公開日: 2026-06-10
Screenホールディングスは、半導体製造装置メーカーとして世界トップクラスの競争力を持つ企業です。特に半導体洗浄装置では世界シェア首位級を維持しており、AI向け半導体需要の拡大による恩恵が期待されています。
一方で、半導体業界は景気循環の影響を受けやすく、投資家の間では「Screenホールディングスの将来性は本当に高いのか?」という疑問も少なくありません。
本記事では、現時点の最新情報をもとに、業績、成長要因、リスク、株価見通しを詳しく解説します。

Screenホールディングスとはどんな会社?
SCREENホールディングスは京都市に本社を置く半導体製造装置メーカーで、半導体製造装置を中心に、ディスプレー製造装置、プリント基板関連機器、印刷関連機器などを展開しています。創業は1868年と歴史が長く、現在は日本を代表する半導体製造装置メーカーの一社として知られています。
同社の主力事業は半導体製造装置(SPE事業)です。特に半導体ウェハーの洗浄装置に強みを持ち、最先端半導体の製造工程で欠かせない技術を提供しています。半導体製造工程では数百にも及ぶ工程の約30%が洗浄工程とされており、洗浄技術は歩留まりや品質を左右する重要な分野です。
SCREENの最大の強みは、半導体洗浄装置で世界トップクラスのシェアを持つことです。枚葉式洗浄装置では世界シェア42%、バッチ式洗浄装置でも46%のシェアを有し、複数分野で世界首位級の地位を確立しています。AI向け半導体やHBMの需要拡大に伴い、こうした洗浄装置への需要も増加しています。
また、売上の約8割以上を半導体製造装置事業が占めており、世界の大手半導体メーカーが主要顧客です。2025年3月期の売上高は6,252億円に達し、海外売上比率も約86%と高く、グローバル市場で成長を続けています。
2026年最新決算から見るScreenホールディングスの現状
SCREENホールディングスが2026年5月13日に発表した2026年3月期連結決算では、売上高6,057億円、営業利益1,225億円、経常利益1,243億円、純利益920億円となりました。前期の過去最高業績と比較すると減収減益となったものの、依然として高い収益力を維持しています。
売上高と営業利益の推移
2025年3月期は売上高6,252億円、営業利益1,356億円と過去最高を記録しましたが、2026年3月期は売上高が前年比3.1%減、営業利益が前年比9.7%減となりました。主な要因は、中国向けおよび米国向け半導体製造装置の販売減少と、人件費や研究開発費など固定費の増加です。もっとも、営業利益率は20.2%を維持しており、日本の製造業としては依然として高水準です。
半導体製造装置事業(SPE)の動向
SCREENの主力である半導体製造装置事業(SPE)は、2026年3月期の売上高が4,859億円となり、全社売上の約80%を占めました。AI向け半導体や先端ロジック向け需要は堅調でしたが、中国市場の減速や一部ファウンドリー向け投資の調整が影響しました。一方で、台湾向け需要や保守サービスなどのリカーリング収益は拡大しており、中長期的な成長基盤は維持されています。
市場の評価
市場では今回の減益を一時的な調整局面とみる見方が多く、会社側は2027年3月期に売上高7,250億円、営業利益1,500億円を見込んでいます。これは前期比で売上高約20%増、営業利益約22%増となる強気な計画です。AIサーバー向け半導体、HBM(高帯域幅メモリ)、先端パッケージング関連投資の拡大が追い風になると期待されています。
また、2026年6月時点では株価が年初来高値圏まで上昇する場面もあり、投資家は短期的な業績変動よりもAI関連需要による中長期成長に注目しています。PERは約22倍水準で推移しており、半導体製造装置大手として一定の成長期待が織り込まれている状況です。
Screenホールディングスの将来性を支える4つの成長要因
① AI半導体需要の拡大が最大の追い風
SCREENホールディングスの将来性を語るうえで、最も重要なのが生成AI市場の急成長です。世界の大手テクノロジー企業はAIデータセンターへの投資を拡大しており、その結果としてAIサーバー向けGPUや先端ロジック半導体の生産能力増強が進んでいます。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2026年度の日本製半導体製造装置販売高が前年比12%増の5兆5,004億円に達すると予測しています。背景にはAIサーバー向け先端ロジック半導体への投資拡大があり、半導体製造工程で不可欠な洗浄装置を提供するSCREENにとって大きな追い風となっています。
② HBM需要拡大で洗浄装置の重要性が高まる
AI向け半導体市場では、GPUと並んでHBM(高帯域幅メモリ)の需要が急増しています。HBMは大量のデータを高速処理するために欠かせない半導体であり、AIサーバーの普及とともに市場が急拡大しています。
SEAJは2026年度もDRAM投資の拡大が続くと予測しており、HBM向け設備投資が市場成長を支える要因になるとしています。また、業界ではロジック半導体だけでなくメモリー半導体への投資拡大も注目されており、HBM生産能力の増強が装置需要を押し上げています。SCREENの主力製品である洗浄装置はHBM製造工程でも重要な役割を担うため、今後の受注拡大が期待されています。
③ 世界トップクラスの洗浄技術による競争優位性
半導体の微細化が進むほど、製造工程で発生する微細な汚染物質を除去する洗浄技術の重要性は高まります。2nm世代や次世代半導体では、わずかな異物でも歩留まりに大きな影響を与えるため、高精度な洗浄装置が不可欠です。
SCREENは半導体洗浄装置分野で世界トップクラスのシェアを持ち、長年にわたり培った技術力と顧客基盤を強みとしています。AI向け先端ロジックやHBM向け投資が拡大する中、同社の技術的優位性は今後も維持される可能性が高く、市場成長の恩恵を受けやすいポジションにあります。
④ 積極的な研究開発投資と次世代半導体への対応
SCREENホールディングスは、AI時代の半導体需要を取り込むため研究開発投資を積極的に拡大しています。先端ロジック、HBM、2nmプロセス、先端パッケージングなど次世代分野への対応強化を進めており、技術革新への投資を継続しています。
また、各国政府も半導体産業支援を強化しており、AIや先端半導体関連の大型投資計画が相次いでいます。こうした市場環境の中で、技術力の高い装置メーカーへの需要は中長期的に拡大する可能性があります。SCREENは成長市場への投資を継続することで、将来の収益基盤強化を目指しています。
Screenホールディングスの将来性におけるリスク要因
① 中国向け需要の減速と地政学リスク
SCREENホールディングスにとって中国市場は重要な売上先ですが、近年は米中対立や半導体輸出規制の影響を受けやすい環境が続いています。2026年3月期決算説明会では、会社側が「中国の半導体製造装置市場(WFE)は概ね横ばい」との見方を示しており、中国以外の地域の成長によって中国向け売上比率が低下する見通しを明らかにしています。
また、2026年3月期第3四半期までの実績では、台湾向け売上が増加した一方、中国向けおよび米国向け売上が減少しました。今後も輸出規制の強化や中国メーカーの国産化推進が進めば、SCREENの受注動向に影響を与える可能性があります。
② 半導体市況の循環による業績変動リスク
半導体製造装置業界は成長産業である一方、景気や設備投資のサイクルによる変動が大きい業界でもあります。現在はAI向け半導体需要が市場をけん引していますが、将来的にデータセンター投資が鈍化した場合、半導体メーカーの設備投資も減少する可能性があります。
実際にSCREENの2026年3月期は、AI関連需要が堅調だったにもかかわらず、ロジック・ファウンドリー向け装置販売の減少や固定費増加の影響で減収減益となりました。半導体市場は長期的な成長が期待される一方で、短期的には受注や利益が大きく変動するリスクを抱えています。
③ 海外大手との競争激化
SCREENは半導体洗浄装置で世界トップクラスのシェアを持っていますが、半導体製造装置市場では競争も年々激しくなっています。特に、Applied Materials、Lam Research、Tokyo Electron などの大手企業は、豊富な研究開発資金と顧客基盤を背景に技術開発を進めています。
AI半導体や2nm以降の最先端プロセスでは、洗浄技術の重要性がさらに高まると予想されます。そのためSCREENは研究開発投資を積極的に拡大していますが、技術革新のスピードに対応できなければ競争優位性が低下するリスクもあります。一方で、同社は1999年以来、半導体洗浄装置分野で高い市場シェアを維持しており、この技術的優位性が今後の競争力の鍵になると考えられています。
株価は今後どうなる?Screenホールディングスの見通し

1. AI相場はまだ続くのか
現在の半導体市場は、生成AI向けデータセンター投資が最大の成長ドライバーとなっています。米国の大手テック企業によるAI関連投資は依然として高水準で推移しており、半導体製造装置メーカー全体に追い風が続いています。業界では、AI向け需要の拡大によって先端ロジック半導体や先端パッケージング向け設備投資が2027年にかけて増加するとの見方が強まっています。
SCREEN自身も2026年5月の決算説明会で、2027年3月期後半にかけて「AI向け先端ロジック・ファウンドリー案件」が成長を牽引すると説明しています。これは株価にとっても重要な材料です。
2. 受注残高の推移が最大の注目ポイント
半導体製造装置メーカーの業績は受注が先行指標になります。そのため投資家は売上高よりも受注残高や受注動向を重視しています。
2026年3月期は中国向け需要の鈍化や一部顧客の投資調整によって業績が伸び悩みましたが、会社側は2027年3月期の売上高を7,250億円規模まで引き上げる計画を示しています。これは今後の受注回復を前提とした計画であり、四半期ごとの受注推移が株価の方向性を左右する可能性があります。
特に台湾の先端半導体メーカー向け案件やAIサーバー関連需要の動向は、今後の業績予想修正につながる可能性があるため注目されています。
3. DRAM・HBM投資拡大の恩恵
2026年後半から2027年にかけては、AIサーバー向けHBM(高帯域幅メモリ)の増産投資が本格化すると予想されています。HBMの生産拡大には先端洗浄工程が不可欠であり、SCREENの主力である洗浄装置需要の増加が期待されています。
市場では、今後の半導体設備投資の主役がロジック半導体だけでなくメモリー分野にも広がるとの見方が増えており、DRAMやHBM関連投資はSCREENの中長期的な成長要因として注目されています。
4. アナリストが注目する指標
今後の株価を判断するうえで、投資家やアナリストが特に重視しているのは以下の指標です。
半導体製造装置事業(SPE)の受注額
AI向けロジック・ファウンドリー投資動向
HBM・DRAM向け設備投資計画
営業利益率の回復状況
中国売上比率の変化
研究開発投資の成果
これらが市場予想を上回れば、株価の上昇余地はさらに広がる可能性があります。逆にAI投資の減速や中国市場の不透明感が強まれば、短期的な調整局面を迎えるリスクもあります。
5. 今後の見通し
2026年6月10日時点では、SCREENホールディングスの株価はAI関連銘柄として高い評価を受けています。実際に6月上旬には年初来高値圏まで上昇する場面もあり、市場は2027年3月期の業績回復シナリオを織り込み始めています。
中長期的には、AI半導体、HBM、先端パッケージングという成長分野への強みを持つことから、Screenホールディングスの将来性は依然として高いと考えられます。ただし、株価は短期的な半導体市況や受注動向に大きく左右されるため、四半期ごとの受注額と会社計画の進捗を継続的に確認することが重要です。
Screenホールディングスは長期投資に向いている?
1. 長期投資に向いている投資家
SCREENホールディングスは、AI・半導体市場の長期成長を信じる投資家に向いた銘柄といえます。同社は半導体洗浄装置で世界トップクラスのシェアを持ち、生成AI向けGPUやHBM(高帯域幅メモリ)の需要拡大による恩恵を受けやすい立場にあります。世界の半導体市場は2026年もAI投資を背景に拡大が続いており、半導体メーカー各社の設備投資も高水準で推移しています。
また、会社側は2027年3月期について売上高7.250億円(前期比19.7%増)、営業利益1.500億円(同22.4%増)という強気の業績予想を公表しています。さらに配当性向30%以上を基本方針としており、成長投資と株主還元の両立を目指しています。AI関連需要が今後も拡大すると考えるなら、5年以上の長期保有を前提とした投資対象として魅力があります。
このような人に向いている
AI・半導体関連の成長市場に投資したい
中長期で資産形成を考えている
株価変動より将来の成長性を重視する
業績成長と配当の両方を期待したい
2. 長期投資に向いていない投資家
一方で、SCREENホールディングスは典型的な景気敏感株でもあります。半導体製造装置業界は設備投資サイクルの影響を受けやすく、AI需要が好調な局面では大きく成長する一方、市況悪化時には受注や利益が急減することがあります。実際に2026年3月期は売上高6.057億円、営業利益1.225億円と依然高水準だったものの、前期比では減収減益となりました。
また、株価はAI関連銘柄として期待が高まる一方で、業績や受注動向によって短期間で大きく変動することがあります。そのため、「安定した値動き」や「高配当の継続性」を最優先する投資家には必ずしも向いていません。特に半導体市況や中国市場の動向、米中摩擦など外部要因の影響を受けやすい点には注意が必要です。
このような人には不向き
株価の大きな変動を避けたい
景気敏感株を保有したくない
毎年安定した高配当を最優先したい
短期間で確実なリターンを求めている
総合的に見ると、Screenホールディングスの将来性はAI半導体需要の拡大を背景に依然として高いものの、短期的な業績変動も大きい銘柄です。そのため、「成長性重視の長期投資家向け」であり、「安定性重視の配当投資家向け」ではないというのが2026年6月時点の評価といえるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. Screenホールディングスの将来性は本当に高いの?
SCREENホールディングスの将来性は、AI半導体・HBM(高帯域幅メモリ)需要の拡大を背景に高いと評価されています。特に半導体洗浄装置で世界トップクラスのシェアを持つため、微細化が進むほど需要が伸びやすい構造です。ただし、半導体市況の影響を受けやすい点には注意が必要です。
Q2. 株価は今後も上がる可能性がある?
短期的には半導体市況や受注動向に左右されますが、中長期ではAI関連投資の拡大が続く限り上昇余地はあると見られています。特に2027年に向けた業績回復シナリオが実現すれば、株価の評価もさらに高まる可能性があります。
Q3. 競合企業と比べた強みは何?
主な競合にはApplied Materials、Lam Research、東京エレクトロンなどがあります。
その中でSCREENの強みは「洗浄装置に特化した高い技術力」と「先端工程での高シェア」にあります。
Q4. リスク要因には何がある?
主なリスクは以下の通りです。
半導体市況の悪化(設備投資の減少)
中国市場の不透明感(規制・需要減)
技術競争の激化
これらによって短期的に業績や株価が大きく変動する可能性があります。
Q5. 長期投資に向いている銘柄?
Screenホールディングスの将来性を重視するなら、長期投資向きの銘柄といえます。AI・半導体という成長市場に直結しているため、5年以上のスパンで見ると成長余地が期待できます。一方で、安定配当や低ボラティリティを求める投資家にはやや不向きです。
Q6. 今後チェックすべきポイントは?
投資判断では以下が重要です。
AI半導体向け設備投資の動向
受注残高・受注額の推移
HBM・DRAM投資の拡大状況
営業利益率の回復
これらの指標が改善すれば、Screenホールディングスの将来性に対する市場評価もさらに高まる可能性があります。
まとめ
SCREENホールディングスは、半導体洗浄装置で世界トップクラスの競争力を持ち、AI・HBM・先端パッケージといった成長分野の拡大による恩恵を受けやすいポジションにあります。特に生成AIの普及によって半導体需要は中長期的に拡大が見込まれており、同社の事業環境は引き続き良好です。
一方で、半導体市況の変動や中国市場の不透明感といったリスクは存在するものの、積極的な研究開発投資と高い技術力により競争優位性は維持される可能性が高いと考えられます。
2026年時点において、Screenホールディングスの将来性はAI時代の成長トレンドに支えられ、中長期的に有望な半導体製造装置メーカーの一つと評価されています。