納会とは|意味・日程・株価への影響をわかりやすく解説
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納会とは|意味・日程・株価への影響をわかりやすく解説

著者: 高橋健司

公開日: 2025-12-31

納会とは、株式市場における年内最後の取引日を指し、その年の取引を締めくくる重要な日です。


東京証券取引所では、この日をもってその年の株式売買が終了し、投資家や市場関係者は年末のポジション調整や利益確定を行います。


納会の意味と由来

「納会(のうかい)」の「納」という字には、物事を納める・締めくくるという意味があります。


そのため納会とは、一年の活動や取引を終える節目の場を指す言葉として使われてきました。


この考え方は、日本の伝統的な商習慣や年末行事と深く結びついています。日本では古くから、年末に帳簿を締め、取引を整理し、一年を区切る文化が根付いており、商人や企業は年内の仕事を「納める」ことを重視してきました。


株式市場における納会も、こうした文化の延長線上にあります。


年内最後の取引日を「納会」と呼ぶことで、市場全体として一年の売買を締めくくる日という意味合いが明確になり、現在では金融業界や投資家の間で一般的な用語として定着しています。

会議を行う人々

納会はいつ行われる?

日本株における納会は、東京証券取引所の年内最後の取引日に行われます。


この日は、その年の株式売買がすべて終了する日であり、市場関係者にとって一年を締めくくる重要な節目となります。


通常、納会とは12月30日または12月最終の平日に設定されます。ただし、12月30日が土日や祝日に当たる場合は、前倒しされ、直前の営業日が納会日となります。そのため、毎年必ず同じ日付になるわけではありません。


カレンダー上では、納会は「年末最終営業日」という位置づけになります。


この日をもって日本株市場は年内の取引を終え、翌年の最初の取引日は「大発会」として新たにスタートします。


なお、祝日や曜日の並びによっては、年末の取引日数が少なくなる年もあります。そのため投資家は、年末の取引スケジュールを事前に確認し、資金管理や売買計画を立てることが重要です。


大納会との違い

納会と大納会は混同されやすい言葉ですが、意味合いと使われ方には違いがあります。


まず、大納会(だいのうかい)とは、年内最後の取引日そのものを指す正式な呼称です。


東京証券取引所では、この最終取引日に式典やイベントが行われることが多く、ニュースや新聞では「大納会」という言葉がよく使われます。


一方で、納会はより広い意味を持つ言葉で、年内の取引全体を締めくくる概念として使われることが一般的です。必ずしも式典を伴う日を強調するのではなく、「年内取引の終了」を示す表現として用いられます。


整理すると、

  • 大納会=年内最後の取引日(公式・イベント性が強い)

  • 納会=年内の取引を締めくくるという意味合い(やや広義)

という関係になります。


メディアでは、テレビや新聞、証券会社のリリースなどで「大納会」が多く使われる一方、解説記事や一般向けの説明では「納会」という表現が使われることも少なくありません。そのため、文脈によって使い分けられているのが実情です。


投資家としては、どちらも「年内最後の取引日」を指すケースが多いと理解しておけば、情報を読み違えることはほとんどありません。


納会日の株式市場の特徴

納会日は、年内最後の取引日という性質上、通常の取引日とは異なる値動きや市場環境になりやすいのが特徴です。


1.取引量が減少しやすい理由

納会日は、多くの投資家や機関投資家がすでに売買を終えているため、市場参加者が少なくなりやすい傾向があります。


年末休暇に入る投資家も多く、新規の積極的な売買が減ることで、出来高(取引量)が低下しやすくなります。


2.利益確定売り・ポジション調整の動き

年内の運用成績を確定させるため、含み益のある銘柄を売却する「利益確定売り」が出やすいのも納会日の特徴です。


また、リスクを翌年に持ち越さないために、保有ポジションを減らす動き(ポジション調整)も活発になります。このため、好材料がないにもかかわらず株価が下落する場面も見られます。


3.株価が動きやすいケースと動きにくいケース

取引量が少ない状況では、少額の売買でも株価が大きく動くことがあります。特に中小型株や流動性の低い銘柄では、値動きが荒くなるケースがあります。


一方で、主力株や指数全体では、売買が手控えられることで方向感のない、動きにくい相場になることも少なくありません。


そのため納会日は、「大きく動く銘柄」と「ほとんど動かない銘柄」が混在しやすい一日と言えます。


納会と株価の関係(投資家向け視点)

納会は単なる年末行事ではなく、投資家の行動が株価に反映されやすいタイミングでもあります。特に「年末特有の需給」と「投資主体ごとの動き」を理解しておくことが重要です。


1.年末ラリーとの関係

年末にかけて株価が上昇しやすい現象は、一般に「年末ラリー」と呼ばれます。


これは、機関投資家が運用成績を良く見せるために株式比率を高めたり、翌年の相場を見据えて先回りで買いを入れたりすることが一因とされています。


ただし、年末ラリーは必ず起こるわけではありません。


相場環境が悪い年や、世界的な不透明要因が強い場合には、納会前でも株価が伸び悩むことがあります。そのため、「納会=必ず上昇」という思い込みは避ける必要があります。


2.機関投資家・個人投資家の動き

納会前後では、投資主体ごとの行動に違いが見られます。


  • 機関投資家

    年内の運用実績を確定させるため、ポートフォリオの調整や利益確定を行う傾向があります。一方で、翌年に向けた仕込みとして、業績が安定している大型株や指数寄与度の高い銘柄を買う動きも見られます。


  • 個人投資家

    年末の休暇を前に売買を控える人が増える一方、「年明け上昇」を期待して納会前に買いを入れる投資家もいます。その結果、銘柄によって需給が偏り、株価が動きやすくなることがあります。


3.短期取引・長期保有それぞれの注意点

納会をどう捉えるかは、投資スタイルによって異なります。


  • 短期取引の場合

    取引量が少ない中で値が飛びやすく、思わぬ方向に動くリスクがあります。スプレッドの拡大や約定しにくさにも注意が必要で、無理なエントリーは避けたほうが無難です。


  • 長期保有の場合

    納会日の値動きは一時的な需給要因によるものが多く、企業価値そのものが変わるケースはほとんどありません。そのため、短期的な上下に振り回されず、保有目的や中長期の見通しを重視する姿勢が大切です。


日本株と米国株の納会の違い

ウォールストリート

日本株と米国株では、年末最終取引日の位置づけや呼び方に明確な違いがあります。これは、市場制度だけでなく、文化的背景の違いによるものです。


1.日本独自の文化的要素

日本の株式市場では、年末に一年を締めくくるという考え方が強く、「納める」「締める」といった日本語の概念が金融市場にも反映されています。


そのため、年内最後の取引日を「納会」や「大納会」と呼び、区切りの日として特別視する文化があります。


東京証券取引所では、最終取引日に式典が行われたり、ニュースで象徴的に報じられたりすることも多く、年末行事の一つとしての側面が強いのが特徴です。


2.米国市場では「納会」という表現が一般的でない

一方、米国株市場では、「納会」という概念や呼称は一般的ではありません。


年内最後の取引日は単に「year-end last trading day(年末最終取引日)」として扱われ、特別な名称や式典が行われることはほとんどありません。


米国市場は実務的・連続性重視の傾向が強く、年が変わっても「取引が継続している」という意識が日本よりも強いため、区切りとしての意味合いが薄い点が特徴です。


3.年末最終取引日の扱いの違い

日本株では、納会をもって年内の取引が完全に終了し、次の取引日は「大発会」として新年のスタートが明確に区切られます。


これにより、投資家の間でも「年末で一度ポジションを整理する」という行動が起こりやすくなります。


一方、米国株では、年末最終取引日と年始最初の取引日(年明け初日は通常の取引日)が、あくまでカレンダー上で連続した取引日として扱われます。


そのため、年末年始をまたいでポジションを継続保有する投資家も多く、需給の変化は比較的緩やかです。


納会前後に投資家が注意すべきポイント

納会前後は、通常の取引日とは異なる市場環境になりやすく、思わぬリスクや判断ミスが起こりやすい時期です。ここでは、特に重要な3つのポイントを整理します。


1.流動性低下による価格変動リスク

納会が近づくと、多くの投資家が年末休暇に入り、市場全体の流動性(売買の厚み)が低下します。


流動性が低い状況では、通常よりも少ない売買量で株価が大きく動くことがあり、特に中小型株や出来高の少ない銘柄では、急騰・急落が起こりやすくなります。


このため、納会前後は

  • 「理由の分かりにくい値動き」

  • 「一時的な需給の偏りによる価格変動」

が発生しやすく、短期的な値動きだけで判断すると、誤った売買につながる可能性があります。


2.損切り注文・指値注文の扱い

納会前後は、注文の出し方にも注意が必要です。


流動性が低下すると、成行注文では想定より不利な価格で約定することがあります。そのため、価格をコントロールしやすい指値注文を活用する投資家が増えます。


一方で、損切り注文についても注意が必要です。


値動きが荒い中で一時的に株価が大きく振れると、本来想定していなかった水準で損切りが執行され、その後すぐに株価が戻るケースもあります。


そのため納会前後は、

  • 損切り水準を広めに設定する

  • 一時的なノイズで損切りしないかを再確認する

といった慎重な対応が求められます。


3.翌年の相場を見据えた戦略

納会とは「終わり」であると同時に、翌年相場の準備期間でもあります。


多くの投資家や機関投資家は、年末にポジションを整理しつつ、翌年に向けて注目セクターや有望銘柄を選別しています。


長期投資の視点では、納会前後の値動きそのものよりも、

  • 業績の持続性

  • 翌年の経済見通し

  • 金利・為替・政策動向

といった中長期テーマを意識した判断が重要になります。


短期的な年末の値動きに振り回されるのではなく、「翌年どのような相場を想定するか」を整理することで、納会前後の相場を冷静に活用することができます。


よくある質問(FAQ)

1.納会は必ず株価が上がる?

いいえ、納会だからといって必ず株価が上がるわけではありません。


確かに年末にかけて株価が上昇しやすい「年末ラリー」が起こる年もありますが、これは相場環境や経済状況が良好な場合に限られます。


納会前には、利益確定売りやポジション調整が出やすく、むしろ株価が下落するケースも珍しくありません。


そのため、「納会=上昇」という固定観念を持つのではなく、その年の相場全体の流れを確認することが重要です。


2.納会日に株を買っても大丈夫?

納会日に株を買うこと自体は問題ありませんが、慎重な判断が必要です。


納会日は取引量が少なくなりやすく、価格が飛びやすいという特徴があります。そのため、成行注文では想定より高い価格で約定してしまう可能性があります。


もし納会日に購入を検討する場合は、

  • 指値注文を使う

  • 長期保有が前提かどうかを明確にする

  • 短期的な値動きに過度な期待をしない

といった点を意識すると、リスクを抑えやすくなります。


3.納会と年始相場は関係ある?

一定の関係はありますが、必ずしも直結するわけではありません


納会前後の動きは、一時的な需給や年末特有の取引要因による影響が大きく、年始相場の方向性を完全に決めるものではありません。


ただし、

  • 納会前に強かった銘柄

  • 機関投資家が年末に仕込んだと見られる銘柄

が、年明けの「大発会」以降も注目されやすい傾向はあります。


そのため、納会前後の値動きは「翌年相場のヒントの一つ」として参考にするのが適切です。


結論

納会とは、株式市場における年内最後の取引日を指し、一年の取引を締めくくる重要な節目です。


この日は、取引量の減少や利益確定売り、ポジション調整など、年末特有の需給要因によって、通常とは異なる値動きが起こりやすくなります。


投資判断においては、納会当日の値動きに一喜一憂するのではなく、翌年の相場を見据えた視点を持つことが重要です。


短期的な動きには慎重に対応しつつ、長期投資では企業価値や中長期トレンドを重視することで、納会前後の相場を冷静に活用できます。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。