公開日: 2026-01-23
連続増配米国株とは、毎年欠かさず配当金を増やし続けている米国企業の株式を指します。一般的には、10年・25年・50年以上といった一定期間、減配せずに増配を継続している企業が注目されます。こうした企業は、安定した収益力と強い事業基盤を持っているケースが多いのが特徴です。
「増配」とは、前の年よりも配当金を引き上げることを意味します。一方で、「減配」は配当金を引き下げること、「無配」は配当を支払わない状態を指します。連続増配企業は、景気の良し悪しに関わらず株主還元を重視してきた実績があるため、長期投資家から高い信頼を得ています。
米国株市場では、連続増配の年数に応じて企業を分類する考え方もあります。代表的なものに、25年以上連続増配を続ける「配当貴族」、さらに50年以上増配を続ける「配当王」があります。これらの企業は、配当の安定性を重視する投資家にとって、長期保有の有力な選択肢とされています。
連続増配米国株が多い理由

米国株に連続増配企業が多い最大の理由は、株主還元を重視する企業文化にあります。米国では、企業は株主の資本を使って事業を行っているという考え方が強く、安定的に配当を支払い、増やしていくことが経営の重要な責任とされています。
また、米国企業は安定したキャッシュフローの確保を経営の軸に置いています。景気の変動があっても現金収入を生み続けられるビジネスモデルを持つ企業が多く、その結果、毎年の増配を継続しやすい環境が整っています。
さらに、米国では自社株買いと配当を組み合わせた株主還元が一般的です。業績が好調な年には自社株買いを増やし、配当は無理のない範囲で着実に引き上げることで、長期的な連続増配を実現しています。
一方、日本株は成長投資や内部留保を優先する傾向が強く、配当は業績に応じて増減しやすいのが特徴です。この配当方針の違いが、米国株に連続増配企業が多い理由の一つとなっています。
代表的な連続増配米国株の例(具体的銘柄つき)
1.生活必需品・消費財セクター
Procter & Gamble(PG)
生活必需品メーカーで、洗剤や紙製品など日常的に使われるブランドを多数保有。
約69年連続増配と非常に長い記録を持つ代表的な銘柄です。
PepsiCo(PEP)
飲料・スナックの世界的企業。消費が景気に左右されにくい商品群で長期増配実績を継続。
約53年以上の増配実績あり。
Altria Group(MO)
タバコ製品メーカーで高配当・長期増配株として知られる。
50年以上の連続増配と高い配当利回りが特徴。
2.ヘルスケア・医薬品関連
Johnson & Johnson(JNJ)
医薬品・医療機器・消費者向け製品を扱うヘルスケア大手。
60年以上の連続増配を続ける米国屈指の安定株。
AbbVie(ABBV)
医薬大手ファーマ。特に免疫・がん領域で売上が強く、配当成長も継続。
50年以上の記録を持つ連続増配株として注目されている。
3.IT・インフラ・工業セクター
Automatic Data Processing(ADP)
人事・給与管理ソフトの大手。クラウドサービスで安定キャッシュ・増配。
50年以上連続増配を継続中で、近年は配当引上げも堅調です。
Parker-Hannifin(PH)
産業用機器メーカーで、工業製品分野の堅実な配当株。
長期増配記録があり、工業セクターの代表的な「Dividend King」。
Nucor(NUE)
鉄鋼メーカーながら長期配当増加を達成している例として注目されている。
4.その他セクターの代表例
American States Water(AWR)
公益事業(水道会社)で70年以上の連続増配を記録する超安定株。
景気変動と関係なく需要がある公益株ならではの強さ。
Genuine Parts Company(GPC)
自動車部品等の流通企業で約69年の増配記録あり。幅広い景気環境で配当を増やしてきた。
Target(TGT)
小売り大手で、消費関連セクターの中でも長期増配株として知られている。
Walmart(WMT)
世界最大級の小売企業で、ディフェンシブな消費株として人気。
約50年以上の増配実績があり、生活必需関連としても評価されている。
連続増配米国株の選び方

連続増配米国株に投資する際は、単に「増配年数が長い」という理由だけで選ぶのではなく、今後も増配を続けられるかどうかを見極めることが重要です。ここでは、特に押さえておきたい4つのポイントを解説します。
① 連続増配年数のチェック方法
まず確認したいのが、何年連続で増配を続けているかです。
一般的に、以下のような目安があります。
10年以上:安定した配当方針を持つ企業
25年以上:配当貴族と呼ばれる優良企業
50年以上:配当王クラスの超安定企業
連続増配の年数が長いほど、景気後退や金融危機といった厳しい局面でも配当を維持・増加させてきた実績があるため、配当の信頼性が高いと判断できます。
② 配当性向・フリーキャッシュフローの見方
次に重要なのが、配当の「無理のなさ」です。
その判断材料となるのが、配当性向とフリーキャッシュフローです。
配当性向:利益のうち、どれだけを配当に回しているか
高すぎる場合、将来の減配リスクが高まる
フリーキャッシュフロー:事業で稼いだ現金の余力
配当が安定してフリーキャッシュフローで賄われているかが重要
連続増配企業の多くは、利益だけでなく現金収入にも余裕があるため、長期的に増配を続けやすい特徴があります。
③ 売上・利益の長期成長性
配当を増やし続けるためには、企業そのものが成長、または安定的に利益を出し続けることが欠かせません。
売上が長期的に横ばい〜緩やかに成長しているか
利益が一時的ではなく、複数年にわたり安定しているか
主力事業が時代遅れになっていないか
特に米国の連続増配企業は、生活必需品や医療、インフラなど、景気に左右されにくい分野で強みを持つケースが多く見られます。
④ 財務健全性(負債比率など)
最後に確認したいのが、財務の健全性です。
借金に依存しすぎている企業は、金利上昇や景気悪化時に増配を続けられなくなる可能性があります。
負債が過度に増えていないか
利息支払いに十分な余力があるか
格付けが安定しているか
連続増配を長年続けている企業は、総じて保守的な財務運営を行っており、不況時でも配当を守る体力を備えています。
連続増配米国株はどんな人に向いているか
連続増配米国株は、短期間で大きな値上がりを狙う投資とは性質が異なります。
そのため、投資スタイルや目的によって向き・不向きがはっきり分かれるのが特徴です。以下に当てはまる人は、特に相性が良いと言えます。
① 長期投資志向の人
連続増配米国株は、数年から数十年単位で保有することを前提とした投資に向いています。
配当を毎年少しずつ増やしていく企業が多いため、短期的な株価変動よりも、長期的な企業価値と配当成長を重視する人に適しています。
売買を頻繁に行いたくない
時間を味方につけて資産を増やしたい
老後資金や将来の資産形成を意識している
こうした考えを持つ人にとって、連続増配株は精神的な負担が少ない投資対象になります。
② 配当収入を重視する人
連続増配米国株の大きな魅力は、配当収入が年々増えていく可能性がある点です。
高配当株のように利回りが急に下がるリスクが比較的低く、安定的なインカムゲインを期待できます。
毎年の配当を生活費や再投資に回したい
配当が増えることで将来の収入見通しを立てたい
株価が横ばいでも配当で満足できる
このように、「株価よりも現金収入」を重視する人に向いています。
③ 値動きより安定性を求める人
連続増配を続ける企業は、生活必需品、ヘルスケア、インフラなど、景気に左右されにくい事業を展開しているケースが多く見られます。
そのため、成長株と比べると値動きは比較的穏やかで、暴落局面でも下落幅が抑えられる傾向があります。
株価の上下に一喜一憂したくない
大きなリスクを取るのが不安
安定した企業に安心して投資したい
こうした人にとって、連続増配米国株は守りを重視した投資として有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 連続増配は何年続けば安心ですか?
一般的には、10年以上連続で増配していれば一定の信頼性があると考えられます。
さらに評価が高いのは以下の水準です。
25年以上:配当貴族(Dividend Aristocrats)
50年以上:配当王(Dividend Kings)
特に25年以上の連続増配を続けている企業は、リーマンショックや景気後退などの厳しい局面でも配当を増やしてきた実績があり、長期投資における安心感が高いとされています。ただし、年数だけでなく、現在の業績や財務状況も併せて確認することが重要です。
Q2. 高配当株と連続増配株はどちらが良いですか?
どちらが良いかは、投資目的によって異なります。
高配当株
すぐに高い配当収入を得たい人向け
ただし、業績悪化による減配リスクが比較的高い
連続増配株
配当は控えめでも、将来的に配当が増えていく可能性が高い
長期保有で配当収入の成長を期待できる
短期のインカムを重視するなら高配当株、長期的に配当を育てたいなら連続増配株が向いています。
両者を組み合わせて分散投資するのも有効な選択です。
Q3. 毎月配当と連続増配株はどちらを選ぶべきですか?
毎月配当は、定期的な現金収入を得やすい点が魅力ですが、その多くはETFであり、配当が必ずしも増え続けるとは限りません。一方、連続増配株は年1回または四半期配当が多いものの、配当額が年々増える点が特徴です。
生活費補填など、定期収入を重視 → 毎月配当
資産形成・老後資金を重視 → 連続増配株
特に長期投資では、配当の成長性が最終的な受取額に大きな差を生むため、連続増配株を軸に考える投資家も多くいます。
結論
連続増配米国株の最大の魅力は、配当を増やし続ける企業の安定した収益力と株主還元姿勢にあります。毎年少しずつ配当が成長することで、長期的には大きなインカムゲインにつながります。
こうした投資では、短期的な株価の上下に一喜一憂せず、長期目線で保有し続けることが重要です。時間を味方につけることで、配当の積み上げと複利効果を活かすことができます。
また、特定の銘柄に偏らず、複数のセクターに分散投資し、継続して保有することがリスクを抑えるポイントです。連続増配米国株は、安定性を重視した資産形成を目指す投資家にとって、有力な選択肢と言えるでしょう。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。