公開日: 2026-01-13
日本創発は、広告・クリエイティブを中心に、デジタル分野やDX関連事業へも展開する企業グループです。複数の子会社を通じて幅広いサービスを提供しており、安定した収益基盤と成長性の両立が特徴とされています。
近年は業績の拡大や事業領域の広がりを背景に、株価の動きが投資家の間で注目されるようになっています。一方で、相場環境や市場心理の影響を受けやすく、株価の変動幅が大きい点も関心を集める理由の一つです。
本記事では、日本創発の株価推移やその変動要因、業績・成長性を踏まえた今後の見通しについて、投資判断の参考となるポイントを分かりやすく解説していきます。
日本創発の会社概要
株式会社日本創発グループは、東京証券取引所スタンダード市場(証券コード:7814)に上場する持株会社です。2015年に設立され、傘下のグループ会社の経営管理・支援を行うことを主な事業内容としています。日本創発グループは、多数の連結子会社と関連会社を通じて、企画・制作・製造から配信に至るまでをカバーするクリエイティブサービス事業を展開しています。
同社グループは、印刷・映像制作・デジタルコンテンツ制作・販促ツールなど幅広い制作・クリエイティブ領域のサービスを提供しており、ワンストップのソリューションで企業の広告・プロモーション活動を支援しています。近年ではM&Aを通じてグループの事業基盤を強化し、領域拡大にも取り組んでいます。
収益源の中心はクリエイティブサービス関連で、印刷物やデジタルコンテンツ、販促支援の受託制作などが主力となっています。また、配当の増配や株主還元を強化する動きも投資家の注目点です。

日本創発の株価推移と現在の水準
過去数年の株価推移の傾向
日本創発グループ(証券コード:7814)は、2019年の上場来高値からその後の調整局面を経て、2024〜2025年にかけて比較的大きな値動きを見せています。2024年10月ごろには安値付近(約430円前後)まで下落した一方で、2025年夏に1.087円台まで上昇する場面もありました。こうした値幅の大きな動きは、業績評価や市場全体の地合いによる影響が大きかったと考えられます。
急騰・下落局面の要因
株価上昇が顕著だった時期には、増収の決算発表や配当利回りの改善期待などが背景にありました。また、年初来では株価が大きく上昇した局面もあり、値動きはボラティリティ(変動性)が高い銘柄といえます。反対に、業績予想で営業利益・経常利益が減益見込みとなった決算発表時には短期的な売り圧力になることもあります。
直近の株価水準と市場評価
2026年初頭時点の株価は700〜800円台前後で推移しており、前年の高値圏から調整局面入りしているように見えます。PER(株価収益率)は比較的低め水準で、配当利回りは高水準(7%台前後)であるため、一定の配当期待を背景とした投資の判断材料として意識されています。

株価を動かす主な要因
1) 業績(売上・利益)の成長性
日本創発グループは、2024年12月期に 売上高が約801億円と前期比で約7%増、当期純利益も増加するなど 増収増益の決算を達成しました。これは株価の支持材料となります。
しかし、2025年12月期は営業利益・経常利益が減益予想となっており、利益面の弱さが株価の重荷になる可能性もあります。
最新の第3四半期決算でも 売上は増収だが営業利益は減益で、株価変動の材料となっています。
→ 判断材料
売上の拡大はプラスですが、利益面の減少は株価の下押し圧力になることがあるため、投資家は 増収・減益という業績のバランス変化に注目しています。
2) M&Aや事業拡大の影響
日本創発は複数の M&A(企業買収)を積極的に実施しており、クリエイティブサービス領域の事業基盤を強化しています。たとえば、印刷関連やITメディア関連の企業を連結子会社として迎え入れ、売上増に寄与しています。
→ 判断材料
M&Aを通じた 事業ポートフォリオ拡大は将来の収益拡大につながる期待があり、株価の上昇要因になりうる一方で、短期では費用負担や統合コストが利益を圧迫する場合もあります。
3) 広告・クリエイティブ市場の動向
日本創発は主力事業として クリエイティブサービス(印刷・制作・プロモーションなど)を提供しています。デジタル化や広告需要の変化がこの市場全体に影響を与え、企業の宣伝投資の増減は売上に直結します。
この分野は景気や企業の設備投資意欲に左右されやすく、好業績期には株価を押し上げ、景気後退期には売上減少・利益悪化につながる可能性があります。
→ 注意点
特定業界の好不調や広告予算削減の動きが出ると、業績予想に影響しやすく、それが株価変動につながります。
4) 市場心理・地合いの影響
直近の日本株市場は、日経平均など広範な指数の上昇傾向やリスク選好の変化によって投資マインドが変わる局面にあります(例:大発会で日経平均が上昇など)。これに連動する形で、個別銘柄の株価にも 市場全体の動きや投資家心理が影響しています。
さらに、日本創発は 配当利回りが高水準になった時期があり、配当期待が株価を支える要素として働いた局面もありました。増配発表は投資家心理を改善し、一時的な株価上昇につながりました。
→ 判断材料
市場全体のリスク許容度や投資マインド、ニュース(増配・景気関連など)は短期的に株価を大きく動かします。
業績・財務面から見た株価評価
1.売上高・営業利益の推移
売上高(Revenue)は、近年増加傾向が続いています。
2024年12月期の売上高は約801億円と、前年(約748億円)から約7%増加しました。
2025年においても、直近四半期(2025年9月期)では前年同期比で売上高が約12%増と成長を維持しています。
利益面ではやや波があります。
2024年12月期は純利益が約28.7億円と前年から約14%増加しました。
四半期ベースでは2025年9月期に**当期利益が赤字(約-1.7億円)**となるなど、利益率はやや不安定さを見せています。
営業利益(本業利益)は、全体では増収の一方でコスト構造の影響を受けやすく、四半期では利益減少の局面もあるため、投資家は売上・利益のバランスと率の変化を注視しています。
2.収益構造の安定性
収益の中心はクリエイティブサービスを含む制作・広告関連で、利益率は比較的低めです。
最新のトレーリング12か月(TTM)データでは、売上高約852億円に対して純利益率は約2.9%台と低めにとどまっています。
また、総資産に対して利益をどれだけ稼いでいるかを見るROE(自己資本利益率)は約14%程度と、一定の収益力はありますが高い収益性とは言えません。
直近では一部四半期で赤字化した期もあり、利益の安定性には注意が必要です。
3.バリュエーション指標(PER・PBR など)
PER(株価収益率)は株価評価を示す指標のひとつです。
最新のPERは約15倍前後と、直近の株価水準から見ると標準的な水準です。
ただし、過去の予想PERを見ると8倍台〜10倍台台前半の低水準にとどまる時期もあり、割安感が意識される局面もありました。
PBR(株価純資産倍率)は直近では 2倍台前後で、純資産に対して株価がやや高めに評価されている点が分かります。
日本創発の今後の成長性
1.中長期の成長ドライバー
a.M&A戦略による事業拡大
日本創発グループは、印刷・クリエイティブサービスを軸に、多くの企業買収を通じて事業領域を拡大しています。たとえば、卓上カレンダー企画・製造会社のトラストの子会社化や、経営・ITコンサル企業のDNTIの買収など、専門性やサービス領域を広げるM&Aを積極的に進めています。これにより、既存事業の強化だけでなく、 顧客ニーズに合った付加価値サービス提供への対応力を高めています。
b.グループシナジーと付加価値提供への注力
単に売上規模を拡大するのではなく、印刷だけでなく、デジタルコンテンツ制作、3D-CG や AR/VR などの高度なクリエイティブ技術まで含めた総合的なサービス提供を目指す戦略が取られています。これは、顧客が求める多様な制作ニーズを1社で完結できる体制構築を進めるもので、 高付加価値領域への移行を狙った成長ドライバーになっています。
将来的には、これらのシナジーを活かしつつ、グループ企業の再編や製造拠点の統合・合理化、新たな基幹システムの構築などを進めることで、2026年12月期以降の 「新たな成長ステージ」への飛躍を目指していると評価されています。
c.デジタル・DX 関連需要との関係
日本創発は 伝統的な印刷分野からデジタルコンテンツ制作、3D-CG、映像制作、オンラインプロモーションまでカバーするサービス体制を幅広く整えており、これは デジタル市場拡大の潮流と親和性が高いという強みがあります。
具体的には、デジタル化の進展に伴い、単なる印刷物の制作だけでなく、デジタルコンテンツやプロモーション戦略全般を支えるソリューションの需要が高まっている点が追い風となります。特に、小売・イベント・ブランドプロモーション領域では、効果測定やデータ分析を含めたデジタルマーケティング支援が重視されており、日本創発はその部分を 顧客に提案できる体制づくりを進めています。
2.競合との差別化ポイント
a.トータルクリエイティブサービス提供力
多様な子会社を統合した ワンストップでの制作・配信支援が、同業他社との違いとして挙げられます。企画から制作、デジタルコンテンツ展開、配信・効果測定までの一連のサービスをグループ内で完結できる体制は、顧客にとって大きな利便性となります。
b.「高付加価値サービス」に向けたシフト
単純な印刷サービスに留まらず、3Dコンテンツ・AR/VR・デザイン企画など 高度なクリエイティブ技術を組み合わせたサービス提供により、一般的な印刷企業や単一分野の制作会社との競争優位性を強めています。
c.グループシナジーの活用
多数の連結子会社による 専門知識と技術の集合体としての価値提供により、大規模案件や複雑なプロモーション要件にも対応できる構造を持つ点は、他の中小クリエイティブ企業にはない強みです。
投資する際のリスクと注意点
日本創発グループ(証券コード:7814)は成長性が期待される一方で、株価に影響を与える複数のリスク要因があります。主なポイントをわかりやすく整理します。
① 業績変動リスク
日本創発は売上高は増加傾向にあるものの、利益の伸びにばらつきがあり、営業利益は減少する期もあります。2025年12月期の第2四半期決算では、売上は前年同期比で増加したものの、営業利益が大きく減少した結果になっています。これは人件費増や収益性向上に向けた先行費用の影響などが要因です。こうした利益の変動は株価評価にマイナスの影響を与える可能性があります。
② 市況悪化・広告需要減少の影響
日本創発の主要収益源である クリエイティブ・制作・印刷関連の需要は、景気動向や広告予算の増減に左右されやすいという特徴があります。景気が悪化したり企業の広告投資が縮小したりすると、受注減少・利益率低下につながるリスクがあります。既存事業の構造自体がそうした市場ニーズに依存している点は注意が必要です。
③ 株価ボラティリティの高さ
日本創発の株価は短期間で大きく動く傾向があります。2025年は年初来高値1.087円から年初来安値430円まで幅広く変動しており、値動きの幅が大きい(ボラティリティが高い)銘柄です。これは市場のセンチメント、決算内容、増配ニュースなどに反応しやすいことが背景です。個別株の性質上、短期的な価格変動が激しく、利益確定売りやセンチメントの変化による急落リスクにも注意が必要です。
④ 配当依存と特別要因リスク
2025年には特別配当を含む大幅な増配が発表されたことにより配当利回りが一時的に高水準になった(約10%近辺)ため、投資家の関心を集めました。しかし、こうした配当は一過性の特別利益や資本政策によるものであり、今後繰り返し実施される保証はありません。 特別配当が終了した後は配当利回りが低下し、株価評価が変わる可能性もあります。
⑤ レバレッジ(負債)・資本効率リスク
一部アナリスト分析では、負債の存在や資本効率に関する懸念が指摘されており、財務体質や資本政策の変化によっては投資リスクが増す可能性があります。これは、収益性維持と成長投資のバランスを見極める上で重要です。
よくある質問(FQA)
Q1.日本創発の株価が上がった理由は?
日本創発の株価が上昇した主な要因には、以下があります:
1.配当の大幅増配の発表
2025年12月期は年間配当が1株あたり60円へと大幅増配されることが発表され、配当利回りが高水準となったことで買いが入りやすくなりました。この増配は特別配当を含む内容で、株価を押し上げる強い材料となりました。
2.増収傾向の業績発表
2025年の第1〜3四半期決算で売上は前年同期比で増収を維持しており、事業規模の拡大が評価されました。
これらが組み合わさって、株価が上昇する局面が見られました。
Q2.今後の株価見通しは?
アナリストの評価や指標
一部のAIベース分析では、株価の中期的な目標値として約951円の上値余地が示されており、現状(800円台前半)からさらに上昇余地があるとの予想もあります。ただし、これはあくまで分析モデルによる予想であり、必ず実現するものではありません。
決算内容の影響
2025年12月期の第3四半期決算では売上高は増収でしたが、営業利益・経常利益は減益となっており、利益面の弱さが株価に重しとなる可能性もあります。
総じて、増配や売上成長は株価の支えとなる一方で、利益率や財務指標の動向次第では調整圧力も意識される状況です。
Q3.長期保有に向いている?
長期投資としての評価ポイント
売上の安定した成長:売上高は通期・四半期ベースで増収傾向にあり、事業基盤の拡大が進んでいます。
株主還元の強化:配当の大幅増配が続いており、高配当株としての魅力があります。
利益面の変動に留意:利益は増収と同時に減益局面も見られるため、利益改善の兆しが安定すれば長期投資の判断材料として有効です。
結論として、長期保有は「増配・成長」を評価する投資家には魅力がある一方で、利益改善や市場動向の確認を続けながらの投資判断が重要です(特に利益率や市場環境の変化に注意)。
結論|日本創発の株価と向き合うポイント
株価を見るうえでの重要ポイント
売上は増加傾向だが、利益の変動がある
日本創発グループは直近の売上が増収基調にあり、2025年9月期も前年比で売上が伸びています。ただし、営業利益や一部四半期では利益が減少する局面もあり、利益面の安定性は投資判断で注目すべき点です。
株価の値動きは大きい(ボラティリティあり)
2025年の52週レンジは430円〜1.087円と幅広く推移しており、株価変動が大きい銘柄です。短期のトレードや資金フローの影響を受けやすいことを意識する必要があります。
配当政策が注目点
2025年12月期に 大幅増配(年間配当60円) の発表があり、高配当利回りが一部で注目されています。ただし、増配の構成に特別利益が含まれる点は考慮が必要です。
財務健全性と資本効率
負債比率の高さやキャッシュフローの状況など、財務構造のポイントは投資評価で確認が必要です。自己資本比率や負債比率は他の銘柄と比較して慎重に見るべきです(詳細な数値は別の分析章で確認)。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。