利益確定売りが強まる可能性があります。一方、足元ではAI・半導体株の業績期待も強く、日銀利上げだけで一方向に下落するとは限らない点には注意が必要です。


⑤ 日経平均全体:「円高」と「金利上昇」の綱引き

日銀利上げは、日本株全体にとって単純な上昇・下落材料ではありません。銀行など金融株にはプラス、輸出株や高PER株にはマイナスというように、セクターごとの差が広がる可能性があります。


8月24日の日本株市場でも、長期債利回りの上昇を背景に金融株が軟調となる場面がみられました。 今後は、9月の利上げ観測だけでなく、ドル円の方向、10年国債利回り、日銀の利上げペースを合わせて確認することが重要です。


日銀利上げでも「円高にならない」可能性

日銀の追加利上げ観測が強まっているにもかかわらず、ドル円は8月24日時点で158.9円前後と、依然として160円に近い水準です。市場では9月利上げの確率が約82%まで上昇しているため、利上げ期待だけでは円高が進みにくい状況になっています。


① 利上げがすでに市場に織り込まれている

9月の利上げが広く予想されているため、実際に0.25%の利上げが行われても「材料出尽くし」となる可能性があります。むしろ重要なのは、植田総裁や日銀が今後も利上げを続ける姿勢を示すかどうかです。追加利上げのペースが明確にならなければ、円買いが限定される可能性があります。


② 日米金利差が依然として大きい

日銀が利上げしても、日本の政策金利は1.25%程度にとどまる見通しです。一方、米国の長期金利は高水準にあり、8月24日も米10年債利回りなどがドル円の重要な材料となっています。市場関係者からも、日銀の発言より米国債市場の動向のほうがドル円への影響が大きいとの見方が示されています。


③ 財政政策への懸念が円売り要因になる可能性

日銀が利上げを進めても、日本の財政運営に対する警戒が強まれば、円買いが抑えられる可能性があります。特に財政規律への懸念や長期金利の上昇が続けば、金融政策だけでは円安トレンドを反転させにくくなります。市場では、日銀の利上げと財政規律の両方が円の信認に重要との見方があります。


④ 原油高による輸入コストにも注意

日本では7月の輸入額が前年同月比27.8%増の12.1兆円と過去最高を更新しました。原油価格の上昇によって原油輸入額が大幅に膨らんでおり、エネルギー輸入コストの増加は円売り要因になり得ます。


つまり、日銀が9月に利上げしても、円高が自動的に進むとは限りません。 今後は「利上げの有無」だけでなく、追加利上げのペース、米国金利、日本の財政政策、原油価格を合わせて確認することが重要です。8月24日時点では、ドル円158~160円付近の攻防が続く可能性があり、9月会合に向けた日銀関係者の発言が特に注目されます。


今後の注目材料

8月24日時点では、9月の日銀利上げ観測だけでなく、国内物価・円相場・長期金利・米国の金融政策をセットで確認することが重要です。特に今週はジャクソンホール会議も予定されており、ドル円の変動要因が増えています。

注目材料 最新情報・データ 市場への影響
東京都区部CPI 8月28日発表予定。東京の物価動向から全国的なインフレの先行きを確認 上振れなら9月利上げ観測を後押しし、円高・金利上昇要因
全国CPI 7月コアCPIは前年比1.8%上昇。物価の基調が今後も焦点 高い伸びが続けば日銀の追加利上げ観測が強まりやすい
植田総裁・日銀関係者の発言 9月会合を前に、追加利上げや利上げペースに関する発言が重要 タカ派発言なら円高・JGB利回り上昇につながりやすい
ドル円160円 8月24日週も158円台を中心に160円台が意識される展開 160円接近では為替介入や日銀追加利上げへの警戒が強まりやすい
10年JGB利回り3% 8月18日に一時2.945%まで上昇し、1996年以来の高水準 3%突破なら金利上昇が日本株・住宅・財政に波及する可能性
米PCEデフレーター 8月28日発表予定。FRBの今後の政策判断を左右 米金利が動けばドル円にも波及し、日銀利上げ効果を相殺する可能性
ジャクソンホール会議 8月27~29日開催予定 FRBの金融政策スタンス次第で米金利・ドル円が大きく変動

日銀利上げ観測の今後のシナリオ

8月24日時点では、9月利上げがかなり意識されています。市場では9月利上げを約8割織り込むとの報道があり、日銀も9月17~18日に次回会合を予定しています。


① シナリオA:9月に追加利上げ

日銀が政策金利を1.0%から1.25%へ0.25ポイント引き上げるケースです。7月のコアCPIが1.8%、基調的な物価上昇率が1.9%となったことも利上げを後押ししています。


この場合、円高やJGB利回りの上昇が進みやすく、銀行株には金利上昇による利ざや改善期待が追い風となる可能性があります。一方、輸出株や高PER株には逆風となる可能性があります。


② シナリオB:9月は据え置き

物価や景気、円相場などを理由に日銀が追加利上げを見送るケースです。現在の市場では利上げ期待が高まっているため、据え置きとなれば円売りが強まり、ドル円が160円方向へ再上昇する可能性があります。


ただし、据え置きによって利上げ観測が完全に消えるとは限りません。次回以降の会合へ利上げ期待が移り、長期金利が高止まりする展開も考えられます。


③ シナリオC:利上げ+追加利上げを示唆

最もタカ派的なのが、9月に利上げしたうえで、今後も比較的速いペースで追加利上げを進める姿勢を示すケースです。実際、野村證券は9月、2027年1月、4月の追加利上げをメインシナリオとしており、2027年4月に政策金利1.75%を想定しています。


この場合は円高圧力とJGB金利の上昇が強まりやすく、銀行株にはプラス、輸出株や不動産株にはマイナスというセクター間の差がさらに広がる可能性があります。


現時点では「9月利上げ」がメインシナリオとして意識されていますが、実際の相場を左右するのは利上げの有無だけでなく、植田総裁が示すその後の利上げペースです。


よくある質問

Q1. 日銀は2026年9月に利上げする可能性がありますか?

現時点では、9月17~18日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げる可能性が強く意識されています。7月の会合では1.0%に据え置かれましたが、物価上昇圧力を背景に、早期利上げを支持する見方が強まっています。


Q2. 日銀が利上げすると円高になりますか?

一般的には、利上げによって日本の金利が上昇すれば円買い要因になります。ただし、米国金利や市場の織り込み状況によっては、利上げ後も円高が進まない可能性があります。実際、足元では追加利上げ観測が強まる一方で、ドル円は160円に近い水準まで上昇する場面もありました。


Q3. 日銀利上げで日本株は下落しますか?

必ずしもそうとは限りません。銀行株には利ざや改善期待が追い風となる一方、円高になれば自動車などの輸出株には逆風となる可能性があります。また、金利上昇は不動産株や高PERのグロース株にとって重しになる場合があります。


Q4. 10年国債利回りが上昇している理由は?

日銀の追加利上げ観測に加え、物価上昇や財政政策への警戒などが影響しています。8月17日には10年国債利回りが一時2.930%まで上昇し、1996年以来の高水準となりました。


Q5. 9月に利上げしなかった場合、円相場はどうなりますか?

市場が利上げを強く織り込んでいる状況で据え置きとなれば、円売りが強まる可能性があります。ただし、日銀が「次回以降の利上げ」を明確に示せば、円安の動きが限定される可能性もあります。


Q6. 今後、何を確認すれば日銀の利上げ観測を判断できますか?

国内CPI、日銀関係者の発言、ドル円、10年国債利回り、米国の金融政策が重要です。特に9月会合に向けては、物価指標が上振れするか、日銀が利上げ継続姿勢を示すかがポイントになります。日銀は次回会合を9月17~18日に予定しています。


Q7. 日銀は9月以降も利上げを続けるのでしょうか?

現時点では複数のシナリオがあります。例えば野村證券は、2026年9月、2027年1月、4月の追加利上げをメインシナリオとしており、2027年4月に政策金利1.75%を想定しています。ただし、これは予想であり、今後の物価・景気・為替情勢によって変更される可能性があります。


まとめ

「日銀利上げ観測」は、政策金利だけでなく、円相場・日本国債・日本株を同時に動かす重要テーマです。8月24日時点では9月利上げ観測が強まっているため、今後は経済カレンダーでCPIなどの物価指標や日銀関係者の発言、9月17~18日の金融政策決定会合を確認しながら、利上げの有無だけでなく、その後の利上げペースまで見極めることが重要です。

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