公開日: 2026-02-08
近年、世界中でサイバー攻撃が急増しています。個人情報や企業データを狙った攻撃が高度化しており、企業にとってセキュリティ対策は不可欠です。こうした背景から、各国ではデータ保護や情報セキュリティの規制が強化されており、サイバーセキュリティ市場は今後も大きく成長すると見込まれています。
投資家にとっては、この市場拡大の波に乗ることができる銘柄に注目することが重要です。特に、クラウドセキュリティやAIを活用した脅威検知など、先端技術を持つ企業は成長の可能性が高いと考えられます。
本記事では、サイバーセキュリティ銘柄の代表例について、詳しく解説します。
サイバーセキュリティ銘柄とは?

1.定義
サイバーセキュリティ銘柄とは、企業や組織の情報資産を守る製品やサービスを提供する企業を指します。具体的には、個人情報や企業データを保護するソフトウェア開発会社、ネットワークの安全性を確保するサービス企業、クラウド上のセキュリティソリューションを提供する企業などが含まれます。
2.主な業務内容
サイバーセキュリティ企業の事業は多岐にわたります。代表的な業務は以下の通りです:
セキュリティソフトの開発・販売:ウイルス対策、マルウェア防御、ファイアウォールなど
クラウドセキュリティ:クラウド環境におけるデータ保護やアクセス管理
ネットワーク保護:企業内ネットワークの監視や侵入検知、脅威防御
脅威分析・インシデント対応:攻撃パターンの分析やセキュリティインシデントへの迅速な対応
3.投資対象としての特徴
投資家から見たサイバーセキュリティ銘柄の特徴は以下の通りです:
成長性:デジタル化やクラウド活用の拡大により、今後も市場拡大が期待できる
リスク:技術革新の速さや競争激化、新しい脅威への対応の遅れによる業績変動リスクが存在
安定性:サブスクリプション型収益モデルを採用している企業は安定的なキャッシュフローを持ち、比較的安定した投資先になり得る
注目の国内サイバーセキュリティ銘柄
代表銘柄例(日本株)
トレンドマイクロ(証券コード:4704)
株式会社ラック(※上場廃止済み → 完全子会社化済 ※関連株として参考)
セコム株式会社(警備大手でセキュリティ事業も展開)
※他にも デジタルアーツ(2326)・FFRIセキュリティ(3692)・サイバーセキュリティクラウド(4493) などの関連株も選択肢としてあります。
1.トレンドマイクロ(4704) — 国内最大手のサイバーセキュリティ企業
企業概要
日本発のサイバーセキュリティ企業で、世界的にも認知度の高い存在。
初期はウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」で強いブランド力を確立し、現在はクラウドやネットワーク保護、統合プラットフォーム提供へ事業を進化。
強み
グローバル展開:日本だけでなく北米・欧州・アジア市場でも収益を確保。
製品・技術力:統合プラットフォーム「Trend Vision One」など、法人向けセキュリティ統合ソリューションが強み。
成長基盤:AI・クラウド対応の次世代製品を展開し、セキュリティニーズの高度化に対応。
投資家がチェックすべきポイント
株価バリュエーション:PER(株価収益率)が市場平均よりやや高めで評価されるケースも。
競争環境:米国勢(CrowdStrike、Palo Alto Networks 等)との競争が激化しており、競争優位性の維持が鍵。
買収・資本戦略:過去に買収関心が報じられたことが株価に影響する可能性あり。

2.ラック(関連株として参考) — SI×サイバーセキュリティ企業
企業概要
東京に本社を置くセキュリティサービス企業。政府・大企業向けセキュリティ監視、診断、コンサルティングを展開。
24時間体制のセキュリティ監視センター(JSOC)や「サイバー救急センター®」などの運用実績が強み。
強み
技術力・サービス力:サイバー攻撃検知・インシデント対応の運用・教育体制が評価される。
幅広い対応:診断サービス、脆弱性チェック、運用監視などをワンストップで提供。
投資家がチェックすべきポイント
同社は 2025年に非上場化(完全子会社化) されたため、株式投資の対象としては現在は取引対象外。また、上場時の株価評価やM&A影響などがテーマ株として参照されることがあります。
3.セコム(9735) — 安全・安心領域で強固なビジネス基盤
企業概要
日本最大の警備サービス会社として知られつつ、情報セキュリティ領域にも進出。
BPO・ICT事業では、セキュリティ監視、ネットワークサービス、情報漏洩対策なども提供。
強み
総合セキュリティ力:物理的な警備とデジタルセキュリティを結合したサービス展開。
グループ体制:多数のグループ会社により、情報システムやクラウドセキュリティソリューションも展開。
投資家がチェックすべきポイント
主力は警備:サイバーセキュリティ事業単体の成長だけでなく、総合力が評価要因となる点に注意。
事業ポートフォリオの幅:情報セキュリティ事業は多角的な収益構造の一部であり、株価への直接的影響は限定的なケースもあります。
注目の海外サイバーセキュリティ銘柄
1) CrowdStrike Holdings, Inc.(クラウドストライク|CRWD)
アメリカ・テキサス州オースティンに本社を置くクラウドネイティブ型のサイバーセキュリティ企業。エンドポイントセキュリティ、脅威インテリジェンス、攻撃対応などのサービスを提供しています。
Falconプラットフォーム はAI・クラウドベースで、クラウドセキュリティ領域でも高い評価を受けています。
アナリスト評価でも買い推奨の声が多く、2025年の価格レンジ予想も示されています。
ポイント:売上の多くがサブスクリプション収益で安定性が高く、クラウド時代のセキュリティ需要を捉えて成長が期待されています。
2) Palo Alto Networks, Inc.(パロアルト・ネットワークス|PANW)
世界的なネットワーク・クラウドセキュリティ企業で、ファイアウォールや次世代AI脅威検出ツールなどを提供しています。
セキュリティプラットフォーム戦略により、大企業を中心とした導入実績が豊富です。
一部期間で株価調整が見られる局面もありましたが、長期的な成長ストーリーは評価されています。
ポイント:企業向けプラットフォーム戦略の浸透とAI対応セキュリティの採用拡大が強み。
3) Fortinet, Inc.(フォーティネット|FTNT)
ハードウェア+ソフトウェア両面で統合的なサイバーセキュリティサービスを提供する大手企業。
高い収益性や成長率でアナリスト評価が良好な銘柄のひとつとされています。
ポイント:ネットワーク機器・セキュリティ製品をワンストップで提供する強みがあり、多数の大口顧客基盤が収益を支えています。
4) Zscaler(ZS)
クラウドベースのセキュリティサービスを提供する代表的企業で、ネットワークセキュリティのモダン化トレンドで評価されています。
売上成長と市場評価の高さから、投資家に人気の高い銘柄です。
ポイント:クラウドファースト企業を中心とした顧客獲得が進み、Zero Trustセキュリティニーズを捉えています。
5) SentinelOne(S)
クラウドベースのエンドポイントセキュリティ企業として成長が注目されています。
AI・機械学習を使った脅威検知・対応機能が強みです。
ポイント:比較的新興企業で成長性は高いものの株価変動が大きい場合があるため、投資タイミングの見極めが重要です。
投資戦略とリスク
1.長期投資向きか短期投資向きか
サイバーセキュリティ銘柄は、基本的に 長期投資向き といえます。理由は以下の通りです:
市場自体が今後も拡大していく成長産業であり、技術革新やクラウド化の進展によって需要が安定的に増加する。
一方で、短期的には新製品発表や競合動向、米国株の場合は為替変動や四半期決算の影響で株価が大きく変動することもあるため、短期売買には一定のリスクが伴います。
2.サイバーセキュリティ業界特有のリスク
この業界には独自のリスク要因があります。主なものは以下の通りです:
技術革新リスク:攻撃手法や脅威は日々進化しており、既存製品が陳腐化する可能性がある。新技術への適応力が企業価値に直結します。
規制変化リスク:データ保護法やサイバーセキュリティ規制の強化・変更により、事業戦略や収益に影響が出ることがあります。
競争激化リスク:グローバル市場では米国の大手企業や新興クラウドセキュリティ企業との競争が激しく、シェア維持には技術力とブランド力が不可欠です。
3.分散投資やETFを使ったリスクヘッジ
個別銘柄だけに投資する場合、上述のリスクが直接的に株価変動に影響します。リスクを抑える方法としては以下があります:
複数銘柄への分散投資:国内外の複数企業に投資することで、一社の業績悪化の影響を緩和。
サイバーセキュリティETFの活用:例えば、米国市場では「HACK(ETFMG Prime Cyber Security ETF)」や「CIBR(First Trust NASDAQ Cybersecurity ETF)」などがあり、業界全体に広く分散投資できる。
投資比率の調整:サイバーセキュリティ銘柄は成長性が高い反面ボラティリティも大きいため、ポートフォリオ全体の10〜20%程度に抑えるなどの戦略が有効。
今後の市場展望
1. AIやIoTの普及によるサイバーリスク増加
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の普及により、ネットワークに接続されるデバイス数が急増しています。
これに伴い、企業や家庭のシステムが攻撃対象となるリスクも高まります。
例えば、スマート家電や産業用IoT機器のセキュリティが甘いと、マルウェアやランサムウェア被害が発生しやすく、企業にとって対策コストの増加が避けられません。
そのため、AIやIoT対応の高度なセキュリティサービスを提供する企業は、今後も需要の拡大が期待されます。
2. 5G・クラウド・量子コンピュータ時代の新たなビジネスチャンス
5G通信の普及:通信速度の高速化により、クラウドサービスやIoT機器の利用が増加。これに伴い、ネットワーク攻撃や情報漏洩のリスクが増大します。
クラウド化の進展:企業のデータ移行が進むほど、クラウドセキュリティ市場が拡大。データ保護、アクセス管理、脅威検知サービスの需要が高まります。
量子コンピュータの台頭:暗号解読技術の進化により、従来の暗号技術が脅かされる可能性があります。量子耐性セキュリティや新しい暗号化技術の開発が新しい投資テーマとして注目されています。
3. 2026年以降の成長予測
市場調査会社によると、世界のサイバーセキュリティ市場は2026年以降も 年率10〜12%の成長 が見込まれています。
特にクラウドセキュリティ、AI脅威検知、IoT・エッジデバイスセキュリティが成長の牽引役となるでしょう。
投資家視点では、成長分野に強みを持つ企業を選定すること が、長期リターン獲得の鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. サイバーセキュリティ銘柄は今から投資しても遅くありませんか?
サイバーセキュリティ市場はすでに成長していますが、AI・クラウド・IoTの普及により需要は今後も拡大すると見込まれています。そのため、短期的な株価変動はあっても、中長期視点では投資機会は十分にあると考えられます。
Q2. 国内銘柄と海外銘柄、どちらに投資すべきですか?
安定性を重視するなら国内銘柄、成長性を重視するなら米国を中心とした海外銘柄が向いています。初心者の場合は、国内銘柄と海外銘柄を組み合わせた分散投資がおすすめです。
Q3. サイバーセキュリティ銘柄の主なリスクは何ですか?
技術革新のスピードが速く、競争が激しい点が最大のリスクです。また、決算内容やガイダンス次第で株価が大きく動くこともあります。特に米国株はボラティリティが高いため注意が必要です。
Q4. 個別株とETF、どちらが良いですか?
個別株は高いリターンを狙える一方でリスクも大きくなります。一方、サイバーセキュリティETFは複数企業に分散投資できるため、リスクを抑えたい投資家に向いています。投資経験に応じて使い分けるのが理想です。
Q5. どの指標を見て銘柄を選べばよいですか?
売上成長率、サブスクリプション比率、営業利益率などが重要です。また、AIやクラウド対応など、将来の技術トレンドに適応できているかもチェックポイントになります。
Q6. 短期売買には向いていますか?
決算発表や市場ニュースで株価が大きく動くため短期売買も可能ですが、値動きが激しい点には注意が必要です。基本的には中長期での成長を狙う投資スタイルに向いています。
結論
サイバーセキュリティ銘柄は、市場が今後も拡大する見通しのため、成長恩恵を受けやすい投資対象です。国内外の有望な企業やETFをバランスよくチェックし、リスクと成長性の両面を見極めて投資戦略を立てることが重要です。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。