公開日: 2025-11-30
円高とは、1ドル=○○円のように円の価値が外国通貨に対して強くなることを指します。逆に円安は、円の価値が相対的に低くなる状況です。為替は輸出入企業の収益や投資リターンに直接影響し、株価の動きにも関わってきます。
円高局面では、特に輸入コストが下がる企業や国内売上中心の企業が恩恵を受けやすく、逆に海外売上比率の高い輸出企業は利益が圧迫されることがあります。そのため、同じ日本株でも業種や企業によって株価の反応に差が生まれます。
個人投資家にとって、円高で上がる株を見極めて投資戦略を立てる絶好のタイミングです。為替の動きを意識した銘柄選びが、リスク管理と利益拡大の鍵になります。
円高で上がる株の特徴

円高局面では、すべての企業が同じ影響を受けるわけではありません。特に以下のような特徴を持つ企業は、円高によって利益が出やすくなる傾向があります。
1.輸入依存型企業
輸入に頼る企業は、原材料や商品を海外から購入するため、円高になると輸入コストが下がります。例えば、原油や食品を海外から仕入れている企業は、円高により仕入れコストが削減され、その分利益が増加します。また、コスト削減が利益に直結するため、株価も円高局面で上昇しやすい傾向があります。
2.海外売上比率が低い国内重視型企業
国内市場を中心に事業を展開している企業は、円高の影響をほとんど受けません。海外売上が少ないため、円高による海外利益の減少リスクが限定的であり、円高局面でも安定的な収益を維持できます。小売業や内需型サービス業などがこの例に当たります。
3.内需型ビジネス
生活必需品や公共サービスなど、国内需要に依存するビジネスも円高の恩恵を受けやすいです。為替変動の影響が少ないため、業績の安定性が高く、株価も比較的堅調に推移することが多いです。例えば、電力・ガスなどの公益事業や国内消費財メーカーが該当します。
業種別の注目ポイント
円高局面では、業種ごとに株価への影響が異なります。ここでは特に注目すべき業種とその理由を詳しく解説します。
1.小売・スーパー業界
小売・スーパー業界は、国内消費に大きく依存するため円高による直接的な海外利益への影響が少ないのが特徴です。さらに、輸入品を扱う場合、円高により仕入れコストが下がるため、利益率の改善につながります。例えば、海外から輸入した食品や日用品の原価が下がることで、利益の増加や価格競争力の強化が期待できます。
ポイント:円高で仕入れコストが下がり、国内販売中心のため安定した利益が見込める。
2.電力・ガスなどの公益事業
電力・ガスなどの公益事業は、国内市場に依存しているため為替変動の影響がほとんどありません。また、料金設定が規制されていることが多く、収益の安定性が高いのも特徴です。そのため、円高局面でも業績が大きく変動しにくく、投資家から「防御的な銘柄」として注目されます。
ポイント:為替リスクが限定的で、株価が安定しやすい。
3.金融業界
金融業界は、円高による影響が複雑です。海外資産や外貨建ての債券・株式を保有している場合、円高により為替差損が発生する可能性があります。一方で、国内金利や為替相場の変動に応じて為替取引や資金運用から利益を得るケースもあります。円高局面では、為替リスク管理やヘッジの状況によって株価が大きく左右されるため、銘柄ごとの分析が重要です。
ポイント:為替差損益の影響を受けやすく、金融機関の運用方針によって株価変動が異なる。
具体的な銘柄例
ニトリホールディングス(証券コード:9843)
野村の分析で「対米ドル円ベータ値が‐1.25」と高いマイナス値(=円高で相対的に動きやすい)とされており、「①円高メリット」の特徴を備えた銘柄群に分類されています。
神戸物産(証券コード:3038)
同じく野村のベータ値分析で‐1.08とされ、円高メリットカテゴリーの銘柄に入っており過去に円高時に上昇した傾向があります。
エービーシー・マート(証券コード:2670)
「円高に強い銘柄!今期連続で最高純利益更新見込み」として、食品・小売・輸入品扱いの内需系として紹介されています。
日清食品ホールディングス(証券コード:2897)
同く「円高で上がる株」として、輸入原材料のコスト低下等の恩恵を受ける可能性があるとされています。
投資戦略と注意点
円高局面で株式投資を行う場合、為替の影響を理解しながら戦略的に行動することが重要です。ここではリスク管理、為替の見方、投資期間の使い分けの観点から整理します。
1.円高局面でのリスク管理
為替変動は予測が難しく、円高が進むと輸出依存企業の利益は圧迫される一方、輸入・内需型企業は恩恵を受けます。したがって、ポートフォリオを分散させ、業種や為替感応度の異なる銘柄を組み合わせることが重要です。
円高のタイミングで「円高メリット銘柄」に集中投資する場合でも、過度な比率は避け、急な円安反転による損失リスクを考慮します。
為替ヘッジや、海外収益が大きい銘柄のヘッジ状況も確認しておくと安心です。
2.為替の先行きを読むコツ
為替は短期的には市場心理や金利差、経済指標で変動します。長期的には経常収支や貿易収支、財政・金融政策が影響します。
為替動向の先行指標としては、米国金利の動きや日本の政策金利、貿易収支、株式市場の反応などをチェックします。
為替だけでなく、株価と連動する感応度(為替ベータ)も把握すると、どの銘柄が円高局面で強いか判断しやすくなります。
3.長期投資と短期投資の使い分け
短期投資:円高局面の「テーマ物色」や一時的なコスト低減効果を狙う場合に有効です。輸入コストが下がるなどの短期的な利益改善が株価に反映されるタイミングを狙います。
長期投資:為替の変動に左右されにくい内需型企業や安定配当株を選び、長期的な業績成長を狙う戦略です。円高・円安の波を気にせず、安定した収益や配当を重視します。
投資期間に応じて銘柄選定やポートフォリオ構成を調整することで、為替変動リスクをコントロールしつつ利益機会を最大化できます。
よくある質問(FAQ)
Q1.円高になると必ず株価は上がりますか?
いいえ、円高による株価の影響は企業ごとに異なります。輸入コストが下がる企業や内需中心の企業は恩恵を受けやすいですが、輸出依存度が高い企業は利益が減少するため、株価が下がる場合があります。
Q2.どの業種が円高に強いですか?
主に以下の業種が円高に強い傾向があります。
小売・スーパー業界(輸入コスト削減と内需中心)
電力・ガスなどの公益事業(為替の影響が少ない)
内需型消費財メーカー(海外依存が低い)
Q3.為替ヘッジは必要ですか?
円高メリット銘柄でも、海外に一定の収益や資産を持つ企業は為替の影響を受けます。投資家自身が為替リスクを意識する場合は、ヘッジ戦略を考えると安心です。
Q4.短期投資と長期投資、どちらが向いていますか?
短期投資は円高の一時的なコスト削減やテーマ物色を狙うのに有効です。長期投資は内需型企業や安定配当株を中心に、為替変動に左右されにくい成長を狙う戦略が向いています。
Q5.具体的にどの銘柄が円高メリット株ですか?
過去の円高局面で注目された銘柄には、
ニトリホールディングス
神戸物産
エービーシー・マート
日清食品ホールディングス
などがあります。ただし、為替や企業業績は変動するため、投資前に最新情報を確認することが重要です。
結論
円高局面では、輸入コスト低下の恩恵を受ける企業や内需型・国内重視型の企業に注目することがポイントです。これらの企業は為替変動の影響を受けにくく、利益の安定性が高いため、株価上昇のチャンスがあります。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。