公開日: 2026-01-28
日本触媒株は、化学品や触媒の製造を手掛ける企業で、特に機能性材料や環境関連製品で高い技術力を持っています。化学・触媒業界の中で安定した業績を誇り、国内外の市場で存在感を示しています。投資家にとっては、技術力の高さや安定した配当、今後の成長余地などが注目ポイントです。
業績分析

1.売上高・営業利益・純利益の推移
日本触媒の2025年3月期(連結、IFRS)における通期実績では、売上収益は約 4.093億円、営業利益は 約191億円、親会社株主に帰属する当期利益は約174億円でした。これらの数値は前年と比べて増収・増益基調であり、売上高・利益ともに改善していることが確認されています。
一方、2026年3月期(会社予想)では、売上高が約 4.050億円、営業利益が 約170億円、当期利益が 約150億円と前期からやや減少する見通しとなっています。これは為替やコスト増等の影響を織り込んだ予想です。
また、四半期ベースで見ると、2025年4Qでは売上高約1.007億円、営業利益約38.6億円、純利益33.7億円と、前年同期比で営業利益率が約3.8%へ改善した四半期実績も報告されています。
2.セグメント別の売上構成
日本触媒は大きく マテリアルズ事業 と ソリューションズ事業 の2つの事業セグメントで収益を構成しています。
マテリアルズ事業:2025年度通期では売上収益約 2.941億円、営業利益約 129億円となり、前年度に比べ数量増や単価改善を背景に増収・微増益となりました。
ソリューションズ事業:同期間の売上収益は約 1.153億円、営業利益約 51億円で、こちらも需要拡大等で増収・増益となっています。
この構成から、主力のマテリアルズ事業が売上の大部分を占めつつ、ソリューションズ事業も利益寄与を強めている構造がうかがえます。
3.競合他社との比較
日本触媒は化学品・機能材料分野に位置する企業で、規模としては国内大手化学メーカーと比べると中堅サイズです。主要競合としては、同じく国内化学企業である 信越化学工業(Shin‑Etsu Chemical) や 旭化成(Asahi Kasei)、日産化学 などが挙げられます。これら企業は日本触媒よりも売上規模や利益規模が大きい場合が多く、グローバル市場でも存在感が強いのが特徴です。
投資指標でも、日本触媒のROE(実績)は約 4.5%前後 とやや控えめな水準であり、PER や利益率も大手化学株と比較すると中堅~平均的な指標となっています。
4.財務健全性(自己資本比率・負債・資本効率)
財務面では、日本触媒は自己資本比率が約70.5%前後と高水準で、安定した財務体質を維持しています(総資産約5.436億円、純資産約3.925億円)。これは企業価値の安全性を示す指標として評価できます。
また、外部分析では、負債比率が低く、キャッシュポジションも比較的健全であるとの評価があり、利益計上能力と合わせてバランスの取れた財務構造といえます。
株価動向
1.株価推移(過去1年)
日本触媒の株価は、1年で比較的上昇傾向が見られています。2025年初め〜2026年初頭の動きを見ると、年初来安値は約 1.530円(2025年4月)、年初来高値は 2.263円(2026年1月23日) と大きく上昇しました。これはおよそ +47%近い上昇幅を示しています。
日々の株価を見ると、2026年1月下旬時点では 2.200円台前半で推移しており、直近の値動きでも比較的高値圏を維持しています。
また、株価変動に関する統計では、直近52週の株価変動幅が 1.529.5円〜2.241.0円のレンジ であったことが確認され、上下の値幅は比較的大きめです。
2.ボラティリティと市場の評価
株価のボラティリティ(変動性)を見る指標として、5年ベータ値は 約0.19と低めで、市場平均より価格変動幅が比較的抑えられているとのデータもあります。これは市場全体の動きより落ち着いた値動きであることを示唆します。
一方、短期のテクニカル分析については情報源によって評価が分かれており、ある分析では短期〜中期のトレンド指標が「Sell(弱気)」と評価されるケースもある一方で、別分析では一部テクニカル指標が「Strong Buy(強気)」と出る場合もあります。これは テクニカル指標の利用方法や期間設定の違いによるものです。

日本触媒株の投資ポイント
① 成長ドライバー(事業の強みと今後の伸び要因)
日本触媒は、高吸水性樹脂(SAP)やアクリル酸などの基礎化学品で世界トップクラスのシェアを持つ化学メーカーです。また、電子材料や環境関連の高機能化学品にも事業を広げており、製品ポートフォリオの多様化と高付加価値化が成長ドライバーの一つとなっています。これらの製品は紙おむつや液晶パネル、自動車部品など幅広い用途があり、需要増加が見込まれています。こうした事業基盤の強さが業績の安定につながっています。
さらに、日本触媒は中期経営計画(2025〜2027)で「選択と集中」による事業ポートフォリオの改革を進め、一部重点領域にリソースを集中して利益拡大を目指しています。この計画では、成長が期待される4つの事業領域に投資し、ソリューションズ事業の利益寄与度を高める方向で進めています。
② 配当利回りと株主還元の状況
日本触媒は株主還元に積極的な姿勢を示しており、2025年3月期の年間配当は1株あたり108円と大幅な増配を発表しました。これにより予想配当利回りは約5.7%前後と、東証プライム市場平均を上回る高水準となっています。
同社は「配当性向100%または株主資本配当率(DOE)2.0%のいずれか大きい金額を配当の目安」とする方針を掲げており、安定した配当政策を今後も継続する姿勢です。さらに自己株式の取得も実施しており、株主還元を重視している点も投資家にとって好材料となっています。
一部報道では、2026年3月期についても年間配当100円前後の計画で5.3%台の高配当利回りが期待できるとの見方もあり、配当と株主還元が引き続き投資魅力の一つとされています。
③ リスク要因(注意すべき点)
一方で、投資リスクとしては以下が挙げられます:
原材料価格の変動:化学製品は原材料コストの影響を受けやすく、原油やエチレンなど原料価格の上昇は利益率を圧迫する可能性があります(一般論として)。
競争環境の激化:グローバルな化学市場では競争が激しく、価格競争や商品差別化のプレッシャーがあります。特に一部汎用化学品では競合他社との価格競争が利益率を低下させる可能性があります。
為替変動:輸出比率やグローバル展開が進む企業ほど為替影響を受けやすく、円高局面では収益にマイナス影響が出るリスクがあります(一般的な化学メーカーのリスク要因)。
市場・経済環境:経済の減速や需要鈍化は化学製品の需要にも影響しやすく、市況の悪化が業績に響く可能性があります(業界共通リスク)。
今後の展望(中長期の業績予想・株価見通し・投資戦略)
1.中長期の業績予想
日本触媒は、中長期で売上高や利益の緩やかな成長が予想されています。アナリスト予想では、収益は年間ベースで約 3%前後の増加率、EPS(1株当たり利益)は約 8〜9%の成長が見込まれており、今後数年間で一定の収益成長が期待されます。ただし、これは市場平均成長率よりはやや低い水準とされています。ROE(株主資本利益率)も約5%前後と、収益性は安定しているものの高成長株と比較すると控えめとの見方です。
一方で、業績面では過去の高成長期と比べると成長率が減速する可能性も指摘されています。具体的には、アナリストコンセンサスでは今後の売上成長率は過去5年平均の約8.7%から鈍化し、緩やかな拡大にとどまるとの予測が出ています。
2.株価の見通し(強気・弱気シナリオ)
◉ 強気シナリオ
長期的に見ると、一部のAI予測モデルでは今後数年で株価が上昇する可能性が示唆されています。2030年代までの長期予測では、テクノロジーや高機能材料への需要拡大、グローバル展開が株価を押し上げる材料になり得るという見方もあります(例:2030年に現水準から10〜20%上昇予想)。ただし、これらは機械学習モデルによる予測で、確定的なものではありません。
◉ 弱気シナリオ
アナリストによる直近12カ月の平均目標株価は約1.800円前後〜1.870円前後で、現状株価と比較すると大きな上昇余地が限定的とする見方もあります。また、複数の証券会社の評価では「Neutral(中立)」や「Sell(弱気)」の評価があるほか、株価の平均予想が現状よりやや下方に設定されているケースもあります。価格ターゲットのレンジは1.540円〜2.300円程度と、強気と弱気の幅がある状態です。
3.投資戦略(短期トレード向け・長期保有向け)
◉ 短期トレード向け
短期投資の観点では、株価のボラティリティ(値動き幅)が見られるため、テクニカル分析を活用したトレードが有効です。目先の価格変動やチャートパターンを見ながら、短期的なトレンド転換ポイントを狙う戦略が考えられます。ただし、アナリスト評価が中立〜弱気である点や業績成長の鈍化予想を踏まえると、短期的には株価の上値が限定的になる可能性もあるため注意が必要です。
◉ 長期保有向け
長期投資の場合、日本触媒は安定した高配当利回りや財務の健全性が魅力です。さらに、高機能化学品や環境関連の製品分野は中長期での需要が見込まれるため、配当利回りを重視したインカムゲイン戦略や、将来の成長セグメントへの収益寄与拡大を期待した中長期投資が検討されます。ただし、成長率の鈍化リスクや競争環境の変化には引き続き注視する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 日本触媒株の購入におすすめの証券会社は?
ネット証券がおすすめ。手数料が低く、NISAや単元未満株にも対応しており、短期・長期投資どちらにも便利です。
Q2: 株価が上がるタイミングは?
増配や好決算発表、株主還元策(自社株買いなど)の前後は株価が上昇しやすい傾向があります。ただし、市場や為替動向の影響も受けるため確実ではありません。
Q3: 配当狙いの投資は有効か?
答え: 高配当利回り(約5.7%)で、増配傾向もあるため長期のインカムゲイン戦略に向きます。ただし、株価変動や減配リスクもあるため注意が必要です。
結論
日本触媒株の魅力は、高機能化学品事業の強みと安定した高配当利回りにあります。一方で、原材料価格の変動や市場環境の影響による株価リスクも存在します。投資判断としては、長期的に配当を狙った保有が有効ですが、短期的には株価の動きや市場の材料を注視することが重要です。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。