信託保全とは何か|証券会社・FX会社の破綻時に資産は守られる?
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信託保全とは何か|証券会社・FX会社の破綻時に資産は守られる?

著者: 高橋健司

公開日: 2026-01-03

投資を行ううえで、多くの人が価格変動やリターンに注目しますが、預けた資金そのものが安全に守られているかも非常に重要なポイントです。過去には、証券会社やFX会社が経営破綻し、顧客資金の返還が問題になったケースもあります。


こうしたリスクを防ぐために導入されているのが信託保全です。信託保全とは、顧客から預かった資金を会社の資産とは分けて、信託銀行などの第三者機関で管理する仕組みを指します。これにより、万が一金融会社が破綻しても、顧客資金は原則として保護されます。


そのため、現在では投資家が証券会社やFX会社を選ぶ際に、信託保全の有無は重要な判断基準の一つとなっています。特に初心者にとっては、安心して取引を行うために欠かせない制度といえるでしょう。


信託保全とは

信託保全とは

信託保全とは、投資家が証券会社やFX会社に預けた資金を、その会社が直接管理するのではなく、信託銀行などの第三者機関に信託という形で預けて保管する仕組みのことです。主な目的は、金融会社の経営状態に関わらず、顧客資産を安全に守ることにあります。


通常、投資家が入金した資金は、金融会社を通じて取引に使われますが、信託保全が導入されている場合、その資金は会社の運転資金や事業資金とは明確に区別されます。具体的には、信託銀行名義の信託口座で管理され、金融会社自身が自由に使うことはできません。


このように顧客資産を自己資産と分離して管理する理由は、万が一、証券会社やFX会社が経営破綻した場合でも、顧客の資金が差し押さえや債権者への返済に使われないようにするためです。信託された資産は法律上、金融会社の財産には含まれないため、破綻時でも原則として顧客に返還されます。


そのため信託保全は、投資家保護を強化する仕組みとして、日本の金融商品取引法のもとで重要な役割を果たしており、特にFX取引や証券取引では、安全性を判断するうえで欠かせない制度となっています。


信託保全の仕組み

信託保全では、証券会社やFX会社が顧客から預かった資金を、信託銀行や信託会社といった第三者機関に信託します。この第三者機関は、金融会社とは独立した立場で資金を管理するため、会社の経営状況に左右されることはありません。


1.信託銀行・信託会社の役割

信託銀行・信託会社の主な役割は、顧客資金を安全に保管し、契約内容に沿って管理することです。信託された資金は、あらかじめ定められたルールに従って管理され、証券会社やFX会社が事業目的で自由に使うことはできません。これにより、顧客資産の流用や不正使用が防がれます。


2.顧客資金はどのように管理されているか

顧客資金は、信託銀行名義の信託口座で管理されます。この口座は金融会社の自己資金口座とは完全に分離されており、法律上も別の財産として扱われます。そのため、会社が赤字になったり資金繰りが悪化した場合でも、顧客資金が影響を受けることは原則ありません。


3.会社が破綻した場合の資金返還の流れ

万が一、証券会社やFX会社が経営破綻した場合でも、信託保全が適用されていれば、信託銀行が管理している顧客資金は速やかに投資家へ返還されます。通常は、破綻手続きとは切り離された形で返還が進められるため、会社の債権者への返済に充てられることはありません。


このように信託保全は、「第三者による管理」「自己資産との完全分離」「破綻時の返還ルートの確保」という3つの仕組みによって、投資家の資金を守っています。


分別管理との違い

投資家資産の管理方法としてよく混同されるのが、分別管理と信託保全です。どちらも顧客資産を会社の資産と分けて管理する点では共通していますが、安全性や投資家保護の強さには大きな違いがあります。


1.分別管理とは何か

分別管理とは、証券会社やFX会社が、顧客から預かった資金を自社の運転資金とは別の口座で管理する方法です。帳簿上・口座上で分けて管理するため、日常的な資金管理の透明性は一定程度確保されます。


しかし、分別管理の場合、管理主体はあくまで金融会社自身です。資金は会社名義の口座に置かれることが多く、法律上は完全に会社の資産から切り離されているとは言えません。


2.信託保全との決定的な違い

信託保全との最大の違いは、資金の管理を誰が行うかという点です。


信託保全では、顧客資金は信託銀行などの第三者機関に預けられ、金融会社は直接管理できません。一方、分別管理では金融会社自身が管理を続けます。


そのため、金融会社が破綻した場合、分別管理の資金は破綻処理の影響を受ける可能性があります。状況によっては、資金の返還に時間がかかったり、全額戻らないリスクも否定できません。


3.投資家保護の強さの比較

投資家保護の観点では、信託保全の方が分別管理よりも明確に安全性が高いとされています。信託保全では、顧客資金は法律上も金融会社の財産から除外されるため、債権者への返済に充てられることは原則ありません。


一方、分別管理は「管理方法の一つ」に過ぎず、破綻時の法的保護は限定的です。そのため、現在では日本の多くのFX会社や証券会社が、投資家保護を強化する目的で信託保全を採用しています。


信託保全のメリットと注意点

信託保全は、投資家資産を守るうえで非常に有効な仕組みですが、万能ではないという点も理解しておく必要があります。ここでは、信託保全の主なメリットと、事前に知っておくべき注意点・限界を整理します。


1.信託保全のメリット

信託保全の最大のメリットは、金融会社が倒産した場合でも、顧客資金が原則として保護される点です。顧客資金は信託銀行などの第三者機関で管理されており、会社の自己資産とは法律上も明確に分離されています。そのため、破綻時に債権者への返済に充てられることはなく、投資家へ返還されます。


また、信託保全は金融商品取引法などの法律に基づいて運用される制度であり、管理方法や返還手続きが明確に定められています。これにより、資金管理の透明性が高く、不正流用やずさんな管理が起こりにくい点も大きな利点です。


こうした仕組みがあることで、投資家は「会社が万が一破綻しても資金は守られる」という安心感を持って取引できます。特にFX取引や頻繁に入出金を行う投資家にとって、心理的な安心感は非常に大きなメリットといえるでしょう。


2.信託保全の注意点・限界

一方で、信託保全には適用される範囲の限界があります。まず、すべての資産が信託保全の対象になるわけではありません。一般的に保護されるのは「預託された顧客資金」であり、未決済ポジションから生じる損益や、特定の商品によっては対象外となるケースもあります。


また、信託保全は元本保証の制度ではありません。為替変動や株価変動による評価損、取引による損失そのものは保護の対象外です。あくまで「会社の破綻リスクから資金を守る仕組み」であり、投資リスクをなくすものではない点には注意が必要です。


さらに、出金のタイミングによっては、一時的に資金が信託口座に反映されるまで時間差が生じる場合もあります。破綻の発生時点や出金処理の状況によっては、返還までに一定の時間がかかる可能性があることも理解しておくべきでしょう。

資金の安全性

信託保全が適用される主な金融商品

信託保全はすべての金融商品に一律で適用されるわけではなく、取引の仕組みや法規制によって適用範囲が異なります。ここでは、代表的な金融商品ごとに信託保全の扱いを解説します。


1.FX取引

FX取引では、日本国内のFX会社において信託保全の導入が義務化されています。顧客が預けた証拠金は、FX会社の自己資金とは分離され、信託銀行などの第三者機関で管理されます。


これにより、万が一FX会社が破綻した場合でも、未使用の証拠金は原則として投資家に返還されます。ただし、未決済ポジションによる損益や、急激な相場変動によって発生した損失は信託保全の対象外です。信託保全は、取引リスクではなく、会社破綻リスクから資金を守る制度である点を理解しておく必要があります。


2.株式・ETF・投資信託

株式、ETF、投資信託などの証券取引においても、顧客資産は信託保全や分別管理によって保護されています。特に日本の証券会社では、顧客の預り金や有価証券は自己資産と分離して管理することが法律で定められています。


現金については信託銀行での管理、有価証券については日本証券保管振替機構(いわゆる「ほふり」)を通じて管理されるのが一般的です。そのため、証券会社が破綻した場合でも、顧客が保有する株式や投資信託が失われる可能性は極めて低いとされています。


3.CFD取引(適用有無の注意点)

CFD取引における信託保全の扱いは、業者や提供形態によって異なる点に注意が必要です。日本国内で金融商品取引法の規制を受けているCFD業者の場合、FX取引と同様に顧客資金の信託保全が行われているケースが多く見られます。


一方で、海外業者が提供するCFD取引では、信託保全が義務付けられていない場合もあり、分別管理のみ、あるいは十分な資金保護が行われていないケースも存在します。そのためCFD取引を行う際には、信託保全の有無、信託先金融機関、資金返還の仕組みを事前に必ず確認することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 信託保全があれば100%安全ですか?

いいえ、信託保全があっても100%安全というわけではありません。


信託保全とは、あくまで「金融会社が破綻した場合に、預けた資金を守るための制度」です。為替変動や株価変動による損失、取引判断のミスによる損失など、投資そのもののリスクをなくす制度ではありません。


また、信託保全の対象は原則として「預託された顧客資金」に限られます。未決済ポジションから生じる評価損益や、特定の条件下にある資金は対象外となる場合もあります。そのため、信託保全はリスク管理の一要素として理解することが重要です。


Q2. 信託保全と投資者保護基金の違いは何ですか?

信託保全と投資者保護基金は、どちらも投資家を守る制度ですが、仕組みと役割が異なります。


信託保全は、顧客資産をあらかじめ第三者機関に預けて管理することで、破綻時でも資金を直接返還できる仕組みです。一方、投資者保護基金は、証券会社が破綻し、分別管理が適切に行われていなかった場合に、一定額まで補償を行う制度です。


つまり、

  • 信託保全:事前に資産を守る仕組み

  • 投資者保護基金:問題が起きた後に補償する仕組み


という違いがあります。信託保全が適切に機能していれば、原則として投資者保護基金に頼る必要はありません。


まとめ

信託保全とは、証券会社やFX会社が万が一破綻した場合でも、投資家の資金を守るための重要な仕組みです。顧客資産を会社の資産と分離し、第三者機関で管理することで、破綻リスクから投資家を保護します。


投資判断においては、利回りや取引条件だけでなく、信託保全が導入されているかどうかも重要なチェックポイントとなります。特に長期的に資金を預ける場合や、初心者の方ほど、安全性を重視した業者選びが欠かせません。


安心して投資を続けるためにも、取引を始める前に信託保全の有無や内容を必ず確認し、リスクを正しく理解したうえで取引を行うことが大切です。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。