長期保有におすすめの米国株とは?10年後を見据えた銘柄選び
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長期保有におすすめの米国株とは?10年後を見据えた銘柄選び

著者: 高橋健司

公開日: 2025-12-26

近年、日本の投資家の間で米国株を長期保有する投資スタイルが注目されています。その背景には、米国企業の高い成長力と、株主還元を重視する企業文化があります。S&P500に代表される米国株指数は、短期的な変動はあるものの、長期では安定した右肩上がりの成長を続けてきました。


また、頻繁に売買を行う短期取引と比べ、長期保有は時間とコストを抑えながら資産形成を目指せる点が魅力です。日々の値動きに振り回されにくく、初心者でも取り組みやすい投資方法といえます。


本記事では、米国株を長期で保有するメリットを整理したうえで、長期保有におすすめの米国株やETF、失敗しにくい投資戦略、注意すべきポイントを分かりやすく解説していきます。


米国株が長期保有に向いている理由

米国株が長期保有に向いている最大の理由は、世界最大規模の株式市場を持ち、国際競争力の高い企業が数多く存在している点です。テクノロジー、ヘルスケア、金融など幅広い分野で、世界経済をリードする企業が成長を続けています。


また、S&P500に代表される米国株指数は、短期的な下落局面を経験しながらも、長期では株価が上昇する傾向を示してきました。景気後退を乗り越えながら成長してきた実績は、長期投資における安心材料となります。


さらに、米国企業は配当や自社株買いといった株主還元に積極的で、保有中もリターンを得やすい点が特徴です。加えて、値上げが可能なビジネスモデルを持つ企業が多く、インフレ環境でも利益を伸ばしやすいことから、長期保有に適した投資先といえます。


米国株・長期保有におすすめの銘柄タイプ

米国株を長期で保有する場合は、値動きの大きさよりも安定した成長や継続的なリターンが期待できる銘柄タイプを選ぶことが重要です。ここでは、長期投資と相性の良い代表的な3つのタイプを紹介します。


1. 連続増配・高配当株

連続増配株や高配当株は、株を保有しているだけで定期的な配当収入を得られる点が最大の魅力です。特に米国では、何十年も配当を増やし続けている企業が多く、長期投資家にとって安定した資産形成手段となります。


これらの企業は、生活必需品、ヘルスケア、エネルギーなど、景気の影響を受けにくい分野に多く、業績が比較的安定しています。株価の急成長は期待しにくいものの、配当を再投資することで複利効果を活かした長期的な資産拡大が可能です。


2. グロース株

グロース株は、売上や利益が長期的に拡大していくことが期待される企業で、株価上昇によるリターンを重視する投資家に向いています。米国市場では、テクノロジー、AI、クラウド、半導体などの分野が代表的です。


短期的には株価の変動が大きくなる傾向がありますが、事業の成長が続けば、長期保有によって大きなリターンを得られる可能性があります。将来性や競争優位性を重視し、短期の下落に動揺せず保有し続ける姿勢が重要です。


3. インデックス・ETF

個別銘柄の選定に不安がある場合や、リスクを抑えたい投資家には、インデックスETFによる長期投資が適しています。ETFは1本で複数の銘柄に分散投資できるため、企業ごとの業績リスクを低減できるのが特徴です。


S&P500、NASDAQ100、全米株式ETFなどは、米国市場全体の成長を取り込むことができ、初心者から上級者まで幅広く利用されています。定期的に積み立てることで、価格変動の影響を抑えながら安定した長期リターンを目指す戦略として有効です。


長期保有におすすめの米国株|代表的銘柄・ETF

米国株の長期投資では、企業の競争力や成長性、配当実績・経費率の低さなどが重要な選定ポイントです。ここでは、最新の人気・実績を踏まえた銘柄とETFを紹介します。


1. 安定成長が期待される大型株(個別銘柄)

米国株の個別株で長期投資家から人気が高いのは、AIやクラウド、データセンター、消費財・ヘルスケアなど成長テーマや安定ビジネスを持つ企業です。


  • エヌビディア(NVDA)

    AI・半導体市場を牽引する代表株で、長期の成長ストーリーを描きやすい銘柄として人気です(楽天証券の米国株人気ランキングでも上位)。


  • テスラ(TSLA)

    電気自動車(EV)や自動運転技術を手がけ、テクノロジーと自動車の融合が期待される銘柄です(2025年人気銘柄上位)。


  • ファイザー(PFE)・ヘルスケア株

    医薬品やワクチンで定評あるファイザーは、配当や安定収益の点で評価されており、ヘルスケア分野の長期保有候補として注目されています。


※このほか、AI・クラウド関連やデータ分析企業など、テーマ性の強い銘柄も長期保有の選択肢になります。


2. 長期投資で人気のETF(分散投資の代表)

ETFは1本で多数の企業に分散投資できるため、個別株のリスクを抑えつつ米国市場全体の成長を取り込むのに向いています。


代表的なおすすめETF:

  • バンガード・S&P 500 ETF(VOO)/iShares Core S&P 500 ETF(IVV)/SPDR S&P 500 ETF (SPY)

    米国大型株の代表指数・S&P500に連動するETFで、過去の長期リターンが比較的安定しているのが特徴です。経費率が低く、長期投資家に人気です。


  • Invesco QQQ Trust(QQQ)

    NASDAQ100指数に連動し、テクノロジー関連企業の成長を捉えたい投資家向けのETFです。長期では高い成長が期待されます。


  • Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)

    米国株市場全体(大型・中型・小型を含む)をカバーするETFで、世界への分散投資という観点でも優れています。


  • Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)

    配当成長株に投資するETFで、配当再投資を通じて長期資産形成を狙う投資家に人気です。


3. 個別株とETFの使い分けの考え方

個別株は高い成長を狙える反面、業績悪化や競争激化による株価下落リスクもあります。一方、ETFは分散効果でリスクを抑えながら、市場全体の成長を取り込むことができます。


長期投資戦略としては、以下のように使い分けるとバランスがとれます:

  • ETFを軸にして市場全体の成長を取り込む

    → 例:VOO、VTIなど


  • 成長テーマや配当を狙う個別株でリターンを上積みする

    → 例:NVDA、TSLA、PFE など


この組み合わせにより、分散と成長の両方を同時に狙うポートフォリオが構築できます。


長期保有で失敗しないためのポイント

米国株を長期で持ち続けるうえで成功するには、ただ買うだけでなく心構えや投資方法の工夫が重要です。以下の4つのポイントで具体的なコツを解説します。

米国株投資を検討

1.購入タイミングより「保有期間」を重視

株式投資では「いつ買うか」を完璧に予想するのはほぼ不可能です。歴史的なリターン分析でも、長期的に保有し続けることが成果につながるとされています。市場の短期的な値動きに一喜一憂せず、目標に達するまで保持する姿勢こそ長期投資の基本です。


ポイント:

  • 市場の上下が気になって売買を繰り返すと、判断を誤りやすい。

  • 「時間を味方につける」という視点で投資を考える。

  • 短期間ではなく、数年〜数十年の視点で目標を立てる。


2.定期積立・分散投資の重要性

投資タイミングのリスクを減らすには、定期積立(ドルコスト平均法)が有効です。これは毎月一定額を投資することで、価格が高い時は少なく、安い時は多く買う仕組みになり、平均取得単価を平準化する効果があります。


また、分散投資は重要なリスク管理戦略で、株式だけでなく債券・他地域の資産などに広く投資することで、特定の市場や銘柄の急落によるダメージを抑えることができます。


ポイント:

  • 毎月・毎四半期など定期的に購入する

  • 株式だけでなく債券や地域分散も検討

  • ETFやインデックス投資を活用する


3.為替リスク(円高・円安)の考え方

米国株はドル建て資産であるため、日本円で見ると為替の影響を受けます。たとえば同じ株価でも、円高ドル安時は円換算での評価額が低くなり、逆に円安ドル高時は評価が高くなります。


  • ポイント:

  • 長期投資では為替変動の影響が大きい

  • 為替ヘッジ付きETFを使う選択肢もある

  • 米国株投資のメリット(成長性)と為替リスクの両方を理解しておく


4.感情的な売買を避けるコツ

株価の上下やニュース速報を見ると、人はどうしても感情的に反応してしまいます。しかし、ウォーレン・バフェットも指摘するように、感情での売買が最大のリスクになることが多いです。市場の変動に振り回されず、長期目線を維持することが成功のカギです。


具体的なコツ:

  • 投資ルールを事前に決めておく(例:急落時でも売らない期間を設定)

  • 日々の値動きを頻繁にチェックしない

  • 売買判断は計画に基づいて行う(例:目標到達・リバランス時)


日本の投資家が注意すべき点

米国株を長期保有する際、日本の投資家は税金・コスト・情報収集という3つのポイントを正しく理解しておく必要があります。これらを知らずに投資を始めると、想定よりリターンが伸びない原因になります。


1.米国株の税金(配当課税・二重課税)

米国株の配当金には、米国と日本の両方で税金がかかる「二重課税」の仕組みがあります。


まず、米国で配当金に対して10%の源泉徴収税が課され、その後、日本でも約20%(所得税+住民税)が課税されます。


ただし、日本の確定申告で外国税額控除を利用すれば、米国で支払った税金の一部を取り戻すことが可能です。長期で配当を受け取る投資家ほど、この制度を理解しておくことが重要です。


ポイント:

  • 配当重視の場合、税引後リターンを意識する

  • NISA口座では日本側の税金は非課税だが、米国の源泉税は免除されない

  • 高配当ETF・個別株ほど税金の影響が大きい


2.為替手数料・取引コスト

米国株投資では、円をドルに交換して取引するため、為替手数料(スプレッド)が発生します。証券会社によって手数料水準は異なり、売買を頻繁に行うほどコストが積み上がります。


また、米国株やETFには売買手数料や、ETFの場合は信託報酬(経費率)もかかります。長期保有では小さなコスト差が、将来的に大きなリターン差につながります。


ポイント:

  • 為替手数料が低い証券会社を選ぶ

  • 売買回数を抑え、長期保有を前提にする

  • ETFは経費率(年率)を必ず確認する


3.情報収集の方法(決算・経済指標)

米国株投資では、日本株以上に情報収集の質が重要になります。特に長期保有では、短期の株価変動よりも企業の業績や成長性が維持されているかを確認することが大切です。


注目すべき主な情報は以下の通りです。


  • 企業決算(四半期決算)

    売上高、利益、ガイダンス(今後の見通し)


  • 米国の経済指標

    雇用統計、インフレ指標(CPI)、政策金利


  • 中央銀行(FRB)の金融政策

    利上げ・利下げの方向性は株価全体に影響


長期投資では、日々のニュースを追いすぎる必要はありませんが、定期的に決算と経済環境を確認する習慣を持つことが重要です。


どんな人に米国株の長期保有は向いているか

米国株の長期保有は、すべての投資家に適しているわけではありませんが、特定の目的やライフスタイルを持つ人とは非常に相性の良い投資手法です。ここでは、どのような人に向いているのかを具体的に解説します。


1.老後資金・資産形成を目的とする人

老後資金や将来の資産形成を目的とする人にとって、米国株の長期保有は有力な選択肢です。米国株市場は、短期的な調整局面を繰り返しながらも、長期では経済成長とともに株価が上昇してきた実績があります。


時間をかけて資産を増やすことを前提とするため、毎年の値動きを細かく気にする必要はなく、10年・20年単位で資産形成を考える人に適しています。配当の再投資や積立投資を組み合わせることで、複利効果を活かした運用も可能です。


2.忙しく頻繁に売買できない人

仕事や家庭の事情で、日々の相場チェックや頻繁な売買が難しい人にも、米国株の長期保有は向いています。短期取引ではタイミング判断や相場分析に多くの時間が必要ですが、長期保有では基本的に「買って持ち続ける」ことが中心となります。


ETFや大型優良株を活用すれば、定期的に決算や市場環境を確認するだけで済み、時間的な負担を抑えながら投資を続けることが可能です。投資に多くの時間を割けない人でも、無理なく取り組める点が大きなメリットです。


3.中長期でリスクを取れる投資家

米国株は長期的な成長が期待できる一方で、短期的には大きな下落が起こる可能性もあります。そのため、短期間の含み損に耐えられずに売却してしまう人には不向きです。


一時的な株価下落を「長期投資の過程」として受け止められ、中長期でリスクを取る覚悟がある投資家にこそ、米国株の長期保有は向いています。価格変動を許容しながら、将来の成長に賭けられる人ほど、長期投資の恩恵を受けやすくなります。


結論|米国株を長期保有で活用する考え方

米国株の長期投資の本質は、短期的な値動きを狙うことではなく、米国経済と優良企業の成長に長く付き合うことにあります。一時的な下落局面があっても、時間を味方につけることでリターンを積み上げていく考え方が重要です。


そのためには、自分の投資目的やリスク許容度に合った銘柄やETFを選ぶことが欠かせません。成長を重視するのか、配当による安定収入を重視するのかによって、最適な投資先は異なります。


そして何より大切なのは、長期視点で「持ち続ける」ことです。短期の相場変動に振り回されず、計画に沿って保有を継続することで、米国株の長期投資のメリットを最大限に活かすことができます。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。