日銀が利上げすると国債はどうなる?国債価格と利回りの関係を解説
English ภาษาไทย Español Português 한국어 简体中文 繁體中文 Tiếng Việt Bahasa Indonesia Монгол ئۇيغۇر تىلى العربية Русский हिन्दी

日銀が利上げすると国債はどうなる?国債価格と利回りの関係を解説

著者: 高橋健司

公開日: 2026-08-29

日銀が利上げすると国債はどうなる」かというと、基本的には国債価格が下落し、国債利回りが上昇しやすくなります。これは、金利が上がると新しく発行される国債の利率が高くなり、以前に発行された低金利の国債の魅力が相対的に低下するためです。実際、2026年8月には日銀の追加利上げ観測などを背景に、10年国債利回りが一時2.945%まで上昇し、1996年以来の高水準となりました。


ただし、利上げによってすべての国債が同じように下落するわけではありません。短期国債は日銀の政策金利の影響を受けやすい一方、10年債などの長期国債は、インフレ期待や景気、国債の需給、財政政策なども価格形成に影響します。したがって、「利上げ=国債価格が必ず大幅下落」と単純に考えるのではなく、国債価格と利回りの関係を理解したうえで市場を見ることが重要です。

日銀が利上げすると国債はどうなる?国債価格と利回りの関係を解説

なぜ利上げで国債価格が下がるのか?

金利が上昇すると、新しく発行される国債の利率も高くなり、相対的に低い利率の既発国債は魅力が低下します。そのため、既発国債は価格を下げることで、新しい金利水準に見合った利回りになるよう調整されます。


例えば、以前に表面利率2%の国債を100円で購入したとします。その後、金利上昇によって新しく発行される国債の利率が3%になれば、同じ100円を投資するなら3%の国債のほうが魅力的です。そこで、既発の2%国債は市場で価格が下がり、投資家にとっての実質的な利回りが高くなる方向へ調整されます。


つまり、基本的には「金利上昇→国債価格下落→国債利回り上昇」という関係になります。実際、2026年8月の日本国債市場でも、日銀の早期利上げ観測やインフレ・財政への懸念などを背景に長期金利が上昇しており、10年国債利回りは8月18日に2.945%まで上昇しました。


ただし、利上げが決まった瞬間に必ず国債価格が下落するとは限りません。市場がすでに利上げを織り込んでいる場合は、実際の決定後に材料が出尽くしとなり、国債価格が反発することもあります。そのため、国債を見る際は日銀の政策金利だけでなく、市場が今後の利上げをどこまで織り込んでいるかにも注目する必要があります。


日銀の利上げで「短期国債」と「長期国債」はどう変わる?

日銀の利上げによる影響は、国債の満期までの期間によって異なります。一般的に、短期国債は政策金利の影響を受けやすく、長期国債はインフレや景気、財政、国債需給など幅広い要因に左右されます。2026年8月には、2年国債利回りが1.7%まで上昇する一方、10年国債利回りも一時2.945%まで上昇しており、金融政策への利上げ観測が幅広い年限に影響していることが分かります。


特に長期国債では、「日銀が利上げするか」だけでなく、「今後どこまで金利が上がると市場が予想しているか」が重要です。実際、2026年8月24日現在も9月の日銀会合で追加利上げを予想する見方が一部で強まっています。


そのため、国債投資では「利上げ=すべての国債が同じように下落する」と考えるのではなく、短期債は政策金利、長期債はインフレや財政・需給なども含めて判断することがポイントです。


2026年8月、日本国債市場で何が起きている?

2026年8月24日時点の日本国債市場では、日銀の追加利上げ観測と長期金利の上昇が大きな注目材料となっています。8月18日には新発10年国債利回りが一時2.945%まで上昇し、1996年以来およそ30年ぶりの高水準を記録しました。2年国債利回りも1.7%まで上昇しており、短期から長期まで金利上昇が波及しています。


背景には、9月の日銀金融政策決定会合で追加利上げが行われるとの観測があります。ただし、10年国債などの長期金利は日銀の政策金利だけで決まるわけではありません。インフレへの懸念、政府の財政政策、国債の需給、海外金利なども影響しており、現在の金利上昇にはこうした複数の要因が重なっています。


また、日銀は国債買い入れの減額を段階的に進めています。日銀は2026年8月のレビューで、買い入れ減額によって長期金利が市場でより自由に形成されるようになっていると説明しています。一方、最近の長期金利上昇には、基調的な物価上昇率の変化などファンダメンタルズも相応に作用しているとしています。


さらに、8月24日には財務省が10年クライメート・トランジション利付国債の入札結果を公表するなど、国債市場では通常の金融政策だけでなく、国債発行・需給の動向も重要になっています。


つまり現在の日本国債市場は、「日銀の追加利上げ観測+国債買い入れ減額+インフレ・財政への懸念」が重なり、国債利回りが上昇しやすい環境にあると整理できます。今後は9月の日銀会合で追加利上げが実施されるか、それを市場がどこまで織り込んでいるかが、国債価格を考えるうえで重要なポイントになります。


日銀の利上げは「国債利回り」にどんな影響を与える?

日銀が利上げを行うと、市場では将来的な金利上昇を意識して国債が売られやすくなり、国債価格の下落と利回りの上昇につながる傾向があります。流れとしては、次のように整理できます。


利上げ観測 → 短期金利上昇 → 将来の金利上昇を織り込む → 国債が売られる → 国債価格↓・利回り↑


ただし、長期国債の利回りは日銀の政策金利だけで決まるわけではありません。インフレ率、景気動向、政府の財政政策、国債の需給、海外金利なども重要な材料になります。実際、2026年8月には10年国債利回りが一時2.945%まで上昇し、1996年以来の高水準となりました。背景には、日銀の追加利上げ観測に加えて、インフレや財政に対する市場の懸念もあります。


また、8月24日現在、日銀の政策金利は1.0%程度で、次回の金融政策決定会合は9月17~18日に予定されています。市場では9月の追加利上げをめぐる観測が強まっており、こうした予想そのものが国債利回りを動かす要因になっています。


重要なのは、実際の利上げよりも「市場が今後の利上げをどこまで織り込んでいるか」です。すでに追加利上げが十分に織り込まれていれば、実際に利上げが行われても国債が大きく売られるとは限りません。逆に、市場予想を上回る利上げやタカ派的な発言が出れば、長期金利がさらに上昇する可能性があります。


個人向け国債を持っている場合はどうなる?

日銀の利上げによる影響は、個人向け国債の種類によって異なります。2026年8月募集分では、変動10年の初回利率が年1.87%、固定5年が2.06%、固定3年が1.71%となっています。

種類 2026年8月の金利 利上げの影響
変動10年 1.87% 市場金利の上昇に応じて、半年ごとに金利が見直される
固定5年 2.06% 購入時の金利が5年間固定される
固定3年 1.71% 購入時の金利が3年間固定される

特に注目したいのが変動10年です。金利が半年ごとに見直されるため、日銀の利上げなどによって市場金利が上昇すれば、将来的に受け取る利子が増える可能性があります。一方、市場金利が低下すれば利率も下がる可能性があります。なお、年0.05%の最低金利が保証されています。


一方、固定3年・固定5年は、購入時に決まった金利が満期まで変わりません。そのため、利上げ後に新しく発行される国債の金利が高くなっても、すでに購入した固定金利型の利率は基本的に変わらない点に注意が必要です。


また、個人向け国債は一般的な市場取引される国債とは異なり、額面価格が変動せず、発行後1年が経過すれば中途換金できます。中途換金時には一定の調整額が差し引かれます。したがって、「日銀が利上げする=個人向け国債の元本が値下がりする」わけではありません。


つまり、利上げ局面では、これから購入する人は高い金利の国債を選びやすくなり、すでに保有している人は変動10年なら金利上昇の恩恵を受ける可能性がある、という点がポイントです。


国債価格が下落すると誰に影響する?

日銀の利上げなどによって国債利回りが上昇すると、既発国債の価格は下落しやすくなります。特に影響を受けやすいのは、国債を市場価格で評価したり、途中で売却したりする投資家・金融機関です。残存期間が長い国債ほど価格変動が大きくなりやすい点にも注意が必要です。


① 国債を途中売却する投資家

満期前に国債を売却する場合、その時点の市場価格で取引するため、金利上昇による価格下落の影響を受けます。購入時より価格が下がっていれば、売却損が発生する可能性があります。一方、満期まで保有すれば、原則として額面金額で償還されるため、途中の価格変動とは影響が異なります。


② 国債を大量に保有する金融機関

銀行などが大量の国債を保有している場合、金利上昇によって債券価格が下落すると、保有国債に含み損が発生する可能性があります。特に長期国債は価格変動が大きくなりやすいため、急激な金利上昇には注意が必要です。


③ 債券ファンド・投資信託

国債などの債券を組み入れた投資信託も、金利上昇の影響を受けます。保有債券の価格が下落すると、ファンドの基準価額も下落する可能性があります。ただし、組み入れている債券の種類や残存期間によって影響の大きさは異なります。


④ 保険会社

生命保険会社などは、長期の保険契約に対応するため国債などの長期債を大量に保有しています。そのため、長期金利が急上昇すると保有債券の評価額が下がり、バランスシートに影響する可能性があります。一方、金利上昇によって新たな資金をより高い利回りで運用できるというプラス面もあります。


⑤ 銀行

銀行にとっては、国債価格の下落による評価損だけでなく、金利上昇による預金金利や貸出金利の変化も重要です。金利上昇が急激に進めば保有債券への影響が大きくなる一方、貸出金利の上昇によって収益が改善する可能性もあります。


⑥ 満期まで保有する場合は影響が異なる

国債価格が下落しても、満期まで保有する場合は途中の市場価格変動による損失を確定させる必要がありません。したがって、「国債価格が下落=すべての国債保有者が損をする」わけではないことが重要です。特に、金利上昇局面では「市場価格」と「満期まで保有した場合の収益」を分けて考える必要があります。


日銀の追加利上げで国債はさらに下落する?

日銀の追加利上げが実施されれば、短期的には国債利回りが上昇し、国債価格が下落する可能性があります。特に、現在の市場予想を上回る利上げが行われたり、日銀が今後も利上げを続ける姿勢を強く示したりした場合は、金利上昇圧力が強まりやすくなります。8月14日には、日銀が早ければ9月17~18日の会合で政策金利を1.25%へ引き上げる可能性が報じられました。


① 市場予想を上回る利上げなら、国債価格は下落しやすい

例えば、市場が0.25%の利上げを予想しているところに、日銀がそれ以上の利上げや追加利上げを示せば、将来の金利上昇を織り込む動きが強まり、国債が売られる可能性があります。特に残存期間の長い国債では、金利変化による価格への影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。


② 利上げがすでに織り込まれていれば、国債が買われることもある

一方、追加利上げが事前に十分織り込まれている場合、実際に利上げが決まっても「材料出尽くし」となる可能性があります。市場が想定していたよりも日銀の姿勢が慎重だった場合には、むしろ国債が買い戻され、利回りが低下するケースもあります。


③ 「利上げ=必ず国債価格下落」とは限らない

長期国債の価格は政策金利だけで決まるものではありません。インフレ、景気、財政政策、国債の需給、海外金利なども影響します。実際、8月18日には10年国債利回りが2.945%まで上昇し、1996年以来の高水準となりましたが、その背景には日銀の利上げ観測だけでなく、インフレへの懸念などもありました。


④ 9月の日銀会合が重要なチェックポイント

次回の日銀金融政策決定会合は9月17~18日に予定されています。 今後は、追加利上げの有無だけでなく、日銀が示す今後の利上げペースや、物価・賃金・円相場の動向にも注目する必要があります。8月24日時点では追加利上げ観測が強まっているものの、国内の消費や設備投資などには弱さも指摘されており、今後の政策判断は一方向とは限りません。


日銀利上げで国債を見るときの3つのポイント

① 利上げの「織り込み」を確認する

日銀の利上げが市場ですでに予想されている場合、その影響は実際の政策決定前から国債価格や利回りに反映されます。そのため、利上げの有無だけでなく、市場予想と実際の決定に差があるかを見ることが重要です。


② 10年国債利回りをチェックする

10年国債利回りは、日本の長期金利を把握する代表的な指標です。利回りが上昇している場合、国債価格には下落圧力がかかりやすくなります。2026年8月には10年国債利回りが一時2.945%まで上昇しており、長期金利の動きが注目されています。


③ 日銀の国債買い入れ政策を確認する

日銀は国債の買い入れを段階的に減額しており、これも国債の需給や長期金利に影響します。買い入れが減れば市場で取引される国債の量が増え、需給次第では国債価格の下落や利回り上昇につながる可能性があります。日銀も、買い入れ減額が長期金利の形成に影響していると分析しています。


よくある質問

Q1. 日銀が利上げすると国債価格は必ず下がりますか?

必ず下がるとは限りません。基本的には金利上昇で既発国債の価格は下落しやすくなりますが、利上げがすでに市場に織り込まれている場合は、発表後に価格が上昇することもあります。


Q2. 国債価格と国債利回りはなぜ逆に動くのですか?

新しく発行される国債の金利が高くなると、低い金利の既発国債は相対的に魅力が低下します。そのため価格が下がり、購入価格に対する利回りが上昇する仕組みです。


Q3. 日銀の利上げで個人向け国債も値下がりしますか?

個人向け国債は一般的な市場取引される国債とは仕組みが異なり、額面価格が変動しません。特に変動10年は金利が定期的に見直されるため、金利上昇局面では受取利子が増える可能性があります。


Q4. 利上げ局面では短期国債と長期国債のどちらが影響を受けやすいですか?

短期国債は日銀の政策金利に反応しやすく、長期国債はインフレ、景気、財政、国債需給などの影響も受けます。特に満期の長い国債は、金利変動による価格変動が大きくなりやすい点に注意が必要です。


Q5. 国債を満期まで持てば、利上げによる損失は避けられますか?

一般的な国債を満期まで保有する場合、途中で市場価格が下落しても、その価格で売却しなければ価格変動による損失を確定する必要はありません。ただし、途中売却する場合は市場価格の影響を受けます。


Q6. 日銀の追加利上げで国債はさらに下落しますか?

追加利上げが市場予想を上回れば、国債利回りがさらに上昇し、価格が下落する可能性があります。一方、利上げがすでに十分織り込まれていれば、材料出尽くしで国債が買われる場合もあります。


まとめ

「日銀が利上げすると国債はどうなる」という疑問に対しては、基本的に利上げ→市場金利上昇→既発国債価格下落→国債利回り上昇という流れで理解すると分かりやすいでしょう。ただし、長期国債はインフレや財政、国債需給などにも左右されるため、利上げだけで値動きを判断するのは禁物です。


2026年8月は10年国債利回りが一時2.945%まで上昇するなど、長期金利の動きが大きくなっています。今後は日銀の追加利上げ観測に加え、経済指標や金融政策に関する材料にも注目が必要です。


特に経済カレンダーでは、8月25日の日本の景気動向指数改定値、8月26日の米国7月PCE物価指数、8月28日の米国経済指標やFRB議長発言などが重要です。これらの結果によって日米金利や為替が動けば、日本国債の利回りにも影響する可能性があります。


そのため、国債投資では「日銀が利上げするか」だけを見るのではなく、経済カレンダーで重要指標を確認し、市場が今後の金利をどう織り込んでいるかをチェックすることがポイントです。

免責事項: 本資料は一般的な情報提供のみを目的としており、いかなる金融、投資、その他の助言を構成するものではなく(また、そのようにみなされるべきではありません)、また、お客様が依拠する際の根拠となるものではありません。本資料に表明されている意見は、EBCまたは著者が、特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。