公開日: 2025-11-21
NTT(日本電信電話)は、日本最大級の通信グループで、固定通信・モバイル通信・データセンターなど、生活に欠かせない通信インフラを担う企業です。安定した収益基盤を持つため、株式投資の対象としても人気が高いのが特徴です。
特にNTTは、高い配当水準とNTTの株主優待(Dポイント)の両方を提供しており、長期保有との相性が良い企業として注目されています。
この記事では、最新のNTTの株主優待の内容をわかりやすく整理し、さらに長期保有することで得られるメリットについてシンプルに解説していきます。
NTTの株主還元方針
1.配当政策(増配の実績・方針)
NTTは、通信インフラという安定した事業モデルを背景に、長期的に増配を続けている企業です。特に直近では、14期以上連続で増配を実施しており、日本企業の中でもトップクラスの株主還元姿勢を示しています。
この増配は景気や為替の影響を受けにくい事業構造に加え、通信需要の拡大・コスト効率化などで利益が安定していることが背景にあります。また、NTTは配当を「長期的・安定的に増やしていく」ことを明確に掲げており、毎年の業績に左右されにくい安心感も特徴です。
投資家からすると、配当収入を着実に積み上げたい長期保有者に向いている企業といえます。
2.自己株式取得(自社株買い)やその他の還元策
配当だけでなく、NTTは積極的に自己株式取得(自社株買い)も行っています。自社株買いは市場に出回る株数を減らすことで、1株あたりの利益(EPS)の向上や株価の押し上げ効果が期待できる株主還元策です。
特にNTTは、事業規模の大きさに対してキャッシュフローが強く、資本効率を高める目的で自社株買いを継続的に実施しているのが特徴です。
さらに、
安定した投資計画
財務体質の改善
グループ再編による効率化
など、株主価値に寄与する施策も積極的に行っています。
これらを総合すると、NTTは 「増配」+「自社株買い」+「長期の経営安定性」 を柱とする、株主重視の企業と言えます。
NTTの株主優待制度概要

NTTの株主優待は、同社グループが提供する「Dポイント」を株主に贈呈する形で実施されています。Dポイントはコンビニやドラッグストア、家電量販店など多くの加盟店で利用できるだけでなく、スマホ料金の支払いにも使えるため、実生活で非常に活用しやすい優待です。優待内容がポイント形式のため、受け取りやすさ・使いやすさの面でも人気があります。
株主優待を受けるには、まず 100株以上を保有していること が必要です。この最低保有株数は大手通信株の中でも比較的ハードルが低く、個人投資家にとって取り組みやすい条件といえます。また、NTTの優待には「継続保有期間」が重要で、一定期間の保有を続けるほど、より多くのDポイントが受け取れる仕組みになっています。
具体的には、2年以上3年未満の継続保有で1.500ポイント、さらに5年以上6年未満の継続保有で3.000ポイントが進呈されます。つまり、長く株を持ち続けることで優待の恩恵が増えるという、長期保有を奨励する設計になっています。配当と合わせて考えると、長期で保有するほど総合的なリターンが高まりやすいという特徴があります。
優待の権利を獲得するには、毎年 3月末の基準日 に株主名簿へ記載されている必要があります。基準日時点で保有していれば優待の対象になりますが、Dポイントを受け取る際には、NTTが案内する専用ページからの「エントリー」手続きが求められるケースがあります。この手続きを忘れるとポイントを受け取れなくなるため注意が必要です。また、ポイントの付与時期は年度によって指定されているため、公式案内で逐一確認することが大切です。
優待のメリットと活用方法
Dポイントの使い道(通信費・買い物など)
NTTの株主優待として進呈されるDポイントは、日常生活のさまざまな場面で利用できるため、非常に実用性が高い点が大きなメリットです。たとえば、ドコモのスマートフォン料金や、d払いを使ったコンビニ・ドラッグストア・スーパーでの決済に使えるため、通信費や生活費の節約に直接つながります。また、家電量販店やネットショッピングにも利用でき、日頃の買い物に幅広く活用できるのが特徴です。ポイントの有効期限も比較的長く、まとまった額を貯めて大きな買い物に使うことも可能です。
長期保有と優待の戦略的価値
NTTの優待制度は「長く持つほどポイントが増える」設計になっており、長期投資との相性が非常に良いといえます。2年以上の保有で1.500ポイント、5年以上の保有で3.000ポイントと保有期間に応じて優待額が増えるため、長期保有を前提とした個人投資家にとって魅力的な制度です。
さらに、NTTは増配傾向が続いている企業でもあるため、優待でもらえるポイントに加えて配当金も積み上がるというメリットがあります。このため、長期で保有すればするほど「トータルリターン」が高まりやすく、特に安定した資産形成を目指す投資家に向いています。株価の値上がりによるキャピタルゲインだけでなく、配当と優待の組み合わせで着実にリターンを得られる点が戦略的な魅力といえます。
リスク・留意点
一方で、優待制度を活用する際にはいくつかの注意点やリスクも存在します。まず、NTTの株主優待は「毎年ポイントが付与されるタイプ」ではなく、あくまで 継続保有期間が条件になっているため、短期保有では大きなメリットを得られません。また、企業が将来優待制度を変更・縮小する可能性もゼロではありません。
さらに、株式である以上、株価の変動リスクは常に存在します。市場環境や業績によって株価が下落すれば、優待や配当を受けても損失につながる可能性があります。また、優待を受け取る際には「エントリー手続き」が必要になるケースがあり、手続きを忘れてしまうとポイントを受け取れないという注意点もあります。
これらの点を理解したうえで、優待と配当を組み合わせた長期的な視点での保有が、NTT株を活用する最も効果的な方法といえます。

他社通信キャリアとの比較(NTT vs KDDI / ソフトバンク)
1.KDDI・ソフトバンクなどとの優待比較
KDDI(au)
KDDIの株主優待は、100株以上保有の株主を対象に、Pontaポイントやローソン・成城石井の商品詰め合わせセットなどから選べる方式です。
保有期間が1年以上5年未満の場合は2.000円相当、5年以上で3.000円相当です。
2025年にはKDDIが株式分割を実施しており、分割後は優待の基準株数が変わる予定との情報があります。
また、Pontaポイントを選んだ場合、「au PAY マーケット限定のPontaポイント」として 1.5倍に増量できる特典もあります。
ソフトバンク
100株以上を 1年以上継続保有 している株主に対して、PayPayマネーライト 1.000円分が付与される優待があります。
この優待は2025年3月末を起点に、1年以上の継続保有者が対象という条件になっています。
PayPayマネーライトは、PayPay加盟店での買い物やオンライン決済に使えます。
2.NTTが他社と比べて優れている/弱い点
強み(優れている点)
NTTの株主優待はDポイントで提供され、非常に汎用性が高い。ドコモの通信費や、d払い対応の店舗・オンラインで利用できます。
継続保有期間に応じた 長期保有インセンティブ が強い。2年以上で1.500ポイント、5年以上で3.000ポイントという設計は、長期投資家にとって魅力的です。
株主優待人気ランキングでも、NTTは大手キャリアの中で高い評価を受けており、優待制度が投資家に支持されています。
弱み(他社に劣る/注意すべき点)
NTTの優待は ポイント付与が一定期間ごと(2年・5年など)であり、毎年付与されるわけではありません。
Dポイントを受け取るには 申請/エントリーが必要な場合があります(忘れると受け取れない可能性がある)。
他社(KDDI)はPontaポイントを1.5倍に増量できる制度を持っており、一部の株主にはより高インパクトの還元が可能です。
ソフトバンクの優待は「比較的短期(1年継続)」で恩恵があるため、NTTに比べて、ある程度軽めのホールドでも優待を享受しやすいです。
将来展望・展開
1.NTTの今後の経営戦略とのリンク
NTTは今後の中長期戦略として、「IOWN構想(Innovative Optical and Wireless Network)」を中心に、通信インフラの革新を進めています。IOWNは光技術を活用して通信速度・低遅延・省電力化を大幅に向上させる次世代ネットワーク構想で、2030年代を見据えたグローバルレベルのプロジェクトです。これが実現すれば、AI、データセンター、メタバース、スマートシティなどの社会インフラすべてに関わる巨大市場での存在感が一段と高まります。
また、国内外でデータセンター事業の拡大も積極的に進めており、今後のAI需要、クラウド利用拡大、企業デジタルトランスフォーメーション(DX)といった社会的トレンドを取り込みやすい体制が強化されています。安定した通信事業と、成長分野であるデータセンター・クラウド領域の両輪で収益基盤が強化されるため、長期保有の投資家にとっては非常に魅力的な経営戦略です。
さらに、NTTは過去の増配実績や自社株買いの取り組みを考えると、将来的にも株主還元を継続し、むしろ強化していく可能性が高いと見られています。新規事業で収益性が改善した場合、配当性向の引き上げや、より積極的な自社株買いを行う余地もあります。これらの点から、NTT株は「成長+安定+株主還元」の3つを兼ね備えた長期投資向け銘柄としての魅力を保ち続けると考えられます。
2.優待制度変更のリスク
一方で、株主優待制度には将来的な変更リスクも存在します。現在はDポイントを進呈する方式ですが、企業の経営判断や市場環境の変化によって、優待制度の見直しが行われる可能性があります。具体的には、継続保有期間の条件が緩和されて優待を受け取りやすくなるケースもあれば、逆に基準が厳しくなって長期保有の要件が強化されるケースも考えられます。
さらに、昨今の日本市場では「株主優待廃止」「ポイント制度の縮小」といった企業も増えており、NTTも例外ではありません。企業が配当や自社株買いなど、より直接的な株主還元に比重を置く場合、優待制度そのものの見直しが行われる可能性もゼロではありません。
また、Dポイント制度自体が将来仕様変更される可能性もあり、それに伴って優待内容が変更されることも考えられます。ポイント有効期限や付与方式の変更によって使い勝手が変わる可能性も否定できません。
こうしたリスクはあるものの、現状では株主重視の経営姿勢が続いているため、急激な優待廃止などの可能性は高くないと見られます。しかし、長期保有を前提とする投資では、制度変更の可能性を織り込みつつ、配当や成長性も含めた総合的なリターンを重視することが重要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. NTTの株主優待はいつもらえますか?
NTTの株主優待は、権利確定日の時点で株式を保有している投資家に対して、毎年決められた時期に送付されます。通常は、決算後の初夏〜秋頃にかけて発送されることが多く、優待内容は年によって見直される場合があります。権利確定日の直前に購入しても受け取れますが、優待を安定して楽しみたい場合は継続保有が推奨されます。
Q2. NTT株は長期保有すると本当に有利ですか?
NTT株は通信インフラを担う企業という性質から、業績が比較的安定しており、長期保有と相性の良い銘柄です。加えて、優待制度では保有期間が長いほどポイントが増える仕組みが採用されているため、継続保有することで実質利回りが高まりやすい特徴があります。配当も継続して支払われているため、長期的な資産形成に向いています。
Q3. 配当利回りはどの程度ですか?
NTTは安定配当を重視しており、利回りは市場環境や株価によって変動するものの、国内大型株の中では比較的高い水準を保っています。増配も定期的に行われてきたため、長く持つほど配当収入が安定しやすい点も魅力です。最新の利回りは株価により変わるため、投資前にチェックすることが推奨されます。
Q4. NTT株は初心者でも買いやすいですか?
NTTはリスクが低めで値動きが比較的穏やかな銘柄のため、投資初心者でも扱いやすい株として知られています。1株から購入できる証券会社も増えているため、少額で始めたい人にも適しています。また、優待や配当といったメリットが明確なため、投資経験が浅い人でも保有しやすいのも特徴です。
Q5. 今から買っても遅くありませんか?
NTTは短期的な値上がりを狙う銘柄というより、長期の資産形成を目的とした投資に向いています。そのため、タイミングに神経質になる必要は比較的少なく、将来的な安定利益を重視する投資家にとっては今からの購入でも十分メリットがあります。特に優待や配当を重視する場合は、長期保有のスタート時期が早いほど有利です。
結論
NTT株は、安定した配当と使いやすい株主優待が魅力であり、長期保有ほどメリットが積み上がる銘柄です。通信事業の安定性により、価格変動リスクも比較的抑えられている点が長期戦略と相性の良さにつながっています。
継続して株を持ち続けることで恩恵を得たい長期投資家に向いています。また、毎年の優待を楽しみたい投資家や、安定配当を重視する配当狙いの投資家にも適した銘柄です。値動きより安定感を重視する人に特におすすめです。
長期保有するほど優待や配当の実質的な利回りが高まるため、短期売買ではなく「じっくり持つ」姿勢が重要です。NTTの株主優待内容の変更や増配などのニュースもチェックしつつ、メリットを最大限享受できるよう長期的な視点で運用するのがポイントです。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。