日本製鉄の株価が下落している理由:最新の動向と回復可能性
简体中文 繁體中文 English 한국어 Español ภาษาไทย Bahasa Indonesia Tiếng Việt Português Монгол العربية हिन्दी Русский ئۇيغۇر تىلى

日本製鉄の株価が下落している理由:最新の動向と回復可能性

著者: 高橋健司

公開日: 2026-01-30

日本製鉄(証券コード:5401)の株価は、近年にわたり軟調な動きが続いています。2025〜2026年にかけては、決算内容や業績予想の悪化、米国事業に関する不透明感などが重荷となり、株価の重さが目立ち始めました。


直近の決算では、2025年6月期の第1四半期決算が大幅な赤字に転落し、前年同期の利益から急落したことが市場の失望材料となっています。営業利益・純利益の大幅減少が確認された結果、株価が売られる要因となりました。


また、日本製鉄は買収した米国のU.S. Steel事業で期待された利益改善が一時的に実現せず、通期の損益見通しも下方修正されています。これに伴い投資家心理が慎重になり、株価に圧力がかかっています。


日経平均や鉄鋼セクター全体の動きと比べても、日本製鉄株は業績面でのネガティブな材料を背景に弱さが目立っているという状況です。なお、配当利回りは比較的高水準にあるものの、短期的な株価回復には業績改善が不可欠だとの見方が強まっています。


本記事では、日本製鉄の株価が下落している理由と回復する可能性を詳しく解説します。


日本製鉄の株価が下落している理由を分析

年初来、上場の後下落トレンドにある

1.業績の悪化と利益予想の下方修正

最近の日本製鉄は、業績指標が大きく悪化していることが株価下落の主要因のひとつとなっています。


  • 通期業績予想の下方修正

    日本製鉄は2025年11月に発表した2026年3月期の連結純利益予想を、当初の400億円の赤字見込みから600億円の赤字へさらに下方修正しました。これは前期の3.502億円の黒字から大きく後退した数字です。主因として、買収した米国のU.S. Steel事業が今期収益に貢献しない見通しとなったことが挙げられています。連結事業利益予想も4.800億円から4.500億円に下方修正されました。


  • 四半期ベースでも赤字転換が続く

    2025年度の第1・第2四半期の決算を見ると、売上高は一定程度確保されているものの、営業利益・純利益が相次いで赤字に転換しています。具体的には、第1四半期は前年同期の黒字から大幅な赤字に転落し、第2四半期でも引き続き赤字が続いている状況です。これらは市場予想を大きく下回る内容であり、投資家の失望を招いています。


  • 過去の利益減少予想との連動

    さらに、2025年度決算では純利益が前年から大幅に減少するとの予想も出されており、米国の高い関税負担など外部要因により利益が減少するとの見方が報じられています。こうした減益予想も、株価にネガティブに働いています。


2. グローバル鋼材市況の逆風

世界の鉄鋼市場は依然として供給過剰・価格低迷の構造的な逆風にさらされています。 これは日本製鉄の業績と株価に大きく影響している要因のひとつです。


  • 中国産鋼材の過剰輸出と供給過剰

    中国は2025年も鉄鋼輸出量を大幅に伸ばし、史上最多水準の約1億1900万トンを海外市場に供給しました。 国内需要の低迷を背景に、供給余力を海外に向けているため、国際市場での鋼材価格に下押し圧力がかかっています。


    また、OECDの分析でも世界的な鉄鋼の供給過剰(オーバーキャパシティ)の問題は拡大していると指摘されており、中国・アジア・中東地域を中心に生産能力が増加し続けているため、需給バランスが改善しにくい状況です。


  • 中国国内需要の弱さ

    中国の国内鉄鋼需要は不動産投資減少や建設活動の低迷で鈍化しており、これが海外輸出へのシフトを強める要因となっています。実際、国内需要が縮小する一方で中国の輸出は増加し、輸出鋼材の価格競争力が高まっています。


  • 鉄鋼価格の低迷と世界市場の圧力

    中国からの安価な鋼材が国際市場に大量供給されることで、欧米やアジアの鋼材価格は下落圧力を受けています。輸出が増える一方で各国の保護主義的な政策や関税による貿易摩擦も続いており、短期的な価格反発は見えにくい状況です。


  • 日本・韓国など地域の政策対応

    韓国では2025年に日中からの鋼材輸入に対するアンチダンピング関税調査が開始されるなど、地域的には保護策が強化される動きも出ていますが、これは市場全体の価格改善というよりも各国の産業保護を目的とした措置という側面が強いです。


3. 市場センチメントと投資家行動(最新情報)

  • 個人投資家のセンチメントの動き

    個人投資家のセンチメントは一方向に明確とは言い切れない動きが見られています。一部の指標では日本製鉄に対する買い予想が増加する場面も確認されています。たとえば「みんかぶ」の個人投資家予想では、日本製鉄が「買い予想数上昇」1位にランクインしたことがあり、期待感の高まりが見られた時期もありました。 しかし、短期的には利益確定の売り圧力が強まったり、買いと売りが交錯する局面もあります。これは米国子会社の負債や資金調達に関する警戒感が背景にあると報じられています。


    こうした個人投資家の予想と実際の売買行動が必ずしも一致しないことから、センチメントは不安定な状態にあり、短期的な株価変動要因の一つになっています。


  • 投資指標(PBRなど)の状況と評価

    株価指標面では、日本製鉄のPBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回る水準にあるという評価が報じられています。過去のデータでは、PBRが0.5倍台といった割安な評価が確認されており、配当利回りも4%台と比較的高い水準であるため、割安成長株としての見方もあります。


    ただし、この割安感そのものが不安要素として受け止められる側面もあります。 たとえばPBRが極端に低い場合、マーケットは「成長期待が低い」「財務面や事業環境のリスクが高い」といった評価を織り込むため、投資家の慎重姿勢につながることがあります。このため、単純に「割安だから買い」と判断されず、投資心理が弱気に傾く要因にもなっていま


  • 機関投資家・外国人投資家の動き(市場全体の影響)

    日本株全体を俯瞰したデータでは、海外投資家が日本株市場で売り越し傾向にある局面もあり、外国人投資家のポジション縮小が市場センチメントに影響している可能性も示唆されています(日本製鉄特有のデータではありませんが、日本株市場全体の流れとして関連します)。


    こうしたグローバルなフローの変化も、日本製鉄株に対する需給バランスや投資家行動を左右し、売り圧力・買い圧力の交錯につながっていると考えられます。


回復に向けたポジティブ要素

回復に向けたポジティブ要素

1 経営側の見解・戦略

日本製鉄は株価下落の逆風の中でも、経営トップや幹部が業績改善と成長戦略に強い意欲を示し、投資継続と将来の収益拡大にコミットしている姿勢を示しています。


  • 米国事業の弱さは「一時的」との認識

    経営陣は、買収した米国の U.S. Steel 事業に関して「現状の業績の弱さは一時的なもの」との見解を示しています。2025年12月の取締役の発言では、同社買収後に利益貢献が見込まれていたものの現時点では寄与が限定的である点について、計画自体は大きくズレていないと説明しています。日本製鉄は2028年までにUSスチール事業から約2.500億〜3.000億円の利益寄与を目指し、設備投資と収益化強化策を進める方針です。


  • 大規模設備投資と統合効果の追求

    日本製鉄はU.S. Steel買収後も投資を積極的に継続しています。12月には インディアナ州ゲーリー製鉄所で3億5.000万ドル(約50億円超)の設備投資プロジェクトを承認し、生産設備の改修を進めると発表しました。これにより、高強度鋼など高付加価値製品の生産能力を強化し、収益力向上を図る狙いです。


    加えて、買収直後のU.S. Steel側発表では、2028年までに約110億ドル(約1.6兆円)規模の資本投資を実施し、設備更新・効率化で年間25億ドル以上の収益改善を狙う計画が明らかになっています。これは日本製鉄の出資によるものです。


  • 中長期管理計画の方向性

    日本製鉄は 2030年に向けた中長期経営計画も公表しており、国内外での事業基盤強化を掲げています。2026年1月の記事では、「実力ベースの連結事業利益6.000億円超を確保しつつ、将来的には1兆円以上を目指す」ことや ROE(株主資本利益率)を10%程度に高める目標が示されました。配当政策でも下限配当の設定など株主還元強化を打ち出しています。


  • デジタル化と高付加価値製品へのシフト

    また、公式IR資料では デジタル技術(DX)や高付加価値鋼の開発推進といった成長ドライバーも打ち出されています。これは世界市場での競争力を高める狙いであり、単なるコスト削減だけでなく製品・プロセス革新による収益構造改善を目指す戦略です。


2 財務改善・長期的なターンアラウンドの可能性

  • 損失幅の縮小・収益改善の動き

    日本製鉄は直近の決算で依然として赤字が続いていますが、損失幅の縮小という改善の兆しが確認されています。 2026年3月期第2四半期決算(2025年11月発表)では、売上収益が前年実績を上回り、事業利益は前回予想比で26.4%の増加となっています。一方で、中間利益は依然マイナスですが、赤字幅自体は前回予想より縮小している状況です。 これはコスト削減や収益改善策が一定程度奏功している可能性を示唆しています。


    また、専門メディアの記事では、実力ベース(在庫評価差等の影響を除いた事業利益)で6.000億円以上の確保を見込むとの見通しが示されており、基礎的な収益力の強化が進んでいることが示されています。これは外部環境の厳しさを踏まえたうえでも一定程度の耐性があるとの評価につながります。


  • 中長期経営計画による成長目標

    日本製鉄は「2030 中長期経営計画」を掲げ、実力ベースで連結事業利益6.000億円超の確保を基盤に、将来的に1兆円以上の事業利益実現を目指す方針を示しています。これは営業利益水準の回復と安定的な収益構造強化を意識した戦略です。また、株主還元策として年間24円/株(株式分割前120円)の「下限配当」を設定しており、配当利回りは約4%前後と高水準となっています。こうした収益目標と配当政策は、長期投資家にとって魅力的なポイントとして評価されています。


  • 配当の安定性と株主還元

    最新の投資情報でも、日本製鉄は2026年3月期も1株あたり120円の配当予定を維持しており、予想配当利回りは4%台前半という高水準を保っています。安定した配当政策は、業績の循環的な波がある中でも株主への還元を重視する姿勢の表れと受け止められています。


3 需給改善のシナリオ

世界の鉄鋼需要は近年の低迷・停滞局面を抜けつつあり、インフラ投資や特定分野の需要回復が需給改善の重要なシナリオになると予想されています。以下は、最新の動向を整理した内容です。


A.世界全体の需要見通し:底打ちと緩やかな回復

世界鉄鋼協会(World Steel Association)の最新短期見通しによると、2025年の世界の鉄鋼需要はほぼ横ばいで安定し、2026年には1.3%程度の回復が見込まれています。 この回復は、主要国・地域のインフラ投資や経済の底堅さに支えられるものとされています。 需要は約17億5.000万トンで横ばい後、2026年に約17億7.300万トンへ回復する見込みです。


特にインドや東南アジア、中南米の鉄鋼需要は比較的強く、これら成長市場の建設・インフラプロジェクトが全体需要を下支えすると見られています。 たとえば、インドでは鉄鋼需要が2025〜2026年に約9%成長するという強い見通しが示されています。


B.インフラ投資の寄与(需要の下支え)

世界的に政府主導のインフラ投資が継続されている点も需給改善のシナリオとして重要です。インフラ投資は橋梁・道路・鉄道・港湾といった大型プロジェクトで鋼材需要を直接喚起します。これらの投資は、景気安定化策や雇用創出策として多くの国で継続中です(特にアジアや欧米の一部でインフラ支出が堅調)。


世界需要が2026年に回復傾向と評価される背景には、インフラ支出の持続的な影響があると見られています。これが長期的な需要基盤の改善につながる可能性があります。


C.自動車・建設向け需要の復調予想

  • 自動車産業:

    低合金鋼や薄板鋼板など、自動車向け鋼材の需要は環境規制・軽量化ニーズの高まりとともに堅調に成長するとの市場報告があります。低合金鋼市場は2030年までに約7.2%の年平均成長率が見込まれており、これには自動車分野からの需要が大きく寄与します。


  • 建設・インフラ:

    最新データでは、世界の鉄鉱石価格が再び上昇傾向にあり、鉄鋼価格の底支えにつながっています。建設用鋼材価格も安定〜底堅い動きを示しているという短期ニュースが報じられています。


加えて、世界市場全体でステンレス鋼や巻鋼など各種鋼材市場が中長期で拡大する予測が複数報告されており、これも鋼材全体の需要改善期待を支える要素となっています。たとえば、ステンレス鋼市場は2032年までに大幅な成長が予測されています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 日本製鉄の株価はなぜ最近下落しているのですか?

日本製鉄の株価下落の主な要因としては、

  • 世界的な鉄鋼需要の減速懸念

  • 中国経済の成長鈍化による鋼材価格の下押し

  • 原材料価格(鉄鉱石・石炭)の変動

  • 円高局面での輸出採算悪化への警戒

などが挙げられます。


加えて、好業績を背景に株価が先行して上昇していた反動で、利益確定売りが出やすい局面にあった点も影響しています。


Q2. 業績自体は悪化しているのでしょうか?

足元の業績は、ピーク時と比べると利益水準の調整局面にありますが、赤字転落や急激な悪化という状況ではありません。


高付加価値鋼材や自動車・インフラ向け需要は底堅く、構造的な競争力は依然として維持されています。そのため、市場では「業績悪化」よりも「成長鈍化への警戒」が意識されている段階といえます。


Q3. 米国事業や海外展開は株価にどのような影響がありますか?

日本製鉄は北米を中心に海外事業の比重が高く、

  • 米国の景気動向

  • 自動車生産の回復ペース

  • 貿易政策・関税リスク

が株価に直接影響します。


特に米国経済が減速する局面では、将来収益への不透明感が強まり、株価が調整しやすくなります。


Q4. 配当や株主還元への影響はありますか?

現時点では、日本製鉄は株主還元を重視する姿勢を維持しています。


ただし、鉄鋼業は景気敏感業種であるため、業績見通しが大きく下方修正される場合には、配当性向や自社株買いの規模が見直される可能性もあります。中長期投資家は、配当利回りだけでなく「業績の持続性」にも注目する必要があります。


Q5. 株価が回復する可能性はありますか?

回復の可能性は十分にあります。ポイントは以下の点です。

  • 世界経済の底打ちと鉄鋼需要の回復

  • 高付加価値製品へのシフトによる利益率改善

  • 円安局面への回帰

  • インフラ投資・脱炭素関連需要の拡大

これらが同時に進めば、業績の再評価とともに株価が見直される展開も期待できます。


Q6. 短期投資と長期投資、どちらに向いていますか?

日本製鉄は短期では景気・市況に左右されやすい一方、長期では産業基盤を支える代表的な大型株です。


そのため、

  • 短期投資:市況回復のタイミングを狙う戦略

  • 長期投資:配当を意識しつつ、景気循環を前提に保有

といった使い分けが考えられます。


まとめ:日本製鉄の株価が下落している理由と注目ポイント

日本製鉄の株価が下落している理由と注目ポイント

A.下落要因の整理(短期/中期/長期)

短期的な下落要因

  • 直近決算で一時的な赤字転落や利益予想の下方修正が株価にマイナス圧力となっています。2025年度第1〜2四半期決算では、大幅な損失や営業赤字が報告されました。

  • 個人投資家の予想では「売り予想数上昇」といった売り圧力が強まる動きが確認されています。


中期的な下落要因

  • 米国子会社の US Steel 統合に伴う財務負担増大や不確実性が依然として投資家心理を冷やしています。格付け機関による格付け引き下げなど、信用面での懸念も株価の重荷です。

  • 世界的な鉄鋼需要の停滞と中国からの供給過剰は、価格低迷を招き、収益改善を遅らせています(需給逆風)。


長期的な下落要因

  • 鉄鋼業界の構造変化(エネルギーコスト・カーボン規制対応コスト)や世界的な景気減速リスクが長期業績の足かせとなる可能性があります。


B. 投資家が押さえるべきポイント(指標・イベント)

1. 業績動向と利益見通し

利益予想の進捗:通期利益予想や四半期業績が市場予想に届いているか定期的にチェックすることが重要です。赤字幅や営業利益の改善度合いが株価回復の鍵になります。


2. US Steel 事業の統合状況

US Steel の収益寄与と統合効果:統合後の収益状況やコスト削減の進捗は株価に影響します。経営側は弱さを“一時的”としつつ収益化計画を示しています。


3. バリュエーション指標

PER・PBR・配当利回りのチェック:PBRが低く割安感がある一方で、収益性や配当維持の持続可能性も見る必要があります。


4. グローバル鉄鋼需給

世界市場の需給改善シナリオ(インフラ投資、自動車鋼材需要):世界的な回復が進むかどうかは今後の収益改善の大きな要素です。


C. リスク管理と投資判断のヒント

リスク要因の管理

  • 財務健全性・信用リスク:格付け引き下げや借入負担増を踏まえ、財務指標(自己資本比率・負債比率)をウォッチすることがリスク回避につながります。

  • 市場センチメントと売買動向:個人・機関投資家の動きを表す指標(信用倍率・出来高・売買代金)をモニタリングすることで、過度なポジション偏りを回避できます。


投資判断のヒント

  • 長期視点と短期視点のバランス:短期的な株価変動に惑わされず、US Steel 統合効果や世界需給の改善シナリオを長期的な投資判断要素として組み入れることが重要です。

  • 分散投資の視点:鉄鋼株だけに依存せず、需給改善の見える関連セクター(建設・インフラ関連株など)との相対的比較を行うことがリスク管理に有効です。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。