公開日: 2025-12-10
日本で一番安い株とは、主に株価が100円以下の「低位株(ペニー株)」のことを指します。株価が安いと一見お買い得に見えますが、必ずしも割安とは限りません。企業の業績悪化や再建中など、株価が低い理由があるケースも多いからです。それでも低位株が注目されるのは、少ない資金で購入できるうえ、値動きが大きく短期間で利益を狙える可能性があるためです。
最新の「日本で一番安い株」のランキング例
| 銘柄(コード) | 株価状況など |
| ランド (8918) | 2025年12月時点で株価約10円。非常に低い水準 |
| ジャパンディスプレイ (6740) | かつては高値だったが、最近は20円台に低落。超低位株の代表例 |
| キムラタン (8107) | 2025年12月時点で株価約32円。低位株のひとつ |
| アゴーラホスピタリティーグループ (9704) | 株価50円台前半〜後半。低位株リストに掲載 |
ランド(8918)
ランドは不動産開発や不動産流動化事業を行う企業で、マンション開発などを中心に事業を展開しています。現在の株価は約10円前後と極めて安い水準にあり、時価総額は100億円台ながら、売上や利益が縮小している点が株価低迷の背景にあります。PERやPBRは一見割安に見えるものの、業績の安定性には注意が必要です。

ジャパンディスプレイ(6740)
ジャパンディスプレイは中小型液晶パネルを主力とするディスプレイメーカーで、大手企業の統合によって誕生しました。現在も構造改革や再建が続いており、株価は20円台と非常に低い水準です。工場閉鎖や知財譲渡などの再建策が進んでいますが、財務面や収益改善には不透明感が残り、投資する際には慎重な判断が求められます。

キムラタン(8107)
キムラタンは子供服・ベビー服の企画・製造・販売を行う企業で、近年は不動産賃貸事業にも参入しています。株価は30円前後と低位株の代表的な存在で、52週の株価レンジも広く、値動きの荒さが特徴です。アパレル事業の競争激化や事業ミックスの変化が利益面に影響しており、経営改善が今後の課題となっています。

アゴーラホスピタリティーグループ(9704)
アゴーラホスピタリティーグループはホテルや旅館の運営を行う企業で、宿泊施設の開発や管理運営などを手がけています。最近は黒字化に成功するなど業績改善の動きが見られますが、観光業という特性上、景気や外部環境の影響を受けやすい点が特徴です。株価は低位にありますが、収益の安定性と事業回復の持続性に注目が必要です。

低位株に多い/目につきやすい業種の傾向
「かつて成長していたが、業績悪化や市場環境の変化で低迷」した企業です。たとえばジャパンディスプレイ(ディスプレイ/電機メーカー)などの企業です。
流行や景気・需要の変化の影響を受けやすい分野(例:ゲーム、IT、医薬/バイオ、小売/サービスなど)で、かつヒットが出なかった企業です。例としてモブキャストHD やピクセラなどが挙げられます。
業績が不安定、借入や財務に不安を抱える企業 — 成長期待が後退している老舗や再建中企業などの企業は、株価が非常に低くなりやすい傾向があります。
つまり、「業績悪化 or 市場の衰退 or 成長見込みの低さ」が「安い株になりやすい」背景で、結果として特定の業種や企業タイプに、低位株が多くなりやすいようです。
株価が低い企業の特徴
株価が非常に安い企業には、共通していくつかの特徴があります。まず大きいのは 業績不振による低迷 です。売上の減少や連続赤字、主力事業の不振などが続くと、将来の成長が期待しにくくなり、投資家はそのリスクを価格に反映させます。その結果として株価が大きく下がり、低位株として長期間放置されるケースが多く見られます。
次に挙げられるのが債務過多・再建中の企業です。借入が膨らみ財務が悪化していて、過去の不採算事業の影響でリストラや構造改革を進めている企業は、投資家から慎重に見られます。再建が成功すれば上昇余地がある反面、失敗すればさらに株価が下落し、最悪の場合は経営危機に陥る可能性もあります。この不確実性が株価の低さに直結するのです。
また、低位株にはボラティリティが大きい(値動きが激しい) という特徴があります。株価が10円〜50円台など非常に低いと、1〜2円の変動でも上昇率・下落率が大きく見えるため、短期的に大きく動く傾向があります。そのため、短期トレーダーが集まりやすく、売買が活発なときは急騰・急落が頻発する銘柄も多く存在します。
さらに、低位株には増資リスクや上場廃止リスクが付きまといます。資金繰りが苦しい企業は、新株発行による増資を行うことがあり、そのたびに株式の希薄化(価値が薄まる)が起き、株価がさらに下がる可能性があります。また、業績悪化が一定期間続くと、取引所の管理銘柄に指定されたり、基準を満たせず上場廃止になるリスクもあります。これらが重なることで、株価はさらに低位のまま固定されがちです。
総じて、株価が安い企業は「割安」であることもありますが、多くの場合は リスクの高さを反映した「低評価」であることが多い点に注意が必要です。
日本で一番安い株のメリット、その裏側にあるリスク
株価が10円〜100円台の「低位株」は、一見すると敬遠されがちですが、実は多くの個人投資家が注目しているジャンルでもあります。その大きな理由のひとつは、少額資金で多くの株数を保有できるという手軽さです。例えば数千円程度の資金でも数百株〜数千株を購入できるため、小資金でも「大量保有している感覚」が得やすく、値動きが利益につながりやすいように見えることが魅力につながっています。
また、低位株は株価自体が低いため、値動きの幅が大きく表れやすいという特徴もあります。たとえば株価20円の銘柄が22円に動いただけでも+10%の上昇となり、短期間で数十%の値動きが頻繁に起こり得ます。この「短期で大きな利益を狙える可能性」が、トレーダーにとって大きな魅力となっています。
さらに、低位株の中には業績不振や再建中の企業も多いものの、構造改革が成功したり新規事業がヒットした場合、株価が大きく跳ね上がる「大化け(テンバガー)」の可能性が潜んでいます。再建企業に投資して成功を収める「ターンアラウンド投資」は、リスクは大きいものの成功した際には高いリターンをもたらすことがあるため、一部の投資家に根強い人気があります。
しかし、このようなメリットの裏側には、見落としてはならない 重大なリスク が存在します。まず、低位株はしばしば業績悪化や財務悪化が原因で株価が低くなっているため、倒産や上場廃止のリスクが高い場合があります。また、低位株の中には売買があまり活発でない銘柄も多く、流動性が低く、買いたいときに買えない・売りたいときに売れないという問題が起こりやすい点は注意が必要です。
さらに、資金繰りのために企業が新株発行を行った場合、既存株主の持ち分が薄まる「希薄化」が起こり、株価が急落するケースもあります。低位株ではこのような第三者割当増資による急激な希薄化が比較的起きやすく、投資家にとっては大きなリスク要因です。
加えて、低位株は株価が軽いため、短期トレーダーや仕手筋の動きに左右されやすい傾向があります。少ない資金でも株価を動かしやすいため、一時的な思惑買いで急騰し、その後急落するといった激しい動きに巻き込まれるリスクも存在します。
総合すると、低位株には「小資金で大きなリターンを狙える」という魅力がある一方で、倒産・希薄化・流動性不足・仕手化など、通常の株よりも高いリスクが付きまといます。そのため、低位株に投資する際は、株価の安さだけで判断するのではなく、財務状況、事業の健全性、資金調達履歴、株主構成、再建計画の実現可能性を冷静に分析することが不可欠です。
低位株を選ぶ際のチェックポイント
低位株を選ぶときには、単に株価が安いという理由だけで判断するのではなく、企業の基礎体力や将来性を丁寧に見極めることが重要です。まず注目すべきは業績で、売上や利益が安定して増えている企業は、株価が低くても将来的に回復する可能性があります。特に営業キャッシュフローがプラスであるかどうかは、事業がきちんとお金を生み出しているかを判断する重要な指標です。
次に、債務状況も必ず確認する必要があります。自己資本比率が低すぎたり、有利子負債が重すぎる企業は財務リスクが高く、株価が安いまま放置されることもあります。逆に、財務改善が進んでいる企業は見直されて株価が上昇しやすくなります。
また、事業再編や経営改善策が進んでいる企業は、業績回復とともに株価が上がる余地があります。例えば、不採算事業の売却、新規分野への参入など、具体的なアクションがあればポジティブ材料になりやすいです。
株主構成や浮動株比率も重要なポイントです。大株主がしっかりと持ち続けている企業は安定感があり、逆に浮動株が多すぎると株価が動きやすくなります。個人投資家の売買に振り回されやすい点は注意が必要です。
最後に、過去に急騰したことがある企業や、仕手化された履歴がある銘柄は、値動きが荒くリスクも高い一方で短期のチャンスがある場合があります。ただし、このタイプは上級者向けで、初心者は慎重に扱うのが安全です。
「安い=割安」ではない:価値判断の基準
株価が低いからといって、その企業が必ずしも「割安」であるとは限りません。重要なのは、株価の「数字の小ささ」ではなく、その企業が実際に持つ価値や収益力と比べて、現在の株価が適正かどうかという点です。
まず理解すべきは、株価の絶対値と企業価値(バリュエーション)は別物だということです。株価が100円でも、発行株数が膨大であれば企業全体の価値である時価総額は非常に大きな場合もありますし、逆に株価が2.000円でも発行株数が少なければ時価総額は小さくなります。つまり、投資判断は株価そのものではなく、「企業全体がいくらで評価されているか」を見ることが適切です。
次に重要なのが、収益力との比較です。企業が生み出す利益や資産価値に対して株価が割安かどうかを確認する際には、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などが便利な指標となります。PERが低ければ利益に対して株価が割安と判断できる場合があり、PBRが1倍を下回っていれば、企業の純資産より安い株価で取引されていることになります。
また、割安かどうかを判断する際には競合他社との比較も欠かせません。同じ業界でも成長性や収益構造が異なるため、同じPERやPBRの基準がそのまま当てはまらないこともありますが、同業他社の平均と比較することで、その企業が相対的に割安かどうかのヒントが得られます。
「株価が安い=掘り出し物」という考え方は誤りで、企業の本質的な価値を踏まえて割安かどうかを判断することが投資の成功につながります。株価だけで判断せず、企業価値・収益性・競合比較を組み合わせて総合的に分析することが重要です。
よくある質問(FAQ)— 日本で一番安い株に関して
Q1. 安い株は初心者に向いていますか?
安い株は少額から買えるため、初心者が投資を始める際の選択肢として魅力があります。ただし、株価が低い企業の中には業績が不安定だったり、財務リスクを抱えているケースも少なくありません。株価が安い理由を必ず確認し、事業内容や財務状況を理解した上で投資することが重要です。単に金額が小さいからといってリスクが低いわけではない点に注意が必要です。
Q2. 1円株(超低位株)は買っても大丈夫?
1円株や数円で取引される“超低位株”は、短期で大きく動く可能性がありますが、同時に倒産リスクや上場廃止リスクも高い傾向があります。ボラティリティが非常に大きいため、初心者には難易度が高いジャンルといえます。もし購入する場合は、資金のごく一部に限定し、「最悪ゼロになってもよい金額」で運用するのが安全です。
Q3. どのくらいの期間で値上がりが期待できますか?
低位株が値上がりする時期は企業の再建、業績回復、新規事業、行政支援などによって大きく左右されます。そのため「いつ上がる」と断定することはできません。一般的には、業績改善のサインが見え始めてから市場が評価するまで、数ヶ月~1年以上かかるケースもあります。短期で急騰することもありますが、その多くはニュースや投機による一時的な動きで、再び元の水準に戻ることも多いため注意が必要です。
Q4. 低位株は制度信用取引できますか?
低位株の中には制度信用取引の対象外となる銘柄も多くあります。株価基準や流動性が不十分な場合、取引所や証券会社の基準を満たせないためです。信用取引を検討する際は、証券会社の「信用取引銘柄リスト」を確認し、対象かどうかを事前にチェックしてください。特に1桁〜数十円の超低位株は、信用取引ができないケースがほとんどです。
Q5. スクリーニング方法は?
低位株を探す際のスクリーニングは、単に「株価が安い」を条件にするだけでは不十分です。以下の条件を組み合わせると、より質の高い銘柄を絞り込めます:
株価 300円未満(マイクロキャップ含む)
時価総額が一定以上(例:50億円以上) → 極端な小型株を除外
営業利益が黒字、または赤字縮小中
自己資本比率が30%以上 → 財務の安定性
過去1年の出来高が安定している → 流動性確保
PBR1倍以下 → 資産価値と比較して割安の可能性
結論:日本で一番安い株をどう捉えるべきか
日本で最も安い株を探す際には、まず「株価の安さ」が必ずしもお得であるとは限らない点を理解することが大切です。安値株には、小額から始められるという魅力がありますが、その裏には業績不振や財務不安など、株価が安い理由が存在する場合も少なくありません。そのため、投資する前に企業の財務状況や事業内容を確認し、値動きの大きさやリスクを把握しておく必要があります。
少額投資の入り口としては魅力があり、初心者が市場に慣れるには良い選択肢です。しかし、過度に期待せず、資金管理を徹底することが重要です。万が一株価が下がっても耐えられる範囲の金額で投資し、リスクを適切に分散することが成功への第一歩となります。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。