IOC注文とは|一瞬で約定する注文方法を初心者向けに解説
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IOC注文とは|一瞬で約定する注文方法を初心者向けに解説

著者: 高橋健司

公開日: 2026-01-17

IOC注文とは、Immediate Or Cancel(イミディエイト・オア・キャンセル)の略で、注文を出した瞬間に約定できる数量だけを即座に約定させ、残りの未約定分は自動的に取り消される注文方法です。


そのため、「一部だけ約定する可能性がある注文」という点が大きな特徴です。


IOC注文は、価格変動が激しい場面や、約定スピードを重視したい短期取引において特に注目されています。通常の指値注文のように板に残らないため、想定外の価格で長時間待たされるリスクを避けたい投資家にとって有効な注文方法といえます。


IOC注文の基本的な仕組み

IOC注文とは

IOC注文とは、注文を出した瞬間に市場で成立可能な数量のみを約定させ、それ以外の未約定分は即座に取り消される仕組みです。通常の指値注文のように板に残り続けることはありません。


1.注文が出されてからの流れ

まず、投資家がIOC注文を出すと、その注文は即座に市場へ送られます。


その時点で提示されている価格・数量の範囲内で約定できる分だけが成立し、残った数量は自動的にキャンセルされます。待ち時間はほぼなく、結果がすぐに確定するのが特徴です。


2.「一部約定」と「未約定取消」の考え方

IOC注文では、注文数量のすべてが約定するとは限りません。


例えば、100株のIOC注文を出して市場に60株分の売りしかなければ、60株だけが約定し、残りの40株は取り消されます。このように、一部約定を前提とした注文方法である点が重要です。


3.成行・指値でのIOC注文の違い

IOC注文は、成行注文・指値注文のどちらでも設定できます。


成行IOCは価格を指定せず、即座に成立する分だけを約定させたい場合に使われます。一方、指値IOCは「この価格までなら約定してもよい」と条件を付けつつ、未約定分を残したくない場合に有効です。


取引のスピードを優先するか、価格を重視するかによって使い分けられます。


IOC注文の特徴

1.即時性が高い

IOC注文の最大の特徴は、注文を出した瞬間に約定可否が確定する点です。通常の指値注文のように板に残って待つことがなく、成立するか、取消されるかがすぐに分かります。そのため、相場が急変している場面や、素早い判断が求められる短期取引に向いています。


2.市場の流動性に依存する

IOC注文とは、その時点で市場に存在する注文量に基づいて約定するため、流動性の高低に大きく左右されます。出来高が多く板が厚い銘柄や通貨ペアでは約定しやすい一方、取引が少ない銘柄では一部約定、またはまったく約定しないことも珍しくありません。


3.約定しないリスクがある

IOC注文は「必ず約定する」注文ではありません。指定した価格や市場状況によっては、注文数量のすべて、あるいは一部が約定せず、そのまま取り消される可能性があります。そのため、ポジションを必ず持ちたい場面よりも、条件に合えば取引したい場面で使うのが適しています。


他の注文方法との違い

1.成行注文との違い

成行注文は、価格を指定せず「とにかく今すぐ約定させる」ことを最優先する注文方法です。市場にある最良価格で、可能な限りすべての数量が約定します。そのため、相場が荒れている局面では、想定より不利な価格で約定する可能性があります。


一方、IOC注文は即時性を重視しつつも、約定できなかった数量は板に残らず取り消されます。


つまり、成行注文は数量重視、IOC注文は条件重視という違いがあります。


2.指値注文との違い

指値注文は、指定した価格に到達するまで板に残り続け、条件が合えば約定します。そのため、有利な価格での取引を狙える一方、いつまでも約定しないリスクがあります。


IOC注文の指値は、同じく価格を指定しますが、その価格で即時に約定できる分だけを成立させ、残りはすぐに取り消されます。


そのため、価格を指定しながらも待ちたくない場合に適しているのがIOC注文です。


2.FOK注文との違い(全約定 or 全取消)

FOK注文(Fill Or Kill)は、「注文数量のすべてが一度に約定しなければ、全数量を取り消す」注文方法です。一部約定は一切認められません。


これに対してIOC注文は、一部約定が認められており、約定できた分だけ取引が成立します。


つまり、FOK注文は完全約定を重視、IOC注文は即時成立を重視している点が最大の違いです。


IOC注文のメリットと注意点

IOC注文とは、使い方を理解すれば非常に便利な注文方法ですが、万能ではありません。ここでは、メリットと注意点をあわせて整理します。


1.IOC注文のメリット

まず最大のメリットは、約定スピードが非常に速い点です。注文を出した瞬間に約定の可否が確定するため、相場を見ながら即座に判断したい場面に向いています。特にデイトレードやスキャルピングのように、数秒〜数分の判断が重要な取引では大きな強みとなります。


また、IOC注文は未約定分が板に残らないため、想定外に不利な価格で約定するリスクを抑えやすいのも特徴です。通常の成行注文では、相場が急変するとスリッページが発生しやすくなりますが、IOC注文なら「その瞬間に条件が合えば取引し、合わなければ見送る」という判断が可能です。


さらに、経済指標の発表直後や急騰・急落時など、相場が急変動している局面でも使いやすい点もメリットです。待つことなく結果が出るため、ポジション管理がシンプルになります。


2.IOC注文のデメリット・注意点

一方で、IOC注文は市場の流動性に大きく依存します。出来高が少ない銘柄や、板が薄い時間帯では、ほとんど約定しない、あるいは一部しか約定しないケースもあります。そのため、流動性の低い銘柄では使いづらい点に注意が必要です。


また、IOC注文は一部約定が発生する可能性があるため、想定より少ない数量だけポジションを持ってしまうことがあります。これにより、損切りや利確の計画がずれてしまう場合もあるため、約定後のポジション管理を前提に使う必要があります。


さらに、FX取引などでは、相場急変時にスプレッドが一時的に拡大することがあります。その状態でIOC注文を出すと、意図せず不利な価格で約定する可能性もあるため、スプレッド状況の確認は欠かせません。


IOC注文が向いている取引シーン

1.デイトレード・スキャルピング

IOC注文とは、短時間で売買を完結させたい取引スタイルと非常に相性が良い注文方法です。デイトレードやスキャルピングでは、わずかな価格変動を狙うため、注文を出してから約定までのスピードが重要になります。


通常の指値注文では、板に残っている間に相場環境が変わり、狙いが崩れてしまうことがあります。その点、IOC注文であれば「今の価格で約定できる分だけ取引し、無理なら見送る」という判断ができるため、取引の無駄打ちを減らしやすいのが特徴です。


2.経済指標発表直後

雇用統計や政策金利発表など、重要な経済指標の直後は、価格が急激に動きやすく、注文が一気に集中します。このような場面では、通常の成行注文だと、想定外に不利な価格で約定するリスクが高まります。


IOC注文を使えば、その瞬間に市場で成立可能な価格・数量だけを約定させ、条件に合わない分は自動的に取り消されます。これにより、極端なスリッページを避けつつ、チャンスがあれば参加するといった柔軟な取引が可能になります。


3.板が厚い銘柄・通貨ペアでの取引

IOC注文は、市場に十分な注文量があるほど機能しやすいため、流動性が高く、板が厚い銘柄や通貨ペアで特に有効です。


株式であれば大型株、FXであれば主要通貨ペアのように、常に多くの注文が出ている市場では、狙った価格での約定が期待しやすくなります。


反対に、出来高が少ない銘柄では一部約定や未約定になりやすいため、IOC注文のメリットが活かしにくくなります。


そのため、「流動性の高さ」を前提に使う注文方法であることを理解しておくことが重要です。


株式・FXでの具体的な使用例

1.株式市場でのIOC注文例

例えば、ある大型株が1.000円付近で活発に取引されている場面を想定します。


投資家が「1.000円以下ならすぐに買いたいが、待つつもりはない」と考えた場合、指値IOC注文が有効です。

  • 買い:1.000円

  • 数量:1.000株

  • 注文方法:指値IOC注文


この注文を出した瞬間、板に

  • 1.000円で600株

  • 999円で300株

の売り注文があれば、合計900株が即時に約定し、残りの100株は自動的に取り消されます。このように、条件に合う分だけ素早く約定し、残りは持ち越さないのが株式でのIOC注文の典型的な使い方です。


2.FX取引でのIOC注文例

FXでは、指標発表直後や短期トレードでIOC注文がよく使われます。


例えば、米ドル/円が150.00円前後で急激に動いている局面を考えます。

  • 買い:150.05円

  • 数量:1ロット

  • 注文方法:成行IOC注文

この場合、注文を出した瞬間に市場で成立可能な数量だけが即座に約定します。


相場が急変していて価格が飛んでいる場合でも、その瞬間に成立しない分は自動的にキャンセルされるため、想定外の価格でポジションを持つリスクを抑えられます。


FXでは特に、スプレッド拡大時のリスク管理としてIOC注文が活用されるケースが多いのが特徴です。


IOC注文を使う際のポイント

1.流動性の確認

IOC注文を使ううえで最も重要なのが、市場の流動性を事前に確認することです。


出来高が多く、板が厚い銘柄や通貨ペアほど、IOC注文は本来の力を発揮します。


株式であれば、売買代金が大きい大型株や指数採用銘柄、FXであれば米ドル/円やユーロ/米ドルなどの主要通貨ペアが代表例です。


一方、出来高が少ない銘柄では一部約定や未約定が頻発し、思ったような取引にならないことがあります。


「今この瞬間に、相手注文が十分に存在しているか」という視点で、板やスプレッドを確認することが重要です。


2.指値幅の設定方法

IOC注文で指値を使う場合、指値幅の設定が約定率を大きく左右します。


指値が厳しすぎるとまったく約定せず、逆に緩すぎると意図しない価格で約定してしまう可能性があります。


実務では、

  • 板の最良気配(最良買い・最良売り)

  • 直近の約定価格

  • 短期的な値動きの幅

を基準に、「許容できる最小限のズレ」を指値に反映させるのが現実的です。


「この価格までなら即約定してもよい」というラインを明確にし、感覚的ではなく事前にルール化しておくことで、安定した運用につながります。


3.他の注文方法との併用戦略

IOC注文は単独で使うよりも、他の注文方法と組み合わせることで真価を発揮します。


例えば、

  • エントリーはIOC注文で素早く行う

  • 利確や損切りは通常の指値注文や損切り注文で管理する

といった使い分けが代表的です。


また、

  • 「一部でも約定すればよい」場合はIOC注文

  • 「全数量がそろわなければ意味がない」場合はFOK注文

というように、取引の目的に応じて注文方法を切り替えることも重要なポイントです。


IOC注文とは、あくまで「スピードと柔軟性」を重視した注文方法です。


他の注文と役割分担を意識することで、より無理のない取引が可能になります。


よくある質問(FAQ)

Q1.IOC注文は初心者でも使える?

IOC注文は仕組み自体はシンプルなため、初心者でも理解して使うことは可能です。ただし、「必ず約定する注文ではない」「一部約定が起こり得る」という特徴を理解せずに使うと、戸惑う原因になります。


そのため、最初は

  • 流動性の高い銘柄・通貨ペア

  • 少量の取引

  • 明確な目的(今の価格で合えば取引したい)

といった条件で試すのがおすすめです。「成行と指値の中間的な注文方法」として理解すると、扱いやすくなります。


Q2.IOC注文は必ず約定する?

いいえ、IOC注文は必ず約定するわけではありません。


注文を出した瞬間に、指定した条件で約定できる相手注文が存在しなければ、全数量が未約定のまま取り消されることもあります。


これは欠点ではなく、「条件が悪ければ取引しない」という判断を自動で行ってくれる点が、IOC注文の特徴です。


そのため、

  • 「必ずポジションを持ちたい」場合 → 成行注文

  • 「条件が合えば参加したい」場合 → IOC注文

というように、目的に応じて使い分けることが重要です。


Q3.一部約定後の管理はどうする?

IOC注文では、一部だけ約定するケースが珍しくありません。そのため、約定後のポジション管理をあらかじめ想定しておくことが重要です。


具体的には、

  • 一部約定でも問題ない数量設計にする

  • 約定後すぐに損切り注文・利確注文を出す

  • 全数量が必要な取引ではFOK注文を使う

といった対応が考えられます。


特に短期取引では、約定数量を確認せずに次の行動を取ると、リスク管理が崩れる原因になります。


IOC注文を使う場合は、「約定結果を確認してから次の判断を行う」ことを習慣化するのが安全です。


結論

IOC注文とは、注文を出した瞬間に約定できる分だけを成立させ、残りは自動的に取り消す注文方法です。即時性が高く、相場が急変する場面でも無理な取引を避けやすいのが特徴です。


この注文方法は、デイトレードや短期取引を行う投資家、また「条件が合えばすぐに取引したいが、待つつもりはない」という考え方の投資家に向いています。一方で、必ず全数量を取引したい場合には不向きです。


安全に使うためには、流動性の高い銘柄で使うことと、一部約定が起こる前提で取引計画を立てることが重要です。目的に応じて他の注文方法と使い分けることで、IOC注文をより効果的に活用できます。


免責事項:この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。