公開日: 2025-12-12
世界のゲーム市場はモバイル・コンソール・PCのすべての領域で拡大を続けており、特にモバイルゲームは成長を牽引する存在になっています。近年は AI を活用したゲーム開発や、クラウドゲーム・サブスク型サービスの普及が進み、収益モデルが多様化している点が投資家にとって魅力です。強いIPを持つ企業や、海外ユーザーを多く抱える企業は安定した売上を確保しやすく、長期的な成長が期待できるため、ゲーム関連有望株は注目される投資対象となっています。
ゲーム関連有望株とは?選定ポイント
ゲーム関連有望株を見極めるためには、単に人気タイトルを持っている企業を選ぶだけでは不十分です。長期的に成長できる企業にはいくつか共通する特徴があり、これらをチェックすることで投資判断の精度が高まります。
売上の成長率(ヒットタイトル・IPの強さ)
ゲーム企業の成長は、強力なIP(知的財産)を持つかどうかで大きく変わります。ヒットタイトルが継続的に売れ続けたり、シリーズ化されている企業は安定した収益を確保しやすく、株価の下支えにもなります。また、IPを映画・アニメ・グッズなどに展開できる企業は、追加収益を得られるため成長が持続しやすい点が特徴です。
収益性(営業利益率・課金モデル)
ゲームビジネスは開発費が高額な一方、ヒットすれば高収益になります。営業利益率が高い企業ほど開発力や販売力が優れており、効率的なビジネス運営ができている証拠です。また、ゲーム内課金やバトルパスといった課金モデルを採用している企業は、一度ユーザーを獲得すると長期間収益を得やすく、投資対象として魅力が高まります。
継続課金(サブスク・ゲーム内課金)
近年は、単発購入モデルだけでなく、サブスク型やシーズンパスなど“継続課金”の仕組みが収益の柱になっています。ユーザーが長く遊ぶほど売上が安定し、企業の業績もブレにくくなります。こうした継続収益モデルを確立している企業は、投資家から評価されやすい傾向があります。
海外展開の強さ
ゲーム市場は国内より海外のほうが規模が大きいため、海外売上比率が高い企業は成長余地が大きくなります。特に北米・欧州・アジアで強いブランド力を持つ企業は安定的に成長しやすく、為替の追い風を受ける場面もあります。
AI活用や新規IPの開発力
AIを活用した開発効率化や、新規IPを継続的に生み出せる企業は長期的に市場競争で優位に立ちやすい存在です。新しい遊びを作る企画力、技術力、そしてAIによる制作環境の改善は、今後の評価基準としてさらに重要になります。
日本のゲーム関連有望株

任天堂(7974)
任天堂は家庭用ゲーム機のIP(マリオ・ゼルダなど)で強い収益力を持つ代表銘柄です。世界的な人気IPとハード販売力で安定した業績が期待されます。
株価はおよそ約11.500円前後で推移しています。
カプコン(9697)
『モンスターハンター』『ストリートファイター』など高人気タイトルを持ち、 海外売上比率が高いことが特長です。
株価は約3.700円前後付近です
バンダイナムコホールディングス(7832)
ゲームだけでなく 玩具・アニメなどIPを多角展開 する大手エンタメ企業です。『ドラゴンボール』『アイドルマスター』など幅広いIPが強みです。
株価は約4.300円前後で推移しており、配当利回りやアナリスト予想も割と堅調な評価も見られます。
スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)
『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』といった 世界的IPを持つ老舗大手。リメイクや新作の期待感から注目されやすい銘柄です。
株価は約2.700円〜2.800円前後程度です。
コロプラ(3668)
モバイル向けアプリを中心に展開する企業で、位置情報ゲーム系などで名前が知られています。
株価は約400円前後で推移しています。
KLab(3656)
『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』などのスマホゲームを手がける企業です。
株価は約360円〜400円の範囲で変動しており、PER等は参考値として確認できます。
海外ゲーム関連有望株

Electronic Arts (EA)
米国を代表する大手ゲームパブリッシャーで、『FIFA』『Battlefield』『The Sims』などの人気シリーズを多数保有します。
株価は 約203.66ドル前後 で取引されています(2025年12月12日現在)。
最近、約550億ドル規模のプライベート・エクイティによる買収合意が話題となっており、株式市場から非公開会社に移行予定です(株価に大きな影響)。
Take-Two Interactive (TTWO)
『Grand Theft Auto(GTA)』『Red Dead Redemption』などの強力IPを持つ米国企業です。
株価は 約242ドル前後 で推移しています(2025年12月12日)。
市場では新作『GTA VI』への期待感が高く長期的な成長要因とされています。
Roblox Corporation (RBLX)
ユーザー生成コンテンツと メタバース型プラットフォーム で成長している企業です。
株価は約94.34ドル前後です(2025年12月12日)。
Tencent Holdings (0700.HK)
中国最大のゲーム・IT企業で、多数のゲーム企業株を保有・出資する巨大グループです。
香港市場では 約610〜612香港ドル前後 で取引されています(2025年12月時点)。
周辺技術・関連企業

1.Unity Software (U) — ゲーム開発エンジン
Unityはゲーム開発者向けの汎用エンジンを提供し、スマホ〜コンソールまで幅広く利用されるソフトウェアを開発しています。
株価は約49.23ドル前後で取引されています(米国市場)。
ポイント
ゲーム制作ツールとして業界標準の一角
ゲーム以外にもAR/VRやメタバース関連の開発ツールとして評価されつつあり、2025年には株価が強い上昇を見せています(年初来で上昇)。
2.NVIDIA (NVDA) — ゲーム&AI向けGPU
NVIDIA は高性能GPUでゲームグラフィックスやAI計算の分野で圧倒的な存在感を持つ企業です。
株価は 約180.93ドル 前後で推移しています。
ポイント
最新の GeForce RTX 50 シリーズなどの GPU はゲーム用途やAI処理で評価が高いです。
世界的なAI・ゲーム需要の高まりを背景に大きな時価総額を持つ代表銘柄です。
3.Sony Group (SONY) — PlayStation・コンテンツ
SonyはPlayStationブランドを中核に持ち、ゲーム機・ソフト・関連コンテンツ事業を展開する日本の大手エンタメ企業です。
米国ADR株(米国預託証券)の価格は 約26.73ドル 前後です。
ポイント
PlayStation プラットフォームは世界中で人気が高く、ハード・ソフト売上の双方を持つ稀有な企業です。
株価は同業他社に比べて控えめな水準ですが、ゲーム以外にも映画・音楽・センサー事業など多角的な収益基盤があります。
4.Advanced Micro Devices (AMD) — ゲーム用半導体
AMDはCPUやGPUを手がけ、PC・ゲーム機向けの高性能半導体を提供する企業です。
株価は 約221.43ドル 前後で取引されています。
ポイント
ゲーム機(例:PlayStation・Xbox)のCPU/GPUの供給や、PCゲーム向けハードウェアに強みがあります。
AI・データセンター需要も加わり、ゲーム用途だけでなく成長の複数ドライバーを持つ点が評価されています。
市場トレンド:2025年のゲーム業界の成長ドライバー
次世代機発売サイクル
コンソール機器の新機種発売は、ハード・ソフト両面で需要を喚起する重要なドライバーです。近年は次世代機のリリースや高性能モデルの登場がゲーム市場に再び活気をもたらしており、ソフト販売の増加、関連アクセサリー市場の拡大にもつながっています。こうしたサイクルは業界全体の売上増と注目度向上に寄与します。
AI生成コンテンツの増加
AI技術の進化により、ゲーム開発の現場では AIを活用した制作プロセスやコンテンツ生成 が活発になっています。例えば、AIを使うことで新しいレベル構造やシナリオ作成、NPCの挙動生成などが効率化されるほか、開発コストの削減にも寄与しています。実際に多くのゲーム開発者がAIを開発タスクに取り入れており、今後のゲーム設計や制作体験のあり方を大きく変える可能性があります。
eスポーツ市場
eスポーツは単なるゲーム大会の枠を超え、世界規模のスポーツ・エンターテインメントへと成長しています。2025年のグローバル市場規模はおよそ 約30億ドル前後 と推定されており、前年比でも拡大が続いています。スポンサー収入、視聴者数の増加、国際大会の盛り上がりなどが収益を押し上げる要因となっています。特に大会のメディア露出やブランド投資が進むことで、カテゴリとしても大きな存在感を示しています。
モバイル広告収益の改善
モバイルゲームは世界のゲーム市場で非常に大きなシェアを占めており、広告収益はその成長をさらに後押ししています。スマホゲームにおける広告投資の増加やAIによる広告ターゲティングの高度化は、開発者・配信者にとって重要な収益源となっています。また、広告技術の革新により広告表示の最適化が進み、ユーザー体験を損なわずに収益化できる仕組みが注目されています。
映画やアニメとのIP連携
ゲームIP(知的財産)は映画・アニメ・ドラマとのクロスメディア展開を通して新規ファンを獲得しやすく、他ジャンルからの収益も生み出します。成功例としては人気ゲームの映画化やアニメ化が挙げられ、これらが相互にプロモーション効果を発揮することでゲーム・関連コンテンツ全体の価値向上につながっています。また、こうした連携はブランド価値の拡大だけでなく、合算した収益機会を増大させる効果もあります。
投資リスク
ゲーム関連有望株には成長余地がある一方、特有のリスクも存在します。これらを事前に把握することで、投資判断の精度を高めることができます。
1.ヒット作依存のリスク
ゲーム企業の多くは「1つの人気タイトル」に業績が大きく依存する傾向があります。
ヒット作が続けば大きな収益を確保できますが、逆に 新作が期待外れだった場合やシリーズの売上が落ちた場合、株価が急落するケースも珍しくありません。
特にモバイルゲーム企業はヒット作の寿命が短く、売上の波が激しい点がリスクとなります。
2.開発遅延(リリース延期)
大規模タイトルは数年単位の開発が一般的で、グラフィックの高度化やAI活用の増加により、プロジェクト遅延のリスクが高まりやすい のが現状です。
リリース延期が発表されると株価が下落するケースが多く、人気タイトルほど市場の期待値が大きいため、ネガティブな反応につながりやすい特徴があります。
3.広告規制・課金規制
世界では、プレイヤー保護の観点からガチャ(ランダム課金)や課金要素に対する規制 が強化される流れがあります。
例えばEUや中国では、ランダムアイテムの確率開示や課金上限設定が義務化されており、規制が強まると企業の収益モデルに影響が出ます。
モバイルゲーム企業は広告収益に依存する割合も高く、広告表示に対する規制強化が収益に直結する リスクがあります。
4.為替の影響(特に日本企業)
日本のゲーム企業は海外売上比率が高く、任天堂・カプコン・スクエニなどは売上の半分以上が海外というケースも多いです。
そのため、
円高 → 海外売上が目減りして業績悪化
円安 → 円換算の売上が増え、利益押し上げ
といった為替の影響を強く受けるセクターであることは注意点です。
特に急激な為替変動は決算に直接影響し、株価の上下を招くことがあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. ゲーム有望株はどのように選べばいいですか?
まずは、安定した人気シリーズ(IP)を複数持つ企業に注目するのが基本です。IPが強い企業は続編や関連商品で継続的に収益を上げやすく、長期成長が期待できます。また、ヒットに左右されやすい業界のため、海外売上比率が高く、収益源が分散している企業を選ぶとリスクを下げられます。
Q2. ゲーム株は業績のブレが大きいのでは?
たしかにヒット作の有無で業績が変動しやすい側面があります。ただし近年は「オンラインゲームの継続課金」「サブスクリプション型サービス」「ライブサービス型タイトル」などストック収益化が進んでおり、以前より業績は安定しています。銘柄選びの際は、単発ヒット依存か、継続収益があるかを確認するのがおすすめです。
Q3. Eスポーツ関連銘柄は投資対象になりますか?
eスポーツは成長分野ですが、まだ収益構造が成熟していません。そのため単体で投資するよりも、ゲーム開発やプラットフォーム事業を手がける企業の「一部事業」として位置づける方が安全です。ただし、周辺領域(配信プラットフォーム・関連ハードウェア)は中長期の成長余地があります。
Q4. ゲーム株はどのタイミングで買うべきですか?
ゲーム株は新作発表・大型イベント・決算前後で価格が動きやすい傾向があります。特に「発売日」「予約開始」「βテストの評価」などで市場の期待値が大きく変わるため、ニュースのチェックが重要です。長期投資の場合は、大型タイトルに依存せず、継続課金モデルが育っている企業を押さえるとタイミングを気にせず投資しやすくなります。
Q5. 家庭用ゲームとスマホゲームではどちらが有望ですか?
現在の成長スピードはスマホゲームが速いですが、家庭用ゲームも大型IPを持つ企業は根強く強いです。スマホは課金モデルが強力、家庭用は長寿命IPの強さが魅力で、双方に優良銘柄があります。そのため、1つに絞るより両方のセクターを比較して投資判断するのが最適です。
結論
ゲーム関連有望株を選ぶ際は、まず世界的人気のあるIP(知的財産)を複数持ち、海外売上比率が高い企業に注目することが大切です。こうした企業は景気の変動に左右されにくく、継続的な収益が期待できます。さらに、AIを活用した開発効率の向上や、サブスクリプションモデルの拡大など、業界の長期的な追い風となる要因も押さえておくと良いでしょう。また、ゲーム開発会社だけでなく、サーバー運営・ゲームエンジン・eスポーツ関連など、周辺ビジネスまで広く見ることで、より有望な銘柄を見つけやすくなります。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。