公開日: 2026-01-08
日産株が買うべきかという質問に対して、結論から言うと、日産株は現時点では「慎重な様子見」が無難といえます。株価には割安感があるものの、業績の安定性や成長ストーリーがまだ明確ではなく、積極的に買いに向かう材料は限定的です。
日産株は、短期的な値上がりを狙う投資家には向きにくく、大きな材料が出ない限り株価は方向感を欠きやすい傾向があります。一方で、EV事業の立て直しや業績回復を期待できると考える投資家にとっては、リスクを理解したうえでの中長期投資対象となる可能性があります。
短期視点ではボラティリティが低くリターンを狙いにくい一方、中長期では経営改善やEV戦略の進展次第で評価が変わる余地があるため、投資期間によって判断が分かれる銘柄といえるでしょう。

日産株の現状|株価と市場評価
1.現在の株価水準と過去推移
日産自動車の株価は2026年1月時点で約390円前後で推移しています(終値例)。
過去1〜2年にわたり株価は不安定で、年初来安値を更新した時期があるほど下落圧力が継続していました。FACTAによれば、販売不振や利益低迷を受けて株価が年初来安値を付けた局面もありました。
一方で、投資家の材料出尽くしや一時的な買い戻しで株価が短期的に上昇する局面も見られます。
2.日経平均・自動車株との比較
日産株は他の主要自動車株に比べてパフォーマンスが弱い傾向があります。
比較指標を見ると、トヨタ株が3.000円台を維持しているのに対して、日産株は400円台と規模・株価水準が大きく異なります。また、日産の予想PERは算出不能(赤字ベース)、PBRは非常に低水準である一方、トヨタは比較的高い株価指標となっています。
市場が日産を低評価している理由
1.業績の低迷と下方修正
2025年3月期において、連結営業利益が大幅減少し、通期予想も大幅な下方修正が行われたことで利益成長への懸念が強まりました。
一部報道では営業赤字や利益率の急低下が深刻視され、株価に悪影響を与えています。
2.市場シェアの縮小
国内販売において新車投入遅れ等の要因から販売台数が低下し、国内市場シェアが過去最低水準になったとの報道もあります。
3.EV戦略・競争力の不透明感
EVや次世代車での競争が激化する中、日産の電動化戦略がライバルに比べて遅れ気味という評価もあります(EV計画変更のニュースも存在)。
4.経営再編・統合計画の不確実性
ホンダとの経営統合など、統合に絡む材料が株価を変動させていますが、計画が確定していないため評価は分かれています。
日産株が安い・上がらない理由(最新)
1. 業績の不安定さ・利益率の低さ
日産は最近の決算で赤字や利益率の極端な低下が続いており、株価評価を押し下げています。
2025年度の営業利益率がほぼゼロ〜赤字水準となり、利益率の改善が見えない状態です。昨年度の第1四半期でも営業損失が出ており、フリーキャッシュフローもマイナスという財務圧迫が続いています。
S&Pは日産の格付けをBB-(投機的水準)へ引き下げ、自動車部門のEBITDAマージンが低水準に留まる見通しを示しています。これは収益性の弱さが投資リスクとして評価されていることを意味します。
要点: 利益が安定せず、収益性も競合より低い点が株価の重しになっています。
2. EV競争での出遅れ感
電動化(EV・次世代車)に関しても、競争力の弱さが指摘されています。
中国企業(BYDなど)や欧米メーカーに比べて、日産の電動化戦略が一歩遅れているとの見方が多く、モデルの競争力不足や販売力低下が観測されています。
高額な投入コストや固定費負担が利益を圧迫し、経営再建を迫られている背景もあります。こうした戦略面の遅れは、長期成長期待を薄めています。
要点: EV競争で遅れをとる懸念が、投資家の期待を抑制しています。
3. ルノーとの資本関係・経営面の不確実性
長年のルノーとのアライアンスは、経営戦略の不透明性を生む要因にもなっています。
日産はルノー株式を保有している一方で、経営自主性を高めるため出資比率を減らす計画を進めていますが、この見直しが将来の協業関係について不確実性を生んでいます。
一部報道では提携関係の見直しが日産の再建策の一環とされますが、投資家視点では「戦略的パートナーからの支援が弱まる可能性」という不確実性として評価されています。
要点: アライアンス関係の変化が経営の安定性に対する懸念につながっています。
4. 配当・株主還元の弱さ
配当や株主還元の面でも魅力が限定的です。
以前は高配当利回りが注目されていた時期もありましたが、赤字決算や利益低迷が続いたことで配当維持の保証が薄れています(配当カット・再投資優先などの観測)。
投資家は将来の配当成長見通しや株主還元政策を評価する傾向がありますが、現状では安定配当の見通しが立ちにくく、株価を下支えする強い要因とはなっていません。
要点: 配当期待が低下していることも投資魅力を下げています。
5. マクロ・競争要因
業界全体の需給悪化や競争激化も影響しています。
世界的に需要が鈍化し、中国の自動車勢の台頭により日本メーカー全体が販売競争に直面していますが、日産は特に市場シェアを落としているという指摘があります。
米国・中国市場での販売不振や関税などの逆風も、収益改善を遅らせています。
要点: 業界側の複合的な逆風も、日産株のパフォーマンスを抑えています。

業績・財務状況のチェック(最新)
1. 売上・営業利益の推移
日産の2025年3月期(2024年度)決算では、連結売上高は約12兆6.300億円と前期とほぼ横ばいでした。営業利益は約698億円(営業利益率0.6%)と非常に低水準にとどまっています。前年のような大きな黒字に比べると利益の落ち込みが著しいです。
当期純利益は約▲6.709億円の赤字となっており、損益状況は厳しいです。これは前年に比べて大幅な減益・赤字転落を示しています。
2025年度第1四半期においても約790億円の営業損失を計上しており、年度通期でも赤字基調が続く可能性が高いという見方が出ています。
要点:売上は維持しているものの、「稼ぐ力(営業利益)」が著しく落ちていることが株価下落の大きな要因です。
2. フリーキャッシュフロー(FCF)の状況
2025年度通期の自動車事業のフリーキャッシュフローは赤字(約▲2.428億円)となっています。これは本業で稼いだ現金以上に投資支出がかさんでいる状態です。
第1四半期でもマイナス約3.900億円となっており、短期的な資金繰り余力に重圧がかかっています。
このため、格付け機関の一部はフリーキャッシュフローが2025年度も赤字で推移すると予想しています。
要点:自由に使える現金が不足しやすい状態は、成長投資や配当余力を下押しするリスク要因です。
3. 財務健全性(自己資本比率・有利子負債)
日産の自己資本比率は約26〜29%前後という数字が示されており、財務基盤としてはやや弱めの水準です。
過去のレポートでも、日産は評価機関からの格付け引き下げ(ジャンク債水準)やネガティブ見通しが出ており、有利子負債やキャッシュフローへの懸念が影響しています。
ただし、現金・流動資産自体はある程度の余力(自動車部門のネットキャッシュ約1.4兆円超)があるため、短期的な支払い能力は確保されているとするデータもあります。
要点:財務安全性は決して健全とは言えないものの、今すぐ破綻するような水準ではなく、「苦しいけれど継続可能」という評価です。
4. 他自動車メーカーとの比較
収益力の差が大きく、トヨタをはじめとする競合に比べて営業利益率が低い点が際立っています。
たとえば2023年度の好調期には利益率5%以上を記録していた時期もありましたが、直近は1%未満に低下しています。
同期間の他社例では、競合グループは一定の黒字・高収益を維持している企業が多く、成長性・収益性での差が投資家評価に反映されています。
要点:競合との比較では日産は収益面で明らかに弱いという評価が一般的です。
EV・電動化戦略の評価
1.日産のEV戦略はどうなっているか?
日産はEVの先駆者として2010年代に初代「リーフ」を投入し世界的な注目を集めましたが、その後の勢いを失い、電動化競争で出遅れたとの評価がありました。現在は新しい戦略「The Arc」で巻き返しを図っています。
新中期計画「The Arc」では、2026年度までに営業利益率6%超を目指し、EVを含む新型車を多数投入。これによりEVを含む商品ラインアップの活性化と収益改善を図る計画です。
日産は2030年までにグローバル販売台数で100万台以上の増加や、電動車比率の大幅引き上げを目標に掲げており、他社と競争するための方向性を打ち出しています。
要点:巻き返しの基盤は構築中ですが、まだ競合との差は明確です。
2.主力EVモデルの状況
新型リーフ
最新の「新型リーフ」が2025年秋に北米で発売され、日本・欧州でも展開へ。バッテリーや生産体制を強化し、航続距離や実用性を高めたモデルになっています。
新型リーフは競合(テスラ モデルYやトヨタ bZ4Xなど)と比較すると、航続距離や性能で大きく勝る部分はないものの、効率性や静粛性を重視した設計として差別化を図っています。
Ariya(アリア)
EV SUVとしての中核モデル「アリア」は海外市場でも存在感を示していますが、発売が遅れたため競合に先を越されているとの指摘があります。
アリアは欧州ノルウェーで人気モデルになるなど一定の評価はあるものの、グローバルでの販売競争力はまだ限定的という分析もあります。
3.トヨタ・テスラ・中国企業との比較
テスラ
Teslaは世界的なEV市場で依然として強い存在感を持ち、価格戦略や充電インフラの優位性があるため競争は厳しい状況です。最新ではTeslaが世界EV販売で中国BYDにシェアを奪われるニュースも出ていますが、日産との差はなお大きい状態です。
トヨタ
トヨタはハイブリッド(e-POWER)や他の電動車戦略で堅調な販売を続けていますが、純EVでは導入が遅れ気味との指摘もあります。日産のリーフ新型投入はその穴を埋める意図がありますが、トヨタ全体の電動戦略と比べてもまだ遅れが指摘されています。
中国企業(BYDなど)
中国製EVは価格競争力と販売量で世界的に台頭しています。特にBYDは日本市場でもシェアを伸ばしており、日産のリーフやアリアにとって競争環境は厳しくなっています。
4.電動化戦略が株価上昇材料になり得るか?
ポジティブ要因
リーフ新型・アリアの投入による商品競争力の向上
中計「The Arc」による収益改善目標
世界的なEV需要の長期増加期待
上記のような動きは、成功すれば株価の評価改善につながる可能性があります。ただし、現時点では商品ラインアップの遅延や競争激化が課題で、これらが株価に反映されるまでには時間が必要との見方が多いです。
今後の株価シナリオ
1.強気シナリオ(業績回復・再建成功)
条件・要因
業績改善の兆しが明確化
日産の再建策「Re:Nissan」などコスト削減・事業効率化で、損益改善が進む可能性。投資家評価が上昇する要素になります。
新型車やEV投入が成功
新車モデルやEV戦略に目立った成果が出て販売・収益が押し上げられれば、株価材料になります。
利益改善予想が達成
一部機関予想では、数年以内に収益改善・EBIT改善が期待されています(将来的な利益・EPS向上の可能性あり)。
株価レンジ想定
もし改善シナリオが確実になれば、アナリスト予想より高い水準(例: ~400円超)に戻る可能性。
ポイント
現状は変革・構造改革の最中であり、成功すれば投資家心理が改善。
強気は「改善達成が確定」レベルの材料が必要。
2.中立シナリオ(低位横ばい)
条件・要因
業績は改善傾向だが劇的ではない
現状は売上減少・利益率改善の兆しは乏しく、短期的な回復は限定的です。2026年度でも収益改善は緩やかとの見方が根強いです。
市場・競争環境は厳しい
中国メーカーの台頭や世界的な販売鈍化は継続リスクであり、日産固有の回復には時間を要する可能性があるため、株価は横ばいレンジを継続する可能性が高いです。
アナリスト評価は「HOLD」多め
強い買い推奨は少なく、12ヵ月平均目標株価は現株価付近で評価者は平均的な評価を継続しています。
株価レンジ想定
中立シナリオでは概ね300〜450円台のレンジで推移する可能性。
ポイント
買い材料と売り材料が拮抗し、値動きは限定的。
3.弱気シナリオ(競争激化・利益悪化)
条件・要因
構造改革が不十分・利益悪化が続く
Fitchなど格付け機関は日産の格付けを低位(BB+ネガティブ)にしており、収益改善の遅れが評価を下押しするリスクがありますInvesting.com。
グローバル販売の弱さ・コスト重圧
販売台数の減少や市場環境の悪化が続くと、収益回復が後退する可能性があり株価下振れリスクを高めますS&P Global。
資金繰り・フリーキャッシュフローが改善しない
当面のフリーキャッシュフロー改善が難しく、再建策評価が低くなると、投資家の売り圧力が強まる可能性があります。
株価レンジ想定
弱気では250円以下の下方ブレも視野に入る可能性があります(目標株価下方修正・ネガティブ環境が続く場合)。
ポイント
構造改革やコスト削減の効果が期待以下にとどまる場合、株価の低迷が長期化。
4.外部環境リスク(全シナリオ共通)
以下のマクロ要因が株価変動に影響を及ぼす可能性もあります:
世界経済の不透明感・インフレリスク
2026年の世界市場ではインフレ再燃などのリスクが指摘され、投資家心理を抑える可能性があります。
自動車市場全体の需要鈍化
他メーカーも販売鈍化で苦戦しており、日産固有ではなく、部門全体の環境リスクが株価を重くする可能性があります。

日産株が買うべきか:メリット・デメリット
メリット(買う理由)
① 株価の割安感・バリュエーションの魅力
日産株は株価指標(PBRなど)が非常に低水準で、歴史的に見ても割安と評価される場面があります。投資家が割安株として注目し、将来の反発を狙う動きが見られます。
PBRはTOPIX500構成銘柄中極めて低く、アクティビスト投資家の取得事例も出ています。
② 世界的なブランド価値
日産自動車は長年にわたり世界規模のブランドとして認知され、販売ネットワークやブランド力を持っています。ブランド力は長期的な競争の基盤になります。(一般に言われる強いブランドの一つとして評価)
③ 再建・EV戦略への期待
日産は電動化や戦略転換による再建計画を打ち出しており、電動車比率の引き上げなどで「再成長シナリオ」の素材があります。
2031年までにEVの生産コストを内燃機関車と同等にする計画や、固体電池投入計画など、技術面の長期戦略が進行中です。
こうした「再建の成功」や「新技術の実装」が本格化すれば、株価上昇のポテンシャルが出る可能性があります。
デメリット(買うリスク)
① 成長ストーリーが弱い・競争激化リスク
日産は電動化・EV市場で競合(特にTeslaやBYDなど)に大きく後れを取っており、市場シェアが低下しています。競合優位性がなく成長ドライバーの力が弱いという課題があります。
アライアンス戦略やEV投入が続くものの、ライバルに対して明確な優位性を確立できていません。
② 株価の長期低迷リスク
株価が長期的に低迷している点は注意点です。
過去の株価下落や低迷が続く背景として、経営課題や市場環境の変化が指摘されており、投資家の失望を招く可能性があります。
株価が割安とはいえ、割安に留まる期間が長引くとリターンが限定的になる可能性があります。
③ 経営・実行リスク(不透明さ)
日産は再建・構造改革の最中であり、計画が正しく実行されるかは不透明な部分があります。
コスト削減計画や工場閉鎖などによって再建を進めていますが、利益改善の実行期限が迫る中で遅れなどが起きれば株価に悪影響が出る可能性があります。
こうしたリスク要因が、投資家心理を冷やす要素として働きやすいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 日産株は配当目的で買える?
現時点では、配当目的での日産株投資は慎重に考えるべきです。
日産は過去に配当を実施してきましたが、直近では業績悪化やフリーキャッシュフローの不安定さから、安定した高配当銘柄とは言いにくい状況です。今後、業績回復が進めば配当再開・増配の可能性はありますが、現段階ではインカム目的よりも値上がり期待を前提とした投資向きといえるでしょう。
Q2. 今が底値の可能性はある?
「底値圏に近い可能性はあるが、断定はできない」というのが現実的な見方です。
株価はすでに長期低迷が続いており、悪材料はある程度織り込まれているとの見方もあります。一方で、業績の本格回復が確認できていないため、さらなる下振れリスクも残っている点には注意が必要です。底値を狙うよりも、業績改善の兆しが見え始めた段階で判断する投資家も多いです。
Q3. トヨタ株と比べてどちらが有望?
安定性重視ならトヨタ、リスク許容なら日産という評価が一般的です。
トヨタは収益力・財務基盤・世界シェアの面で圧倒的に安定しており、長期投資向きです。一方、日産は株価水準が低く、再建やEV戦略が成功すれば株価の上昇余地は相対的に大きい可能性があります。ただし、その分リスクも高く、投資スタイルによって向き不向きが分かれます。
Q4. EV普及で日産は復活する?
EV普及は日産復活の「条件の一つ」だが、十分条件ではありません。
日産はEVの先駆者であり、新型リーフやアリア、中期計画「The Arc」など巻き返し策を進めています。ただし、EV市場は競争が激しく、商品力・コスト競争力・販売力を同時に高められるかが鍵です。EV普及だけで自動的に復活するわけではなく、実行力が伴うかどうかが株価評価を左右します。
結論:日産株が買うべきか
買うべき投資家像
日産株は、高配当を重視しつつ、中長期での業績回復やEV戦略の進展に期待できる投資家に向いています。株価水準が割安圏にあると考え、一定のリスクを許容できる人には検討余地があります。
慎重になるべきケース
短期的な値上がり益を狙う投資家や、業績の安定性を最優先する人には不向きです。世界景気の減速や自動車業界の競争激化の影響を受けやすい点には注意が必要です。
最終的な投資判断の整理
日産株は「安定成長株」ではなく「回復期待型の株」と位置づけられます。配当利回りと将来の再成長シナリオをどう評価するかが、投資判断の分かれ目になります。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。