ファイザーの株価がなぜ上がらないのか?成長が止まって見える本当の理由
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ファイザーの株価がなぜ上がらないのか?成長が止まって見える本当の理由

著者: 高橋健司

公開日: 2026-02-04

ファイザーの株価は、コロナ禍で一時的に大きく上昇したものの、その後は長期間にわたり伸び悩んでいます。高配当を維持し、世界有数の大手製薬企業であるにもかかわらず、株価が上がらない状況に疑問を感じる投資家も多いでしょう。そのため、「ファイザー 株価がなぜ上がらない」という検索が増えています。


本記事では、ファイザーの株価がなぜ上がらないのかについて、コロナ関連収益の減少、成長期待の低下、製薬業界特有のリスクといった観点から整理し、今後株価が見直される可能性についても分かりやすく解説していきます。

ファイザーのコロナ治療薬

ファイザーの株価推移と現状整理

1. 株価水準と市場の評価

ファイザーの株価は2025〜2026年にかけて 概ね25〜28ドルのレンジ内で推移しており、パンデミック期の高値(50ドル台)から大きく低下したままです。現在の株価は、S&P 500の上昇と比べても弱い動きが続いています。


アナリストの評価も 買い・ホールド・売りが混在し、強い上昇期待は見えません。TD Cowen は「Hold(据え置き)」評価、他には一部が「Sell(売り)」評価といった分析もあります。


2. 時価総額・配当利回り・PERなど基本的指標

直近では 株価収益率(PER)は15倍前後、配当利回りは 約6.5〜6.8% と、他の米国株と比べても高配当水準です。


配当は 55年連続で支払い・15年以上増配しているという安定性がありますが、それでも株価上昇には結びついていません。


3. 市場が「成長株」と見ていない現実

決算では売上高・EPSが予想を上回るなど堅調な面もあるものの、COVID-19関連製品の需要が急減しており、 成長ドライバーを欠くとの見方が根強いです。


ガイダンスも2026年の売上予想がほぼフラット〜微増程度で、 明確な成長トレンドとは言いがたい内容となっています。


新薬パイプラインや買収による肥満治療剤などの期待もあるものの、投資家の反応は 競合の強さや成果への疑念から慎重評価が優勢です。

ファイザーの株価推移

コロナ関連収益の急減 — 株価停滞の最重要要因

ファイザー株が伸び悩む最大の理由の一つは「COVID-19(新型コロナウイルス)」関連製品の売上が急激に減少していること です。


1. ワクチン・治療薬需要はコロナピークから大幅減少

パンデミック当時、ファイザーは COVID-19ワクチン(Comirnaty)や経口治療薬(Paxlovid)で巨額の売上 を計上し、株価を大きく押し上げました。しかしその需要は 感染が落ち着いたことで急速に縮小しています。


たとえば2025年では:

  • COVID-19ワクチン収益が前年から約 18%減少

  • 経口治療薬 Paxlovid は 約59%もの大幅な売上減少 を記録しています。


COVID関連製品の全体寄与額自体が数年前に比べ大きく落ち込みました。これはファイザーの売上全体にとっても重い足かせになっています。


2. 売上・利益の反動減が投資家心理にネガティブ

このCOVID関連収益の急減は 投資家心理にネガティブな影響 を与えています。売上成長が低迷している中で、株価はしばしば企業の成長期待を反映しますが、COVID売上の反動減は 「一過性の成功でしかなかった」 という評価につながっている面があります。


実際、ファイザーの最新ガイダンスでは、2026年のCOVID製品売上が さらに減少する見通し であることが示され、これが株価に下落圧力をかけています。


3. 「一時的な成功」と見られている構図

投資家にとって、持続可能な収益源の確立は株価上昇の鍵ですが、COVID関連収益は パンデミック期に一気に膨らんだ後の反動が大きく、現在は安定した成長源として見られていません。


この結果、売上全体が伸びにくい中では、株価の評価が上方修正されにくい状態が続いています。


成長ストーリーの不透明さ — 株価停滞に繋がる最新の背景

ファイザー株が伸び悩む理由の中でも、市場が「将来の成長シナリオ」を明確に評価できていないことが大きな要因となっています。最新の業績や投資家心理を反映すると、以下の点が指摘されています。


● パイプラインに期待はあるが、投資家心理が慎重

ファイザーはCOVID後の成長戦略として、肥満治療薬やGLP-1系製品など 新しい治療領域への進出および買収によるパイプライン強化を進めていますが、投資家の反応はまちまちです。2026年に入り試験中の肥満治療薬「PF-3944」についても、中間データは出たものの 副作用での離脱率や競合との比較で市場評価が分かれ、株価にマイナス影響が出た場面もあります。


このように、期待される成長要素がある一方で 即座に株価を押し上げるほどのインパクトある成果になっていない、という印象が投資家に残っています。


● 業績は堅調でも「成長株」とは見なされにくい現実

2025年通期決算では、売上・EPS共に予想を上回る結果を示し、2026年ガイダンスも 売上高&EPSレンジを提示して堅調さは維持されましたが、COVID関連売上の減少やパイプライン成長への懸念が残るため、株価の反応は限定的になっています。


つまり、数値的な改善や成果が出ても 「投資家が期待する成長ストーリー」として十分に魅力が伝わっていないという側面があるのです。


● 「退屈株」という市場評価の定着

ファイザーはかつてのCOVID関連大ヒットから一転し、現在は「安定はしているが華やかな成長が見えにくい企業」という評価が広まりつつあります。代表的な例として、他の大手製薬企業と比べても 積極的な成長株として注目されにくく、むしろ退屈で株価の魅力が限定的 とする意見もあります。


これは、競合が先行している領域(例:糖尿病・肥満薬など)で結果がまだ決定打にならず、かつ大規模な売上拡大材料がすぐには見えてこないことが要因です。


製薬業界特有のリスク — 株価を抑える大きな壁

ファイザーの株価が上昇しにくい背景には、製薬企業固有の大きなリスクが重なっていることが挙げられます。特に以下の3つが投資家の懸念材料になっています。


① 特許切れ(パテントクリフ)の懸念

ファイザーは2026〜2028年にかけて、主力薬の特許期限切れ(LOE:Loss of Exclusivity)が続き、多額の売上が失われる見込みです。具体的な影響として:

  • Eliquis(抗凝固薬)やIbrance(乳がん治療薬)などの特許が切れる可能性があり、2026〜2028年の「ロング特許切れラッシュ」が年間約170〜180億ドルの売上リスクとして指摘されています。これは同社の売上構造にとって大きな穴となる可能性があります。

  • この「パテントクリフ」は、ジェネリック薬やバイオシミラーの競争により市場シェアが急速に奪われるリスクを内包しており、既存の収益源を維持することが難しくなります。


こうした見通しは、投資家が「現状の収益力が将来減衰する可能性」を織り込みやすくし、株価に上値余地を与えにくくしています。


② 研究開発コストの増大と成果不透明

製薬会社の命運を分けるのが 新薬の研究開発(R&D) ですが、これは巨額の投資を要し、必ずしも成功が保証されません。

  • ファイザーも将来の成長に向けて 肥満治療薬など新たな製品パイプラインに巨額投資をしており、開発コストの負担は軽くありません。これが利益の伸びを抑える一因になっています。

  • 開発段階の薬剤が臨床試験で成功する保証はなく、中には安全性や有効性の懸念で販売が見送られることもあります。こうしたリスクがあるため、投資家は新薬に対して慎重な姿勢を取りやすいのです。


研究開発への大規模投資は将来的な収益源にはなり得ますが、成功するまでに時間と資金が必要なため、短期的な株価上昇には結びつきにくいという構造になっています。


③ 規制・薬価引き下げリスク

製薬企業は政府・保険制度の規制や薬価政策に大きく影響されます。2025〜2026年の動きでは:

  • 米国では薬価を抑えるための政策や最恵国待遇に基づく価格交渉が進んでおり、ファイザーも価格引き下げの合意を行っています。こうした動きは 利益率の圧迫要因になり得ます。

  • 日本や欧州でも薬価制度改革や費用対効果評価制度の見直しが進んでおり、革新的新薬であっても薬価が引き下げられるリスクが指摘されています。これは 新薬の収益性を低下させる可能性があります。


こうした 規制・薬価リスク は、ファイザーの利益成長を阻む要因として投資家の評価に影を落としています。


高配当でも株価が評価されにくい理由

ファイザーは高い配当利回りが魅力的であるにもかかわらず、株価が伸び悩んでいます。これは単に配当が高いだけではなく、投資家が配当利回りを “成長期待の低さ” と見なしていることが大きな背景です。


◎ 配当利回りの高さ=成長期待の低さと受け取られる

ファイザーの配当利回りは約6.6〜7%台と、米国株の中でも非常に高い水準です。これは、配当利回りが S&P 500 平均(約1.3%前後)を大きく上回る水準であり、通常は「株主還元が大きい」と歓迎されるはずです。


しかし実際には、多くの投資家がこの高い配当を 「株価が長期的に伸びないことの裏返し」 と捉えています。利回りは配当÷株価で計算されるため、株価が上がらないまま配当を維持していると利回りが高まりますが、これは株価下落を反映した結果でもあるからです。


◎ インカム株としての位置付けが強まりすぎている

現在のファイザー株は、多くの投資家に「インカム投資(配当目的)」向け銘柄 として認識されています。特に配当利回りの高さが目立つため、株価の上昇益よりも配当収入を重視する層が中心になりがちです。 こうした評価は、株価上昇のプレミアムをつけにくい要因の一つです。


また配当利回りが高いことで 「イールドトラップ(高配当だが成長期待が低い)」との懸念 を持つ投資家もいます。特にコロナ関連収益が減少した結果、2025〜2026 年の利益見通しが市場予想より弱くなった場面では、配当維持が評価される一方で 株価上昇材料とは見なされにくい状況 が続きました。


◎ 配当維持が重視される現状

ファイザーは配当を 長期にわたって継続・増配 してきた実績があり、2026 年も四半期配当を維持する計画を発表しています。


これは投資家にとっては安心材料である一方で、会社の成長戦略よりも配当維持が優先されているという印象 を与える側面もあります。


一部評価では、配当維持により経営が 「守りの姿勢」を取っているように映るため、株価の上方評価につながりにくい面 も指摘されています。これは、配当が企業のキャッシュフローを奪ってしまうという懸念というより、投資家が「成長よりも配当」というメッセージを受け取っているという心理面の影響が大きいです。


今後ファイザー株が上がるための条件

① 新薬ヒット・パイプライン進展が株価を押し上げるカギ

ファイザーが株価面での評価を変えるために最も重要なのが、パイプラインの有力候補が実際に成果を出すことです。

  • 現在、肥満治療薬をはじめとした新薬候補が進行中で、特にMetsera買収後のGLP-1系肥満薬候補(MET-097i)の臨床結果が今後の株価を左右するとみられています。評価が高ければ、2028〜2029年の上市とともに大きな成長ドライバーになる可能性があります。

  • また、がん領域など他の領域でもパイプラインが強化されており、Phase 2・Phase 3の臨床で好結果が出れば市場評価が一変する余地があります。 一部分析では、パイプラインの強化によって将来的に売上が上積みされるシナリオも示唆されています。


このようなポジティブな開発進展は、「将来成長の明確な根拠」として投資家心理を改善し、株価の再評価につながる可能性があります。


② 収益構造の再成長化

次に必要なのは、収益が再び成長トレンドに乗ることです。

  • ファイザーは2026年のガイダンスで売上高・EPSの伸びが控えめとされ、市場予想を若干下回ったことが株価下落につながりました。

  • COVID関連製品の売上減を補うのは容易ではなく、このため投資家は「売上成長が鈍い」と評価しています。しかし、COVID関連売上を除いた成長率自体はプラスで推移しており、既存製品や新製品群で売上が底堅い可能性は示されています。


したがって、既存製品の継続的な成長や、新薬・新適応の収益化が進み、総収益の成長率が再び高まることが株価上昇に繋がる条件となります。


③ 投資家評価が変わる「転換点」とは?

株価が上昇するためには、市場がファイザーに対して「成長企業」としての評価を再び付与する必要があります。これは以下のような出来事がきっかけになります:

  • ポジティブな臨床試験結果の発表:特に競合他社を上回るデータや安全性に優れる結果が出れば、投資家心理は改善します。

  • FDA承認・適応拡大のニュース:注目される新薬や新適応が承認されれば、将来の収益期待が高まります。

  • 投資家向けの成果開示・戦略発表:経営陣が明確な成長戦略(例:AI活用によるR&D効率化など)を示し、それが実際の数値面で表れれば評価は変わりやすくなります。


一度このような「転換点」が訪れれば、市場評価が再調整され、株価の上昇を促す可能性があります。


よくある質問(FAQ)

Q1. ファイザーの株価はなぜ長期間上がらないのですか?

ファイザー株が上がりにくい主因は、コロナワクチン・治療薬の需要急減による業績悪化です。コロナ特需がピークアウトした後、売上と利益が大きく落ち込み、市場は成長鈍化を強く意識しています。また、新薬パイプラインは豊富なものの、次の主力収益源が明確になるまで時間がかかると見られている点も株価の重しとなっています。


Q2. 業績は今後も悪化し続けるのでしょうか?

現時点では、業績は底打ちに近づいていると考えられています。コロナ関連売上の減少はほぼ一巡し、今後はがん・ワクチン・希少疾患などの新薬が収益回復のカギになります。ただし、新薬の成長が数字として明確に表れるまでは、株価の回復ペースは緩やかになる可能性があります。


Q3. ファイザー株は高配当ですが、減配のリスクはありますか?

現状では、すぐに大幅な減配が行われる可能性は低いと見られています。ファイザーはキャッシュフローを重視しており、株主還元を重要視しています。ただし、業績低迷が長期化した場合や大型投資が重なった場合には、将来的に配当方針が見直される可能性はあります。


Q4. ファイザーは今後どの分野に期待できますか?

市場が注目しているのは、がん領域、mRNA技術の応用、希少疾患向け医薬品です。特に大型買収によってパイプラインは強化されており、数年後に主力製品が育つ可能性があります。ただし、医薬品開発は不確実性が高く、短期的な材料にはなりにくい点が課題です。


Q5. ファイザー株は今買うべきですか?

ファイザー株は、短期の値上がり益を狙う銘柄ではなく、中長期・配当重視の銘柄と位置付けられます。株価は低迷していますが、その分バリュエーションと配当利回りの魅力は高まっています。安定収入を重視する投資家には選択肢となりますが、成長株を求める投資家には物足りない可能性があります。


Q6. 他の大手製薬株と比べて見劣りしますか?

短期的には、成長が明確な競合他社と比べて株価パフォーマンスは見劣りします。ただし、ファイザーは規模・研究開発力・資金力に強みがあり、回復局面では安定感のある値動きが期待されます。リスクを抑えたい投資家には相対的に安心感のある銘柄です。


Q7. ファイザー株が本格的に上昇する条件は何ですか?

株価上昇の条件は主に3点です。

  • 1つ目は新薬による売上成長が明確になること。

  • 2つ目は業績の安定回復が決算で確認されること。

  • 3つ目は市場全体の医薬品セクターへの評価改善です。


これらが揃えば、株価は徐々に見直される可能性があります。


まとめ:ファイザー株がなぜ上がらないが、どう見るべきか

ファイザーの株価が上がらない最大の理由は、コロナ特需終了による業績の反動減と、成長ストーリーが市場に十分伝わっていない点にあります。短期的には新薬の収益化や業績回復が確認できるまで、株価は重くなりやすい状況が続くと見られます。


一方で、中長期では豊富な研究開発力と大型M&Aによるパイプライン強化が進んでおり、業績の底打ち後には安定した回復が期待されます。そのため、ファイザー株は短期の値上がりを狙う成長株というより、高配当を享受しながら中長期で保有する「安定・配当株」として位置付けるのが現実的です。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。