TOPIXとは何か?

2025-07-10
要約

TOPIXとは約2.100銘柄で構成されて、東京証券取引所が算出する指数です。時価総額加重方式を採用しており、日経平均株価よりも日本市場全体のパフォーマンスをより包括的に反映しています。

東証株価指数(TOPIX)とは、東京証券取引所(TSE)が市場第一部に上場する日本企業の普通株式を対象とする指数で、構成銘柄は約2.100社に上り、日本株式市場全体の時価総額の97%以上を占めています。


基準日は1968年1月4日で、基準値は100ポイントです。15秒ごとに更新され、リアルタイムで算出されるため、日本株式市場全体の変動を反映しています。

東証株価指数(TOPIX)

TOPIXの特徴

1.時価総額ウェイトと流動性最適化

TOPIXは、浮動株時価総額ウェイト方式を採用しています。つまり、構成銘柄の時価総額に基づいてウェイトを配分することで、大型株が指数を過度に支配する問題を回避しています。同時に、浮動株(実際に取引可能な銘柄)を調整することで、ウェイト計算が市場の実際の流動性に一致するようにしています。


例えば、トヨタ自動車は時価総額で日本最大の企業ですが、TOPIXにおける同社のウェイト上限は10%に設定されており、単一銘柄が指数に過度な影響を与えることを防ぎます。


2.バランスの取れた業種配分

TOPIXは、金融、製造業、情報技術、消費といった日本経済の基幹分野を網羅しています。今年現在、金融セクターは約25%、製造業(自動車・電機を含む)は約30%、情報技術は約15%、任意消費は約12%を占めています。


3.低集中と高分散

TOPIXの構成銘柄上位10銘柄のウェイトはわずか19%であるのに対し、日経平均株価の構成銘柄上位10銘柄のウェイトは37%を超えています。この分散により、個別銘柄への依存度が低下し、リスク耐性が向上しています。


▶TOPIX構成銘柄上位10社は以下のとおりです。

  • トヨタ自動車:世界最大の自動車メーカー、構成比約3.2%

  • ソニー:家電・エンターテインメント大手、構成比約2.1%

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ:日本最大の銀行、構成比約1.9%

  • 日本電信電話株式会社(NTT):通信業界のリーダー、構成比約1.8%

  • ソフトバンクグループ:テクノロジー投資大手、構成比約1.7%

  • 任天堂:ゲーム業界のベンチマーク、構成比約1.5%

  • ファーストリテイリンググループ(ユニクロの親会社):小売業界の代表的企業、構成比約1.4%

  • 東京海上日動火災保険:保険業界のリーダー、構成比約1.3%

  • キーエンス:産業用オートメーションセンサーメーカー、構成比約1.2%

  • 信越化学工業:半導体材料サプライヤー。シェアは約1.1%


TOPIXの計算式

計算式は以下のとおりです。

TOPIXの計算式

ここで、時価総額は構成銘柄の浮動株数に終値を乗じたものです。TOPIXは、新規上場や株式分割といった事象に対応するため、「基準時価総額修正方式」を採用し、基準時価総額を動的に調整しています。つまり、企業が新株を発行し、流通株式数が増加した場合、基準時価総額は指数の継続性を確保するため、比例的に調整されます。


さらに、TOPIXは四半期ごとに構成銘柄を見直し、時価総額や流動性が不十分な銘柄を除外し、新規上場した優良企業を組み入れています。この動的な調整メカニズムにより、TOPIXは常に日本の株式市場における「最適な集合」を表すことを確保しています。


TOPIXを追跡するETF

TOPIXを追跡するETF
ETF名称 コード(市場  運用会社 信託報酬(年率) 特徴
TOPIX連動型上場投信 1306(東京証券取引所) 野村アセットマネジメント 0.10%~0.15% 日本最大規模のTOPIX連動ETFで、流動性が非常に高く、長期投資に最適
iシェアーズTOPIX ETF 1475(東京証券取引所) ブラックロック(BlackRock) 0.15% グローバル資産運用大手によるETFで、一部証券会社では米ドルでの購入も可能。海外投資家に適する
eMAXIS Slim TOPIX ―(上場なし、投資信託) 三菱UFJ信託銀行 0.03% 管理コストが最も低いTOPIXインデックスファンド。日本国内口座専用
大和TOPIX ETF 1308(東京証券取引所) 大和アセットマネジメント 0.12% 野村ETFと競合する商品。信託報酬はやや低めだが、規模は小さめ
野村TOPIX ETF 1321(東京証券取引所) 野村アセットマネジメント 0.11% 低コストなもう一つの選択肢。主に機関投資家向けに適している

TOPIXと日経平均株価の違い

TOPIXと日経平均株価はどちらも市場を反映しているように見えますが、その「重視する点」が異なります。投資家の視点から見ると、TOPIXは市場全体を網羅しそうなものです。大企業、中小企業、さらには赤字企業まで、東京証券取引所に上場しているすべての企業が含まれています。そのため、市場全体のパフォーマンスをよりよく反映することができます。

五年間のTOPIXのパフォーマンス

一方、日経平均株価が追跡する範囲は狭いのです。トヨタ、ソニー、ソフトバンクなど、誰もが知る大手企業225社の銘柄を選定しています。これらの企業の株価は、指数の変動に直接影響を与えます。例えば、トヨタの株価が急騰した場合、日経平均株価もそれに応じて上昇する可能性がありますが、TOPIXは他の中堅企業の株価下落によってその影響が相殺されるため、それほど変動しない可能性があります。


2020年のパンデミック初期を例に挙げてみましょう。トヨタなどの大企業は比較的好調に推移しましたが、一部の中堅企業は大きな打撃を受けました。当時、日経平均株価だけを見れば「日本の株式市場は比較的安定している」と思えたかもしれませんが、TOPIXを見ると、より大きなボラティリティと下振れリスクが見られるかもしれません。 TOPIXは実際には市場全体の幅広さを反映しており、日経平均株価は大企業の業績をより反映しています。

東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価(日経225)の違い 
項目 TOPIX 日経225
対象銘柄 東証プライム市場の全上場企業(約2,100銘柄) 流動性が高く、時価総額が大きい225銘柄
指数算出方法 自由浮動株ベースの時価総額加重平均 修正済みの算術平均(株価加重型)
業種構成 金融・製造・テクノロジーなど、幅広くバランスが取れている 製造業中心(特に自動車・電子機器)
銘柄集中度 上位10銘柄の構成比:19% 上位10銘柄の構成比:37%
市場代表性 日本経済全体の動きを反映 大型株(ブルーチップ)の動向を示す指標
活用シーン 長期投資・セクターローテーション戦略に適する 短期売買・ボラティリティ戦略に向いている

TOPIX株価指数は1969年の導入以来、半世紀以上にわたり日本株式市場を支えてきました。投資家にとって市場リスクを測る指標であるだけでなく、日本経済の変遷を物語る証人でもあります。半導体や新エネルギーなどの分野における日本の躍進に伴い、TOPIX構成銘柄の構成は今後も最適化が進み、世界の資産配分における重要なターゲットとしての価値はさらに高まっていくでしょう。


免責事項: この資料は一般的な情報提供のみを目的としており、信頼できる財務、投資、その他のアドバイスを意図したものではなく、またそのように見なされるべきではありません。この資料に記載されている意見は、EBCまたは著者が特定の投資、証券、取引、または投資戦略が特定の個人に適していることを推奨するものではありません。

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