公開日: 2025-11-16
FXの長期保有とは、1週間〜数ヶ月以上 ポジションを持ち続け、短期の値動きではなく 大きなトレンドやスワップポイント を狙う投資スタイルです。デイトレのように1日の中で売買を繰り返す必要がなく、チャートを見る時間も少なく済むため、忙しい人にも向いています。
短期売買は瞬間的な値動きに対応する必要がありますが、長期保有は中長期の値動きや金利差 に着目してじっくり資産を増やす手法です。会社員や副業でFXを始めたい人、落ち着いた運用がしたい人に適したスタイルです。
FXの長期保有のメリットとデメリット

FXの長期保有には、大きな利益を狙える強み と、同時に リスクが長く続く弱み の両面が存在します。
まずメリットとして、長期間ポジションを保有することで、大きなトレンドをとらえて利益を伸ばしやすい 点が挙げられます。短期売買のように頻繁に売買を繰り返す必要がないため、取引コスト(スプレッド)が抑えられる のも大きな魅力です。また、常にチャートを見る必要がないため、精神的な負担が少なく、忙しい人でも続けやすい投資スタイルです。さらに、金利差による スワップポイントを受け取れる通貨ペアで運用すれば、保有しているだけで利益が積み上がる という利点もあります。
一方でデメリットも明確です。長期間保有するため、相場が逆方向に動いた場合には含み損が長引くリスクがあります。さらに、予期せぬニュースや政策変更によって急激な変動が起こると、ロスカットに繋がる危険性 もあります。スワップポイントも必ずプラスとは限らず、マイナススワップの通貨ペアでは、保有しているだけでコストが増える という問題もあります。また、ポジションを長く持つことで資金が拘束され、他の投資に回しづらくなる点も注意すべきポイントです。
つまり、FXの長期保有は、「トレンド+スワップでじっくり増やす」強み と「時間が長い分、リスクも積み上がる」弱みを理解し、バランスよく運用することが重要です。
長期保有に向いている通貨ペア
FXで長期保有を考える際は、金利差・トレンドの安定性・通貨の信用力の3つが大きな判断基準になります。特に長期では、価格変動だけでなく スワップポイント(政策金利差による受取利息) の影響も大きくなるため、通貨選びが成果を左右します。
1. 高金利通貨ペア
長期保有と相性がよく、スワップポイントを受け取りながら運用できる通貨です。
● メキシコペソ円(MXN/JPY)
近年、政策金利が高くスワップ収入が大きい
円との金利差が大きいため、長期保有向き
トレンドが比較的安定しており、長期スワップ狙いの人気通貨
● 南アフリカランド円(ZAR/JPY)
長年スワップ狙いの通貨として定番
値動きはやや荒いが、金利差を利用した長期保有に向く
資源国通貨であるため、資源価格や政治リスクにも注目が必要
高金利通貨はスワップの恩恵が大きい反面、価格変動が大きいため、低レバレッジでの運用が基本です。
2. 長期トレンドが出やすいメジャー通貨
高金利ではないものの、世界的な信用力が高く、長期トレンドが明確に出やすい通貨ペアです。
● USD/JPY(ドル円)
日本円が低金利であることが多く、スワップもプラスになりやすい
世界で最も取引される通貨の組み合わせの一つ
長期トレンドが発生しやすく、長期保有戦略と相性が良い
● EUR/USD(ユーロドル)
世界で最も取引量の多い通貨ペア
スワップよりも「トレンド」を重視した長期保有向き
経済指標や政策の影響が大きいが、方向性が出ると長期で続きやすい
● GBP/USD(ポンドドル)
変動幅(ボラティリティ)が大きく、長期トレンドも強く出る
トレンドフォロー型の長期保有戦略と相性が良い
経済ニュースの影響がやや強いのでリスク管理が重要
メジャー通貨はトレンドが明確で、価格の予測性が比較的高いのが魅力です。
3. スワップポイントがプラスの通貨組み合わせを選ぶポイント
FXの長期保有では、スワップが利益を押し上げるため、プラススワップの通貨ペアを選ぶことが重要です。
選ぶ際のポイントは以下の通り:
金利差が安定して大きい通貨ペアを選ぶ
政策金利の方向性(利上げ or 利下げ)を確認
スワップが日々変動するため、最新のスワップカレンダーを見る
マイナススワップになる通貨は長期保有に不向き
通貨の信用度が高い国を選ぶ(高金利でも政治リスクの高い国は注意)
スワップ狙いの長期保有では、「高金利通貨 × 低金利通貨」の組み合わせが基本です。
FXの長期保有の具体的な戦略
長期保有では、短期のノイズ(小さな値動き)を気にせず、大きな流れと金利差を味方につける ことが重要です。ここでは、長期投資でよく使われる3つの代表的戦略をわかりやすく解説します。
1. トレンドフォロー戦略
長期保有で最も成功しやすい方法が、長期トレンドに従ってポジションを持つ戦略です。
● 中長期の移動平均線を使う
50日・100日・200日移動平均線などを使用し、ローソク足が上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドと判断しやすい
長期線が上向きのときだけ買い、下向きなら売りというシンプルなルールでいい
● 週足・月足チャートで大きな流れを確認
日足よりもノイズが少なく、大きなトレンドが把握しやすい
週足のトレンドが上向き → 買い
月足の安値が切り上がっている → 長期的に強い
FXの長期保有は「方向性が合っていれば勝ちやすい」ため、トレンド判定は必須
ポイント
トレンドに逆らう保有は、長期ではほぼ成功しません。
流れに乗るだけで勝率が大きく変わります。
2. スワップ狙い戦略
金利差のある通貨ペアを保有し、毎日スワップポイント(利息)を積み上げる手法です。
● 金利差を利用した長期保有
高金利通貨(例:メキシコペソ、ランド、トルコリラ)を買い、低金利通貨(円)を売る形が基本
保有しているだけで毎日スワップが増え、長期では大きなリターンになる可能性も
チャートを見る時間が少なくて済むため、初心者でも取り組みやすい
● 注意点
政策金利は変更されるため、急にスワップが減る可能性がある
高金利通貨は 下落リスクが大きい(政治・景気・資源価格に左右されやすい)
「スワップで稼いでも、為替差損で全部消える」ケースも多い
レバレッジを高くすると、小さな逆行でも耐えられなくなる
ポイント
スワップ狙いは「低レバレッジ+余裕を持った資金管理」が前提条件です。
3. リスク管理(長期保有で最重要)
長期運用は短期より含み損が長く続く状況が多いため、リスク管理が最重要テーマになります。
● レバレッジを低くする
FXの長期保有では 1倍〜5倍程度 が現実的
高レバレッジは「急変動 → ロスカット」の危険性が高まる
長期は「耐える時間」が長いので、余裕が命
● 口座資金に余裕を持たせる
証拠金維持率を 500~1.000%以上 に保つ運用が推奨
長期で勝つ人は「資金が減らない仕組み」を作っている
● 含み損に耐えられるポジションサイズ
含み損は長期では避けられない
「ここまで下がったら危ない」という価格を想定し、そこまで耐えられる最小ロット からスタートする
長期は「持つ力」の勝負
● 損切りラインの設定例
週足・月足のサポートラインを基準に設定
トレンドが否定された場合は撤退
例:
主要サポート割れ → 撤退
長期移動平均線を下に抜けたら売る
「無期限の塩漬け」を防ぐためのルール作りが重要
初心者が長期保有を始めるステップ
FXの長期保有を始める際は、いきなり大きな資金を投入するよりも、段階を踏んで準備を整えることが大切です。まず最初のステップは、どの通貨ペアを選ぶかを決めることです。初心者には、値動きが比較的安定して情報量も多いドル円(USD/JPY)やユーロドル(EUR/USD)などのメジャー通貨が向いています。もしスワップポイントを狙う場合は、メキシコペソ円や南アフリカランド円などの高金利通貨も候補になりますが、リスクが高いため慎重な判断が必要です。
次に取り組むべきなのが、レバレッジを抑えた資金管理プランの作成です。長期運用では相場が一時的に逆行する場面が必ずあるため、低レバレッジでポジションを保有することが安全運用につながります。一般的にはレバレッジ1~5倍、証拠金維持率500~1.000%を維持するのが望ましいとされます。また、1回の取引に資金の5~10%以上を使わないなど、自分なりの基準を明確にしておきましょう。
さらに、長期保有で利益を得るためには、トレンド分析を学ぶことが欠かせません。FXの価格は長期にわたり一定方向へ動くことが多いため、週足や月足チャートで大まかな流れを確認し、50日・100日・200日の移動平均線などを使ってトレンドの方向性を判断します。「上昇トレンドのときは買い、下降トレンドのときは売り」というシンプルな基準を守るだけでも無駄なエントリーを大幅に減らせます。
また、長期保有の場合はスワップポイントが毎日の利益に直結するため、事前にスワップカレンダーをチェックしておくことも重要です。保有する方向のスワップがプラスかどうか、証券会社ごとのスワップ差、政策金利の方向性などを確認し、長期に不利にならない通貨選びを意識しましょう。
これらの準備が整ったら、長期保有のルール作りに入ります。損切りラインや利益確定ライン、追加投資のルール、指標発表前後の対応などを事前に決めておくことで、相場が大きく動いたときも冷静に判断できます。特に「ナンピンは禁止する」「トレンドが継続しているときだけ買い増しする」など、感情に左右されない仕組みを作っておくことが成功の鍵です。
最後に、実際の取引は必ず小さなロットから始めましょう。初心者が失敗する最大の理由は、最初から大きなロットで入ってしまい、含み損に耐えられなくなることです。まずは少額で長期保有の値動きやスワップの仕組みを体感し、徐々にロットを調整していくことで、無理のない安全な運用が可能になります。
よくある質問(FAQ)の展開
Q1.FXの長期保有は初心者でもできる?
長期保有は、短期売買のように頻繁にチャートを見る必要がないため、初心者でも取り組みやすいスタイルです。値動きに一喜一憂する必要がなく、落ち着いて相場を判断できる点がメリットです。ただし、長期的なトレンドの見方や、無理のない資金管理と損切りのルール作りは必須で、これができれば初心者でも安定した運用が可能になります。
Q2.スワップ狙いは本当に儲かる?
スワップポイント狙いの運用は、「金利差が大きく、かつ長期間プラススワップを提供し続ける通貨ペア」を選べば利益が積み上がりやすい手法です。しかし、スワップポイントは一定ではなく、政策金利の変動で急に減少するリスクがあります。また、通貨自体が大きく下落するとスワップ以上に損をする可能性もあるため、スワップだけで勝てるというわけではありません。スワップは“追加の収益源”と考え、値動きリスクも合わせて管理することが重要です。
Q3.何週間以上持てば「長期保有」と言える?
一般的には、ポジションを数週間から数か月以上保有する場合に「長期保有」と呼ばれます。トレンドフォロー型の長期投資家であれば、半年〜1年単位で持ち続けることも珍しくありません。明確な定義はありませんが、「日内や数日ではなく、相場全体の方向性に乗ってじっくり利益を伸ばす運用」が長期保有の特徴です。
Q4.FXの長期保有で損失が出た場合はどう対処する?
損失が出た場合は、まず現在の相場環境を冷静に分析し、含み損が一時的な調整なのか、それともトレンドが完全に反転しているのかを判断します。トレンドが崩れている場合は、早めの損切りで資金を守ることが重要です。逆に、大きなトレンドが継続していると判断できるなら、ポジションを維持するか、資金管理が徹底できていればナンピンも検討可能です。ただし、ナンピンはリスクが高いため、必ず事前にルールを決め、許容範囲を超えない範囲で行うことが条件になります。
結論
FXの長期保有は、トレンドに乗ってじっくり利益を伸ばしたい人にとって非常に有効な運用スタイルです。スワップポイントによる継続的な収益や、頻繁な取引が不要な点は大きなメリットであり、忙しい投資家や初心者でも続けやすい手法といえます。
一方で、相場が逆行した際には含み損を長く抱える可能性があり、政策変更や経済ニュースによる急変動のリスクも避けられません。だからこそ、長期保有を成功させるには「十分な資金管理」「明確な損切りルール」「トレンドの見極め」が欠かせません。
最終的には、「スワップ+トレンド」を味方につけ、リスクをコントロールしながら長期で資産を増やすスタイルが、長期保有で勝ち続けるための鍵となります。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。