公開日: 2026-01-24
日本株投資では、TOPIXと日経平均が代表的な株価指数として広く利用されています。どちらも日本株全体の動きを把握する指標ですが、算出方法や値動きの特徴が異なるため、同じ日本株でも見え方に差があります。
そのため投資家の間では、「どちらか一方に投資すれば十分ではないか」という疑問が生まれやすい一方で、指数ごとの偏りを意識し、「両方を組み合わせたほうがバランスが取れるのではないか」と考える人も増えています。
特に、個別株リスクを抑えつつ日本株全体に投資したい長期投資家や積立投資を行う層を中心に、TOPIXと日経平均の両方を買う戦略が現実的な選択肢として注目されるようになっています。

TOPIXと日経平均の違いを簡単に整理
TOPIXは、東証プライム市場に上場する銘柄を幅広く対象とした指数で、時価総額加重型のため、企業規模の大きい銘柄ほど影響力が大きくなります。そのため、日本株市場全体の動きを比較的素直に反映しやすく、安定した値動きになりやすい特徴があります。
一方、日経平均は代表的な225銘柄で構成され、株価平均型という算出方法を採用しています。株価の高い銘柄の影響を受けやすく、半導体やハイテク株など特定セクターが上昇すると、指数全体も大きく動きやすい傾向があります。
このように、TOPIXは「市場全体型」、日経平均は「代表銘柄・成長株寄り」という違いがあり、値動きのクセやリスク特性も異なります。この違いを理解することが、両方を買う戦略を考えるうえでの出発点となります。

両方を買うメリット
TOPIXと日経平均を両方買う最大のメリットは、指数特性の違いを活かした分散効果にあります。TOPIXは時価総額加重型のため、日本株市場全体の動きを反映しやすく、値動きは比較的安定しやすい傾向があります。一方、日経平均は株価平均型で、株価の高い銘柄や成長株の影響を受けやすく、上昇局面ではパフォーマンスが突出しやすい特徴があります。両者を組み合わせることで、値動きの偏りを抑えやすくなります。
また、大型株・成長株に強い日経平均と、幅広い業種・企業規模を含むTOPIXを同時に保有することで、日本株市場をより立体的にカバーできます。特定の有名企業や輸出関連株だけに依存せず、内需株や中堅企業の動きも取り込める点は大きな利点です。
さらに、日経平均は半導体やハイテク関連など特定セクターの影響を受けやすい一方、TOPIXは業種分散が進んでいるため、特定セクターへの偏重リスクを軽減する効果が期待できます。ある分野が不調でも、別の分野が下支えする構造を作りやすくなります。
このような特性から、TOPIXと日経平均を併せて保有する戦略は、短期的な値動きに振り回されにくく、中長期投資における安定性を高めたい投資家にとって、現実的でバランスの取れた選択肢といえます。
両方を買うデメリット・注意点
TOPIXと日経平均を両方買う戦略にはメリットがある一方で、過度な期待は禁物です。まず理解しておきたいのは、どちらも「日本株指数」であるため、相場環境によっては値動きが非常に似通うという点です。日本株全体が下落局面に入れば、両指数とも同時に下がることが多く、米国株や債券など異なる資産クラスと比べると、分散効果は限定的になりがちです。
次に、投資効率の問題があります。日経平均が大きく上昇する局面では、TOPIXの値動きが相対的に緩やかになり、結果として「日経平均だけを保有していたほうがリターンは高かった」というケースも起こり得ます。逆に、安定性を重視するあまり、リターンを平均化してしまう点はデメリットといえます。
また、ETFや投資信託を複数保有することで、管理の手間も増えます。保有比率の調整、積立額の配分、リバランスの判断など、1本の指数商品に投資する場合よりも、考えることが多くなります。特に初心者の場合、シンプルさを失うことが心理的な負担になる可能性があります。
さらに見落としがちなのが、コストの重複です。TOPIX連動型と日経平均連動型を両方保有すると、それぞれに信託報酬がかかります。個々のコストは低くても、長期保有では積み重なり、パフォーマンスに影響を与える点には注意が必要です。
このように、TOPIXと日経平均の両方を買う戦略は万能ではなく、「分散=必ずリスクが大きく下がる」わけではないことを理解したうえで、自身の投資目的や運用期間に合っているかを見極めることが重要です。
どんな投資家に向いている戦略か
TOPIXと日経平均の両方を買う戦略は、日本株を資産運用の中心(コア資産)として位置づけたい投資家に特に向いています。個別企業の業績やニュースに一喜一憂するのではなく、日本経済全体の成長を取り込むことを目的とする人にとって、指数を組み合わせる考え方は合理的です。
また、指数ごとの偏りを避けたい初心者〜中級者にも適した戦略といえます。日経平均は特定銘柄やセクターの影響を受けやすく、TOPIXは市場全体に近い動きをしますが、どちらか一方だけでは指数特有のクセが出やすくなります。両方を持つことで、日本株投資における偏りを意識しながら、比較的安定した運用を目指しやすくなります。
さらに、個別株リスクを抑えたい投資スタイルの人にも向いています。個別株投資では、業績悪化や不祥事によって株価が大きく下落するリスクがありますが、指数投資ではその影響が分散されます。TOPIXと日経平均を組み合わせることで、銘柄数・業種の両面で分散が進み、リスク管理を重視する投資家にとって安心感のある構成になります。
加えて、短期売買よりも積立投資や長期運用を重視する人にも相性が良い戦略です。短期的な値動きを狙う場合は指数の違いがパフォーマンス差につながりやすいですが、長期目線では平均化の効果が働きやすく、時間を味方につけた運用が可能になります。定期的に積み立てながら、無理なく日本株比率を高めていきたい人にとって、実践しやすい方法といえるでしょう。
このように、TOPIXと日経平均を両方買う戦略は、安定性・分散・長期視点を重視する投資家に向いた、日本株投資の王道的な選択肢です。
TOPIXと日経平均を両方買う具体的な方法
TOPIXと日経平均を両方買う方法として、最も一般的なのはETFまたは投資信託を活用するやり方です。いずれも少額から分散投資ができ、個別株を選ぶ手間を省けるため、日本株投資のベースとして使いやすい手段です。
① ETFを使う方法
ETFを利用する場合は、
TOPIX連動型ETF
日経平均連動型ETF
この2本を組み合わせて保有します。ETFは株式と同じように市場で売買できるため、タイミングを見て購入したい人や、将来的にリバランス(比率調整)を行いたい人に向いています。値動きがリアルタイムで確認できる点も特徴です。
② 投資信託での組み合わせ
投資信託を使う場合は、TOPIX型と日経平均型の投資信託をそれぞれ購入します。特につみたて投資との相性が良く、毎月一定額を自動で配分できるため、価格変動を気にせず長期運用を続けやすい点がメリットです。ETFよりも手間をかけたくない人に適しています。
③ 積立投資での比率調整
両方を買う際は、あらかじめ比率を決めて積み立てる方法が有効です。例えば、毎月の投資額をあらかじめTOPIXと日経平均に分けて設定すれば、自然とバランスの取れた運用になります。相場の上下にかかわらず一定額を投資することで、購入価格が平準化されやすくなります。
④ 比率例(50:50/70:30など)の考え方
比率の決め方に正解はありませんが、考え方の目安はあります。
50:50:成長性と安定性をバランスよく重視したい人
TOPIX 70:日経平均 30:安定性・市場全体を重視したい人
TOPIX 30:日経平均 70:値上がり益・成長性を重視したい人
自身のリスク許容度や運用目的(安定重視かリターン重視か)に応じて調整することが重要です。運用を続ける中で、相場環境や考え方が変われば、比率を見直す柔軟さも持つとよいでしょう。
このように、TOPIXと日経平均を両方買う方法はシンプルで再現性が高く、長期的に日本株へ分散投資したい人にとって実践しやすい戦略といえます。
どちらか一方で十分なケースとの比較
TOPIXと日経平均を両方買う戦略はバランス型ですが、投資目的や運用スタイルによっては、どちらか一方で十分なケースも少なくありません。重要なのは「どちらが優れているか」ではなく、「自分の目的に合っているか」です。
1.日経平均のみが向くケース
日経平均のみが向いているのは、値上がり益(キャピタルゲイン)を重視したい投資家です。日経平均は株価平均型のため、株価の高い銘柄や成長性の高い企業の影響を受けやすく、相場が上昇局面に入るとTOPIXを上回るパフォーマンスを示すことがあります。
特に、
半導体・ハイテク株の成長を重視したい
日本株でも「指数の上振れ」を狙いたい
短中期でのパフォーマンスを意識する
といった投資スタイルでは、シンプルに日経平均へ集中投資する方が、戦略として分かりやすい場合があります。
2.TOPIXのみが向くケース
一方、TOPIXのみが向いているのは、安定性と市場全体への連動性を重視する投資家です。時価総額加重型であるTOPIXは、特定銘柄の影響を受けにくく、日本株市場全体の平均的な動きを捉えやすい特徴があります。
特に、
日本経済全体の成長を幅広く取り込みたい
積立投資・長期保有を前提としている
値動きのブレをなるべく抑えたい
といった場合は、TOPIX一本でも十分に合理的な選択といえます。年金運用やコア資産としての位置づけにも向いています。
3.投資目的別(成長重視/安定重視)の選び方
投資目的ごとに整理すると、選び方は明確になります。
成長重視
→ 日経平均を中心、または日経平均のみ
高成長セクターや代表銘柄の上昇を積極的に取り込みたい場合に適しています。
安定重視
→ TOPIXを中心、またはTOPIXのみ
日本株全体への分散を重視し、長期で着実に運用したい人向けです。
成長と安定のバランス
→ TOPIXと日経平均の両方
どちらかに偏りすぎず、日本株投資の「中庸」を取りたい場合に適しています。
このように、TOPIXと日経平均は優劣ではなく役割の違いで選ぶべき指数です。自身の投資目的・リスク許容度・運用期間を明確にすることで、「両方を買うか」「どちらか一方に絞るか」の判断がしやすくなります。
よくある質問(FAQ)|TOPIXと日経平均の両方を買う
Q1. TOPIXと日経平均は両方買う意味は本当にありますか?
あります。TOPIXは日本株市場全体に近い動きをし、日経平均は代表的な成長株や株価の高い銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。両方を買うことで、指数ごとの偏りを抑えつつ、日本株の安定性と成長性を同時に取り込める点に意味があります。
Q2. 値動きが似ているのに分散効果はあるのでしょうか?
完全な分散とはいえませんが、限定的な分散効果は期待できます。算出方法や構成銘柄が異なるため、上昇局面・下落局面でパフォーマンスに差が出ることがあります。ただし、米国株や債券など異なる資産クラスほどの分散効果はない点には注意が必要です。
Q3. 初心者でもTOPIXと日経平均を両方買って大丈夫ですか?
はい、問題ありません。むしろ個別株よりもリスクが分散されているため、初心者にとって分かりやすく実践しやすい戦略です。ETFや投資信託を使えば、少額からでも始められ、積立投資にも向いています。
Q4. TOPIXと日経平均のおすすめの比率はありますか?
明確な正解はありませんが、50:50はバランス型として一般的です。
安定性重視 → TOPIX多め
成長性重視 → 日経平均多め
と考え、自身のリスク許容度や運用目的に応じて調整するのが基本です。
Q5. 積立投資と一括投資、どちらが向いていますか?
長期運用を前提とする場合は、積立投資が向いています。価格変動の影響を平均化でき、相場を読む必要もありません。一方、相場水準を意識して投資したい場合や資金に余裕がある場合は、一括投資を選ぶ人もいます。
Q6. ETFと投資信託はどちらを選ぶべきですか?
ETF:売買タイミングを自分で調整したい人、コスト重視の人
投資信託:自動積立をしたい人、手間をかけたくない人
それぞれの特徴を理解し、自分の運用スタイルに合う方を選ぶのが重要です。
Q7. TOPIXと日経平均を両方持つとリターンは下がりますか?
相場環境によっては、どちらか一方の指数に集中したほうがリターンが高くなることもあります。ただし、両方を持つことでリターンのブレを抑え、長期的に安定した運用を目指すという考え方になります。
Q8. 日本株以外の資産とも組み合わせたほうがいいですか?
はい。TOPIXと日経平均はどちらも日本株のため、資産全体の分散を考えるなら、米国株や債券、金などと組み合わせることが効果的です。日本株部分のコアとして、TOPIXと日経平均を活用する位置づけが理想的です。
まとめ:TOPIXと日経平均の両方を買うのは「アリ」か?
TOPIXと日経平均の両方を買う戦略は、日本株投資において十分「アリ」な選択肢です。算出方法や値動きの特徴が異なる2つの指数を組み合わせることで、特定銘柄やセクターへの偏りを抑えつつ、日本株全体と成長株の動きを同時に取り込むことができます。
ただし、最適解は投資目的によって異なります。リターン重視でシンプルに運用したい場合はどちらか一方に絞る選択も合理的ですし、安定性と分散を重視する場合には両方を組み合わせる戦略が適しています。
結論として、TOPIXと日経平均の両方を買う方法は、長期視点で日本株に分散投資したい投資家にとって、バランスの取れた現実的な運用戦略といえるでしょう。
免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。