公開日: 2025-11-18
ゆうちょ銀行は、日本で最も大きな預金量を持つ金融機関のひとつで、多くの人から「安心できる銀行」として知られています。そのため、株式市場でも比較的安定した銘柄として注目されています。
特に注目されている理由は、
経営基盤が非常に安定していること
高めの配当を期待できること
の2点が大きなポイントです。
この記事では、こうした特徴を初心者でもわかりやすい形でまとめ、「ゆうちょ銀行株を買うべきかどうか」を判断しやすくするための情報を紹介していきます。
ゆうちょ銀行株の基本|どんな企業?
ゆうちょ銀行は、日本全国にある郵便局ネットワークを活用し、個人向け金融サービスを幅広く提供している銀行です。主な業務は「預金」「送金」「投資信託の販売」など、日常生活に密着したサービスが中心で、一般的な銀行と比べても非常に利用者数が多い点が特徴です。
■ 事業内容
個人預金事業:圧倒的な預金量を持ち、安定した資金基盤を確立
投信・保険販売:手数料収入の柱
ローン(住宅ローンなど):徐々に拡大中
決済・送金サービス:全国の郵便局で利用できる利便性
これらのサービスが、ゆうちょ銀行の収益を安定させています。
■ ビジネスモデルの特徴
ゆうちょ銀行の大きな特徴は、リスクの低い運用で堅実に利益を積み上げるスタイルにあります。
巨額の国債運用:保有資産の多くを国債や安全性の高い資産で運用
安定した手数料収入:投信販売やATM・送金手数料など、景気に左右されにくい
規模の大きさによる安定性:全国ネットワークを持つ郵便局が強み
このように、成長よりも「安定」を重視した運営が行われています。
■ 株価の基本特性
ゆうちょ銀行株は、いわゆる「ディフェンシブ株」に分類されます。
値動きが比較的穏やか:景気が悪い時でも急落しにくい傾向
長期保有向きの銘柄:高配当・低リスクを求める投資家に人気
短期の爆発的な値上がりは期待しにくい:安定性の裏返し
リスクを抑えながら資産を増やしたい人に向く銘柄だといえます。
株価パフォーマンス

1.主な株価指標・現在値
株価:1.716.5円(11/18時点)
年初来高値:1.932円(2025/08/22)
年初来安値:1.160円(2025/04/07)
配当利回り(会社予想):約 3.85%
PER(予想値):約 13倍前後(13.06倍)
PBR(実績値):約 0.66〜0.68倍
2.パフォーマンスに関する解説
年初来での高値・安値の振れ幅をみると、1.160円 → 1.932円というかなりの幅があり、約66%ほどの上昇余地があった局面があります。
一方で、PBRが0.7倍未満という水準で、「株価が企業価値(純資産)と比較して割安と判断される可能性」があります。
配当利回り3%台後半という数値は、現状の日本の銀行株・大手金融株の中で「安定配当を期待できる」水準と言えます。
ただし、年初来安値の水準からの回復はできているものの、「すぐに大きく上昇する成長株ではない」とも読み取れ、値動きとしては緩やか、安定志向の銘柄と捉えられます。

ゆうちょ銀行株のメリット
1.高い安定性
ゆうちょ銀行は、日本全国にある郵便局ネットワークを活用しており、地方から都市部まで幅広い利用者を抱えています。この圧倒的な拠点数が安定した収益につながっており、銀行としての基盤が非常に強固です。
また、個人預金の規模が日本最大級であり、資金が大量に集まるため、金融環境が変動しても経営が大きく揺らぎにくいという特徴があります。安定志向の投資家にとっては、大きな安心材料となるポイントです。
2.配当利回りの高さ
ゆうちょ銀行株は、比較的高い配当利回りを提供することで知られています。業績が大きく上下しにくいことから、配当も安定しやすく、「長期保有で配当を受け取りたい」という投資家に向いた銘柄です。
株価の値上がり益を狙うよりも、毎年の配当を確実に受け取るタイプの投資に適しています。特に低リスクで資産を増やしたい初心者にとって魅力的なポイントとなります。
3.国債運用によるリスクの低さ
ゆうちょ銀行は、保有資産の多くを日本国債などの安全性の高い資産で運用しています。そのため、株式や海外債券のように価格が大きく上下するリスクが少なく、資産運用の安定性が高いことが特徴です。
この運用スタイルにより、金融ショックが起きても大きな損失を抱えにくく、リスクを抑えた経営が可能になります。投資家にとっては、安心して保有できる理由のひとつです。
4.大きな赤字リスクが少ないビジネスモデル
ゆうちょ銀行は、他の銀行と比べて価格競争に巻き込まれにくいという特徴があります。全国ネットワークを活用した「預金」「送金」「手数料ビジネス」が中心で、急激に収益が悪化するような高リスクの事業は少なめです。
特に、ATM・送金手数料や投信販売など、利用者が継続して使うサービスから安定的に利益を得られる構造となっています。このため、大きな赤字に陥りにくく、長期目線での安定した経営が続きやすいと言えます。
ゆうちょ銀行株のデメリット
1.成長性は高くない
ゆうちょ銀行は、主に個人向けの預金・送金サービスを中心にしており、事業の幅がそれほど広くありません。貸出業務(融資)や投資銀行業務のような、高い成長が見込める事業分野への進出も限定的です。
そのため、収益全体が急成長する可能性は高くなく、他のメガバンクや新興企業と比べると株価の上昇スピードも穏やかな傾向があります。
「大きく伸びる株に投資したい」という人には物足りない点がデメリットです。
2.金利変動の影響を受けやすい
ゆうちょ銀行は、保有する資産の多くを日本国債などの債券で運用しています。
債券は金利が上昇すると価格が下がる性質があるため、金利上昇局面では評価損が発生しやすくなります。
金利が上がる → 国債の価格が下がる → ゆうちょの資産価値が減る
という仕組みです。
そのため、金利環境が変わるたびに業績や株価が動きやすく、金利動向のチェックが必要になる点は初心者にとって注意ポイントです。
3.規制が多い
ゆうちょ銀行は、郵政グループに属する特殊な金融機関であるため、他の銀行にはない規制や制約があります。例えば、
取り扱える金融商品の範囲に制限がある
一部の業務には政府の認可が必要
他行のように積極的に事業拡大ができない
といった特徴があります。
こうした規制は、事業の自由度を制限し、成長機会を逃しやすいというデメリットにつながります。
4.株価の大きな値上がりは期待しにくい
ゆうちょ銀行株は、安定性を重視した「ディフェンシブ銘柄」として知られています。
景気が悪くても下がりにくい反面、景気が良いときでも大きく上昇することはあまりありません。
つまり、「安定はするが、大きなキャピタルゲイン(値上がり益)は狙いにくい」という特徴があります。
短期で利益を狙うトレーダーや、成長株への投資を求める人には向かない点がデメリットといえるでしょう。
ゆうちょ銀行株はどんな人に向いている?
1.安定重視・低リスク重視の投資家
ゆうちょ銀行株は、銀行株の中でも特に値動きが安定しており、急激に株価が上下する場面が少ないのが特徴です。
そのため、大きなリスクを取らずにゆっくりと資産を育てたい投資家に向いています。
「大きく増えなくてもいいから、安心して持てる株がいい」
「相場の上下に振り回されたくない」
という人にとっては、心理的にも保有しやすい銘柄といえます。
2.長期で配当を受け取りたい人
ゆうちょ銀行株は比較的高い配当利回りを維持しており、毎年の配当収入が期待できます。
特に長期保有すると、安定した配当金が資産形成の土台になりやすいため、以下のような人に適しています。
「老後に向けて配当収入を積み上げたい」
「株価の上昇よりも、定期的にお金が入るほうが嬉しい」
「長く持ってコツコツ資産を増やしたい」
配当目的の投資と相性が良い銘柄です。
3.株価の急騰よりも堅実な資産運用をしたい人
ゆうちょ銀行株は、短期間で株価が何倍にも跳ね上がるタイプの銘柄ではありません。その代わり、景気が悪い時でも急落しにくいというメリットがあります。
「ギャンブル性の高い株は避けたい」
「堅実に、おだやかに資産を増やしたい」
という人には、まさに向いている銘柄です。
株価が急騰しにくいという点はデメリットにもなりますが、安定性を求める投資家にとっては大きな魅力になります。
ゆうちょ銀行株の注意点
1.金利動向のチェックが必要
ゆうちょ銀行は、保有している資産の多くを日本国債などの債券で運用しています。
そのため、金利がどう変化するかが業績に大きく影響します。
金利が上がる → 国債価格が下がる → 評価損が出やすい
金利が下がる → 国債価格が上がる → 評価益が出やすい
特に金利上昇局面では、ゆうちょ銀行の収益にマイナスの影響が出る場合があります。
投資を検討する際は、日銀の政策金利や長期金利の動きを定期的に確認することが大切です。
2.郵政グループ全体の政策動向に影響されやすい
ゆうちょ銀行は、日本郵政グループの一員であり、民間銀行と比べて公共性が高い金融機関です。そのため、
郵政グループの経営方針
政府による株の売却方針
郵便局ネットワークの運営方針
規制緩和・規制強化
といったグループ全体の政策や政府の判断の影響を受けやすいという特徴があります。
過去にも、日本郵政による株売却のニュースでゆうちょ銀行株が動いたケースがあり、こうした政策関連の動きには注意が必要です。
3.リスクがゼロではない点を理解する
ゆうちょ銀行株は「安定している」と言われることが多いですが、リスクがまったくないわけではありません。
たとえば、以下のようなリスクは考慮する必要があります。
金融市場の急変
国債運用の悪化
郵政グループの規制変更
配当方針の変更
長期的な低金利が続く場合の収益圧迫
初心者の方でも、安定性が高いとはいえ株式投資である以上、損をする可能性がある点を必ず理解しておくことが大切です。
よくある質問
Q1. ゆうちょ銀行株は初心者でも買いやすいですか?
はい、比較的買いやすい銘柄です。
理由は以下の通りです:
株価の値動きが緩やかで安定している
配当利回りが高めで、長期保有向き
日本全国にネットワークがあるため経営基盤が安定
ただし、株式投資である以上リスクはゼロではないため、少額から始めるのが安心です。
Q2. 配当はどのくらいもらえますか?
直近では年間配当利回りが約3.8%前後です。
配当は安定傾向にあり、株価の上昇よりも「定期的な収入」を重視したい投資家に向いています。
配当は業績や政策に影響を受けるため、過去の推移を確認しておくこともおすすめです。
Q3. ゆうちょ銀行株は成長株ですか?
いいえ、成長株というよりは安定型のディフェンシブ株です。
急激な株価上昇は期待しにくい
値動きは緩やかで、長期保有で安定収益を狙うのに向く
金利や規制環境によって影響を受けるため、将来性よりも安定性を重視する投資家向け
Q4. 株価が下がるリスクはありますか?
はい、株価が下がる可能性はゼロではありません。
金利上昇による国債評価損
郵政グループ全体の政策や規制の影響
金融市場の急変動
こうした要因で株価が一時的に下がる可能性があります。しかし、経営基盤が強固なため、大きな下落は比較的少ない傾向です。
Q5. 長期保有に向いていますか?
はい、長期保有に向いています。
配当が安定している
株価の値動きが緩やか
経営基盤が強固
これらの理由から、老後資金や安定的な資産形成を考える投資家に適しています。
結論|ゆうちょ銀行株を買うべきか
ゆうちょ銀行株の最大のメリットは、経営基盤が安定しており、配当利回りも比較的高い点です。安定した収入を期待できるため、リスクを抑えながら長期的に資産を増やしたい投資家には有力な選択肢となります。一方で、成長性は高くなく、金利変動の影響を受けやすい点はデメリットです。そのため、急激な株価上昇を狙う成長株投資を希望する場合は、他の銘柄を検討したほうがよい場合もあります。
要するに、ゆうちょ銀行株は安定志向の投資家向けの銘柄であり、投資スタイルによって向き不向きがはっきり分かれる銘柄と言えます。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。