公開日: 2025-11-13
株式分割とは、1株を複数の株に分けて発行することで、見かけの株価を下げ、投資家がより購入しやすくする仕組みです。
たとえば、1株10万円の株を2分割すれば、株価は5万円となり、より多くの個人投資家が参加しやすくなります。
株式分割は、企業の業績や成長期待が高まったときに行われることが多く、「株価上昇の前兆」と見られることもあります。近年では、任天堂やキーエンスなどが分割を実施し、取引活性化や株主拡大に成功しました。
今後も日本企業の株価上昇や市場流動性を高める動きが続く中で、株式分割しそうな会社が増える可能性があります。投資家にとっては、分割発表前後のタイミングを見極めることで、大きなチャンスをつかめる局面といえるでしょう。
株式分割しそうな会社を見極めるポイント
株式分割を事前に予測するには、企業の株価水準や経営姿勢、株主構成などを多角的に見ることが重要です。以下のポイントを押さえることで、分割の可能性が高い銘柄を見つけやすくなります。
■ 株価水準(1株あたりの価格が高い企業)
1株あたりの価格が高すぎると、個人投資家にとって購入しにくくなります。
例えば、株価が5万円以上になると、少額投資家の参入が難しくなり、流動性が下がる傾向があります。
そのため、企業は株価が高値圏に達したタイミングで株式分割を実施し、投資家層の拡大を図るケースが多いです。
■ 流動性・個人投資家へのアクセス改善意図
株式分割は、株式市場での取引量を増やし、売買を活発にする目的でも行われます。
特に、個人投資家が多い日本市場では、「1単元の購入金額を下げる」=取引のしやすさ向上につながるため、企業側も意識的に分割を行うことがあります。
■ 業績の安定性と上方修正傾向
株式分割は、企業が安定した業績を維持し、将来の成長に自信を持っているときに発表されやすい傾向があります。
業績の上方修正や連続増益などが続く企業は、株主還元や市場評価向上の一環として分割を検討する可能性が高まります。
■ 過去に株式分割を行った履歴
過去に定期的に株式分割を実施してきた企業は、株主構成の最適化を重視している傾向があります。
たとえば、任天堂やキーエンスのように、一定の株価水準に達すると分割を行う「企業習慣」があるケースもあります。
この履歴を把握することで、次の分割タイミングを予測しやすくなります。
■ 経営層が株主還元を重視している企業
株主還元方針が明確な企業は、配当だけでなく株式分割や自社株買いなど多面的な還元策を取りやすいです。
経営陣の発言や中期経営計画に「株主重視」「投資家層拡大」などの文言がある企業は、分割を実施する可能性が高いといえます。
2025年に株式分割しそうな会社リスト

1. キーエンス(6861)
理由
株価が非常に高く、「値がさ株」の代表格となっており、個人投資家の参入ハードルが高いという指摘があります。
過去に株式分割の実績があり、例えば 2019年11月に 2:1 分割を実施しています。
株主から「1対10分割をお願いしたい」といった要望も出ており、株主からの期待も存在しています。
一方で、経営陣は現時点で「分割の予定は明言せず」としており、慎重な姿勢を示しています。
今後の見通し
流動性改善・個人投資家の参入促進の観点から分割実施の可能性は一定に存在します。ただし、直近では明言されておらず、実際に分割が実施となるまでには「分割案の発表」「総会や開示での言及」がカギとなるでしょう。投資家としては、次回の決算説明会や株主総会での発言に注目する必要があります。
2. 任天堂(7974)
理由
株価が1万円を超え、上場来高値を更新するなど高水準にあります。
過去に大きな分割を実施しており、分割実施後も株価が上昇している実績があります。
企業から「慎重に検討していく」というコメントが出ており、分割に向けた意向は完全否定されていません。
今後の見通し
任天堂は成長期待も高く、個人投資家にとって買いやすくするための分割実施が理論的には整っています。ただし、企業側が慎重な姿勢を示しているため、「次期決算期末」や「新機種発売」などの節目を機に発表される可能性が高いと考えられます。注目フェーズとしては、Switch 2や関連ゲーム機・ソフトの展開時期がキーです。
3. 東京エレクトロン(8035)
理由
同社は直近で 1株を3株に分割(3:1)を実施済ですが、その後でも最低投資金額が東証の望ましい水準(50万円未満)を下回っておらず、更なる分割の期待が報じられています。
高株価であり、「流動性改善・個人投資家参加促進」という観点で分割の検討余地があります。
今後の見通し
既に一度分割を行っているため、次の分割がいつ・どの程度になるかが焦点です。例えば「1:2」あるいは「1:5」などの分割比率が噂される可能性があります。半導体・設備関連の好調も背景となるため、「業績上方修正+株価高値更新」が引き金となる可能性があります。
4. ファーストリテイリング(9983)
理由
2023年3月1日付で1株を3株に分割(1:3)を実施しました。
分割の目的として「投資単位の水準引き下げによる流動性向上・投資家層の拡大」を明記しています。
それでもなお投資単位は非常に高額であるため、さらに分割余地があるとの見方もあります。
今後の見通し
既に分割を実行していますが、個人投資家がよりアクセスしやすくするためには更なる分割(例えば1:5~1:10)が検討される可能性もあります。ただし、企業側の過去の分割実績が少ないことから、「当面は様子見」という可能性もあります。次に注目すべきポイントは「次期株主総会での分割言及」「投資単位引き下げ方針の再提示」などです。
5. 日本電産(6594)
理由
「値がさ株」の代表として名前が挙がっており、株価水準・投資単位の観点から分割期待がされています。
分割履歴はあるものの、最近大きな分割を実施していないという状況です。
今後の見通し
この銘柄も、個人投資家参加促進の観点から分割が検討されうる候補です。特に「投資単位を50万円未満に引き下げる」という市場・証券取引所の要請が背景となっているため、早めの分割発表がある可能性があります。ただし業績の波動や外部要因(為替・EV市場の動向)に左右されやすいため、発表タイミングの読みがカギです。
株式分割後に狙うべき投資戦略
株式分割が発表・実施された後は、市場心理や投資家層の変化により株価が大きく動くことがあります。分割は「株価の見かけの安さ」を生むため、個人投資家の参入を促しやすく、短期的な上昇トレンドを作ることも少なくありません。ただし、すべての分割が好材料とは限らず、慎重な見極めが必要です。以下に、分割後に狙える代表的な戦略を整理します。
■ 短期戦略:分割直後の「個人投資家流入」を狙う
株式分割が行われると、1株あたりの価格が下がり、心理的にも買いやすくなるため、個人投資家の買いが一時的に集中します。
特に「話題性の高い銘柄」や「業績が好調な企業」の場合、分割発表〜実施直後の1〜2週間にかけて株価が上昇する傾向があります。
戦略ポイント
分割比率が大きい(例:1:5、1:10など)ほど注目度が高まりやすい
発表直後に出来高が急増している銘柄は短期上昇の可能性が高い
ただし、過熱感が出たタイミングで利益確定売りも出やすいため、短期での売買判断が重要
■ 中長期戦略:分割後も上昇を続ける銘柄の特徴を狙う
分割後も株価上昇が続く企業には共通点があります。それは「業績の成長基調」「株主還元方針の強化」「分割後の再注目」という3点です。
注目すべき特徴
分割後も業績が上方修正されている企業
→ 例:任天堂、キーエンス、トヨタなどは分割後も成長軌道を維持
株主還元方針(配当・自社株買い)を強化している企業
→ 分割後の株主増加に合わせて配当政策を見直すケースも
再分割の実績や高いROEを維持している企業
→ 分割を継続的に行う企業は、市場からの信頼が厚く長期上昇を維持しやすい
このタイプの銘柄は、短期の値動きよりも「株主構成の変化」「市場評価の拡大」に注目して長期保有するのが有効です。
■ 注意点:「分割=買いサイン」とは限らない
株式分割はあくまで「企業の意思決定」に過ぎず、それ自体が業績向上を保証するものではありません。
時には、市場の過熱を抑えるためや、見かけ上の株価調整目的で行われる場合もあります。
注意すべきポイント
分割後、個人投資家の短期売買で株価が乱高下することがある
業績が伴わない分割は一時的な上昇で終わるケースも多い
分割直後の上昇を見送っても、業績が堅調なら再上昇のチャンスはある
よくある質問(FAQ)
Q1. 株式分割が発表されると、株価は必ず上昇しますか?
必ずしも上昇するわけではありません。株式分割は投資家の心理的ハードルを下げるため短期的に株価上昇のきっかけになることもありますが、企業の実質価値が変わるわけではないため、業績や市場環境によっては下落する場合もあります。
Q2. 株式分割しそうな会社を見極めるポイントはありますか?
過去に分割実績のある企業や、株価が高騰して単元価格が10万円を超えている銘柄は候補になります。加えて、東証プライム市場では流動性向上を目的に分割を行う企業が増えています。
Q3. 株式分割後に注目すべきタイミングはいつですか?
分割発表直後から実施日までが短期的な注目期です。また、分割後の株価が安定した後、個人投資家の買いが増えるケースも多く、中期的に再上昇するパターンも見られます。
Q4. 株式分割を狙った投資のリスクはありますか?
分割期待での先回り買いは、思惑外れの場合に急落リスクがあります。また、分割後に短期投資家の利益確定売りが出やすいため、過熱感のある銘柄は慎重に見極める必要があります。
結論:株式分割は「成長企業」のサイン
株式分割は単なる株価調整ではなく、企業が成長軌道に乗っているサインでもあります。投資家は短期的な値動きよりも、経営の意図や企業の成長性に注目すべきです。今後も、業績好調で株価が上昇基調にある企業を中心に、分割の可能性を継続的にチェックすることが重要です。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。