公開日: 2025-11-24
近年、投資アプリの普及やSNSでの情報共有が進み、投資を始める人が増えています。その中で、「みんなが買っている銘柄=人気株銘柄」が注目されやすくなっています。
特に初心者は、知名度が高く安心感のある企業を選ぶ傾向があり、トヨタや任天堂、NTTなどの大型株が多く購入されています。しかし、人気株銘柄だからといって必ず上がるわけではありません。話題性や短期の上昇だけで判断すると、高値掴みになるリスクもあるため、「なぜ人気なのか」を理解して選ぶことが重要です。
人気株銘柄の選ばれる基準とは

人気株には共通した特徴があります。特に、個人投資家が銘柄を選ぶ際には、「将来性」「安心感」「利益の出しやすさ」が重視されます。ここでは人気株が選ばれる代表的な基準を紹介します。
①配当利回りが高い(高配当株)
配当金が安定して受け取れる企業は、長期投資家から高い支持を得ています。銀行株、通信株、商社株などが該当し、株価変動が比較的落ち着いているため、初心者でも安心しやすい点が魅力です。
②成長性が高い(グロース株)
売上や利益が右肩上がりに伸びている企業は、「将来株価が上がるかもしれない」という期待から買われやすくなります。特にテクノロジー、AI、EV関連企業が注目されやすく、変動は大きいものの、成功すれば大きな利益が狙えるカテゴリです。
③認知度が高い・ブランド力がある
トヨタ、任天堂、ソニーなど、誰でも知っている企業は安心感があり、投資初心者にも選ばれやすい傾向があります。また、ブランド力の高い企業は景気の変動にも比較的強いことが多く、市場全体が不安定なときでも買われやすい特徴があります。
④生活に密接(インフラ・生活必需品)
電力会社、通信会社、食品メーカーなど、生活に欠かせない企業は需要が安定しやすく、景気に左右されにくい点から人気があります。安全資産に近く、ポートフォリオ安定の役割としても選ばれます。
⑤株主優待が魅力的(日本特有)
日本株ならではの魅力として、商品券、割引券、食品などがもらえる株主優待制度があります。特に個人投資家や初心者に人気が高く、「投資しながら実益が得られる」点が強いメリットです。優待目的で株を保有する層も多く存在します。
2025年年末最新版|人気株銘柄ランキングTOP10
| 順位 | 銘柄名(証券コード) | カテゴリ | 人気の理由 | 投資難易度 |
| 1位 | トヨタ自動車(7203) | 大型グロース/ディフェンシブ | 世界最大級の自動車メーカー。EV・自動運転投資で成長期待。流動性高し | 低 |
| 2位 | 三菱UFJフィナンシャル・G(8306) | 銀行(高配当) | 高配当・金融セクター代表。個人保有数が多く人気 | 低 |
| 3位 | ソニーグループ(6758) | ハイテク/エンタメ | 強いIPと半導体・センサー等の成長期待。海外人気も高い | 中 |
| 4位 | ソフトバンクグループ(9984) | 投資持株/グロース | ARMや海外投資ポートフォリオへの期待感。ボラティリティ高め | 高 |
| 5位 | 日本電信電話(NTT)(9432) | 通信(高配当) | 安定収益・配当、社会インフラ。個人投資家に根強い人気 | 低 |
| 6位 | 任天堂(7974) | エンタメ/グロース | 強力なIP(ゲーム)と海外売上。決算で暴騰・下落あり | 中 |
| 7位 | ファーストリテイリング(9983) | 小売/グロース | UNIQLO ブランド力。長期成長期待で機関・個人とも人気 | 中 |
| 8位 | 東京エレクトロン(8035) | 半導体装置(ハイテク) | 半導体投資サイクル恩恵。高成長期待で注目銘柄 | 中 |
| 9位 | リクルートホールディングス(6098) | サービス/求人プラットフォーム | 人材・メディア事業の安定成長。業績期待が高い | 中 |
| 10位 | KDDI(9433) | 通信/インフラ | 安定配当・通信インフラ。個人投資家の保有比率が高め | 低 |
トヨタ自動車(7203)
時価総額:約48.9兆円。
株価:1株あたり約3,097円(2025年11月21日時点)
紹介:世界最大級の自動車メーカー。国内外でハイブリッド・EV・自動運転技術を推進しており、円安も収益改善の追い風
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
時価総額:約28.7兆円。
株価:1株あたり約2,379円(2025年11月21日時点)
紹介:国内最大手の金融グループ。銀行・信託・証券・資産運用を手広く展開し、個人投資家向け高配当銘柄としても人気
ソニーグループ(6758)
時価総額:約27.7兆円。
株価:1株あたり約4,536円(2025年11月21日時点)
紹介:エンターテインメント(ゲーム・映画)、イメージセンサー、音楽など多角化ハイテク企業。成長期待が高く人気
ソフトバンクグループ(9984)
時価総額:約24.8兆円。
株価:1株あたり約17,370円(2025年11月21日時点)
紹介:携帯通信事業だけでなく、投資持株会社として世界のテクノロジー企業に多く出資。ボラティリティは高め
日本電信電話(9432)
時価総額:約13〜14兆円台。
株価:1株あたり約154.20円
紹介:国内通信インフラを支える大企業。安定収益・高配当が魅力で、個人投資家にとって安心感のある銘柄
任天堂(7974)
時価総額:約17.3兆円。
株価:約13,300円
紹介:ゲーム機・ゲームソフトという強力なIPを多数保有。国内外人気ともに高く、成長期待を背景に投資対象になりやすい
ファーストリテイリング(9983)
時価総額:約17.4兆円。
株価:約35ドル
紹介:ユニクロ等を展開するグローバルアパレル企業。ブランド力と海外成長力を兼ね備え、個人投資家からも人気
東京エレクトロン(8035)
時価総額:約11〜12兆円台(2025年10月末時点)
株価:約32,500円
紹介:半導体製造装置の大手であり、グローバルな半導体設備需要の恩恵を受ける成長企業。成長寄りの人気銘柄
リクルートホールディングス(6098)
時価総額:約18.4兆円(2024年時点ランキング)
株価:約10ドルあたり
紹介:求人・人材・メディア事業で幅広く展開。景気回復局面や人手不足の潮流を受けて注目される銘柄
KDDI(9433)
時価総額:約11.0兆円台。
株価:約2,718円
紹介:国内通信インフラの大手。安定配当・安定収益という観点から、保守的に「人気株」の選択肢となることが多い
人気株を買うメリット
情報量が多く分析しやすい
人気株銘柄は市場での注目度が高いため、企業の決算資料・アナリストレポート・ニュース記事・SNS投稿などが豊富に出回ります。分析材料が揃っている分、初心者でも理解しやすく「どんな事業をしている企業か」「成長性はあるか」を把握しやすいという利点があります。
流動性が高く売買しやすい
多くの投資家が関心を持っている銘柄は、取引量(出来高)が大きく、売買がスムーズに行える傾向があります。売りたいとき・買いたいときに市場参加者が多いため、希望の価格近くで取引できる可能性が比較的高いです。
長期トレンドや企業成長が読みやすい
人気銘柄は多くの分析者・投資家がフォローしており、成長ドライバー(新製品・市場拡大・ブランド力強化など)が周知されている場合が多いです。こうした情報を元に、長期保有を視野に入れた「成長期待+トレンド確認」の戦略を立てやすいという強みがあります。
人気株銘柄のリスク
過熱相場で高値掴みリスク
注目度が高まった銘柄は買われ過ぎて株価が割高になることがあります。人気=安全ではなく、「割高な期待」が価格に織り込まれてしまっている場合、成長が期待通りにいかないと株価の調整(下落)を招く可能性があります。
SNSやニュースによる価格変動
人気銘柄は、SNS投稿やニュース報道、アナリストのコメントなどにより短期的な売買が活発になりやすく、情報発信が株価変動のきっかけになることがあります。つまり、ファンダメンタルズ以外の「話題性」だけで動く局面が出てくるため、急な上下動(ボラティリティ)が生じるリスクがあります。
「人気=安全」ではない落とし穴
銘柄が人気だからといって、業績が確実に伸びる・株価が必ず上がるという保証はありません。人気が加速した直後に市場全体のセンチメントが変わると、一気に売られることもあります。投資判断において「なぜ人気なのか」「その人気が持続可能か」を吟味する必要があります。
どのタイミングで買うべき?初心者向け戦略
投資で最も難しい点は「どこで買えばいいのか」という判断です。特に初心者は感情に流され、高値掴みや急落パニック売りをしやすいため、ルール化された判断基準を持つことが重要です。ここでは、初心者でも実践しやすい3つの方法を紹介します。
①トレンドライン・移動平均線を使った買いタイミングの判断例
チャート分析で基本となるのがトレンドラインと移動平均線(SMA)です。
| 判断方法 | 見るポイント | 買い判断の例 |
| 上昇トレンドライン | 安値が徐々に切り上がっている | 価格がトレンドライン付近で反発したタイミング |
| 50日移動平均線(短中期) | 株価が線を上回って推移 | 平均線に近づいた押し目で買い |
| 200日移動平均線(長期) | 長期トレンド方向 | 株価が200日線より上 → 強い上昇相場 |
シンプルな買いサイン例(初心者向け)
株価が200日移動平均線の上にあり、50日移動平均線に触れる→反発確認→買い。
これは「押し目買い」の典型パターンで、多くの投資家が使用しているため再現性が高い戦略です。
②分割投資・積立投資シナリオ(価格変動に強い買い方)
初心者が一度に買うのは危険です。そこで使えるのが、
ドルコスト平均法
ステップ式買い付け(分割購入)
などの方法です。
| 方法 | 内容 | メリット |
| ドルコスト平均法 | 毎月同じ金額で買う | 高値では少なく、安値では多く買える → 平均購入価格が安定 |
| 3回分割購入 | 例えば「30万投資→10万×3回」など | 相場急落時も追加で買えてリスクが軽減 |
③長期投資vsスイングトレード例(性格で選べる戦略)
投資スタイルにより買いタイミングの考え方が変わります。
| スタイル | 保有期間 | 買うタイミングの基準 | 向いている人 |
| 長期投資(インデックス/成長株) | 1年以上 | 価格よりも事業価値重視、押し目で買うとベター | コツコツ投資派 |
| スイングトレード | 数日〜数週間 | 移動平均線・トレンド・出来高をチェックして短期タイミング狙い | テクニカル分析が好き |
簡単判断例
長期投資:大きな下落(ニュースor決算で一時反応)→段階買い
スイング:直近高値突破or押し目反発→短期で利確
よくある質問
Q:人気株は初心者でも買うべき?
人気株は注目度が高く、多くの投資家が取引しているため、初心者にとって取り組みやすいという特徴があります。情報量が多く、決算内容・ニュース・専門家の分析などが手に入りやすい点は大きなメリットです。一方で、人気が高いことで株価がすでに上昇しており、割高になっているケースもあります。そのため「人気だから買う」という判断ではなく、「なぜ人気なのか」「業績やビジネスモデルが伴っているか」を確認した上で投資判断をすることが重要です。つまり、初心者が人気株を買うこと自体は問題ありませんが、話題性だけで投資するのではなく、企業価値を分析した上で選ぶ必要があります。
Q:人気株銘柄は安全?
人気銘柄であることは、多くの投資家や市場が注目している証拠ですが、それが必ずしも安全性を保証するものではありません。中には、業績が好調なことで注目を集めている堅実な企業もありますが、逆にSNSやニュースで話題になっただけで実態とかけ離れた株価になっている場合もあります。このような銘柄は短期間で急騰した後、同じように急落するリスクがあります。つまり、人気銘柄には「流動性が高く売買しやすい」という利点がある一方で、「割高・過熱・投機的」というリスクも存在します。安全性を見極めるには、株価ではなく企業の本質的価値を長期的視点で確認することが重要です。
Q:短期と長期で選ぶ銘柄は違う?
短期投資と長期投資では、選ぶべき銘柄の特徴が大きく異なります。短期投資では、株価の値動きが大きく、取引量が多い銘柄が適しており、値幅を短期間で取ることが目的となります。そのためテーマ株や話題性の高い株が対象となることが多く、テクニカル分析や市場の反応が重視されます。一方、長期投資では、業績の安定性・企業の競争力・市場シェア・将来の成長性などを基準に選び、時間をかけて資産を増やすアプローチになります。配当株や大型株、指数連動型の投資先が向いていることが多いです。このように、投資期間や目的によって選ぶ銘柄は大きく変わるため、まず「どんな期間で投資を行うのか」を明確にすることが重要です。
結論
人気株銘柄は多くの投資家が注目しているため情報量が多く、初心者でも比較的安心して調べながら投資しやすい銘柄です。しかし、「人気だから買う」という判断ではなく、その人気の理由が業績・成長性・事業内容に基づいているかどうかを確認することが重要です。また、株価が上がりすぎている場合は、一時的な過熱状態になっている可能性があるため、割高感や市場の勢いに左右されず、冷静に判断する必要があります。短期的な話題ではなく、将来の企業価値や市場の成長性を意識し、長期的な視点で投資判断を行うことで、より安定した投資につながります。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。