ロールオーバーとは?金利・スワップとの関係を初心者向けに解説
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ロールオーバーとは?金利・スワップとの関係を初心者向けに解説

著者: 高橋健司

公開日: 2026-01-24

ロールオーバーとは、保有しているポジションを当日中に決済せず、翌営業日以降へ自動的に持ち越す仕組みのことです。


主にFX、CFD、先物取引などのレバレッジ取引で使われる用語で、取引を継続するために決済日を先延ばしする役割があります。


FXやCFDでは、ロールオーバーが行われる際に通貨間の金利差に基づくスワップポイントが発生し、利益またはコストとして口座に反映されます。一方、先物取引では、期限(限月)が近づくと次の限月へ乗り換えることをロールオーバーと呼びます。


このようにロールオーバーは、ポジションを長期間保有するために欠かせない仕組みであり、取引コストや損益に影響を与える重要な要素です。


ロールオーバーが発生する仕組み

取引においてロールオーバーが発生する仕組み

ロールオーバーは、取引の決済日と受渡日の仕組みによって発生します。


FXやCFD取引では、実際には通貨や商品を受け渡すことを前提とした取引構造になっており、通常は「取引日の2営業日後」が受渡日とされています。


1.取引の決済日と受渡日の考え方

本来、ポジションを保有したまま受渡日を迎えると、実際の通貨や資産の受け渡しが必要になります。しかし、多くの投資家は実物の受渡しを目的としていないため、受渡日を迎える前に決済日を先延ばしする処理が行われます。これがロールオーバーです。


2.なぜ自動的にロールオーバーされるのか

個人投資家が毎日手動で受渡日を延長するのは現実的ではないため、証券会社やFX業者が自動的にロールオーバー処理を行います。


これにより、投資家は特別な操作をしなくてもポジションを継続して保有でき、長期取引や中期取引が可能になります。


3.ロールオーバーのタイミング(営業日・カットオフ時間)

ロールオーバーは通常、各取引日の終了時点(カットオフ時間)に行われます。


FXでは多くの場合、日本時間の早朝(夏時間・冬時間で異なる)に日付が切り替わり、そのタイミングでロールオーバーとスワップポイントの付与が行われます。


なお、週末や祝日をまたぐ場合は、複数日分のロールオーバーがまとめて反映されることがあり、水曜日にスワップが多くなるのはこの仕組みによるものです。


ロールオーバーとスワップポイントの関係

ロールオーバーとスワップポイントは密接に関係しています。


FX取引では、ポジションを翌営業日へ持ち越すロールオーバーが行われる際に、通貨間の金利差を調整するための金利調整額としてスワップポイントが発生します。


1.ロールオーバー時に金利差が反映される仕組み

FXは「低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買う」取引と考えることができます。そのため、ポジションを保有し続ける場合、両国の政策金利の差を調整する必要があります。


この調整が行われるタイミングがロールオーバーであり、その結果としてスワップポイントが口座に反映されます。


2.スワップポイントが発生・支払われる理由

  • 高金利通貨を買い、低金利通貨を売る場合

    → 金利差を受け取るため、スワップポイントは「受け取り」となります。


  • 低金利通貨を買い、高金利通貨を売る場合

    → 金利差を支払うため、スワップポイントは「支払い」となります。


このように、スワップポイントは利益になる場合もあれば、コストになる場合もあり、長期保有を行う際には無視できない要素となります。


3.水曜日(または特定日)にスワップが多くなる理由

FXでは、通常「取引日の2営業日後」が受渡日となっています。


水曜日のロールオーバーでは、週末(土日)を含む3日分の受渡日調整が一度に行われるため、スワップポイントが通常の約3倍になります。


このため、水曜日(またはブローカーによっては別の曜日)には、スワップの受け取り・支払いが大きくなりやすく、スワップ狙いの投資家にとって重要なタイミングとなります。


銘柄別のロールオーバーの違い

銘柄別のロールオーバーの違い

ロールオーバーは同じ言葉でも、取引商品によって仕組みや意味合いが異なります。ここでは、FX・CFD・先物取引それぞれのロールオーバーの特徴を解説します。


1.FX取引のロールオーバー

FX取引におけるロールオーバーとは、通貨ペアのポジションを翌営業日以降に持ち越すことを指します。


FXは実質的に通貨の受渡しを伴う取引構造のため、受渡日を先延ばしするためにロールオーバーが行われます。


この際、通貨間の金利差が調整され、スワップポイントが発生します。


FXではポジションを決済しない限り、毎営業日ロールオーバーが自動的に行われるため、中長期取引ではスワップの影響を強く受ける点が特徴です。


2.CFD取引のロールオーバー

CFD(差金決済取引)のロールオーバーとは、現物の受渡しがない点がFXと異なります。


株価指数CFDや商品CFDでは、ポジションを翌日へ持ち越す際に、金利調整額や保有コストとしてロールオーバー調整が行われます。


多くの場合、

  • 買いポジション:金利相当額を支払う

  • 売りポジション:金利相当額を受け取る(または支払う)

といった形で、スワップに似た調整金が発生します。


CFDでは商品ごとにロールオーバーの計算方法が異なるため、事前に取引条件を確認することが重要です。


3.先物取引のロールオーバー(限月の乗り換え)

先物取引におけるロールオーバーとは、期限(限月)のある契約を次の限月へ乗り換えることを意味します。


先物には必ず満期日があるため、期日までに決済しない場合は、次の限月の契約へ移行する必要があります。


このとき、

  • 現在の限月を決済

  • 次の限月を新たに建てる

という2つの取引が発生し、価格差によるロールコストが生じることがあります。


この仕組みはFXやCFDのロールオーバーとは異なり、スワップポイントではなく、価格構造(コンタンゴ・バックワーデーション)が影響する点が特徴です。


ロールオーバーのメリット・デメリットと注意点

ロールオーバーは、ポジションを継続して保有できる便利な仕組みである一方、コストやリスクも伴う重要な要素です。ここでは、メリットとデメリットをあわせて理解し、投資判断にどう影響するかを整理します。


ロールオーバーのメリット

① ポジションを長期保有できる

ロールオーバーにより、当日中に決済する必要がなく、数日から数か月にわたってポジションを保有できます。


これにより、短期的な値動きに振り回されず、中長期のトレンドを狙った取引が可能になります。


② スワップ収益を狙える可能性がある

FXでは、ロールオーバー時にスワップポイントが付与されます。


高金利通貨を買い、低金利通貨を売るポジションを保有している場合、日々スワップ収益を積み上げる運用も可能です。


③ 短期売買に縛られない運用が可能

ロールオーバーがあることで、デイトレードだけでなく、スイングトレードや長期投資など、多様な取引スタイルを選択できます。


時間に余裕のない投資家でも、市場に継続して参加できる点は大きな利点です。


ロールオーバーのデメリット・注意点

① マイナススワップによるコスト増加

低金利通貨を買い、高金利通貨を売る場合、ロールオーバーのたびにスワップポイントを支払う必要があります。


長期保有になるほど、このコストが積み重なり、想定以上に損益を圧迫する可能性があります。


② 長期保有による価格変動リスク

ロールオーバーはポジションを維持できる反面、相場が逆方向に動いた場合の損失リスクも継続します。


特にレバレッジ取引では、含み損が拡大しやすく、強制ロスカットのリスクにも注意が必要です。


③ 先物取引におけるロールコストの存在

先物取引では、限月を乗り換える際に価格差(ロールコスト)が発生します。


市場構造によっては、ロールオーバーを繰り返すことで不利な条件での乗り換えが続き、長期保有に向かないケースもあります。


ロールオーバーが投資戦略に与える影響

ロールオーバーは単なる仕組みではなく、取引スタイルや収益構造そのものに影響を与える重要な要素です。特に取引期間の違いによって、ロールオーバーの捉え方は大きく変わります。


1.短期取引と長期取引での考え方の違い

短期取引(デイトレードやスキャルピング)では、基本的にポジションを当日中に決済するため、ロールオーバーやスワップの影響はほとんどありません。


そのため、値動きのタイミングやテクニカル分析が主な判断材料となります。


一方、スイングトレードや長期取引では、ポジションを数日〜数か月保有するため、ロールオーバーが日々発生し、スワップや保有コストが積み重なります。


このため、価格変動だけでなく、保有コストを含めた総合的な損益を意識する必要があります。


2.スワップを意識した通貨ペア選び

FXの中長期取引では、スワップポイントを考慮した通貨ペア選びが重要になります。


高金利通貨と低金利通貨の組み合わせでは、ロールオーバーのたびにスワップ収益を得られる可能性があります。


逆に、マイナススワップが発生しやすい通貨ペアを長期間保有すると、相場が横ばいでもコストだけが積み上がり、損益が悪化することがあります。


そのため、エントリー前に各通貨ペアのスワップ条件を確認し、想定保有期間に見合った選択をすることが重要です。


3.ロールオーバーコストを考慮した損益管理

ロールオーバーに伴うコスト(スワップ、金利調整、ロールコスト)は、最終的な損益に確実に影響します。


特に長期保有では、「価格差による利益 − 累積コスト」で実質的な収益が決まります。


そのため、

  • 想定保有日数

  • 1日あたりのスワップや調整額

  • 最大許容損失

を事前に計算し、損切り注文を含めたリスク管理を行うことが重要です。


ロールオーバーと混同しやすい用語

ロールオーバーは投資用語の中でも、似た意味の言葉と混同されやすい概念です。ここでは、特に誤解されやすい3つの用語について、違いを整理して解説します。


1.繰越(くりこし)

「繰越」とは、未決済のポジションや損益を翌日以降に持ち越すことを指す一般的な日本語表現です。


日常的にはロールオーバーとほぼ同じ意味で使われることもありますが、繰越は結果、ロールオーバーは仕組みという点が大きな違いです。


  • 繰越:ポジションを翌日へ持ち越した「状態」

  • ロールオーバー:受渡日を延長するための「取引上の処理」


そのため、実務的には「ロールオーバーによってポジションが繰り越される」と理解すると、両者の関係が明確になります。


2.スワップポイント

スワップポイントは、ロールオーバー時に発生する金利差調整分のことです。


ロールオーバーと混同されがちですが、両者は同義ではありません。


  • ロールオーバー:ポジションを翌営業日へ持ち越す仕組み

  • スワップポイント:その際に発生する「金利差による損益」


つまり、スワップポイントはロールオーバーの結果として発生するものであり、ロールオーバーそのものではありません。


FXの中長期取引では、ロールオーバーとスワップをセットで理解することが重要です。


3.限月交代(先物取引)

限月交代とは、先物取引において満期を迎える契約を、次の限月の契約へ乗り換えることを指します。


この操作をロールオーバーと呼ぶこともありますが、FXやCFDのロールオーバーとは性質が異なります。


先物取引では、

  • 契約には必ず満期日がある

  • 満期前に決済、または次の限月へ乗り換える必要がある

という特徴があり、乗り換え時には価格差によるロールコストが発生します。


スワップポイントではなく、市場構造(コンタンゴ・バックワーデーション)が損益に影響する点が大きな違いです。


初心者向け|ロールオーバーを理解するポイント

初心者向け|ロールオーバーを理解するポイント

ロールオーバーは自動的に行われるため見落とされがちですが、取引結果に確実に影響する重要な要素です。特に初心者の方は、以下のポイントを押さえておくことで、想定外の損失を防ぐことができます。


1.必ず取引条件(スワップ・金利)を確認する

ロールオーバー時に発生するスワップポイントや金利調整額は、通貨ペアや商品ごとに異なり、ブローカーによっても条件が変わります。


同じ通貨ペアでも、業者によって受け取り・支払い額が大きく異なることは珍しくありません。


そのため、取引を始める前に

  • 買いスワップ・売りスワップの金額

  • プラスかマイナスか

  • 日々変動する可能性があること

を必ず確認する習慣をつけることが重要です。


2.長期保有時はコストを事前に試算する

ロールオーバーによるコストは、1日単位では小さく見えても、長期保有では大きな差になります。


例えば、1日あたり数百円のマイナススワップでも、1か月・数か月と積み重なると無視できない金額になります。


初心者のうちは、

  • 想定保有日数 × 1日あたりのスワップ

  • 価格変動がなくても発生する固定コスト

を事前に計算し、「どの程度まで耐えられるか」を把握したうえでポジションを持つことが大切です。


3.ブローカーごとのルールの違いに注意する

ロールオーバーの時間帯・計算方法・反映ルールは、ブローカーごとに異なります。


例えば、

  • ロールオーバーのカットオフ時間

  • スワップが3日分付与される曜日

  • 祝日・年末年始の扱い

などは、取引環境によって違いがあります。


特にFXやCFDを始めたばかりの方は、取引ルールを理解しないまま長期保有すると、想定外のコストが発生するリスクがあります。


事前に公式サイトの取引条件や説明資料を確認しておくことが、安全な取引につながります。


よくある質問(FAQ)

Q1.ロールオーバーはいつ発生する?

ロールオーバーは通常、各取引日の終了時(カットオフ時間)に発生します。


FXの場合、多くのブローカーでは日本時間の早朝(夏時間・冬時間で異なる)に日付が切り替わり、そのタイミングでロールオーバー処理とスワップポイントの付与が行われます。


具体的な時間は取引会社によって異なるため、正確なロールオーバー時刻は各ブローカーの取引ルールを確認することが重要です。


Q2.ロールオーバーを避ける方法はある?

はい、あります。


ロールオーバーを避ける最も確実な方法は、当日中にポジションを決済することです。


  • デイトレードやスキャルピング

  • カットオフ時間前の決済

といった取引スタイルであれば、ロールオーバーは発生せず、スワップポイントも付きません。


ただし、中長期取引ではロールオーバーを完全に避けることは難しいため、コストを前提にした戦略設計が必要になります。


Q3.ロールオーバー手数料は必ずかかる?

ロールオーバー自体に「手数料」が直接かかるわけではありません。


しかし、ロールオーバー時には以下のような実質的なコストや調整額が発生することがあります。


  • FX:スワップポイント(受け取り or 支払い)

  • CFD:金利調整額や保有コスト

  • 先物:限月乗り換え時の価格差(ロールコスト)


そのため、「手数料」という名目ではなくても、損益に影響するコストが発生する可能性がある点には注意が必要です。


Q4.土日・祝日のロールオーバーはどうなる?

FXやCFD市場は基本的に土日は休場ですが、ロールオーバー自体は平日にまとめて調整されます。


特にFXでは、

  • 水曜日のロールオーバーで

  • 土日分を含めた3日分のスワップ

がまとめて付与・徴収されるのが一般的です。


また、海外の祝日や年末年始など、市場休場日が絡む場合は、通常とは異なる日数分のスワップが一度に反映されることもあります。


このため、連休前後はスワップ条件や取引ルールを事前に確認しておくことが重要です。


結論

ロールオーバーとは、保有しているポジションを翌営業日以降に自動的に持ち越す仕組みで、FX・CFD・先物取引などで広く使われています。ロールオーバーが行われることで、取引を継続できる一方、スワップポイントや金利調整、ロールコストといった損益に影響する要素が発生します。


そのため、投資判断では価格の動きだけでなく、ロールオーバーによるコストや収益も含めて総合的に判断することが重要です。仕組みを正しく理解し、自分の取引スタイルに合った活用をすることで、無駄なコストを抑え、安定した運用につなげることができます。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。