公開日: 2025-12-01
スイングトレードとは、数日〜数週間の中期スパンで値幅を狙う取引手法です。
デイトレードほど画面に張り付く必要がなく、長期投資よりも相場の動きを活かして効率よく利益を狙えるのが特徴です。
日本市場では、
値動きが比較的読みやすい銘柄が多い
直近のテーマ株がトレンドをつくりやすい
仕事をしながらでも取引しやすい
といった理由から、多くの投資家に人気の手法となっています。
スイングトレードにおすすめの銘柄の特徴
① 出来高が多く、流動性が高い銘柄
スイングトレードでは、売りたいときにすぐ売れる銘柄を選ぶことが大切です。
出来高が少ない銘柄は、値が飛んだり思った価格で約定しなかったりするため、短期売買には不向きです。
✔ 出来高が多い=投資家から注目されている
✔ 注目度が高いほど短期で値動きが生まれやすい
そのため、流動性の高い銘柄ほどスイング向きといえます。
② トレンドが明確な銘柄(上昇・下降どちらでもOK)
スイングトレードは「大きな流れに乗る」手法です。
チャートを見たときに、
移動平均線がきれいに並んでいる
直近数週間で上昇または下降が続いている
など、方向性がはっきりしている銘柄が狙いやすくなります。
✔ 上昇トレンド → 安い押し目で買う
✔ 下降トレンド → 戻り売りで利益を狙う
どちらのトレンドでも利益のチャンスがある点が特徴です。
③ ボラティリティが適度にある銘柄
スイングは「値幅を取る」トレードなので、値動きの小さい銘柄では利益を狙いにくくなります。
ただし、1日の値幅が大きすぎるとリスクが増えるため、適度なボラティリティが理想的です。
✔ 1日の値幅が一定以上
✔ テーマ性などで数週間単位の動きが続いている
こういった銘柄は価格の波が読みやすく、スイングのターゲットとして優秀です。
④ 直近テーマ性が強い銘柄(AI・半導体・インバウンドなど)
短期的に資金が集まるテーマ株は、スイングに適した値動きをしやすいという特徴があります。
例えば:
AI関連=ニュースが豊富で急騰しやすい
半導体関連=継続的なトレンドが生まれやすい
インバウンド関連=政策・イベントの影響で動きが出やすい
テーマに資金が集中すると、出来高が増えてトレンドも形成されやすいため、スイングトレードにおすすめの銘柄が多くなる傾向があります。
スイングトレードにおすすめの銘柄の主要セクター
スイングトレードで利益を狙うには、短期間で値動きが発生しやすい「テーマ性のあるセクター」に注目することが重要です。日本市場でも特に資金が集まりやすいセクターはいくつか存在し、その中でも半導体・AI、インバウンド、ゲーム・エンタメ、再生エネルギー、防衛関連は短期トレンドが発生しやすい代表的な領域です。
半導体・AI関連セクター
継続的なニュースや世界的な需要の高まりから、常に注目度が高いテーマです。新技術の発表や米国ハイテク株の上昇などの外部要因で日本株も連動しやすく、数日から数週間の上昇トレンドが生まれやすいため、スイングトレードとの相性が非常に良いセクターといえます。
インバウンド・観光関連セクター
訪日客数の推移や政策発表に敏感に反応する特徴があります。円安や大型連休、国際イベントなどの影響で短期間に資金が集まりやすく、ニュースをきっかけに上昇が続くケースも多いため、スイングで値幅を狙いやすい分野です。
ゲーム・エンタメ関連セクター
新作ゲームの発表や映画のヒットなど材料が豊富で、短期の急騰が発生しやすい傾向があります。個人投資家の参加が多く出来高も増えやすいことから、トレンドが明確に出るタイミングを掴みやすく、スイング向きのセクターとして人気があります。
再生エネルギー関連セクター
国策テーマとして継続的に注目されており、政策発表や国際的な流れに合わせて中期トレンドが形成されやすいのが特徴です。調整後に再び資金が戻る動きも多く、スイングで押し目を狙いやすい分野といえます。
防衛関連セクター
地政学リスクや防衛予算の拡大といった材料で急騰しやすい特徴があります。ニュースをきっかけに出来高が増え、短期間で大きく動くことが多いため、テーマの波に乗れば数週間単位での値幅取りがしやすいセクターです。
このように、各セクターはテーマ性やニュースの内容によって短期トレンドが発生しやすいため、スイングトレードでは特に注目しておきたい領域といえます。
スイングトレードにおすすめの銘柄の候補例
| 銘柄 | 株価(直近終値等) | 52週レンジ | 直近1年のトータルリターン/年初来など |
| 信越化学工業 (4063) | ¥4,617(最近の終値) | 52週安値¥3,425 – 高値¥5,799 | 1年で–16.8%(下落) |
| PKSHA Technology (3993) | ¥3,405(最近の終値) | 52週安値 ¥2,312 – 高値¥4,790 | 1年で–13.5%(下落) |
| 村田製作所 (6981) | —(単独で最新終値データが直近で確認できず) | — | 過去1年で約+29〜30%のリターンとの記録あり |
| アドバンテスト (6857) | ¥20,405(最近の終値) | 52週安値 ¥4,703 – 高値¥23,675 | 1年で+140%と大きく上昇 |
■ 信越化学工業(4063)
信越化学工業は、2025年11月27日時点で株価が約 ¥4.644です。
過去数年の株価推移を見ると、2023年終値が約¥5.917、2024年に一時期¥6.926まで上昇したものの、2025年には再び値を下げ、現在の水準に落ち着いています。
足元の業績面では、IRサイト上のバリュエーションデータにおいて、予想PER 約 18.5倍、PBR 約 2.06倍、予想配当利回り 約 2.28%という数値が示されており、割安とは言わないまでも、過去に比べてバリュエーションが抑えめの水準にあるとの分析もあります。
つまり、直近では値動きがやや振れながらも、安定株のような「割安バリュー株」としてみなされやすく、「押し目で拾って中期〜スイングを狙う」銘柄としての見方もできる会社です。

■ PKSHA Technology(3993)
PKSHA Technologyの株価は、2025年11月28日時点で約¥3.400前後です。
年初来の高値はかつて ¥4.790、一方で安値は約 ¥2.312 と、年内でかなりのレンジ(値幅)を持っている銘柄です。
企業データとしては、現在のPERは約37倍、PBR約3倍、ROE約8%です。売上高成長率は+60%超と高く、成長期待はあるものの、配当はなく(無配)、値動きのボラティリティが高い「成長 × ハイリスク・ハイリターン」の銘柄と位置づけられています。
このため、最近のパフォーマンスはやや下振れしやすく、「テーマ(AI・SaaS 等)への期待 × 成長性重視」で中〜短期のスイングを狙う投資家向け、という性格です。

■ 村田製作所 (6981) のパフォーマンス
村田製作所は、2025年3月期の通期決算で純利益が前期比 約29.3%増という好決算を報告しています。
さらに、2025年には1株あたり配当を57円とし、安定した株主還元を継続します。
財務面では、直近の ROE や利益率が改善傾向にあり、収益性と収益安定性の両立がうかがえます。
ただし、半導体・電子部品を扱う事業特性上、半導体市況など外部環境の影響を受けやすいため、安定株ながら中期の見直し余地もある、というバランス型の銘柄と言えます。

■ アドバンテスト (6857)
アドバンテストは、2025年10月に発表した決算で、四半期の営業利益および通期の業績見通しを大幅に上方修正。これに伴い、株価は発表後に約22%上昇し、年初来の上昇率は +140%前後と、日本の半導体関連銘柄の中ではトップクラスのパフォーマンスを示しました。
この決算と業績拡大の背景には、世界的な AI 関連投資の拡大や半導体需要の増加があり、アドバンテストが提供する半導体検査装置への需要が強まっている点が挙げられています。
ただし、好業績を受けた反動で、バリュエーションはやや割高になっており、上下の値動き(ボラティリティ)が大きい「ハイリスク・ハイリターン型」の銘柄である点には注意が必要です。

銘柄選定のポイント
スイングトレードで注目する銘柄を選ぶ際には、いくつかの重要な視点があります。ここでは、チャート、ファンダメンタル、リスク管理、需給の4つの観点から解説します。
① テクニカル分析
まず、株価チャートの形は銘柄選定の基本です。
トレンドライン:株価が上昇傾向か下降傾向かを見極めます。明確な上昇トレンドラインを描ける銘柄は、スイングでの上値余地を狙いやすくなります。
移動平均線:短期・中期・長期の移動平均線の位置関係を確認します。特に20日・50日・200日の線との乖離やクロスは売買タイミングの目安になります。
出来高:値動きに伴う出来高の変化は、買い・売りの勢いを示す重要な指標です。出来高が増えている銘柄は、トレンドが継続する可能性が高いと判断できます。
② ファンダメンタル材料
チャートだけでなく、企業の業績やテーマ性も考慮しましょう。
決算:増収増益や予想上方修正が出ている銘柄は、短期的な株価上昇が期待できます。
テーマ性:AI、半導体、再生可能エネルギーなど、市場で注目されているテーマに関連する銘柄は、ニュースや材料で値動きが出やすくなります。
ニュース:新製品発表や大型受注、業界提携などのニュースは、株価を押し上げる要素となります。
③ リスク管理
スイングトレードでは、損失を最小限に抑えるためのリスク管理が欠かせません。
損切りライン:購入価格からどの水準で損切りするかを事前に決めておきます。感情に左右されず、冷静に対応できることが重要です。
保有期間:スイングの期間は通常数日~数週間。長く持ちすぎると市場の急変動でリスクが増すため、計画的に売買することが大切です。
④ 需給状況
株の需給環境も短期トレードの値動きに影響します。
信用倍率:信用買いの多い銘柄は、需給バランスの崩れで急落しやすい一方、買い材料で急騰することもあります。
空売り状況:空売り比率が高い銘柄は、買い戻し(ショートカバー)で急騰する可能性があります。需給の偏りを把握することで、短期の値動きを予測しやすくなります。
スイングトレードの注意点
スイングトレードは中期的な値動きを狙う戦略ですが、その分リスク管理が非常に重要です。ここでは、特に注意すべきポイントを4つに分けて解説します。
① 決算前の急変動リスク
企業の決算発表は、株価に大きな影響を与える可能性があります。
予想を上回る好決算の場合は株価が急上昇する一方、予想を下回ると急落するリスクもあります。
スイングで保有する場合、決算日や決算前の材料出尽くしに注意して、必要であれば一時的にポジションを減らすなどの対策が有効です。
② テーマ株の急落リスク
AI、半導体、バイオ、再生可能エネルギーなどのテーマ株は、材料やニュースで株価が大きく動く傾向があります。
プラス材料で急騰することもありますが、ニュースや市場心理の変化で急落することも珍しくありません。
テーマ株を扱う場合は、ニュースや市場動向を常にチェックし、ポジションサイズを抑えるなどリスク管理を徹底する必要があります。
③ 過度にボラティリティが高い銘柄への注意
値動きが非常に激しい銘柄は、短期間で大きな利益を狙える一方、損失も大きくなる可能性があります。
特に信用倍率の高い銘柄や流動性が低い銘柄は、思わぬ急落で損失が拡大しやすいです。
ボラティリティの高い銘柄を扱う場合は、損切りラインや利確目標を明確に設定し、感情に流されず取引することが重要です。
④ 損切り徹底の重要性
スイングトレードでは、損切りを躊躇すると損失が膨らむリスクがあります。
事前に「どの価格で損切りするか」を決めておき、それを必ず守ることが最も基本的で重要なルールです。
損切りを徹底することで、ポジション管理が効率的になり、長期的に資金を守りながら利益を狙うことができます。
よくある質問(FAQ)
Q1:初心者におすすめのスイング株は?
初心者がスイングトレードを始める場合、値動きが安定しており、材料やテーマで急変動しにくい銘柄がおすすめです。
具体的には、大型株や優良企業の株で、直近の値動きが比較的緩やか、かつ配当がある銘柄が適しています。
例として、信越化学工業や村田製作所などの「安定感とテーマ性の両立した銘柄」は、初心者でも比較的安心してスイングトレードに取り組めます。
初心者はテーマ株や小型株のボラティリティが高い銘柄は避け、まずはトレンドが明確で押し目買いが狙いやすい銘柄から始めるのが無難です。
Q2:保有期間はどのくらいが最適?
スイングトレードの保有期間は、数日〜数週間が基本です。
一般的には 3日〜3週間程度 が多く、短すぎるとデイトレードになり、長すぎると中期トレードに近くなります。
保有期間を決める際は、チャートのトレンド、ニュース材料、決算発表日などを考慮して、事前に売買の目安を設定しておくことが重要です。
また、想定以上に値動きが悪化した場合は、早めに損切りして資金を守ることもスイング成功のカギとなります。
Q3:どの指標を見れば良い?
スイングトレードで注目すべき指標は、主にテクニカル指標とファンダメンタル指標の両方です。
テクニカル指標:移動平均線(20日・50日)、MACD、RSI、出来高など。これらはトレンドや買われすぎ・売られすぎの判断に役立ちます。
ファンダメンタル指標:PER、PBR、配当利回り、売上・利益の伸びなど。業績が良好でテーマ性がある銘柄は、短期的な値動きにも追い風が入りやすくなります。
これらを組み合わせて、トレンドの方向性・値動きの強さ・テーマ性の有無を総合的に判断することが重要です。
Q4:テーマ株はどう選ぶ?
テーマ株を選ぶ際は、市場の注目度と業績の裏付けを確認することがポイントです。
注目テーマ:AI、半導体、バイオ、再生可能エネルギーなど、投資家からの関心が高く、材料ニュースで株価が動きやすいテーマを選びます。
業績とのバランス:テーマだけでなく、企業の売上や利益が伸びているか、財務健全性はどうかを確認することで、急落リスクを減らせます。
ニュースウォッチ:材料発表や政策動向で株価が急変することがあるため、ニュースをこまめにチェックする習慣が大切です。
結論
スイングトレードにおすすめの銘柄の特徴
値動きが比較的安定しており、押し目買いが狙いやすい銘柄が基本です。大型株や優良企業株は、初心者でも扱いやすく、リスクを抑えつつ利益を狙いやすいです。
注目セクターとテーマ
AI、半導体、再生可能エネルギーなど、市場の関心が高く材料で値動きしやすいテーマ株が注目されます。テーマ株は成長性が高い一方で、ボラティリティが大きいため注意が必要です。
適切なリスク管理の重要性
損切りラインの設定やポジション管理、保有期間の明確化が不可欠です。リスク管理を徹底することで、予期せぬ損失を防ぎながらスイングトレードを行うことができます。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。