公開日: 2026-06-06
量子コンピュータはAIに続く次世代テクノロジーとして注目を集めています。2026年は政府支援や企業投資が加速し、市場規模の拡大期待が高まっています。実際にIBMは量子コンピューティング分野への大型投資を発表し、業界全体への期待が高まっています。
本記事では、量子コンピュータの本命銘柄を米国株・日本株に分けて紹介し、今後の成長性や投資ポイントを解説します。
量子コンピュータが注目される理由

1. AI時代の次の成長テーマ
量子コンピュータは、AIブームの次に訪れる大型成長テーマとして世界中の投資家から注目されています。従来のスーパーコンピュータでも膨大な時間がかかる計算を、量子ビットを活用して効率的に処理できる可能性があるためです。
特に創薬、金融、物流、材料開発などの分野では、膨大な組み合わせ最適化やシミュレーションが必要となります。IBMは2026年に「初期的な量子優位性(Quantum Advantage)」の実現を目標に掲げており、医薬品開発や新素材研究への応用が現実味を帯びてきました。
また、量子技術はAIとの相性も良いと考えられています。AIモデルの学習効率向上や複雑な最適化問題の解決に量子コンピュータが活用される可能性があり、多くの大手IT企業が両分野への投資を加速させています。
世界各国も研究開発支援を強化しています。米国では量子技術の国家戦略が進められ、政府資金の投入が拡大しています。量子コンピュータ企業の資金調達環境も改善しており、業界全体の成長を後押ししています。
2. 市場規模の拡大が予想される
量子コンピュータ市場は現在も黎明期にありますが、商用化に向けた動きは急速に進んでいます。市場調査では、2035年までに量子コンピューティング市場が数百億ドル規模へ成長する可能性が指摘されています。
大手企業による投資も拡大しています。IBMは今後5年間で100億ドル以上を量子コンピュータ分野へ投資する計画を発表し、2029年までに大規模な耐障害性量子コンピュータの実現を目指しています。現在は世界で90以上の量子システムを展開し、325を超える企業・大学・政府機関が同社の量子エコシステムに参加しています。
専業企業の成長も顕著です。IonQは2026年第1四半期の売上高が6.470万ドルとなり、前年同期比755%増を記録しました。通期売上見通しも引き上げられており、商業利用の拡大が進んでいます。
さらに、D-Waveは2032年までのゲート型量子コンピュータ開発ロードマップを公表し、Quantinuumは約143億ドルの企業価値で大型IPOを実施するなど、業界全体が本格的な商用化フェーズへ移行しつつあります。投資家の期待が高まる背景には、「研究段階」から「収益化段階」への転換が見え始めたことがあります。
このように2026年は、量子コンピュータが単なる未来技術ではなく、実際のビジネスや産業で活用され始める転換点として位置付けられており、関連銘柄への注目度も一段と高まっています。
量子コンピュータの本命銘柄【米国株編】
1. IBM
IBMは現在、量子コンピュータ関連株の中で最も有力な本命銘柄の一つとされています。2026年5月には、今後5年間で100億ドル超を量子コンピューティング分野へ投資する計画を発表し、2029年までに世界初の大規模な耐障害性量子コンピュータの実現を目指しています。
同社はすでに世界で90台以上の量子システムを展開しており、325以上の企業・大学・研究機関がIBM Quantum Networkに参加しています。また、2026年には「量子優位性(Quantum Advantage)」の実証を目標としており、ロードマップも明確です。
投資ポイント
安定したキャッシュフローを持つ大型IT企業
量子分野への投資規模は業界最大級
AI・クラウド・量子の三本柱で成長期待
リスク
量子事業の収益化はまだ初期段階であり、現在の業績は主にソフトウェア事業が支えています。
2. IonQ
IonQは量子コンピュータ専業企業の代表格です。トラップドイオン方式を採用し、高い計算精度と拡張性で注目されています。
2026年第1四半期の売上高は6,470万ドルとなり、前年同期比755%増という驚異的な成長を記録しました。また、通期売上見通しも2億6,000万~2億7,000万ドルへ引き上げています。
量子クラウドサービスの利用拡大に加え、企業向けソリューションの導入も進んでおり、純粋な量子コンピュータ成長株として高い人気を集めています。
投資ポイント
量子コンピュータ専業企業として業界最大級
売上高成長率は量子業界トップクラス
実用化が進めば大幅な株価上昇余地
リスク
赤字経営が続いており、株価変動が非常に大きい点には注意が必要です。
3. D-Wave Quantum
D-Waveは世界初の商用量子コンピュータ販売実績を持つ企業です。これまで量子アニーリング方式を主力としてきましたが、2026年にはゲート型量子コンピュータ市場への本格参入を発表しました。
最新ロードマップでは、2030年に10論理量子ビット、2032年に100論理量子ビットを実現し、100万回以上の演算を可能にする耐障害性量子コンピュータの開発を目標としています。
2026年には初期ゲート型システムの市場投入も予定されており、投資家の注目度が急上昇しています。
投資ポイント
商用化実績が豊富
企業向け導入事例が多い
ゲート型参入で市場拡大期待
リスク
競合他社との技術競争が激化している。
4. Alphabet
Alphabetは量子コンピュータ専業企業ではありませんが、世界最高レベルの研究開発力を持つ量子関連銘柄です。
同社のGoogle Quantum AIは「Willow」量子チップを開発し、量子誤り訂正技術で大きな進展を達成しました。量子コンピュータ最大の課題であるエラー率低減に成功したことで、実用化への期待が高まっています。
また、2026年には英国の主要研究機関へWillowチップの提供を開始し、研究エコシステムの拡大も進めています。
投資ポイント
AIと量子技術を同時に保有
潤沢な研究開発資金
Google Cloudとの連携が期待
リスク
量子事業単独では業績への影響がまだ小さい。
量子コンピュータの本命銘柄【日本株編】
1. 富士通(6702)
富士通は日本の量子コンピュータ開発をリードする本命銘柄です。理化学研究所と共同で2025年に世界トップクラスとなる256量子ビット超伝導量子コンピュータを稼働させ、2026年には1.000量子ビット機の導入を予定しています。
さらに2026年4月に公開されたロードマップでは、
2026年度:1000量子ビット
2030年度:10,000超量子ビット・250論理量子ビット
2035年度:1,000論理量子ビット
という長期目標を示しています。
富士通は量子コンピュータ単体だけでなく、AI・スーパーコンピュータ「富岳」との連携によるハイブリッド計算基盤の構築も進めており、実用化に最も近い日本企業との評価もあります。
注目ポイント
日本最大級の量子コンピュータ開発企業
2026年に1,000量子ビット機を導入予定
AIと量子技術の融合による成長期待
2. 日本電信電話(9432)
NTTは従来型の超伝導量子コンピュータとは異なり、「光量子コンピューティング」の実現を目指しています。
2026年1月に公開された「IOWN Technology Report」では、光量子コンピューティングを次世代データセンターやAI基盤と統合する構想を明らかにしました。
また、NTTは東京大学の古澤明教授らと共同で光量子コンピュータの研究を進めており、2030年代前半の実用化を視野に入れています。従来方式よりも大規模化しやすい技術として期待されています。
量子技術に加え、IOWNや次世代通信インフラ事業も成長ドライバーとなっているため、比較的安定した投資先として人気があります。
注目ポイント
光量子コンピューティングの世界的リーダー候補
IOWNとのシナジー効果が期待
通信事業による安定収益を保有
3. 日立製作所(6501)
日立製作所はシリコン量子コンピュータの開発を進める日本の有力銘柄です。
2026年3月、日立はJSTムーンショット型研究開発事業の一環として、耐障害性量子コンピュータの実現に向けた研究成果を発表しました。さらに、2027年度にはクラウド上で量子計算実験環境を提供する計画を示しています。
同社は半導体技術で培ったノウハウを活用し、シリコン量子ビット技術を重点開発しています。また、量子アルゴリズムや産業用途の研究も進めており、製造業・エネルギー・物流分野での活用が期待されています。
さらに、量子コンピュータ時代に備えた耐量子暗号(PQC)事業も展開しており、量子関連市場全体の成長恩恵を受ける可能性があります。
注目ポイント
シリコン量子コンピュータを開発
2027年度にクラウド実験環境を提供予定
耐量子暗号分野にも進出
今後の注目ポイント
1. 商用化の進展
これまで研究段階にあった量子コンピュータは、2026年に入り明確に「商用化フェーズ」へ移行し始めています。
米国ではIBMが量子クラウドサービスを通じて企業向け利用を拡大しており、すでに300以上の企業・研究機関が実際の業務に試験導入しています。また、IonQは売上高が前年比700%超の成長を記録し、実際の収益化が進み始めています。
さらにD-Wave Quantumは物流・金融分野での導入実績を持ち、2026年にはゲート型量子コンピュータの市場投入を計画しています。
2. 政府支援の拡大
量子コンピュータは国家安全保障や産業競争力に直結する技術であり、各国政府が巨額投資を進めています。
米国では国家量子イニシアチブのもとで研究資金が継続的に投入されており、企業との連携も加速しています。欧州や中国も同様に国家プロジェクトとして推進しており、開発競争は激化しています。
日本でも、富士通や日本電信電話を中心に、政府主導の研究開発支援が拡大しています。理化学研究所との連携やムーンショット型研究などにより、量子技術の基盤整備が進んでいます。
3. AIとの融合
今後最も大きなテーマの一つが「AI × 量子コンピュータ」です。
AlphabetはAIと量子研究を同時に進めており、量子技術によるAIモデルの高速化や最適化に取り組んでいます。また、IBMもAIプラットフォームと量子計算を統合する戦略を掲げています。
量子コンピュータは、AIが苦手とする「組み合わせ最適化」や「高次元シミュレーション」に強みがあり、今後のAI進化を一段引き上げる可能性があります。
4. 量子クラウドサービスの普及
量子コンピュータは非常に高価で扱いも難しいため、今後は「クラウド経由で利用する形」が主流になります。
すでにAmazonの「Braket」やMicrosoftの「Azure Quantum」、そしてIBMの量子クラウドが提供されており、企業や研究者はオンラインで量子計算を利用可能です。
IonQもこれらクラウド経由でサービスを展開しており、利用企業の増加が売上成長に直結しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 量子コンピュータの本命銘柄はどれですか?
現時点での本命銘柄は、安定性と技術力のバランスから見るとIBMが最有力候補です。量子分野に100億ドル規模の投資を行い、商用化にも最も近いとされています。
一方で、高成長を狙うならIonQやD-Wave Quantumといった専業企業も有力です。
Q2. 量子コンピュータ関連株は今が買い時ですか?
結論から言うと、「長期投資なら検討余地あり、短期はボラティリティ注意」です。
2026年は商用化の初期段階に入り、売上成長が見え始めています。一方で、まだ市場は黎明期のため株価変動は大きくなりがちです。
判断ポイント
長期(5〜10年):有望
短期:テーマ株として値動きが荒い
Q3. 日本株で有望な量子コンピュータ銘柄は?
日本株では以下の3社が有力です。
富士通:1,000量子ビット開発で本命
日本電信電話:光量子コンピュータ
日立製作所:シリコン量子技術
Q4. 量子コンピュータはいつ実用化されますか?
完全な実用化(大規模商用)は2030年前後と見られています。
ただし2026年時点でも、
クラウド経由での利用
企業での試験導入
一部業務での限定活用
はすでに始まっています。
Q5. AIと量子コンピュータは競合ですか?
競合ではなく「補完関係」です。
AIはデータ分析や予測に強く、量子コンピュータは最適化やシミュレーションに強みがあります。
AlphabetやIBMは両分野を組み合わせた研究を進めています。
Q6. 投資する上での最大のリスクは?
最大のリスクは「実用化の遅れ」と「収益化の不確実性」です。
特にIonQのような成長株は、
赤字継続
技術競争の激化
株価の大幅変動
といったリスクがあります。
Q7. 量子コンピュータ銘柄はどのように選べばいいですか?
以下の3つの軸で選ぶのが基本です。
① 技術力(量子ビット数・方式)
② 商用化の進捗(売上・顧客数)
③ 資金力(研究開発投資)
おすすめ戦略
安定:IBM
成長:IonQ
分散:米国株+日本株の組み合わせ
まとめ
量子コンピュータの本命銘柄としては、安定性を重視するならIBMや富士通、高い成長性を狙うならIonQやD-Waveが有力候補です。2026年は政府支援や大型投資が相次いでおり、量子コンピュータ市場が本格的な成長局面へ移行する可能性があります。中長期視点で有望銘柄を選別することが重要です。