公開日: 2026-02-04
第一三共の株価は近年、大きな注目を集めています。特にがん領域の主力新薬が評価され、株価は中長期で力強い上昇トレンドを描いてきました。医薬品株の中でも成長性が際立ち、多くの投資家が動向を注視しています。
こうした中で関心が高まっているのが、「今後第一三共株価がどこまで上がるのか」という点です。新薬の承認や適応拡大、海外市場での売上成長といった材料次第では、さらなる株価上昇が期待される一方、期待先行による調整リスクも意識されます。
本記事では、第一三共の業績動向、がん新薬パイプラインの成長性、今後の株価を動かす材料、そして投資家が注意すべきリスクを整理しながら、第一三共株価がどこまで上がるかについて分かりやすく解説していきます。
第一三共とは?企業概要と強み

1. 会社概要
第一三共は、日本を代表する大手製薬会社の一つで、医療用医薬品の研究・開発・販売を主力事業としています。特に循環器系やがん領域に強みを持ち、研究開発型企業として長年にわたり実績を積み上げてきました。
近年は国内市場にとどまらず、北米・欧州・アジアを中心としたグローバル展開を進めており、海外売上比率の上昇が業績成長の重要な柱となっています。
2. 第一三共の競争優位性
第一三共の最大の強みは、がん領域に経営資源を集中させる戦略です。中でも注目されているのが、抗体と抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)技術で、高い治療効果と成長性が評価されています。
さらに、海外の大手製薬会社との提携を通じて、開発スピードの加速や販売網の拡大を実現している点も大きな競争力です。これらの強みが、第一三共の中長期的な成長期待と株価上昇を支える要因となっています。
第一三共の株価推移と現状分析

1. 過去数年の株価推移
第一三共の株価は、ここ数年で大きな値動きを見せています。2024年8月には一時的に¥6.131前後まで上昇した局面がありましたが、その後は調整が進み、株価は大きく下落しました(例:8月から約40%の下落)とする分析も出ています。
2024年後半〜2025年:抗がん剤などのパイプライン期待が株価を押し上げた一方、投資家センチメントが変化し下落局面に転じました。
2025年中〜後半でも株価はボラティリティを伴いながらおおむね下向きの傾向が続き、1年リターンがマイナス圏となっています。
短期的には上昇する日もあり、2025年10月には1日で7%超の上昇を記録した局面もありましたが、中長期では株価は弱含みで推移しています。
これらの動きは、治験・承認期待が高い一方で株価が期待先行になりやすい医薬品株特有の動きが影響していると見ることができます。
2. 直近の株価水準の評価
最新データでは、2026年2月初旬時点の株価は約¥2.900前後付近で推移しています。
52週レンジ(過去1年の高安):約¥3.036 〜 ¥4.951と、比較的広いレンジでの値動きとなっています。
→ 年初高値からは大きく下落しており、投資家心理はやや慎重な局面です。
PER・配当利回りなどの指標は、医薬品セクター平均と比べてそこまで割安ではないものの、成長期待度を想定した株価評価が織り込まれている様子が見られます。
アナリストの目標株価を見ると、2026年1月時点で平均目標株価は¥4.500前後、中には¥6.300などの強気予想もあり、現在株価比で上昇余地があるとの期待もあります。
株価上昇を支える最大の材料|がん新薬パイプライン
1. エンハーツ(Enhertu)の成長性
エンハーツ(一般名:trastuzumab deruxtecan)は、第一三共とアストラゼネカが共同開発する抗体薬物複合体(ADC)で、がん領域における収益の柱です。2025年度にはこの薬が売上を大きく牽引し、第一三共の業績にも寄与していると評価されています。
適応拡大の進展
HER2陽性乳がんの一次治療に承認
2025年12月、米国FDAは、エンハーツをHER2陽性乳がんの一次治療(最初の治療)として承認しました。これはエンハーツの対象患者数を大幅に広げる可能性があり、市場規模の拡大につながる重要な承認です。
その他がん種でも承認広がる
これまでに乳がん、胃がん、肺がんの複数の適応症に承認されており、がん種ごとに処方機会が広がっています。これが売上増につながる重要な要素です。
FDAの審査が進行中の領域もあり
HER2陽性乳がんの他の治療ラインでも優先審査が進んでいるとの報道があり、今後さらに適応拡大が進む可能性があります。
売上成長が株価に与える影響
第一三共は、がん薬の売上が業績成長の中心であると説明しており、その中でもエンハーツが主要な収益源となっています。
エンハーツの成長が継続すると予想される中で、ピーク時売上が100億ドル($10〜12B程度)に達する可能性というアナリスト予想も出ており、市場評価の後押し材料となっています。
売上好調が業績予想の上方修正につながった例もあり、投資家心理にもプラスに作用する可能性があります。
2. その他の注目パイプライン
第一三共のがん領域パイプラインは、エンハーツ以外にも強力な候補が複数存在します。これらの進捗が将来の成長を大きく左右します。
Datroway(データロウェイ)
第一三共とアストラゼネカが共同開発する別の抗体薬物複合体で、肺がん治療薬として米国で承認を受けています。これにより新たな市場機会が広がっています。
DS-1062 などの次世代ADC
両社は新たなADC候補でも共同開発・商業化契約を結んでおり、今後数年で臨床進展や承認取得の可能性が高い候補が複数あります。これらの薬が成功すれば、エンハーツに続く売上の柱になる可能性があります。
その他開発段階の新薬候補
パイプライン全体で複数の抗腫瘍剤や適応症拡大を目指す候補が進行中で、2026〜2027年にかけて治験データや承認結果が株価材料になる可能性があります。
3. 今後の承認・治験結果が株価に与えるインパクト
承認拡大:適応症が広がることで販売対象患者数が増え、売上予想が上方修正される可能性が高く、株価の上昇材料になります。
臨床試験成功/否定的データ:臨床段階での成果は市場期待に直結するため、肯定的なデータが出れば株価が大きく上昇する可能性があります。一方、否定的な結果は逆に短期株価の下押し要因になります。
市場競争と価格圧力:競合薬の登場や価格競争が激化する場合、売上成長の伸びが鈍化するリスクとして株価に影響します(この点は投資リスクとしても重要です)。
第一三共の業績と将来予想
1. 売上・利益の成長トレンド
売上高の成長は継続
2026年3月期第2四半期(中間期)では、売上収益が前年同期比約10.5%増の約9.753億円となりました。これは主力品のエンハーツやダトロウェイのグローバル売上が寄与したもので、収益の拡大トレンドが続いています。
利益面はやや弱含み
一方で、中間期の親会社帰属利益は前年同期比約10.8%減の約1.308億円と減少しており、利益率改善とコストバランスの課題も見えています。
2025年第2四半期決算では、収益は伸びたものの利益指標(EPS)が市場予想を下回ったため、株価が下落する局面もありました。
直近の四半期でも増収増益の動きあり
2026年3月期の第3四半期累計では、最終利益が前年同期比で約4%増加し、売上営業利益率も改善傾向を示すなど、利益拡大の兆しも一部に出ています。
利益率のポイント
収益拡大の中心となるグローバル新薬の売上が高マージンで推移していることが、利益率改善に寄与する可能性があります。一部米国決算データでは、製品ミックス改善により高い営業利益率が出ているとする分析もあり、ADC(抗体薬物複合体)製品の比率増加が効果を発揮しています。
2. 中長期の業績見通し
会社計画と見通し
2024会計年度の決算説明では、通期の売上収益を約1.75兆円、コア営業利益を約2.100億円とする計画を掲げています。また、がん領域の売上を2025年度に1兆円超にする目標も示しており、成長戦略の中心が明確です。
通期業績予想の修正
2026年3月期通期では売上収益予想が上方修正(前年比約5%増の約2.1兆円)されましたが、営業利益や当期利益はやや減益予想に修正されており、成長と収益性のバランスが注目点となっています。
中期計画の背景とリスク
経営陣はがん新薬パイプラインの拡大を主要ドライバーと位置づけており、エンハーツをはじめとしたADC製品の成長が見込まれています。これにより中期的には売上増が期待されますが、利益については投資負担や為替などマクロ要因の影響を受けやすいというリスクも指摘されています。
第一三共株価がどこまで上がる? 上昇シナリオ分析
1. 強気シナリオ(Bullish)
がん新薬パイプラインが成長を牽引
第一三共の主力である抗体薬物複合体(ADC)製品群、特に エンハーツ(Enhertu)やDatroway の国際展開が好調で、売上拡大を牽引しています。欧米・中国などで承認や使用拡大が進むほど、売上増加が企業業績と株価上昇につながる期待が高まっています。特にJefferiesが株価目標を引き上げるなど、高い成長予想がアナリストから出されています。
アナリスト予想・価格ターゲット上方修正
一部では日本株のアナリストが第一三共の目標株価を引き上げ(例:¥6.800前後の推定ターゲットも存在)し、現株価比で 80%以上の上昇余地を見込む意見も出ています。
強力なグローバル提携と知財リスク低減
がん領域でアストラゼネカとの共同開発が進み、特許争いにおいても有利な判決を得るなど、製品ライフサイクルの延長や市場優位性が強化されたケースも報告されています。
️強気シナリオの結論例(株価レンジ)
ブロックバスター級の売上成長、好業績連動で ¥5.500〜¥7.500超 という水準が支持される可能性がある(複数アナリスト予想の集約)。ただしこれは市場状況やマクロ要因に左右されます。
2. 中立シナリオ(Neutral)
売上は成長するが、市場認識は慎重
エンハーツやDatrowayの売上は拡大しているものの、投資家は将来の利益とコスト構造を慎重に評価しているとの見方も出ています。売上は伸びているものの、利益率やコスト負担の影響が株価に織り込まれるまでには時間を要する可能性があります。
利益見通しの据え置き・株価反応
最近の決算では利益予想が据え置かれたことを受けて株価が下落する場面があり、会社計画と市場期待のズレが意識されている点もあります。
市場全体の慎重姿勢
医療政策(価格交渉・薬価圧力)、インフレ対応など、市場全体のリスクを織り込む動きもみられ、上昇材料と同時に懸念も株価に反映されやすい局面です。
️中立シナリオの結論例(株価レンジ)
製薬株全般のリスク調整を受けて ¥3.500〜¥5.000 のレンジでのもみ合い推移という見方も成り立ちます。
3. 弱気シナリオ(Bearish)
治験・承認リスクの影響
新薬候補の臨床開発が失敗した場合や、規制当局からの承認遅延が続く場合、短期的に株価が調整するリスクが高まります。特にADC市場は競合も多く、競合薬によるシェア奪取や差別化要因の弱体化が懸念されます。
利益率やコスト負担の重圧
売上は伸びても、R&D投資や一時的な費用が利益を圧迫する可能性もあります。この場合、期待先行の株価は大きく下押しされるリスクがあります。
政策・薬価交渉の影響
米国の価格交渉制度(例:Medicareのリスト交渉など)が進むと高価格医薬品への圧力が強まり、利益率低下のリスク要因になる可能性があります。
弱気シナリオの結論例(株価レンジ)
市場の不透明感が強まった場合、¥3.000以下〜¥2.500付近までの価格調整リスクがあり得る、という見方もあります。
第一三共株は買いか?投資スタンス別の考え方
1. 短期投資の場合(短期トレード)
材料株としての値動き戦略
第一三共はがん新薬「エンハーツ」やその他ADC製品の進展・決算発表などイベントドリブンで値動きが出やすい銘柄です。直近の好決算・自社株買い発表で株価が反応した局面もあり、短期的な材料で株価が動く可能性があります。
例えば決算発表直前や新薬の臨床データ公表前後などは、リスク・リターンの振れ幅が大きくなることがあるため、材料を把握しておくのが重要です。
テクニカルでは短期線・移動平均線が交錯しやすく、短期売買ではレンジブレイクや抵抗線ブレイクを意識した戦略が有効になる場面があります。
注意点(ボラティリティ)
市場期待に対して臨床データが期待外れだった場合は一時的な売り圧力になりやすいこともあり、短期投資では損切りラインやリスク管理が重要です。
→ 短期トレード向けのポイント
決算・治験結果発表の予定をカレンダー化
テクニカル指標(RSI・MACD)の確認
利確/損切ラインの明確化
2. 中長期投資の場合(バイ&ホールド)
成長ストーリーへの投資
アナリスト評価では、第一三共は「Strong Buy(強い買い)」が大勢であり、平均的な12カ月の目標株価は現在株価比で+70%超の上昇余地との予想も出ています。
多くの証券会社が買い評価を維持しており(例:シティリサーチも目標株価6.600円)、中長期的な成長期待が高いという見方が出ています。
また、株主還元面でも増配傾向・自社株買い継続などが評価され、株主還元策が中長期投資家に好感されています。
押し目買い・分散投資の考え方
中長期的には、新薬の売上成長が続くかどうか、治験成功や承認進展が株価ドライバーになります。これらは長期の収益性改善につながる可能性があるため、時間分散して買う戦略も一案です。
日本株全体の堅調なトレンドの中、第一三共をポートフォリオの一部として保有する場合は、他の医薬株や成長株と合わせてリスク分散することが推奨されます。
長期リスクにも注意
一方で、治験失敗や規制環境の変化(特に米国の価格交渉制度など)が中長期的な収益に影響する可能性もあり、これらのリスク要因を織り込んで評価すべきです。
→ 中長期投資向けのポイント
アナリストによる目標株価とコンセンサス評価の確認
堅調な株主還元・増配の継続性
成長テーマ(エンハーツなど)の売上推移
よくある質問
Q1.第一三共の株価は今後も上がり続ける?
第一三共の株価は、がん新薬を中心とした成長材料が多く、中長期的な上昇余地はあると見られていますが、治験結果や業績動向、外部環境によっては短期的な調整局面も起こり得るため、一直線に上がり続けるとは限りません。
Q2.今から買っても遅くない?
中長期視点では、新薬の売上拡大やパイプラインの進展を評価する余地があり、今からでも検討対象になり得ますが、短期的には株価変動が大きいため、購入タイミングやリスク管理が重要になります。
Q3.配当や株主還元は期待できる?
第一三共は増配や自社株買いを通じて株主還元を強化する姿勢を示しており、安定的な還元は期待できますが、最優先は研究開発投資であるため、配当目的の場合は業績動向の確認が欠かせません。
まとめ:第一三共株価がどこまで上がる
第一三共の株価は、がん領域を中心とした新薬の成長期待を背景に、中長期では上昇余地が見込まれます。特に主力パイプラインの進展や海外市場での売上拡大が実現すれば、企業価値のさらなる向上につながる可能性があります。一方で、治験結果の不確実性や薬価改定、株式市場全体の変動といったリスクも無視できません。そのため、第一三共は短期的な値動きを狙う投資よりも、医薬品セクター特有のリスクを理解したうえで、中長期の成長性に着目して投資したい投資家に向いた銘柄だといえるでしょう。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。