2025-09-28
IFD注文とは、「新規注文」と「決済注文」をあらかじめ同時に出せる便利な注文方法です。通常の取引では、新規で買いや売りの注文を出したあとに、別途決済の注文を出す必要がありますが、IFD注文なら最初からセットで指示できるため、自動的に取引を完結させられます。
この仕組みはFXや株式取引で広く利用されており、特に仕事や学業で相場を常にチェックできない人にとって大きなメリットとなります。事前に売買の条件を設定しておけば、チャートを見ていない時間でも自動で注文が実行されるため、チャンスを逃さず効率的な取引が可能です。
IFD注文とは
IFD注文は 「If Done(イフ・ダン)」の略 で、日本語にすると「もし成立したら実行する」という意味を持ちます。これは、新規注文が約定したときにだけ、その後に続く決済注文が自動的に有効になる仕組みです。
通常の取引では、まず新規注文を出し、それが成立したのを確認してから別途決済注文を入れる必要があります。しかし、IFD注文を利用すれば、最初から「新規注文」と「決済注文」をセットで出せるため、取引の流れを自動化できます。
例えば、ドル円を「145円で買う」という新規注文を設定し、その後「147円で売る」という決済注文を同時に登録しておくとします。この場合、ドル円が145円まで下がって買い注文が成立すると、自動的に147円の売り注文が発動し、利益確定の仕組みを作れるのです。
他の注文方法との違いも理解しておくと便利です。
成行注文:現在の価格で即時に取引を成立させる注文
指値注文:あらかじめ指定した価格に到達したときに取引が成立する注文
OCO注文:2つの決済注文を同時に出し、どちらかが成立するともう一方が自動的にキャンセルされる注文
IFO注文:IFD注文にOCO注文を組み合わせたもの。新規注文が成立すると、利益確定と損切りの両方の決済注文が有効になる
このように、IFD注文は「新規 → 決済」の流れを自動化することで、取引効率を高めつつ、戦略を事前に決めておけるのが大きな特徴です。
IFD注文の仕組み
IFD注文の基本的な流れはとてもシンプルで、以下のようになります。
新規注文を設定する
まず最初に「買い」または「売り」の新規注文を指定します。たとえば、「ドル円を145円で買う」といった形です。
新規注文が約定する
相場が指定した価格に到達し、新規注文が成立した場合のみ、次のステップに進みます。新規注文が約定しない限り、その後の決済注文は発動しません。
決済注文が有効になる
新規注文が約定すると、あらかじめ設定しておいた決済注文が自動的に有効になります。
例えば「147円で売る」と指定しておけば、買い注文が成立した瞬間に、その決済注文がシステム上で待機状態に入ります。
この流れを以下のように整理できます:
新規注文(例:145円で買い)
↓ (約定したら)
決済注文(例:147円で売り)
具体例として、ドル円を145円で買い、新規注文が成立したら、その後に147円で売る決済注文を出す場合を考えてみましょう。もしドル円が145円に到達せず約定しなかった場合は、147円の売り注文も出ないままとなります。逆に、新規注文が145円で約定すれば、自動的に147円の売り注文が有効になり、相場がそこまで上昇すれば自動的に利益確定が行われます。
この仕組みによって、取引の「エントリー」と「エグジット」を同時に決めておけるため、効率的かつ計画的なトレードが可能になります。
IFD注文のメリットとデメリット
IFD注文には、多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは両方をまとめて整理し、実際の取引にどう活かすべきかを詳しく見ていきましょう。
IFD注文のメリット
取引の自動化で手間を省ける
新規注文と決済注文を同時に設定できるため、一度注文を出してしまえば自動的に取引が進行します。トレーダーが画面を見ていなくても、条件さえ合えばシステムが勝手に取引を完了してくれるのです。
相場を常に監視する必要がない
特に仕事や学業で忙しい人にとって、ずっとチャートを監視するのは現実的ではありません。IFD注文を利用すれば、あらかじめ戦略を立てておくことで、取引チャンスを逃さずに済みます。
エントリーと同時にエグジット戦略を決められる
取引に入る前から「どの価格で利益を確定させるか」を決めておけるため、計画的なトレードが可能です。結果として無駄なポジション保有を避けられ、効率的な資金運用につながります。
感情的な判断を防ぐ
相場が予想以上に動くと、冷静さを失い「もっと利益を伸ばしたい」「損切りしたくない」といった感情的な判断に流されがちです。IFD注文なら、あらかじめ設定した条件で自動的に決済されるため、心理的なブレを最小限に抑えられます。
IFD注文のデメリット・注意点
新規注文が約定しないと決済注文は発動しない
IFD注文は新規注文が成立して初めて決済注文が有効になります。そのため、思惑通りの価格まで相場が動かず新規注文が約定しなければ、決済注文も存在しないままになります。
相場の急変動時には想定外の動きをする可能性
突発的なニュースや指標発表などで相場が大きく動いた場合、設定した価格を大きく飛び越えて約定してしまう「スリッページ」が発生することがあります。この場合、予定していたリスク管理が崩れる恐れがあります。
指値設定を誤るとチャンスを逃す
IFD注文は「新規 → 決済」を機械的に実行する仕組みです。そのため、新規注文の価格や決済価格を適切に設定できなければ、本来得られたはずのチャンスを逃すこともあります。特に初心者は相場のボラティリティを考慮せずに指値を置いてしまいがちなので注意が必要です。
IFD注文の活用シーン
IFD注文は「新規注文」と「決済注文」をあらかじめセットで出せる便利な仕組みなので、特定の状況やトレードスタイルにおいて非常に有効です。ここでは代表的な活用シーンを具体例とともに紹介します。
①トレンド転換点を狙う取引
相場が長期間一方向に動いたあと、サポートラインやレジスタンスラインに到達すると、反発や転換が起こる可能性があります。
たとえば、ドル円が長く下落し「ここで反発して上昇に転じるだろう」と予想する場合、IFD注文で「新規の買い注文」と「決済の売り注文」をセットしておけば、転換点を効率よく狙えます。チャートを見続けなくても、自動で反発局面に乗ることができるのが強みです。
②事前に売買戦略を立てたい長期トレーダー
中長期のポジションを狙うトレーダーにとって、あらかじめ計画を立てておくことは非常に重要です。IFD注文なら、新規のエントリーポイントと出口(利益確定の水準)を同時に決められるため、計画的に取引を進められます。
特に、相場のボラティリティを利用して「押し目買い」「戻り売り」を仕掛けたいときには、あらかじめ価格を設定しておくことで無駄なくエントリーできます。
③仕事や学業で取引画面を頻繁に見られない人
平日昼間は会社や学校にいるため、リアルタイムでチャートを見られない人にとって、IFD注文は非常に心強い存在です。
たとえば「夜のうちにエントリーし、翌日の日中に決済したい」と考える場合、あらかじめIFD注文を入れておけば、自分が画面をチェックできない時間でも自動で売買が実行されます。これにより、チャンスを逃すことなく効率的にトレードを継続できます。
IFD注文と類似注文方法の比較
IFD注文は便利な注文方法ですが、FXや株式取引には似た仕組みの注文方法がいくつか存在します。特に OCO注文 や IFO注文 は混同されやすいため、ここで整理して違いと使い分けを解説します。
1.OCO注文(One Cancels the Other)との違い
OCO注文は、利益確定用の注文と損切り用の注文を同時に出し、どちらかが約定するともう一方が自動的にキャンセルされる仕組みです。
例えば「147円で売って利益確定」か「143円で売って損切り」のどちらかを設定し、相場の動きに応じて一方が成立したらもう一方は消えます。
違い:OCOは「決済専用」であり、新規注文を含まない点が特徴です。
2. IFO注文(If Done + OCO)との違い
IFO注文は「IFD注文」と「OCO注文」を組み合わせたものです。
新規注文が成立すると同時に、利益確定と損切りの両方の注文(OCO)が発動します。
例えば「145円で買い → 147円で売って利益確定 or 143円で売って損切り」といった形で、新規から決済までをフルオートで管理できます。
違い:IFD注文が「新規注文+決済注文1つ」なのに対し、IFO注文は「新規注文+利益確定・損切りの2つの決済注文」がセットになっている点です。
どの場面でどの注文方法を使うべきか
IFD注文
相場が一定方向に動くと予想し、「エントリーと利益確定」だけを事前に決めておきたいときに便利
例:押し目買いで一定の利幅だけ狙う場合
OCO注文
すでにポジションを保有していて、「利益確定」と「損切り」の両方を同時に管理したいときに最適
例:すでにドル円を145円で買っていて、147円で利益確定・143円で損切りを設定するケース
IFO注文
新規注文から利益確定・損切りまでワンセットで完全自動化したい場合に最も有効
例:忙しくてチャートを全く見られない人が、新規エントリー後のシナリオをすべて自動管理したい場合
結論
IFD注文とは、新規注文と決済注文をあらかじめ同時に設定できる便利な仕組みです。これにより、取引の自動化が可能になり、相場を常に監視できないトレーダーにとって大きな助けとなります。
ただし、新規注文が約定しなければ決済注文は発動しないことや、相場急変によるリスクなど注意点も存在します。そのため、IFD注文のメリットとデメリットをしっかり理解したうえで、自分の取引スタイルや相場状況に合わせて戦略的に活用することが成功のカギとなります。
免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。