公開日: 2026-06-30
AI関連株への注目が高まるなか、X(旧Twitter)で独自の分析を発信する投資家「Serenity」が世界中の投資家から注目を集めています。Serenityは、GPUメーカーではなく、AIサプライチェーンの「ボトルネック」となる企業を見極める独自の投資手法で知られ、光通信やシリコンフォトニクス、メモリ分野への強気な見方を継続しています。2026年6月時点でもAIインフラ関連を有望テーマに挙げており、その発信は市場関係者から高い関心を集めています。
Serenityとは?

Serenityは、AI・半導体・光通信分野を専門とする匿名の投資家・リサーチャーで、X(旧Twitter)を中心に情報を発信しています。かつてはRedditの投資コミュニティ「WallStreetBets」で活動し、その後Xへ移行。AIサプライチェーンの「ボトルネック(供給制約)」となる企業を技術的な視点から分析する独自の投資スタイルで急速に注目を集めました。2026年6月時点では、Xのフォロワー数は約47万人規模に達し、AIインフラ関連の投稿が市場参加者から高い関心を集めています。
Serenityの特徴は、GPUメーカーなどの大型株ではなく、その成長を支える上流のサプライチェーン企業に着目する点です。光通信、シリコンフォトニクス、InP(リン化インジウム)基板、CPO(Co-Packaged Optics)など、AIインフラの重要技術を独自に調査し、「ボトルネック理論」と呼ばれる分析手法を展開しています。また、自身を元AI研究者や元RISC-V Foundationメンバーと紹介していますが、これらの経歴や運用実績については第三者機関による独立した検証は行われておらず、公開情報を参考に評価することが重要です。
Serenityの投資手法「ボトルネック理論」とは
Serenityの投資戦略の中核にあるのが、「ボトルネック理論(Bottleneck Theory)」です。その考え方は、AI市場で最も注目される企業へ投資するのではなく、その企業が事業を拡大するために欠かせないサプライチェーン上の"代替が難しい企業"を見つけることにあります。例えば、「NVIDIAを買うのではなく、NVIDIAが必要とする企業を買う」という考え方が、この理論を象徴しています。
AIデータセンターではGPUの性能向上だけでなく、高速なデータ伝送を支える光通信技術の重要性が急速に高まっています。2026年にはAIクラスターの大規模化を背景に、CPO(Co-Packaged Optics)やシリコンフォトニクスへの投資が加速しており、市場では「計算能力」よりも「通信インフラ」が次の成長ボトルネックになるとの見方も広がっています。TrendForceは、CPO・NPO市場が2030年までに390億ドル超へ拡大すると予測しています。
Serenityは、このような市場変化を踏まえ、AIサプライチェーンを原材料から光通信モジュール、検査装置、光ファイバーまで細分化し、それぞれの工程で供給が限られる企業や高い技術力を持つ企業を分析しています。特にInP(リン化インジウム)基板やCWレーザー、CPO関連技術など、参入障壁が高く代替が難しい分野を重視しており、市場がその価値を織り込む前に投資することを目指しています。
この投資手法は、AI関連の大型株だけでなく、その成長を支える「見えにくい勝者」を発掘するアプローチとして注目されています。一方で、対象となる企業は小型株や流動性の低い銘柄も多いため、価格変動リスクが大きい点には十分注意が必要です。
なぜAI光通信が注目されているのか

AIの高性能化が進むなか、GPUの性能向上だけでなく、それらを高速かつ効率的に接続する光通信技術の重要性が急速に高まっています。ここでは、2026年時点で注目される4つのポイントを紹介します。
AIデータセンター投資が拡大
生成AIの普及に伴い、世界の大手クラウド事業者はAIデータセンターへの投資を加速させています。数万基規模のGPUを接続するAIクラスターでは、膨大なデータをリアルタイムで処理するため、高帯域・低遅延の通信インフラが不可欠です。そのため、光ファイバーや光モジュールなどの光通信関連製品への需要が急速に拡大しています。
1.6T光通信への移行が本格化
現在主流となりつつある800G光モジュールに続き、次世代規格である1.6T(1.6Tbps)光通信の実用化が進んでいます。1.6Tは従来よりも大容量のデータを高速に伝送できるため、大規模AIデータセンターでの採用が期待されています。主要な光通信メーカーでは量産体制の整備が進み、ハイパースケーラー向け製品の出荷も始まっています。
CPO(Co-Packaged Optics)が次世代技術として注目
CPO(Co-Packaged Optics)は、光通信部品をAIチップやネットワークスイッチの近くに実装する技術です。電気配線を短縮することで通信速度を高めるとともに、消費電力や発熱を抑えられることから、AIデータセンターの次世代ネットワーク技術として期待されています。業界では2027~2028年頃から本格普及するとの見方も広がっています。
光通信市場は今後も拡大が期待される
AI需要の拡大を背景に、光通信市場は今後も高い成長が見込まれています。市場調査会社TrendForceは、CPO・NPO(Near-Packaged Optics)関連市場が2030年までに数百億ドル規模へ成長すると予測しており、光モジュールやレーザー、光ファイバーなどサプライチェーン全体への投資拡大が期待されています。
Serenityが注目する関連銘柄
Serenityは、こうした市場の変化を踏まえ、AI光通信サプライチェーンの中でも競争優位性の高い企業に注目しています。2026年6月時点では、光トランシーバーを手掛けるAAOI(Applied Optoelectronics)、半導体ファウンドリーのTSEM(Tower Semiconductor)、AIクラウドインフラ企業のNBIS(Nebius Group)などを有望銘柄として挙げており、AIフォトニクスやメモリ関連分野が次の成長テーマになるとの見方を示しています。
Serenityが注目するAIサプライチェーン企業
1.光通信関連
AAOI(Applied Optoelectronics)
AAOIは、光トランシーバーやレーザーなどを自社で一貫生産する米国の光通信メーカーです。AIデータセンター向け800G・1.6T光モジュールの需要拡大を背景に、生産能力の大幅増強を進めています。Serenityは同社を「現在最も有望な米国光通信株」と評価しており、2027年に向けた売上拡大に期待を示しています。また、800G・1.6T製品の累計受注額は3億2.400万ドルを超え、テキサス州では新工場の拡張も進められています。
SIVE(Sivers Semiconductors)
SIVEはスウェーデンの半導体メーカーで、CPO(Co-Packaged Optics)に不可欠なCWレーザー技術を開発しています。Serenityは以前から同社をAIフォトニクス分野の中核銘柄として位置付けており、2026年も高い期待を維持しています。AIクラスタの高速通信需要が拡大するなか、光源技術を持つ企業として市場から注目されています。
LITE(Lumentum Holdings)
Lumentumは、光通信向けレーザーや光部品の世界的大手です。800G・1.6T光モジュールやシリコンフォトニクス向け製品を幅広く供給しており、AIデータセンター向け需要の拡大による恩恵が期待されています。Serenityは、AI光通信サプライチェーンの主要企業の一つとして継続的に注目しています。
COHR(Coherent)
Coherentは、レーザー、光学材料、光通信部品を手掛ける総合フォトニクス企業です。AI向け光通信市場では、レーザーや光デバイスの供給を通じて重要な役割を担っており、CPOや次世代光ネットワークの普及に伴う需要拡大が期待されています。Serenityは、AI光通信の中長期的な成長を支える銘柄として位置付けています。
2.半導体関連
AXTI(AXT Inc.)
AXTIは、リン化インジウム(InP)基板を製造する米国企業です。InP基板は高速光通信デバイスの重要材料であり、Serenityは「AI光通信における最大のボトルネックの一つ」と評価しています。2026年には株価が大きく上昇し、市場でもAIフォトニクス関連銘柄として注目されています。
TSEM(Tower Semiconductor)
Tower Semiconductorは、アナログ半導体やシリコンフォトニクスの受託製造を手掛けるファウンドリーです。シリコンフォトニクス向け製造技術に強みを持ち、AI光通信チップの生産を支える企業として注目されています。Serenityは、AIインフラ拡大の恩恵を受ける中核企業の一つとして挙げています。
MRVL(Marvell Technology)
Marvellは、AI向けネットワークチップや高速通信半導体を開発する大手半導体メーカーです。イーサネットスイッチや光通信DSPなどを提供しており、AIデータセンターのネットワーク構築に欠かせない存在です。Serenityは、GPUだけでなくネットワーク分野もAIインフラの重要な成長領域と考えています。
3.AIインフラ関連
NBIS(Nebius Group)
Nebius Groupは、GPUクラウドサービスを提供するAIインフラ企業です。AI開発企業向けに高性能GPUクラスタを提供しており、Serenityは同社をAIクラウド分野で最も期待する銘柄の一つとしています。2026年6月には株価が一日で10%超上昇する場面もあり、市場からの関心が高まっています。
IREN(IREN Limited)
IRENは、再生可能エネルギーを活用したデータセンター事業を展開し、近年はAIクラウドサービスへ事業を拡大しています。2026年6月には欧州AIクラウド事業の拡充を目的としてNostrum Groupを買収し、AIインフラ企業としての成長戦略を加速させています。Serenityは、GPUインフラ需要の拡大による恩恵が期待できる企業として注目しています。
最新のSerenityの見解
1.AIフォトニクス市場は依然として強気
Serenityは、AIインフラ投資の主役はGPUだけではなく、今後は光通信技術を中心とした「AIフォトニクス」が市場を牽引するとみています。AIモデルの大規模化に伴い、高速・低消費電力なデータ伝送への需要が急増しており、光通信市場は新たな成長局面に入ったとの見方です。
同氏は、投資家が短期的な株価変動に注目する一方で、光通信市場の構造的な成長を過小評価していると指摘しています。また、調査会社や証券会社の予測として、光通信市場(Optical TAM)は2028年までに約1.540億ドル規模へ拡大し、CPO市場も急速に成長する可能性があることを紹介しています。
2.CWレーザーが次の供給ボトルネックになる可能性
Serenityが現在最も重視しているテーマが、CW(Continuous Wave)レーザーです。
AIデータセンターでは、800Gや1.6T光モジュール、さらにCPOの普及が進むにつれて、高出力CWレーザーの需要が急増しています。一方で供給できる企業は限られており、次の「ボトルネック」になる可能性が高いと分析しています。
特に、NVIDIAがEMLレーザー不足によってネットワーク構成を変更した事例を挙げ、現在はAMDやクラウド事業者も長期契約を通じてCWレーザーや光部品の確保を進めていると説明しています。
関連銘柄としては、
SIVE(Sivers Semiconductors)
LITE(Lumentum Holdings)
AAOI(Applied Optoelectronics)
などを重要企業として挙げています。
3.AI供給網の中型株には依然として上昇余地がある
Serenityは、AI関連市場では大型株だけでなく、中型株にも大きな投資機会が残されていると考えています。
同氏は、AIサプライチェーンの中でも市場シェアが高く、代替が難しい企業は依然として過小評価されているとし、特に以下の企業を有望視しています。
SIVE(CWレーザー)
TSEM(Tower Semiconductor)(シリコンフォトニクス製造)
SOI(シリコンフォトニクス関連)
AAOI(光モジュール)
AXTI(InP基板)
また、今後1〜2年では、AIフォトニクスに加え、MicroLEDや量子ドット(Quantum Dots)といった新たなテーマが市場の注目を集める可能性も示唆しています。
4.AAOIへの高い確信は変わらず
Serenityは、AI光通信関連銘柄の中でもAAOI(Applied Optoelectronics)に対する強気姿勢を維持しています。
2026年6月には、「AAOIの本当の価値は光モジュールではなく、自社でInPレーザーを製造できる垂直統合体制にある」と改めて評価しました。同社は800G・1.6T光モジュール市場に加え、AIデータセンター向けCWレーザー供給でも競争優位性を持つと分析しています。
また、短期的な株価調整局面についても「市場全体のセンチメントによる影響であり、企業の成長ストーリーは変わっていない」と述べ、AIインフラ需要の拡大を背景に中長期では依然として有望との見解を示しています。
Serenity投資法のメリット・注意点
1.メリット
技術的な分析が深い
Serenityの最大の特徴は、財務指標だけでなく、半導体や光通信技術、AIインフラの構造まで踏み込んで分析している点です。AIデータセンターやシリコンフォトニクス、CPO(Co-Packaged Optics)、InP基板など、専門性の高い分野をエンジニア視点で解説しており、企業の競争力を技術面から評価しています。そのため、市場で十分に注目されていない企業を早期に発見できる可能性があります。
市場に先行して投資テーマを発見できる
Serenityは、市場のコンセンサスより早い段階で新たな投資テーマを見つけることを重視しています。例えば、AI光通信やCPO、CWレーザー、InP基板などは、現在ではAIインフラの重要テーマとして広く認識されていますが、Serenityは普及初期からその成長性を発信してきました。こうした先行分析によって、市場の注目が集まる前に関連企業へ投資するというスタイルが特徴です。
AIサプライチェーン全体を俯瞰して分析する
多くの投資家がGPUメーカーなどの大型株に注目する一方、SerenityはAIサプライチェーン全体を分析し、「代替が難しい企業」を探します。原材料、基板、レーザー、光モジュール、半導体製造、ネットワーク機器までを一つの流れとして捉えることで、AI市場の成長から恩恵を受ける企業を幅広く発掘しています。この視点は「ボトルネック理論」の核となる考え方でもあります。
Serenity投資法の注意点

小型株への投資が多い
Serenityが取り上げる銘柄には、時価総額が比較的小さい企業も多く含まれます。こうした企業は成長余地が大きい反面、出来高が少なく流動性が低いケースもあり、大口の売買によって株価が大きく変動する可能性があります。そのため、大型株よりも高いリスクを伴う点には注意が必要です。
株価の変動が大きい
AI関連株は市場の期待やセンチメントの影響を受けやすく、短期間で大きく上昇する一方、決算内容や市場環境の変化によって急落することもあります。Serenityが注目する光通信やAIインフラ関連銘柄も例外ではなく、高いリターンが期待できる一方で、大きな価格変動を受け入れる必要があります。
市場環境によって評価が変化する
AI市場は技術革新のスピードが非常に速く、新しい技術や競合企業の登場によって業界構造が変化する可能性があります。現在有望とされる技術や企業であっても、市場環境や需要動向によって評価が変わることがあるため、継続的な情報収集と企業分析が欠かせません。
保有銘柄を完全に把握できるわけではない
Serenityは個人投資家として情報を発信しており、運用ファンドを管理しているわけではありません。また、機関投資家のように13F報告書の提出義務もないため、実際の保有銘柄や売買タイミングを第三者が正確に確認することはできません。公開されている情報は主にX(旧Twitter)の投稿などに基づいているため、投資判断を行う際は、発信内容を参考情報の一つとして捉え、自身でも企業や市場を調査することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. Serenityとはどのような投資家ですか?
Serenityは、AI・半導体・光通信分野を中心に情報を発信する投資家・リサーチャーです。AIサプライチェーンを技術的な視点から分析し、「ボトルネック理論」に基づいて有望企業を見つける独自の投資スタイルで知られています。特にAIインフラや光通信関連銘柄に関する分析が、多くの投資家から注目されています。
Q2. Serenityが提唱する「ボトルネック理論」とは何ですか?
ボトルネック理論とは、AI市場で最も注目される企業ではなく、その成長を支えるサプライチェーン上の重要企業に着目する投資手法です。GPUメーカーだけでなく、光通信、レーザー、半導体材料など、代替が難しい技術や製品を提供する企業へ投資することで、中長期的な成長を狙います。
Q3. Serenityが注目しているセクターはどこですか?
2026年6月時点では、AIフォトニクス、CPO(Co-Packaged Optics)、光通信、半導体材料、AIクラウドインフラなどを重点分野として挙げています。特にAIデータセンターの高速通信を支える技術や企業が、有望な投資テーマとして注目されています。
Q4. Serenityの投資手法にはどのようなリスクがありますか?
Serenityが取り上げる銘柄には、小型株や成長企業が多く含まれるため、株価変動が大きくなる傾向があります。また、公開されている情報は主に本人のSNS投稿などに基づいており、保有銘柄や売買タイミングを完全に確認できるわけではありません。投資判断を行う際は、自身でも企業や市場について十分に調査することが重要です。
Q5. Serenityの投資手法を参考にするにはどうすればよいですか?
まずは、AIサプライチェーン全体の構造や、どの企業が重要な役割を担っているかを理解することが大切です。そのうえで、企業の業績や競争力、市場環境などを総合的に分析し、自身の投資目的やリスク許容度に合わせて判断しましょう。Serenityの分析は有益な参考情報の一つですが、最終的な投資判断は自己責任で行うことが重要です。
まとめ
Serenityは、AIサプライチェーンを技術的な視点から分析し、「ボトルネック理論」を軸に有望企業を発掘する投資家として世界的な注目を集めています。2026年6月時点でも、AIフォトニクスやCPO、CWレーザーなど、AIインフラの成長を支える分野に強気な見方を維持しており、関連銘柄への関心は引き続き高まっています。
こうしたテーマ性のある銘柄は、市場環境や企業業績によって株価が大きく変動することがあります。そのため、上昇局面だけでなく下落局面にも柔軟に対応できる取引手法を活用し、自身の投資戦略に合わせた売買を検討することが重要です。
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