アーム株は買うべきか: AI需要・業績・リスクから判断する投資戦略
简体中文 繁體中文 English 한국어 Español ภาษาไทย Bahasa Indonesia Tiếng Việt Português Монгол العربية हिन्दी Русский ئۇيغۇر تىلى

アーム株は買うべきか: AI需要・業績・リスクから判断する投資戦略

著者: 高橋健司

公開日: 2026-02-05

アーム株(ARM Holdings)は、AIやデータセンター向け半導体需要の拡大を背景に中長期の成長期待が高い一方で、直近では決算発表後に株価が調整局面に入り、「今アーム株は買うべきか」が投資家の間で議論されています。


最新決算では売上・利益ともに堅調な数字を示したものの、ライセンス収入が市場予想を下回ったことや、スマートフォン市場の減速懸念が株価の重しとなりました。その結果、成長性は高いが評価は割高とも見えるという難しい局面にあります。


本記事では、こうした最新動向を踏まえ、アーム株が「アーム株は買うべきか 、それとも様子見が妥当なのか」を整理していきます。


アーム株の基本情報

半導体業界

アーム(Arm Holdings)は、半導体そのものを製造・販売する企業ではなく、CPU設計などの半導体IP(知的財産)を提供するライセンス企業です。スマートフォン向けCPUを中心に、世界中の半導体メーカーがアームの設計を採用しており、現在ではAI、データセンター、自動車向け半導体にも用途が広がっています。


収益構造は、設計を使用する際に支払われるライセンス料と、製品出荷量に応じて入るロイヤルティ収入が柱となっており、売上の安定性と高い利益率が特徴です。


アームは2023年に米国市場へ再上場して以降、AI関連銘柄として注目を集め、株価は大きく上昇しました。その後は業績期待が先行した反動や、市場全体の調整を受けて値動きが荒くなる場面も見られています。現在の株価水準は、成長期待と割高感が同時に意識されやすい局面にあるといえるでしょう。


最新決算・業績動向(2025–2026)

直近1ヶ月のアーム株価

1.最新決算のポイント(売上・利益・ライセンス収入)

2026年2月に発表された 第3四半期(2025年10月~12月期)決算では、売上が前年比で約26%増加し約12.4億ドルと、継続して高い成長を維持しました。これで4四半期連続で売上が10億ドルを突破しています。ロイヤルティ収入(製品出荷に応じて入る使用料)は前年比で約27%増の約7.37億ドル、ライセンス収入も約25%増の約5.05億ドルとなりました。これらはAIやデータセンター、スマートフォン向けの需要が牽引した結果です。


ただし、一部ではライセンス収入が市場予想を下回ったため、株価が決算発表後に一時下落したとの報道もあります。


2.セグメント別の強み(AI/データセンター/スマホ)

  • AI・データセンター:

    ArmはAI処理やデータセンター用途のために設計されたCPUアーキテクチャが、主要クラウドプロバイダー(例:AWS、Google、Microsoftなど)のサーバーにも採用されつつあります。この分野では市場シェアが拡大しており、今後も収益成長が期待されています。


  • スマートフォン:

    依然として従来のスマートフォン向けロイヤリティ収入も堅調で、多くのスマホメーカーがArmベースの設計を採用しています。Armv9といった新しいアーキテクチャの浸透が進み、スマホ向け収益にもプラスに働いています。


  • その他(IoT・自動車など):

    スマホ外の市場であるIoT、自動車向けArm採用も進んでおり、セグメントが多角化していることが長期的な強みとして挙げられています。


3.投資家が注目すべきガイダンスや成長指標

Armは次の四半期(第4四半期)について、売上高見通しを約14.7億ドル(±5000万ドル)、EPS(1株利益)も市場予想を上回る方向で提示しています。これはAIやデータセンター向け需要を背景に、今後も成長余地があるとの見通しに基づくものです。


ただし、投資家の反応は賛否両論となっており、ライセンス収入の伸びが予想に届かない点やスマホ市場の一部鈍化リスクが株価の重しとなる場合もあります。ガイダンスが示す成長期待と実際のマーケット反応にギャップがあるため、投資判断においてはこの点を慎重に見る必要があります。


アナリスト評価の現状と目標株価(最新情報)

1.強気派の評価(買い・アウトパフォーム)

多くの機関投資家はArm株に対して前向きな評価を維持しており、高い目標株価を提示しています。アナリストのコンセンサスでは、平均12カ月価格ターゲットが約157ドル(現状比+約47%の上昇余地)と算出されており、全体として「Buy(買い)」評価が多い状況です。24人前後のアナリスト中、「Buy」評価が優勢となっています。


具体的には、UBSはArm株の目標株価を195ドルに設定し買い推奨を維持(成長期待を評価しつつも営業費用増加を考慮)しています。


また、KeyBancも190ドルから200ドルへ目標株価を引き上げ、成長の持続性を見込んで「Overweight(大幅買い)」評価を出しました。


ほかにも、レイモンド・ジェームズが165ドルに目標株価を引き上げてアウトパフォーム評価を維持した例もあります。


このように、AI・データセンター需要やロイヤリティ収入の堅調さを背景に、上値余地を見込む強気派が多い傾向にあります。


2.中立・慎重派の評価(Hold・目標修正)

一方で、慎重な立場からは目標株価の引き下げや中立評価も見られます。たとえば、モルガン・スタンレーはArm株のFY27予想を受けて目標株価を180ドルから171ドルに引き下げつつ、「オーバーウェイト(やや買い)」を維持していますが、現在の株価水準をやや割高とみなす姿勢もあります。


過去には、BenchmarkがHold評価を維持し目標株価を据え置いたことで株価が反応した例もあります。


このように、中立〜慎重派は高成長期待は認めつつ、バリュエーション(割高感)や近い-termの株価変動リスクを重視しています。


3.レーティング分布とコンセンサスの傾向

アナリスト評価の大半は「Buy」寄りで、全体としてポジティブな見方が多いです。


市場全体で約70%以上のアナリストが買い評価をつけているとのデータもあり、上昇余地を織り込んだスタンスが続いています。


ただし、目標株価レンジは機関によって大きく異なり、最も高い目標ではEvercoreなどが200ドル前後を示す一方、慎重派は目標を150–170ドル台に見直すケースもあります。


買い判断の材料(Bullishケース)

アーム株を「買い」と判断する際に多くの投資家やアナリストが注目している成長の主要要素を、最新のデータ・ニュースをもとに整理すると次の通りです。


  • AI・データセンターなどの長期成長領域

    アームはAIやデータセンター向けの需要拡大の恩恵を最も受ける企業の1つとされています。主要クラウドプロバイダー(AWS、Google、Meta、Microsoftなど)が、アームの設計を使った高効率CPUを採用しており、データセンター向けの収益と市場シェアが急拡大しています。これは「AIの演算処理が増えれば増えるほどアームの技術が使われる」という構造に基づく長期成長ドライバーです。


    また、OpenAI向けのAIチップ開発協力などのニュースも出ており、AI関連の用途拡大が確認されています。


  • 高収益モデル(高い利益率と収益性)

    アームのビジネスモデルは設備投資が不要な「IP(設計)ライセンス供与」中心であるため、製造設備を持つ他の半導体企業と比べて利益率が高い収益構造です。これは、販売したライセンスや出荷チップ当たりのロイヤリティが利益につながりやすいためで、実際に決算でもロイヤリティ収入の伸びが収益の大きな牽引役になっています。


    こうした高い粗利益率は、経済的な景気変動の中でも収益を比較的維持しやすい点が強みとされ、投資家から評価されています。


  • ライセンス+ロイヤリティ収入の強力なキャッシュフロー

    アームの収益は大きく「ライセンス収入(設計権の販売収入)」と「ロイヤリティ収入(チップ出荷に応じた継続的な収益)」の2軸で構成されており、両者が異なるタイミングで収益を生む仕組みになっています。


    ライセンス収入は先行投資的に一時金で入る一方で、ロイヤリティ収入は長期にわたり継続する「ストック型収益」です。これは、アーム設計を採用したチップが市場で大量に出荷されるほどキャッシュフローが積み上がる構造であり、数年にわたる収益の成長につながります。


    実際、最新決算でもロイヤリティ収入は前年比で20%台後半の伸びを示しており、強い収益成長トレンドの根拠となっています。


注意すべきリスク(Bearishケース)

株価や成長期待が高い一方で、投資判断の際に無視できないリスク要因も複数あります。最近の市場ニュースやアナリストの指摘を踏まえ、代表的なリスクを整理すると次の通りです。


  • プレミアム評価(高いP/E・バリュエーション)

    アーム株は業績成長を織り込んで非常に高いバリュエーション(株価評価)がついているため、成長計画に少しでも不確実性が出ると株価が大きく調整する可能性があります。


    具体的には、P/E(株価収益率)が業界平均を大きく上回る水準で推移しており、予想される成長を実際に実現しなければ割高感が強まるリスクが指摘されています。もし業績が予想通り進まなかった場合、投資家心理が急変して株価が大きく下落する懸念があります。


  • 世界的なメモリ不足・スマホ市場鈍化

    アームにとって重要な収益源となっているスマートフォン向けのロイヤリティ収入は、スマホ市場の出荷動向に大きく左右されます。


    最近では世界的なメモリチップ不足がスマホ向けチップの出荷に影響し、売上予想を下回る可能性が出ていると報じられました。これにより、アームのロイヤリティ収入が短期的に減少するリスクが指摘されています。


  • 顧客依存と競争(例:RISC-Vの台頭)

    アームのビジネスモデルは、多くの大手半導体メーカー(Qualcomm、Nvidiaなど)にIPライセンスを提供する形です。しかし、RISC-Vのようなオープンソースアーキテクチャの採用が進む可能性があり、顧客が代替技術を選ぶリスクがあります。中国などでは政府主導でRISC-Vの普及が進んでおり、将来的にアームの市場シェアを脅かす可能性があります。


    また、アームが独自にCPUを設計・開発しようとする動きは、既存の顧客との関係を複雑化させるリスクにもつながります。パートナー企業がライセンス提供者から競合相手に変わると、収益構造に影響を与える可能性があります。


  • 市場センチメントの変動性

    アームの株価は高い成長期待を織り込んでいるため、短期的なニュース・予想のズレ・景気動向の変化でセンチメントが大きく変動するリスクがあります。例えば、決算の一部項目(ライセンス収入)が予想を下回っただけで株価が8%以上急落する動きがあり、短期トレーダーやアルゴリズム売買の影響も加わって価格変動が大きくなりやすい局面です。


投資戦略・買いシナリオ

  • 短期トレード vs 長期投資の違い

    短期トレードの場合、株価の値動きやテクニカル指標に注目します。アーム株は2025〜2026年にかけて株価が業界平均を大きく下回る場面もあり、短期の反発・売られ過ぎの戻り狙いが戦略になります。例えば、株価が重要なサポートラインや移動平均線を割った場合(例: 200日移動平均の下抜けなど)には、反発狙いでエントリーするトレーダーもいますが、ボラティリティ(価格変動)が高いため損切りルールを厳格に設定することが重要です(過去に下値警戒が話題になった例あり)。


    一方、長期投資はアームのビジネスモデルや中長期的成長テーマ(AI・データセンター需要の拡大)にフォーカスします。長期視点では、業績好調や大手クラウド企業での採用拡大などの基盤が続く限り、市場全体の短期変動に左右されにくい投資スタンスが採れます。短期的な下落があっても、長期の成長ストーリーを重視して保有を継続する戦略としてよく使われます。


  • ディップ買いの考え方(リスク管理)

    ディップ買い(下落時に買う戦略)は、株価が一時的に下がった局面を「割安購入のチャンス」と捉える考え方です。2025〜2026年にかけてアーム株は過去1年で株価が下落する局面もあり、一部アナリストや投資家はこれを買い場として評価しています。たとえば、みずほ証券は下落局面を捉えてディップ買いを推奨し、基礎的な成長ストーリーが依然として強いと分析しています。


    ただし、ディップ買いにはリスク管理が欠かせません。どこまで下がるかわからないため、エントリー時に損切りポイントを明確に設定し、資金の一部だけを使って段階的に買い下がる「ピラミッディング」や「ドルコスト平均法」などの戦略を採る投資家もいます。価格が反発しなければ早めに損切りし、損失を限定するルールを事前に決めておくことが重要です。


  • 分割投資やポートフォリオ比率の例

    アーム株のようにボラティリティが大きいグロース株では、一括投資より分割投資(分けて購入)が一般的です。例えば、全資金を一度に投入するのではなく、株価が一定の下落幅を示したら追加購入する「ティアード・エントリー戦略」は、平均取得単価を下げる効果が期待されます。初回購入後に株価が下がった場合、追加投資することで利益機会を拡大しやすくなります。


    ポートフォリオ全体に占めるARM株の比率は、投資目的やリスク許容度に応じて調整します。一般論として、個別成長株はポートフォリオの小〜中程度の比率(例: 5〜15%程度)に抑え、残りをインデックスや債券などで分散することがリスク管理の基本です。また、目標価格や損切りラインを設定し、株価がそこに到達した場合の対応(利益確定・損切り)をあらかじめルール化しておくと、感情的な売買を防ぎやすくなります。


よくある質問(FAQ)

Q1.アーム株は買うべきか?

一概に「今すぐ買い」とは言えません。


アーム株はAI・データセンター分野の成長期待が高い一方で、株価はすでに高い評価を受けています。そのため、中長期投資であれば下落局面を分割で買う戦略、短期投資であれば値動きを確認してから判断するのが無難と考えられます。


Q2.アーム株の強みは何ですか?

最大の強みは、半導体IP(設計)を提供するビジネスモデルです。


自社で製造設備を持たず、ライセンス料とロイヤルティ収入を得るため、利益率が高く、安定した収益構造を持っています。また、スマホだけでなくAI・データセンター・自動車向けにも用途が広がっています。


Q3.アーム株のリスクは何ですか?

主なリスクは以下の3点です。

  • 株価の割高感(高バリュエーション)

  • スマートフォン市場の減速

  • RISC-Vなど競合技術の台頭


特に成長期待が先行しているため、決算内容が予想を下回ると株価が大きく下落しやすい点には注意が必要です。


Q4.長期投資と短期投資、どちらに向いていますか?

基本的には中長期投資向きの銘柄といえます。


AI・データセンターという長期成長テーマがあり、時間をかけて収益が積み上がるビジネスモデルのためです。ただし、株価の変動が大きいため、短期売買を行う場合は損切りルールの徹底が重要になります。


Q5.初心者でもアーム株に投資して大丈夫ですか?

可能ですが、投資額と買い方には注意が必要です。


値動きが大きいため、初心者の場合は

  • 一度に買わず分割購入

  • ポートフォリオの一部(例:5〜10%程度)に抑える

といったリスク管理を行うことで、無理のない投資がしやすくなります。


Q6.アーム株はAI関連株として有望ですか?

はい、AI関連株として注目されています。


AI処理を支えるCPUや省電力設計の分野でアームの技術が広く使われており、AI需要が拡大するほど間接的に恩恵を受けやすい立場にあります。ただし、AIブームによる期待が株価にすでに織り込まれている点は意識する必要があります。


結論:アーム株は買うべきか?

アーム株は、AI・データセンター需要の拡大という強い成長テーマを背景に、中長期では有望と見る声が多い銘柄です。高利益率のビジネスモデルや、ライセンス+ロイヤルティによる安定した収益構造は、強気(Bull)材料として評価されています。


一方で、株価はすでに高い成長期待を織り込んでおり、割高感や短期的な株価変動リスクも無視できません。スマートフォン市場の動向や競争環境の変化次第では、調整が長引く可能性もあります。このため、現時点では「誰にでも無条件で買い」と言える状況ではなく、投資スタイルに応じた判断が重要です。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。