公開日: 2026-01-18
近年、金利上昇や金融政策の転換を背景に、地方銀行株への注目が高まっています。金利が上昇すると、銀行は貸出金利と預金金利の差である利ざやが拡大しやすく、収益改善につながるためです。特に国内金利の影響を受けやすい地方銀行は、その恩恵を直接受けやすいとされています。
また、全国展開するメガバンクと比べ、地方銀行は特定地域に密着した経営を行っており、安定した預金基盤や地元企業との強い関係を持つ点が特徴です。その一方で株価は割安に放置されているケースも多く、PBRが1倍を下回る銘柄や高配当利回りの銘柄が目立ちます。
こうした割安感と配当の魅力を背景に、インカムゲインを重視する投資家を中心に、今あらためて地方銀行株が見直されているのです。
地方銀行株の特徴と投資メリット・リスク
地方銀行株の大きな特徴は、地域密着型のビジネスモデルにあります。特定の地域に根ざし、地元企業や個人顧客との長年の取引関係を基盤としているため、預金や貸出が比較的安定しやすい点が強みです。この安定した預金基盤は、金利上昇局面では利ざや拡大につながり、収益改善の追い風となります。
また、地方銀行株は市場評価が低めに抑えられているケースが多く、PBRが1倍を下回る割安銘柄や、高配当利回りを維持している銘柄が目立ちます。中には株主優待を実施している銀行もあり、配当と優待を合わせたインカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な投資対象となっています。
一方で、地方銀行株には無視できないリスクも存在します。最大の課題は、人口減少や地域経済の縮小です。取引先となる企業数や個人顧客が減少すれば、貸出需要の低下や収益成長の鈍化につながる可能性があります。また、地域経済が悪化した場合には、不良債権の増加リスクにも注意が必要です。
さらに、地方銀行は金利環境への依存度が高いため、金利が再び低下した場合には業績が圧迫されやすい点もデメリットです。加えて、業界再編や経営統合が進む中で、統合発表や再編の進展によって株価が大きく変動するケースもあります。
このように地方銀行株は、安定性と高配当という魅力を持つ一方で、地域経済や金融環境に左右されやすい側面も併せ持っています。そのため、投資にあたってはメリットとリスクの両面を理解したうえで、長期視点での判断が重要となります。

おすすめの地方銀行株の選び方【5つの視点】
地方銀行株を選ぶ際には、単に配当利回りだけで判断せず、複数の視点から総合的に評価することが重要です。特に注目すべき5つの視点は以下の通りです。
自己資本比率・健全性
銀行の健全性を測る基本指標が自己資本比率です。自己資本比率が高い銀行は、万が一の不良債権増加や経済ショックにも耐えやすく、安定的な経営が期待できます。投資対象としては、自己資本比率が十分に高く、財務基盤が健全な銀行を優先的に選ぶと安心です。
配当利回り・配当性向
地方銀行株は配当を重視する投資家に人気があります。配当利回りが高く、かつ配当性向(利益に対する配当の割合)が無理のない範囲に収まっている銀行は、安定したインカムゲインを期待できます。逆に配当性向が極端に高い場合は、将来の減配リスクにも注意が必要です。
PBR・PERなどの割安指標
株価が割安かどうかを判断する指標として、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)が役立ちます。PBRが1倍未満やPERが業界平均より低い銘柄は、相対的に割安とされるケースが多く、値上がり余地のある銀行株として注目されます。
地域経済の強さ(企業・人口動態)
地方銀行は特定の地域に根ざしているため、地域経済の強さや人口動態が業績に直結します。地元企業の活発な経済活動や人口増加・安定が見込める地域に本店を置く銀行は、貸出需要が安定しやすく、長期的に成長する可能性があります。
デジタル化・成長戦略の有無
近年は銀行業界でもデジタル化が進んでいます。インターネットバンキングやAIによる融資審査、フィンテック連携などの成長戦略を積極的に導入している銀行は、効率的な経営と新規収益源の確保が期待でき、将来的な株価上昇につながる可能性があります。
おすすめの地方銀行株(代表例)

① 大分銀行(Oita Bank, 8392)|安定配当と割安評価
特徴/強み: 安定した配当利回りと健全な収益基盤が評価されています。低PBRや低PERなど割安指標が目立ち、株主還元策として自社株買いなども実施している点が好材料です。
配当: 配当利回りはおよそ3.4%前後と銀行株の中では高めで、配当は利益に対して無理のない水準であると評価されています。
リスク要因: 地域経済の景況感に左右されやすい点と、業界全体の低成長課題。金利環境が変化すれば利ざやの改善余地が縮小する可能性もあります。
② 百五銀行(Hyakugo Bank, 8368)|業績好調・増配姿勢
特徴/強み: 最近の決算で利益・収益が伸長し、年間配当の増加を発表しており、株価パフォーマンスも堅調です。市場では投資判断として「買い」と評価されるケースもあります。
配当: 増配傾向で、株主還元志向が強まっている点が魅力的です。
リスク要因: 地域銀行全体に共通する、人口減・貸出伸び悩みリスクに加えて、人口構造の変化などで将来的な成長余地が限定的な点は注意。
③ あいちフィナンシャルグループ(Aichi Financial Group)|「金持ち地銀」評価銘柄
特徴/強み: 地方銀行株の中でも「株価が割安で益出し余力が高い「金持ち地銀」」として市場で評価される例に挙がっています。市場からの期待が低い一方で保有資産や含み益が厚い銀行は、株価評価の見直し余地があると指摘されています。
配当: 銀行グループとしての総合力を背景に配当と内部資本のバランスを重視。
リスク要因: 含み益をどれだけ利益化できるかが株価評価の鍵になり、政策株式の保有比率やガバナンス問題は投資判断に影響します。
④ 第四北越フィナンシャルグループ(7327)|再編・上方修正期待
特徴/強み: 地域再編・業績の上方修正が相次いでいる銀行として注目されています。業績の勢いから株価面でも存在感を増しているという評価もあります。
配当: 安定的な配当と利益成長性が評価対象。
リスク要因: 業績の変動性、地域経済の景況感、そして統合・再編リスクによる株価変動には注意が必要です。
地方銀行株はどんな投資家に向いているか
地方銀行株は、安定した配当収入や比較的低リスクの運用を求める投資家に向いています。特に、長期的に資産を育てたい配当重視の長期投資家には魅力的です。また、株価変動が比較的緩やかで、地域経済に根ざした安定した収益基盤を持つため、低リスク・安定志向の投資家にも適しています。さらに、日本株のポートフォリオを構築する際の分散投資の一環としても有効で、メガバンクや成長株に偏らないバランスの良い投資が可能です。
よくある質問(FAQ)
1.地方銀行株は今後も成長できる?
地方銀行株の成長は、主に地域経済の活力と貸出需要の増減に左右されます。人口減少や地方経済の縮小が進む地域では、業績の伸びは限定的ですが、逆に地元企業や自治体の活発な活動がある地域では、安定した収益や増配の余地があります。また、デジタル化やフィンテック連携など、新しい収益源を開拓している銀行は、中長期的に成長が期待できます。ただし、成長率はメガバンクや都市部の銀行に比べると緩やかになる傾向があります。
2.金利が下がると株価はどうなる?
銀行株は金利差(利ざや)による収益に大きく依存するため、金利が低下すると収益力が低下しやすく、株価にマイナスの影響を与える可能性があります。特に地方銀行は地域の貸出金利と預金金利の差で収益を得ているため、長期的に金利が低迷すると、利ざや縮小による利益圧迫で株価が下落することもあります。一方、低金利環境でもコスト削減やデジタル化で効率化している銀行は、影響を最小限に抑えられる場合があります。
3.メガバンク株との違いは?
地方銀行とメガバンクの最大の違いは、事業規模と地域依存度です。
メガバンク:全国・海外に展開しており、貸出先も多岐にわたるため、収益源が分散され、景気変動の影響は比較的軽減されます。
地方銀行:特定地域に根ざした経営で、地域経済や人口動態の影響を強く受けます。その分、株価は地域経済の状況に敏感ですが、安定した顧客基盤や地域密着型サービスにより、配当利回りや割安株としての魅力があります。
まとめると、安定性や配当重視なら地方銀行株、収益規模や成長性重視ならメガバンク株と使い分けることがポイントです。
結論|おすすめの地方銀行株をどう活用するか
地方銀行株に投資する場合は、短期的な株価の変動よりも、中長期的な視点で保有することが有効です。利ざや改善や地域経済の成長に伴って、時間をかけて安定した収益や株価上昇が期待できるためです。
また、配当収入と値上がり益の両方を狙えるバランスの良い投資が可能です。高配当銘柄を中心に選ぶことで、インカムゲインを確保しつつ、株価が上昇すればキャピタルゲインも狙えます。
さらに、地方銀行株は日本株ポートフォリオの分散投資の一部として活用すると、メガバンク株や成長株に偏らないバランスの良い運用ができます。これにより、リスクを抑えつつ安定した投資成果を目指せます。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。