公開日: 2026-01-26
「NTTの株価が上昇する可能性はどれくらい」が注目されています。その背景には、高配当かつ業績が比較的安定している点があり、相場の先行きが不透明な局面でも個人投資家の資金が集まりやすいことが挙げられます。特に日本株では「安定収益+配当」を重視する投資スタイルが根強く、NTTはその代表的な銘柄といえます。
また、株式分割の実施により投資単価が下がったことで、少額から投資できる銘柄として個人投資家層が拡大しました。これにより、長期保有を前提とした買い需要が増え、株価の下支え要因となっています。
さらに、東証の市場改革や企業の資本効率改善への意識の高まりを背景に、日本株全体が見直される流れも追い風となっています。こうした環境下で、安定性と将来投資の両面を持つNTTは、「大きくは上がらないが、着実な上昇が期待できる銘柄」として注目を集めているのです。

現在のNTT株価水準と市場評価(最新データ)
1. 株価推移の中長期トレンド(最新値)
2026年1月時点の株価は 約157円 前後で推移しています。
年初来では、高値167円・安値135円程度のレンジ内で動いており、大きな変動は見られていません。
株価は長期的には成熟企業らしく、急騰というより 一定の安定を保ちながら推移しています。
2. 時価総額と東証における位置付け
NTTの時価総額は約14兆円前後と巨大企業の部類です。
日本株全体でも上位に位置する大型株であり、インデックス銘柄としての存在感があります。
海外では米国ADR等でも取引されており、世界的にも通信・ITインフラ企業として評価されています。

NTTの株価が上昇する可能性を左右する要因
1. 業績面の要因
売上・営業利益の安定性
NTTは通信インフラを基盤とするため、個人・法人ともに解約率が低く、収益が比較的安定しています。景気変動の影響を受けにくい点は、株価の下支え要因となり、急落しにくい特徴につながっています。
法人向けIT・DX需要の拡大
通信事業に加え、法人向けのITサービスやDX支援は中長期的な成長分野です。これらの領域が拡大すれば、従来の「安定企業」という評価に加え、収益成長への期待が高まり、株価の評価見直しにつながる可能性があります。
海外事業の成長余地
国内市場が成熟する中で、海外のIT・データ関連事業は重要な成長ドライバーです。海外事業の収益性改善や規模拡大が進めば、NTT全体の成長ストーリーが明確になり、株価上昇要因となり得ます。
2. 株主還元の強さ
配当利回りと配当政策
NTTは安定した配当を継続しており、配当利回りの高さが魅力です。配当を重視する投資家の長期保有が多く、株価が下がりにくい構造を作っています。
自社株買いの有無とインパクト
自社株買いが実施されれば、1株あたりの価値が高まり、株価にプラスの影響を与えます。大型株であるNTTが株主還元を強化すれば、市場からの評価が高まりやすくなります。
3. 政策・規制の影響
通信料金引き下げ政策の影響
通信料金への規制は、短期的には収益の抑制要因となります。ただし、近年は値下げ影響が一巡しつつあり、株価への悪影響は徐々に織り込まれてきています。
政府保有株と経営の安定性
政府が一定の株式を保有していることで、経営の安定性は高い一方、急激な成長戦略は取りにくい側面もあります。この「安定と成長のバランス」が、NTT株の評価を左右する重要なポイントです。
NTTの株価が上昇する可能性はどれくらい:中長期視点

① 次世代通信(IOWN構想)の将来性
NTTが掲げるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想は、従来の電気信号中心ネットワークを光ベースの通信に置き換え、超高速・超低消費電力・低遅延ネットワークを実現しようとする次世代インフラ戦略です。
2025〜2026年にかけて、IOWNの中心技術であるAll-Photonics Network(APN)を使ったデータセンター連携やAI向けインフラの実証が進んでいます。例えば、IOWN APNで複数拠点のデータセンターを高速・低遅延で接続し、生成AIモデル学習の分散処理に成功している事例が報告されています。
また、IOWN APNを活用した長距離リアルタイムデータ同期の実証も他企業との協業で達成しており、将来的なミッションクリティカル系インフラとしてのポテンシャルが評価されています。
このように、NTTは単なる通信企業から、次世代ネットワークインフラのプラットフォーマーへ進化しようとしています。 成功すれば、グローバルな通信・データ需要を取り込める成長機会となり得ます。
② AI・データセンター需要との関係
AIの商用利用とデータセンターの需要は急増しており、NTTにとって大きな成長ドライバーです。
国内外でAI向けインフラ投資が増える中、NTTグループはデータセンター事業を拡大しています。特に、短期間で設置可能なコンテナ型データセンター(JPDC AI Container)の展開計画が進行中で、2027年以降の稼働を目標としています。
またNTTデータ(NTTグループ傘下のITサービス会社)は世界で多数のデータセンター拠点を保有しており、AI向けの高性能インフラ供給力を強めています。 世界でのデータセンター展開によって、収益のグローバル化とスケールメリット獲得が期待されます。
実際、IOWN APNを活用したGPUクラスタの分散化や高速データ転送技術の実証実験も進んでおり、AIワークロード処理の効率化を目指す動きが加速しています。
要するに、AIの処理需要増加に伴い、高速ネットワーク+データセンター供給力というNTTの強みが収益機会を拡大する可能性が高まっています。
③ 国内成熟市場でも成長できるのか
日本の通信市場は既に成熟しており、従来の通信サービス単体では大きな成長余地は限られています。 しかしNTTは、成熟市場内でも以下のような取り組みで成長戦略を描いています。
通信インフラ自体の高付加価値化:IOWNに代表される「高速・低遅延ネットワーク」は、新たなサービス需要(VR/AR、遠隔医療、スマート社会インフラ)創出につながる可能性があります。
AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)向けサービスの提供:企業向けクラウド+AIサービスは成熟市場でも伸びる余地があります。
国内外の連携:AIモデルの遠隔処理や産業活用実証など、国内産業のAI化支援を進める実証実験も行われています。
つまり、NTTは「単なる通信事業者」から脱却し、データ処理・ネットワークインフラ・AI活用支援を一体化したサービス企業へ変革を進めています。
これは成熟市場での付加価値アップと、新市場(AI/データセンター/次世代通信)へのシフトを同時に狙う戦略です。
NTTの株価が上昇する可能性はどれくらい?シナリオ別分析
1.まず現在の株価レンジ
2026年1月時点でNTT(9432)の株価は約157円前後で推移しています。過去1年の値幅は135円台〜167円台(52週レンジ)です。
アナリストの平均12ヶ月目標株価(コンセンサス)は 約178円前後で、現在値からの上昇余地の平均は+10~15%程度との予想です。高値予想では約215円のケースもあります。
2.強気シナリオ:業績改善+市場評価の見直し
想定条件
通信以外の高付加価値ビジネス(AI・データセンター・IoT連携)が明確に収益化
NTTのIOWNや次世代インフラの実装が進み、投資家の成長期待が強まる
海外事業、DXサービスの利益率上昇
株価上昇の可能性
ベース価格:157円
予想レンジ:約190円〜215円(+20〜+37%)
理由:アナリストの上位目標値215円を達成するケースは、強気成長期待の改善が前提。
こういうケースが強気と判断される背景
NTTがNTTデータを完全子会社化する動きや大規模AI投資との連携拡大が進めば、企業価値の再評価につながる可能性。
強気では、+20%超の上昇余地も見込める一方、実現には成長戦略の明確な裏付けが必要です。
3.中立シナリオ:配当中心の緩やかな株価上昇
想定条件
現状の通信収益は安定、AI・DX関連は伸びるが急拡大はしない
配当利回りが投資家に評価されて保有が続く
新規投資も収益化には時間を要する
株価上昇の可能性
ベース価格:157円
予想レンジ:約170円〜185円(+8〜+18%)
理由:アナリスト平均目標178円はこの中立ケース近辺。
特徴:配当利回り約3%程度の裾野を支えに、株価は「ゆるやかな上昇傾向」。
背景としては
NTTの連結収益予想が安定成長(増収・増益)となっている点。
中立シナリオではまずまずの上昇余地はあるものの、「劇的な成長」にはつながらないというスタンスです。
4.弱気シナリオ:規制強化・成長鈍化の場合
想定条件
国内通信市場の競争激化や規制強化で利益率が低下
AI・新規事業への投資が大幅に増えて収益を圧迫
財務リスク(借入負担など)が嫌気される
株価下落・低迷の可能性
ベース価格:157円
想定レンジ:約135円〜150円(−10%〜−4%)
理由:過去1年の安値が135円台で、弱気材料が深まるとこの水準への回帰リスク。
弱気要因の例
国内通信事業の停滞や全体利益の減速。
財務負担や成長投資の回収が遅れる懸念。
弱気では株価は現状よりも下振れする可能性があり、特に短期の業績悪化時には注意が必要です。
投資家が注意すべきリスク要因
A.通信業界特有の規制リスク
① 通信料金引き下げ圧力の影響
日本政府は競争促進や料金引き下げを重視しており、既存の通信サービス収益に圧力がかかっています。伝統的な固定通信やモバイル料金が下がると、NTTの利益率にマイナス影響を与える可能性があります。これは既存収益の柱である通信事業にとって、収益性の低下につながるリスクです。
② 法規制・政策変更の不確実性
政府がNTT株の保有比率や通信政策を変更する可能性も指摘されています。政策が変われば、株主構造や収益制度に影響が出る可能性があり、株価の変動要因となります。
B.成長期待の織り込み不足
① 成長株評価のハードル
NTTは伝統的に「安定収益・高配当株」として評価される銘柄です。成長株のような急成長の期待が株価に大きく織り込まれにくい特徴があります。例えばPER(株価収益率)は市場平均より低めで、投資家が成長性を高く評価しにくい環境になっています。
② 新規事業への収益移行のタイミングリスク
AI・データセンター・IOWNといった成長分野への投資は進んでいますが、収益への貢献が株価に反映されるまでには時間がかかる可能性が高いです。特に、次世代通信や高付加価値サービスの商用化が遅れると、投資家の期待が後退し株価が伸び悩むリスクがあります。
C.金利動向と高配当株への影響
① 金利上昇時の評価低下リスク
NTTは高配当株として評価されていますが、一般に高配当株は金利が上昇傾向にある局面では相対的な魅力が低下しやすい特徴があります。金利上昇局面では「債券の利回りが上昇」し、株式の配当利回りとの比較で株式が割高とみなされがちになるからです。これがNTTの株価評価にマイナス影響を与える可能性があります。
② 自由キャッシュフローと配当維持のプレッシャー
ネットワーク設備投資やデータセンターの拡充には多額のキャピタルエクスペンディチャー(設備投資)が必要であり、その結果、フリーキャッシュフローが圧迫される可能性があります。高配当を維持するための原資が制約されると、市場から株主還元の継続性に不安が生じ、株価コントリビューションが弱まる可能性が指摘されています。
D.追加で意識したいポイント(補足リスク)
サイバーセキュリティ・事故リスク
電気通信事業は重要インフラであり、サイバーセキュリティの問題やデータ流出事件が株価に大きなネガティブ影響を与えるリスクとして近年注目されています。たとえば国内外の通信事業者でセキュリティ事故が報じられると、投資家心理が悪化し株価が急落するケースも見られます。
NTT株はどんな投資家に向いているか
① 長期保有・配当重視型の投資家
NTT株は、長期保有を前提に配当収入を重視する投資家に最も向いている銘柄の一つです。
通信インフラという公共性の高い事業を基盤としているため、業績の変動が比較的緩やかで、配当の安定性が高い点が特徴です。
株価の値上がり益よりも、毎年の配当を積み上げていく投資スタイルと相性が良い
相場急落時でも下値が比較的限定的になりやすい
高配当株として「持って安心感のある銘柄」
そのため、老後資金づくりやインカムゲイン目的の投資家には、NTTは適した選択肢といえます。
② 日本株ポートフォリオのコア資産として
NTTは時価総額が大きく、日本を代表する企業であることから、日本株ポートフォリオの中核(コア資産)として位置付けやすい銘柄です。
ディフェンシブ性が高く、景気変動の影響を受けにくい
他の成長株や景気敏感株と組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑える役割を果たす
日本株市場全体の動向と大きく乖離しにくい
特に、「日本株に長期投資したいが、値動きの大きさは避けたい」という投資家にとって、NTTは安定的な土台となる銘柄です。
③ 成長株を求める投資家には向くか?
一方で、短期間で株価が何倍にもなるような成長株を求める投資家には、NTTは必ずしも向いているとは言えません。
事業規模が非常に大きく、急成長による株価急騰は起こりにくい
市場からは「安定株・高配当株」として評価されやすく、成長期待が強く織り込まれにくい
AIやIOWNなどの成長分野はあるものの、収益化には中長期の時間が必要
ただし、「成長も少し期待しつつ、安定性を最優先したい」投資家にとっては、完全に不向きというわけではありません。
急成長よりも「緩やかな成長+配当」を許容できるかどうかが判断ポイントになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. NTT株は今買っても遅くない?
結論から言うと、短期の値上がり狙いでなければ「遅すぎる」とは言えません。
NTTはすでに成熟した大型株のため、今から購入して短期間で大きな値上がりを期待する銘柄ではありません。一方で、株価は比較的安定しており、配当を受け取りながら長期保有する前提であれば、タイミングよりも保有期間の方が重要になります。
特に、
配当利回りを重視する
日本株の安定枠として組み入れたい
という目的であれば、「高値づかみ」になりにくい銘柄といえます。
Q2. NTTの株価は長期で何倍になる可能性がある?
現実的に見ると、数年〜10年で何倍にもなる成長株タイプではありません。
NTTは時価総額が非常に大きく、事業も成熟しているため、株価が2倍・3倍になるには、事業構造そのものが大きく変わる必要があります。
ただし、
配当を含めたトータルリターン
緩やかな株価上昇
を考慮すれば、長期で資産を着実に増やすことは十分に可能です。
「何倍になるか」よりも、「どれくらい安定して増えるか」という視点が適しています。
Q3. 配当狙いでも株価上昇は期待できる?
はい、配当狙いでも一定の株価上昇は期待できます。
NTTは配当利回りが比較的高く、配当目的の長期投資家が多いため、株価が下落しにくい構造があります。その結果、
大きく下がらない
少しずつ切り上がる
という動きになりやすいのが特徴です。
つまり、NTT株は「配当を受け取りながら、株価の緩やかな上昇も狙う銘柄」と考えるのが現実的です。
Q4. 規制が強い中で成長できるの?
確かに通信業界は規制の影響を強く受けますが、NTTはすでにその環境を前提に事業を展開しています。
通信料金そのものでは成長が難しい一方で、NTTは以下の分野に力を入れています。
法人向けIT・DX支援
AI・データセンター関連事業
次世代通信インフラ(IOWNなど)
これらは、従来の通信規制の枠外で成長余地がある分野です。
そのため、「通信会社としての成長」ではなく、「インフラ・IT企業としての成長」が今後のポイントになります。
結論|NTTの株価が上昇する可能性はどれくらい
NTTの株価は、短期間で大きく上昇するタイプというより、中長期で安定的に推移しながら緩やかな上昇を目指す銘柄と位置付けるのが現実的です。通信インフラを基盤とした事業構造により、業績のブレが小さく、株価も急落しにくい特徴があります。
そのため、NTT株の魅力は「大きな値上がり益」よりも、安定した配当と株価の緩やかな上昇を合わせたトータルリターンにあります。相場環境が不安定な局面でも保有しやすく、資産の土台として評価されやすい銘柄といえるでしょう。
投資判断では、短期的な株価予想よりも、
配当を含めた長期リターンをどう考えるか
日本株ポートフォリオの中でどの役割を担わせるか
といった視点で判断することが重要です。
「安定性を重視しつつ、無理のない上昇を狙う」投資スタンスに合うかどうかが、NTT株を選ぶ最大のポイントになります。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。